2018/6/15 トルコ横断の天然ガスパイプライン、部分開通
アゼルバイジャンのカスピ海沖のShah Deniz ガス田第2期のガスの欧州向け輸送ルート である
Trans-Anatolian gas pipeline (TANAP) の完了部分の開通式が6月12日、トルコの Eskisehir で行わ れた。
初のガステストは本年1月23日に開始されている。
Shah Deniz ガス田の天然ガスをロシアを経由せずに欧州に送るもので、 ガス田から
South Caucasus Pipeline (アゼルバイジャン〜ジョージア)で送られたガスを、ジョージア国境のArdahanからトルコを横断し、欧州に渡ってギリシャ国境のEdirneまで送り、Trans
Anatolian Pipeline 経由でイタリアから既存のパイプラインで欧州に送るもの。
TANAPは全長1850kmで、今回、Ardahan
からEskisehirまでの1340kmが完成した。
TANAPの開通時の輸送能力は年間160億立方メートル
で、60億立方メートルはトルコに、100億立方メートルはヨーロッパに運ばれる。
その後、まず220億立方メートル、その後投資により310億立方メートルに引き上げる目標がある。
エルドアン大統領は式典で行った演説で、「エネルギーのシルクロード」と呼び、ギリシャ国境への最初のガス供給を2019年6月に行うことを目指していると述べた。
TANAPはアゼルバイジャン国営石油会社のSOCARが運営する。
TANAPの株主は次の通り。
当初
現在
SOCAR
80%
58%
TRAO(トルコ石油)
15%
ー
BOTAS(トルコのパイプライン会社)
5%
30%
BP
12%
Shah Deniz consortium (BP, Statoil and
Total) は29%出資のオプション権を持っていたが、BPだけが権利を実行した。
なお、ロシア側の、 ウクライナを迂回してロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン
South Stream 計画は、2014年12月に中止となった。
EUの規制で、ブルガリアが認可しないことが理由である。
2014/12/4
ロシア、South Stream 計画を取り止め
ーーー
Shah Deniz ガス田第2期は世界最大級の天然ガス開発計画。
Shah Deniz コンソーシアムのメンバーは以下の通り。
BP
25.5%
Operator
Statoil
25.5%
ノルウェー
SOCAR
10.0%
State
Oil Company of Azerbaijan Republic
Total S.A.
10.0%
LukAgip
10.0%
Eni & LUKoil (ロシア)のJV
NIOC
10.0%
National Iranian Oil Company
TPAO
9.0%
Turkish Petroleum
Shah Deniz ガス田第1期は年産90億立方メートル。TANAPで輸送する第2期は年産160億立方メートルで最近完成した。
2010年6月、トルコとアゼルバイジャンがこの天然ガスの供給をトルコが受けることで覚書に署名した。
トルコが60億立方メートルを購入するのに加え、残り100億立方メートルを欧州など他国へ再輸出する権利を持つ。
OperatorのBPは、輸送ルートとして、トルコから北へ送る Nabucco
Gas Pipeline と、イタリア に 送る Trans
Anatolian Pipelineの2案を検討した。
2013/5/10 BP、アゼルバイジャン産ガスの欧州向け輸送ルート検討
BPは2013年6月、 Azerbaijan
のカスピ海沖のShah Deniz
ガス田第2期のガスの欧州向け輸送ルートを Trans
Adriatic Pipeline (TAP)
に 決めたと発表した。
2018/6/16 Ineosの会長兼CEO
Jim Ratcliffe の話題
最近、Ineosの会長兼CEO Jim
Ratcliffe がニュースに取り上げられている。
1.爵位
英国エリザベス女王の公式誕生日にちなんで、国内外で活躍した人物に贈られる勲章の叙勲者リストが6月8日に発表された。
エリザベス女王の実際の誕生日は4月21日だが、君主の誕生日を6月に祝うことが英国の伝統となっている。
女王の公式誕生日に授与される叙勲は1860年にヴィクトリア女王が開始したもので、本年は1,057人、全体の49%が女性となっている。
日本出身のノーベル賞作家カズオ・イシグロが イギリスの文学に貢献したという理由で、爵位の中でも高い位のナイトの称号を与えられた。英国籍であるため、「Sir」の敬称を使うことができる。
Jim Ratcliffeも、ビジネスと投資への貢献でナイトの 称号 を与えられ、Sir
Ratcliffe となった。
彼は2017年に資産を150億ポンドから210.5億ポンドに増やし、英国1位の金持ちとなっている。
現地紙は以下の例を挙げ、Ratcliffe の受勲を祝わない人もいるとしている。
・ Ineosは最近、スコットランド政府のフラッキング禁止は違法として訴えた。
Ineos
はスコットランドでシェール開発を計画しており、国中で合計700平方マイルにわたる掘削ライセンスを得ている。
2014/8/22
Ineos、スコットランドのシェールガス開発に参加
スコットランド政府は2017年10月にフラッキング禁止を発表、その後スコットランド議会で承認された。
・ Nottinghamshireの公園での試掘を認めないことに対し、National
Trustを訴えている。
・ 2013年のGrangemouth refineryのストで労働者を脅迫。
2013/10/10
Ineos、Grangemouthの石化コンプレックス閉鎖か?
・ 2016年に生産性が落ちるとして、Grangemouth工場でのお茶休憩の禁止を発表
・ 英国の法人税率が高いことを理由に Ineosの本社をスイスに移した。その後、英国の減税で戻す。
2010/3/5 INEOS、節税のためスイスへの移転
2016/4/4 Ineos、本社を英国に戻す
付記
Ineosが、スコットランド政府のフラッキング禁止は違法として訴えた裁判で、 スコットランド最高民事裁判所は6月19日、下記の理由で、訴えを却下した。
政府はフラッキング禁止をまだ最終決定していない。今後、環境アセスメント、事業、法律面での検討に基づいて決定する。大臣が禁止と言ったのは誤りで、誤解を生んだ。
Ineosはこれを歓迎、偏見やご都合主義でなく、事実と科学に基づいて決定されることになるとしている。
2.フットボールチーム Chelsea の買収提案、拒否さる
Jim Ratcliffeは Manchester United FC
のファンとして知られているが、最近、ロンドン西部チェルシー地域をホームタウンとする Chelsea FC を20億ポンドで買収するオファーを行い、拒絶された。
Ineosは既にスイスのローザンヌを本拠地とするフットボールチーム ローザンヌ・スポルト(Lausanne-Sport)を所有している。
(Ineos は節税のため、一時本社をスイスに移していた。)
Manchester United FC のファンである Ratcliffeが、何故、Chelseaを買おうとしたのかが取りざたされている。
背景は次の通り。
Chelsea FC
のオーナーは、ユダヤ系ロシア人で寡頭資本家(オリガルヒ)の一人、石油王のRoman Abramovichである。チュクチ自治管区知事を務めた政治家でもある。
2003年にChelsea Football Club を買収し、約160億円ともいわれる負債を返済し、ポケットマネーで次々と有力選手を獲得した。
Roman Abramovich は最近、英国に住むためにビザ(UK investor’s
visa)の更新を申請したが、ロシアと英国の関係悪化で、拒否された。
このため、Ratcliffeは、AbramovichがChelseaのオーナーとしてやっていけないと考え、 Chelsea
FC を安く買えると思ったのではないかとされる。
(しかし、Ratcliffeは、Abramovichの英国ビザの問題が発生するもっと以前から真剣に買収を真剣に考えていたという説もある。Ineosは噂や憶測にはコメントしないとしている。)
英国のビザを拒絶されたAbramovich は本年5月末にイスラエルの国籍を取得した。 ユダヤ人であるため、イスラエル国籍を容易に取得する権利を有している。
イスラエル国籍取得によってAbramovich
は英国も含めた数十か国へビザ申請を行わずに渡航することが可能となるため、Chelsea FC
のオーナーとして従来通りやっていける 。
イスラエルの長者番付の第一位になったが、 新たな祖国で一から生活を立て直すためとして、今後10年間、納税義務を免れることが許される。
2018/6/16 米、対中制裁関税 発動へ、中国も報復
トランプ米政権は6月15日、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、中国による知財侵害の被害額と同規模の500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表した。
中国が巨額補助金を拠出してハイテク産業を育成する「中国製造2025」計画を名指しで批判し「中国は不公正な手法で米国の知財や技術を得ており、もはや耐えられない」と主張し、「中国が報復措置に動けば米国はさらなる追加関税の発動に踏み切るだろう」と圧力をかけた。
まず7月6日に340億ドル分の制裁関税を発動し、残りの160億ドル分は一般の意見聴取後に発動する。
第1弾の対象は産業ロボットや電子部品などハイテク製品を中心に818品目で、消費者への影響を考慮し、4月時点での約1300品目からテレビなど消費者向け汎用品などを除外した。
第2弾の160億ドル分の対象は、化学品や光ファイバーなど、「中国製造2025」の重点分野に絞った。第1弾と合わせ約1100品目となる。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は6月15日、「次の段階は、米国の技術を買おうとする中国の投資を規制することだ」と述べ、中国への制裁関税に次ぐ措置を急ぐ考えを示した。
財務省が6月末までに中国企業の対米投資の規制をとりまとめ、速やかに実施する方針。
ーーー
中国商務省は6月16日、報復措置として、659品目、総額500億ドル規模の米国製品や農水産品に25%の追加関税を課すと正式発表した。
7月6日に発動する第1弾の追加関税は下記の545品目、約340億ドル相当。
大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、水産物、じゃがいも、たまねぎ、キュウリ、ホウレンソウ、マンゴー、オレンジ、ブドウ、りんご
ウイスキー、たばこ、綿花、乗用車、電気自動車など
米国産大豆は中国が輸出先の6割を占めている。
原油、天然ガス、石炭、エチレン、医療器具など資源エネルギー分野を中心とした114品目、約160億ドル
相当は後日、発動日を公表する。 航空機は対象から外れた。
5月17〜18日の 閣僚級通商協議(下記)で米側に伝えていた米国産のエネルギーや農産物などの輸入拡大策も白紙に戻す。
これらとは別に、中国は6月16日、米国および日本原産のヨウ化水素酸 、米国およびサウジ・マレーシア・タイ原産のエタノールアミン の反ダンピング調査でクロの仮決定をし、保証金を取り始めた。
また6月15日には、米国およびEU原産のSeamless
Steel Tubes について、5年経過で、再調査を開始した。
二大経済大国が「貿易戦争」に突入するリスクが高まった。
付記
トランプ米大統領は6月18日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を巡り、新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表した。
米国による500億ドル分への25%の関税に対し、中国が同規模の報復措置を打ち出したのを受けての追加措置。
中国が再び報復関税で対抗してきた場合は、さらに2千億ドル分の措置を実行すると強調した。
ーーー
これまでの経緯は次のとおり。
米国
トランプ米大統領は2017年8月14日、不公正貿易での制裁も視野に、中国に対する通商法301条に基づく調査を開始するよう指示した。
2017/8/18
米大統領、通商法301条で対中調査指示
米国
USTRは2018年4月3日、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表した。
産業用ロボットなど生産機械を中心とした約1300品目に25%の関税を課す。米国の消費者への悪影響を抑えるためスマホや衣料品など輸入額の大きい消費財は除いた。
対象品目の2018年の想定輸入額は500億ドルで、中国からの輸入額の約1割に相当する。(2017年の輸入額は5065億ドル)
中国
中国商務部は4月4日、公告34号を出し、米国の違法な行動から中国の権利を守るため、中国の対外貿易法や国際法の基本原則に 基づき、米国産の大豆やその他の農産物、自動車、化学品、飛行機など 計106品目(2017年の輸入額は約500億ドル)に25%の関税をかける方針を発表した。
対象は、大豆、棉花、トウモロコシ、小麦、牛肉、たばこ、乗用車、試薬、ポリアミド、飛行機、その他。
石油化学品では、 EDC、アクリロニトリル、LDPE、PVC(310千トン)、アクリル重合体、ポリアセテール以外のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、その他のポリエステル、ポリアミド、シリコーン、酢酸セルロースなどを含む。
2018/4/5 USTR、通商法301条に基づく対中制裁関税案を発表、中国も対抗措置を発表
米国
トランプ米大統領は4月5日、中国による知的財産権侵害を問題にした制裁措置を巡り、新たに1000億ドル規模の中国製品を対象にした追加関税を検討する方針を表明
中国
中国商務部はこれに対し、下記の声明
「米国が単独主義と保護貿易主義を堅持するならば、中国は最後まで付き合う。いかなる代償も惜しくないし、必ず反撃する」
米中
貿易摩擦を巡る米国と中国の初の公式交渉が5月3、4日の2日間、北京の 釣魚台 迎賓館で行われた。
下記の問題が議論されたが、問題は先送りされた。
1)米国の貿易赤字問題
2)投資分野
3)知財保護
4)中国のMade In China 2025計画
2018/5/7 米中貿易協議
問題先送り
米中
米中両国は5月17〜18日に閣僚級通商協議を行い、中国が貿易不均衡の是正に向けて、米国からの輸入拡大に同意したことを明らかにした。
共同声明で、中国が国民の消費拡大に対応して質の高い経済発展を実現するため、「米国の製品やサービスの購入を大幅に増やす」としたうえで、これが米国の経済成長や雇用促進の助けになるとの考えを示した。
中国は、米国の農産物やエネルギー資源の輸入を拡大することに同意した。詳細を詰めるため、米国のチームが近く中国を訪問する。
また、 「知的財産の保護をきわめて重要な問題ととらえ、協力を強化することで合意した。」
中国
6月2〜3日に北京で行われた協議で、中国は、米政権が知的財産権侵害の問題で米通商法301条の制裁関税を発動しない
ことを条件として、米国から700億ドル近い農産物やエネルギー製品(米国産の大豆やとうもろこし、天然ガス、原油、石炭など)を輸入することを提案した。
米国
米商務省は6月7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しで同社と合意したと発表した。
但し、 ロス長官は「(ZTEに対する)取り締まり問題は切り離されている。貿易協議とは無関係だ」と強調し、301条による対中制裁措置は変えない構えを示した。
2018/6/8 米政府、中興通訊(ZTE)の事業再開認める
2018/6/18 欧州中銀、量的緩和政策を年内終了
欧州中央銀行(ECB)は6月14日、理事会を開き、量的緩和政策を年内に終了することを決めた。
ECBは新規購入額を10月以降は150億ユーロに減らし、年末で打ち切る。すでに保有している国債については満期を迎えた分を再投資に回して当面は残高を維持する。
APP(expanded Asset Purchase Programme)は現在4つのプログラムから構成されている 。
PSPP( public
sector purchase programme ): ユーロ地域の国債や国際機関の債券を購入
CSPP(corporate sector purchase programme):社債を購入
ABSPP(asset-backed securities purchase programme):資産担保証券 ABSを購入
CBPP3(third covered bond purchase programme):金融機関が保有する債権を担保として発行する債券を購入
ユーロ圏では景気拡大が物価を押し上げつつあり、物価目標(2%近く)の実現に手応えを感じ始めた
。
ただし、欧州では足元で景気拡大のペースが鈍り、イタリアの政情も市場を不安定にしている
。
このため、ECBは現在の超低金利が「少なくとも2019年夏までは現在の水準にとどまる」と、利上げ開始に慎重な姿勢を示した。
米国は 債券買い入れを2014年11月にはゼロとした。 そして、2015年12月16日に、米経済は2007-09年の金融危機による打撃を概ね克服したとの認識に立ち、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を
0%〜0.25% から0.25%〜0.50% に引き上げた。本年6月には 1.75〜2.00%に引き上げた。
世界の金融政策は危機対応の局面から平時へと大きく転換する。
そのなかで、日本だけが取り残される形となる。日銀は6月15日の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策の現状維持を決めた。
ーーー
ECBは2015年1月22日、定例理事会を開き、ユーロ加盟国の国債などを購入し、資金を大量に金融市場に供給する「量的緩和政策」の導入を決めた。
その後の動きは下記の通り。
買い入れ規模
2015/1/22
2015/3〜2016/9
月 600億ユーロ
総額1兆1400億ユーロ
2015/1/24 欧州中銀、量的緩和導入決定
2016
2016/4〜2016/9
月 800億ユーロ
2016/9/8
延長 〜2017/3
2016/12/8
延長 〜2017/12
月 600億ユーロ
2016/12/14 欧州中銀、量的緩和の規模を縮小、実施期間は延長
2017/10/26
2018/1〜2018/9
月 300億ユーロ
2018/6/14
2018/10〜2018/12 終了
月 150億ユーロ
満期を迎えた国債を再投資に回し、当面は残高を維持する。
2018/6/19 米最高裁、中国政府主導の米国での価格カルテルを認めず
米最高裁は6月14日、中国のビタミンC メーカーによる価格カルテルの裁判で、控訴裁がカルテルは中国政府の指示によるもので無罪とした判決について、満場一致で誤りとし、再審査のため差し戻した。
ーーー
事件は、2005年にTexasの動物飼料会社や
New
JerseyのビタミンのディストリビューターなどのビタミンC 需要家が、中国のビタミンC メーカーが2001年12月以降、米国で価格や供給量についてカルテルを結んでいるとして訴えたもの。
訴えられたのは4つのグループ。
・華北製薬(North China Pharmaceutical Group Corp.:NCPGC) と 河北维尔康製薬(Hebei
Welcome Pharmaceutical)
河北维尔康製薬は華北製薬集団と香港の三威國際企業( Triple Well
International)のJV
・China
Pharmaceutical Group Ltd. (CSPC Pharma group:石薬集団)と100%子会社の 維生藥業
(Weisheng Pharmaceutical )
・Aland Jiangsu
Nutraceutical Co. (江蘇江山製藥 )
・ Northeast
Pharmaceutical Co. Ltd.(東北製薬)
訴えによると、
中国の医薬・健康製品輸出入協会の2001年12月の会合で、上記4グループを含むビタミンC メーカーがビタミンC
の輸出を制限して国際市場で不足状況を生むため、輸出数量を管理し、値上げをすることを決めた。
需要家は集団訴訟を起こした。
NY 連邦地裁の裁判で、メーカー側はカルテルを否定せず、中国政府の命令に従っただけであり、カルテル実行者は米国の独禁法の被告にはならないとした。また価格カルテルは中国政府の行為であるとした。更に、中国政府は米国法で裁かれないともした。
中国商務部はこの主張をすべてバックアップした。
商務部によると、中国では商務部の指導下で医薬・健康製品輸出入協会をつくっており、このビタミンC サブ委員会がビタミンCの輸出価格と数量を決定している。ミニマム価格が決められており、それ以下での輸出は出来ない
という。
実際に米国の通商代表部は、中国政府がビタミンCの輸出価格を操作しているとしてWTOに提訴している。
本件の詳細 https://www.davispolk.com/files/msohn.jsolomon.antitrust.article.dec13.PDF
この輸出規制が強制的か、自主的なものかで判断が分かれた。被告側は、政府に強制されたもので、従わなければペナルティを受けると主張した。
判事は2011年9月に、中国政府は優遇政策としてビタミンC
カルテルを奨励しているが、メーカーに価格カルテルを強制するほどのレベルでなく、違反しても罰金はないと認定した。
2012年5月に 江蘇江山製藥は950百万ドルを支払うことで原告側と和解した。これは中国企業が米国のカルテル訴訟で和解した最初である。
最終論告開始の直前に、China
Pharmaceutical Group と
維生藥業 は
22.5百万ドルを支払うことで和解した。
2013年2月に始まったNew
York Eastern District 地裁の最終審理で、陪審員は、
河北维尔康製薬と東北製薬が価格の固定、供給量の制限で共謀したと判断し、損害額を54.1百万ドルと決めた。
判事は3月14日、153.3百万ドル(損害額の3倍から9百万ドルを調整)の罰金を命じた。
ーーー
両社は控訴した。
2015年1月に連邦巡回区控訴裁判所( Second Circuit)がこれを取り上げた。
控訴裁は2016年 9月 20日、中国法が被告に対し外国で売られるビタミンCの価格を決め、数量を下げるよう要求しているとの正式の陳述書を中国政府が裁判所に提出していること、中国企業は中国法と米国の独禁法に同時に従うことができないということから、地裁は本件の管轄権を実行すべきでなかったと判断した。
ーーー
今回、最高裁は、連邦裁判所は外国政府の主張に耳を傾ける必要はあるが、それにそのまま従う必要はないとし、更に審議するよう、下級審に差し戻した。
被告側は失望したとし、下級審で更に戦うとしている。中国大使館はコメントの要望に応じていない。
ーーー
ビタミンC
市場を中国企業がほぼ独占しているのは、米国でのビタミンCカルテルで多額の罰金を命じられ、各社が撤退した結果である。
かつてビタミンCの生産は欧米企業6社が生産量の75%を寡占する商品で、カルテルで値段を吊り上げていた。
1995年に米国でリジンのカルテルが摘発された。
2010/1/12 映画
The Informant
クエン酸カルテルに関するHoffman-LaRocheな どの調査でビタミンカルテルの存在が分かった。
1999年に米、スイス、独、日、加の合計11社に総額 9億1050万ドルの罰金が課せられた。アメリカでビタミンの価格カルテルが摘発されたのは、これが二度目である。
武田薬品
72百万ドル
事業をBASFに売却
エーザイ
40百万ドル
第一工業製薬
25百万ドル
Roche
500百万ドル
事業をDSMに売却
BASF
225百万ドル
Merck
14百万ドル
Degussa-Huls
13百万ドル
Lonza
10.5百万ドル
2001年1月には、EUでも スイス・独・蘭・仏・日の計8社に総額8億5522万ユーロの制裁金が課せられている。
そこへまた中国企業ががぜん安値攻勢をかけてきたため、欧米企業は次々にビタミンCの生産から撤退した。
現在欧米で頑張っているのはDSMだけである。
DSMはスコットランドに工場を持つが、2014年にAland Jiangsu Nutraceutical Co.(江蘇江山製藥 )
を買収した。
2 014/7/29 DSM、江蘇江山製藥 買収で合意、ビタミンC
事業を強化
2018/6/20 香港の
長江実業集団、豪の天然ガスパイプライン大手APAの買収提案
豪州の天然ガスパイプライン大手 APA は6月13日、香港の長江基建集団 (CK
Infrastructure Holdings) などの長江実業
集団の コンソーシアムから買収提案を受けたと発表した。買収価格は1株11.00豪州ドルで、総額で約130億豪州ドル(1兆1千億円)となる。
APAの取締役会は現時点ではこの提案に推奨は行わず、株主には現時点で行動しないよう勧告している。
買収には、外資審査委員会 (Foreign
Investment Review Board)と 競争・消費者委員会( Australian
Competition and Consumer
Commission)の承認が必要だが、長江では既に両委員会に接触し、説明しており、競争・
消費者委員会に対しては、 買収に当たり、競争の観点で障害となりうる Goldfields Gas Pipeline、Parmelia Gas Pipeline、Mondarra Gas Storage Facility
の持分の売却案を示している。
APA
の取締役会は提示された買収価格(前日終値に33%上乗せした水準)から考え、交渉を続けるのが株主の利益になると考え、非独占ベースで
Due diligennce をさせるための秘密保持契約を締結した。
ーーー
長江実業集団は李嘉誠が創業した 香港最大の企業グループ。
李嘉誠は、1949年に香港にプラスティックの工場を作り、造花を売り出し、「ホンコンフラワー」として大当たりとなった。
1958年に不動産業に転身し、香港最大の不動産ディベロッパーとなった。
1979年に和記黄埔(Hutchison Whampoa )、1985年に香港島の電力供給を独占する香港電灯を買収し規模を拡大した。
Hutchison Whampoaは 世界56か国で事業を展開する多国籍企業で、主力事業は、港湾、エネルギー・インフラ・投資、通信、不動産とホテル、小売業の5つから構成されている。
他にグループ企業で香港で上場している企業には、和記港陸(Hutchison Harbour Ring)、長江基建集団、和記電訊国際有限公司(Hutchison
Telecommunications)、TOM集団(インターネット、出版、メディア)などがある。
長江グループは2017年に豪エネルギー大手Duet
Groupを買収しており、豪州でのエネルギー事業を一段と拡大する。
長江グループは2016年に中国の大手送電網企業である中国電網と組んで、ニューサウスウェールズ州の送電線運営会社 Ausgrid
を買収しようとしたが、FIRBから「国家安全保障上の理由」により買収を拒否された。
しかし、長江グループは2017年1月にDuet Groupを買収する契約を締結、これについては同年4月にFIRBから承認された。
Duetは、西豪州でDampier-Bunbury pipeline を持つほか、電力供給の United Energy、ガス供給の Multinet
Gas、パイプライン事業の DBP Development Group、Energy Developments Ltd に出資する。
ーーー
APAは天然ガスパイプライン大手で、15,000kmに及ぶ天然ガスパイプラインは豪州の天然ガス産地と消費地を結び、 同国のガス供給の半分を担っている。ガス貯蔵設備、ガス火力発電所、風力発電所も所有する。
長江グループが2017年に買収した Duet
Group のDampier-Bunbury pipelineと競合する2つのパイプラインと1つのガス処理設備を売却する案を当局に示している。
2018/6/20 トランプ大統領、対中貿易制裁の追加の検討を指示
トランプ米大統領は6月18日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を巡り、新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表した。
付記
トランプ米大統領は8月1日、2千億ドル分の中国製品を対象とした第3弾の対中制裁を巡り、関税率を当初の10%から25%に引き上げるよう米通商代表部(USTR )に指示した。
米国による500億ドル分への25%の関税に対し、中国が同規模の報復措置を打ち出したのを受けての追加措置。
「中国は不公正な慣行を変更する意思がないようだ。今や(報復関税で)米国の企業や労働者、農家を脅している」と強く批判した。米国内での意見募集など米通商法301条が定める手続きを経たうえで、中国が不公正慣行の是正を拒否し、報復関税を実施する場合に発動するという。
中国が再び報復関税で対抗してきた場合は、さらに2千億ドル分の措置を実行すると強調した。
トランプ米政権は6月15日、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、中国による知財侵害の被害額と同規模の500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表した。
中国商務省は6月16日、報復措置として、659品目、総額500億ドル規模の米国製品や農水産品に25%の追加関税を課すと正式発表した。
2018/6/16 米、対中制裁関税
発動へ、中国も報復
これに対し、商務部の報道官は6月19日、次の談話を発表した。
米国は500億ドル規模の追加関税リストを打ち出した後、さらに悪いことに、2千億ドル規模の追加関税リストを制定すると脅しをかけてきた。
このような極めて大きな圧力をかけてゆすり取るようなやり方は、両国がこれまで重ねてきた協議での共通認識に背くものであり、国際社会を強く失望させるものでもある。
米国が理性を失い、さらにリストを打ち出すなら、中国は数量と品質とが結びついた総合的措置 を執らざるを得ず、強力な対抗措置を執らざるを得ない。
米国が発動した貿易戦争は、市場のルールに背くものであり、当今の世界の発展トレンドに合致しておらず、中米両国の国民と企業の利益を損ない、全世界の人々の利益を損なうものだ。
中国の対応は自国と自国民の利益を保護し守りぬくためのものであり、また自由貿易体制を保護し守り抜くため、人類共通の利益を保護し守り抜くためのものだ。
外部環境がどのように変化しようとも、中国は常に既定のリズムを踏まえ、国民を中心とする方針を堅持し、揺るぎなく改革開放を推進し、揺るぎなく経済の高い品質の発展を推進し、現代的経済システムの構築を加速する。
中国外務省の副報道局長は「中国は貿易戦争をしかけないが恐れはしない」と述べた。
付記
トランプ米政権は7月10日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の追加措置案を公表した。
衣料品や食料品など2千億ドルに相当する6031品目の輸入に10%の追加関税を課す。発動は9月以降になる見通し。
米通商代表部(USTR)がまとめた品目リストの原案は衣料品やスポーツ用品、かばん、家具、テレビのほか、水産品や農産品などの食料品を盛り込んだ。
さきに発動した対象品目に比べて一般消費者向けの製品が目立つ。携帯電話やパソコンは含めていない。
米政権は既に500億ドル分の中国製品に25%の関税を課す方針を決定しており、このうち産業用ロボットや電子部品など818品目、340億ドル分を7月6日発動した。残り160億ドル分について、トランプ大統領は月内への前倒しも示唆している。
中国商務省は7月11日、これは全く受け入れられないとし、対抗措置を取らざるを得ないと表明した。
中国の場合は、米国からの輸入が1300億ドルしかないため、 モノの貿易ではなく、サービスを対象にすると見られている。
米国の対中輸入は2017年は5,063億ドルで、これに対し、中国の対米輸入(統計は米国の対中輸出)は1,304億ドルしかない。
このため、米国の6/15発表の500億ドルに対しては、中国は同額の制裁は可能だが、今回の追加2000億ドルについては、対米輸入は残り804億ドルしかなく、同額の制裁は不可能である。
このため、中国は今回、「数量と品質とが結びついた総合的措置」を執るとした。
アナリストは、中国はモノの貿易ではなく、サービスを対象にするのではと見ている。米国が黒字を稼いでいる旅行(中国人旅行客の米国への渡航制限)や教育である。
また、中国市場に頼っている米国企業を対象とした対策をとる可能性もある。昨年、中国と韓国の関係が悪化した際に、ロッテ等韓国企業が大きな被害を受けた。
米国は前回の500億ドル相当の制裁では、4月時点での約1300品目からテレビなど消費者向け汎用品などを除外した。
今回、これらが含まれることとなると、米国の消費者に大きな影響を与えることとなる。
2018/6/21 東京ガスと英国の
Centrica、 モザンビークLNGプロジェクトからLNG共同調達
東京ガスはこのたび、英国 Centrica plc
とともに、モザンビークLNG 1 プロジェクトからのLNGの購入に関する基本合意書を、売主であるMozambique LNG 1
と締結した。
日本企業と欧州企業によるLNGの共同調達は、世界初の取り組みとなる。
本プロジェクトは、アフリカ・モザンビーク共和国から産出される天然ガスを、同国北東部に新たに建設されるプラントで精製・液化し、LNGとして出荷する計画。
東京ガスとCentrica
は、本合意書に基づき、本プロジェクトのLNGの生産開始から2040年代初頭まで、年間約260万トンのLNGを購入する。
東京ガスとCentrica
は、2016年11月に、相互協力に関する協定を締結し、「LNGの輸送効率向上を通じたコスト削減を目指す枠組み」を着実に推進し、相互理解を深めてきた。
東京ガスが米国産LNGを欧州に供給する一方、Centrica
はこれまで英国に輸送していたマレーシアのLNGを日本に供給する。
米国の東海岸のLNGは輸送距離が長く、パナマ運河を通るためコストがかさむが、スワップでコストを抑える。
2016/11/22 東京ガス、英の Centrica
と LNGをスワップ
この協力関係に基づき、今回のLNGの共同調達は、日本企業と欧州企業が連携することで、異なる市場環境を活かした柔軟な需給調整を実現
する。
また、豊富な埋蔵量を有するモザンビークLNGプロジェクトは、アジアと欧州の等距離に位置することから、本共同調達に適したプロジェクトといえ
る。
東京ガスとCentrica
は、本合意書の締結を通じ、アフリカ大陸からのLNGを長期的に購入することで、調達先の多様化を推進するほか、アジアと欧州を結ぶLNGネットワークを構築することで、LNG市場の活性化に努めてい
く。
モザンビークの海底ガス田の開発は6区に分けて行われており、三井物産はArea
1に権益を持つ。
三井物産は2008年2月、Area 1の権益の一部を取得することでAnadarko と合意した。
2013/1/10 モザンビークの天然ガス開発
原油価格の下落などを背景に投資判断を先送りしていたが、新興国で需要拡大が見込めるため、2018年度内にも事業化を正式決定する。
年産1200万トンのLNGプラントを建設するが 900万〜1000万トンの供給先がまとまってきたため、投資に踏み切る。
東北電力は2017年12月、LNG購入に関して、基本合意書を締結した。本プロジェクトが生産開始を見込む2020年代初頭から15年間にわたり、年間最大約28万トンのLNGを購入する。
Area 1の権益保有者は以下の通り。
当初
2013年
現在
Anadarko (オペレーター)
76.5%
36.5%
26.5%
Mitsui E&P
ー
20%
20.0%
ENH
Rovuma Área Um, S.A.
(モザンビーク国営石油会社)
15%
15%
15.0%
Bharat Petroleum(インド)
ー
10%
ー
ONGC Videsh
(インド)
ー
10%
Beas Rovuma
Energy Mozambique
( ONGCとOil
Indiaの合弁会社)
ー
ー
10%
Videocon (インド)
ー
10%
ー
BPRL
Ventures Mozambique B.V.
(インド国営石油)
ー
ー
10%
Artumas Group(現
Wentworth Resources)
8.5%
ー
ー
PTT Exploration &
Production (タイ)
ー
8.5%
8.5%
LNGプラントはPalmaの南に建設される。
2018/6/21 富士フイルム、米Xerox を提訴
富士フイルムホールディングスは6月18日、同社による買収合意を破棄した米事務機器大手
Xeroxを相手取り、正当な理由なく当該契約を終了することは契約違反であるとして、10億ドル超の損害賠償などを求める訴訟を米
ニューヨーク州南部連邦地方裁判所に起こした。
Xerox
の取締役会は5月13日、富士フィルムと経営統合する合意を破棄した。
買収に反対する大株主のCarl Icahn、Darwin
Deason
と5月1日に和解したが、5月3日に撤回、5月9日に株主宛ての書簡で富士フィルムと再交渉するとしていたが、株主側と再度和解し、買収契約自体を終了させた。
富士フィルムは今回の訴状で、「この心変わりは間違いなく外的圧力が原因だ。Xeroxは最近、物言う投資家の Carl
Icahn、Darwin Deason
両氏の気まぐれに影響された。両氏は少数株主であるにもかかわらず、Xerox取締役会をありとあらゆる方向に振り回した」と述べた。
買収の実現によって富士フイルムの株主が得られたはずの利益に懲罰的な賠償を上乗せし、計10億ドル超の支払いを求めた。
これとは別に、違約金として1億8300万ドルを Xerox から受け取る権利があるとも主張している。
富士フィルムでは、両社の経営統合は、ワールドワイドで一貫した経営戦略に基づくオペレーションを展開することにより、事業成長の更なる加速と顧客への新たな価値の提供を実現できることから、富士ゼロックス及び
Xeroxの未来にとって最良の選択肢であると考えているとしている。
これに対しXeroxは、富士フイルム子会社の富士ゼロックスで起きた不正会計問題が未解決なことが合意破棄の主な理由だと主張、「契約上の明白な権利を正しく行使したという絶対の自信がある」と反論し、全面的に争う構えをみせた。
同社は5月13日に富士フィルムに契約終了を通知したが、理由として以下を挙げている。
@富士ゼロックスの監査済決算を4月15日までに提出しなかったこと、
A監査済の財務数字が契約締結前にもらっていた監査前の財務数字と著しく違っていること、
Bその後の事態の変化で契約の実行が難しくなったことを勘案した。
1月22日、Carl IcahnとDarwin
Deasonは共同声明を発表したが、そのなかで、 富士ゼロックスの経理スキャンダルに鑑み、JVを解消するか、Xeroxに有利なように改定すべきであるとしていた。
富士ゼロックスの財務スキャンダルはXeroxの他の株主の間でも問題になっていた。
富士フィルムHDは2017年6月12日、傘下の富士ゼロックスの販売子会社で起きた不適切な会計処理を受けて375億円の損失が発生したと発表した。
調査報告書によると、不適切会計の主な舞台となったのは富士ゼロックスのニュージーランドの販売子会社。中堅幹部であるマネージングディレクターが中心となって、複写機などのリース契約で問題のある取引を繰り返していた。
ーーー
これとは別に、Darwin
Deasonが富士フィルムによるゼロックス買収は不正だとして、差し止めを求めた裁判で、 4月27日に米国ニューヨーク州裁判所が、Darwin
Deason の主張を認め、 買収手続きの一時差し止めを認める仮処分命令を下した。
裁判では、富士フィルムとXeroxのメールが開示され、 裁判官は、複数のメールを引用したうえ、当時のXerox社長ら について「自身の地位を守ろうとして富士フイルム側と協力した」などと認定し買収の暫定差し止めを命じ
た。
Xerox は5月4日、異議申し立てをした。
「差し止め命令はニューヨークの法律に反する。買収提案を認めるかどうかは裁判所ではなく、Xerox
の株主が決めるものだ」と主張し、裁判所による差し止めの無効を訴えた。
富士フィルムホールディングスも同日、異議申し立てをした。
米ニューヨーク州の裁判所は、上訴の審理を9月から始めると決めた。
この裁判も続く。
2018/4/30 富士フイルムの
Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分
ーーー
富士ゼロックスは6月20日の定時株主総会で、米Xeroxの John
Visentin CEOを取締役に選任した。
Visentin 氏は、富士フイルムによるXerox買収に反対している大株主らの意向を受け、 5月16日にCEOに就任した。
米Xeroxは富士ゼロックスの25%を保有しており、取締役を3人出すのが通例だが、 今回は買収に反対する大株主に近い人物が取締役に就くことで、買収計画への影響が注目される。
2018/6/22 米上院、 中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直し に反対
米上院は6月18日、2019会計年度の国防権限法案を賛成85、反対10で可決した。総額7160億ドル規模で、トランプ大統領が求める軍の強化を後押しするものである。
しかし、この法案に、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁措置の緩和を認めず、米製品の販売を引き続き禁止する条項を盛り込んだ。
ーーー
米商務省は6月7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しで同社と合意したと発表した。トランプ大統領が 中国の習近平国家主席の要請を受け、決めた。
合意内容は次の通り。
ZTEが10億ドルの罰金を支払うほか、将来新たな法令違反があった場合に没収される4億ドルを預託する。
ZTEは30日以内に新しい取締役会や経営陣を決める。
再発防止を徹底するため、米国は自ら選んだ法令順守担当者を同社に送り込み、今後10年間監視する。
代わりに取引禁止を解く。
2018/6/8
米政府、 中興通訊(ZTE) の事業再開認める
現在、 預託金契約を巡る作業を行っており、作業の完了後に制裁が解除されることになる。
ーーー
ZTE
は、米国の対イラン・北朝鮮禁輸措置に絡む2017年の和解合意に違反したとして米サプライヤーとの取引を禁じられたが、共和、民主両党は合意違反を受けて、ZTEは国家安全保障に対する脅威になっているとの懸念を示してきた。
ZTE
はスパイ活動への協力がうわさされており、今回の制裁見直しについて「国家の安全保障を損ねる」と強い反発が出ていた。
下院は既に5月24日に国防権限法案を通しているが、この時点では制裁見直しは行われておらず、法案には制裁措置の緩和を認めない条項はない。
今後、上院と下院の法案をすり合わせ、一本化する必要があり、時間がかかる。
大統領は議会に法案からZTE
に関する条項を外すよう要請する構えで、仮に法案が両院で可決しても、大統領は拒否権を発動できる。ただ、その場合は11月の議会間選挙を控え、与党共和党との関係が悪化する。
制裁解除に関する米政府合意に反対する米上院の与野党議員らは、トランプ政権の圧力に屈せず支持するよう下院議員らに呼び掛けた。圧力に屈すれば、経済と国防両面で米国の安全保障が損なわれ、ZTE が米国民に「スパイ行為」を働くことになると警告した。
2018/6/23 米国の鉄鋼・アルミ関税問題のその後
1) 経済産業省
経済産業省は6月18日、2018年版の不公正貿易報告書を発表した。
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004532/2018/houkoku01.html
米国については、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限をはじめ、保護主義的な通商政策を強めるトランプ米政権を名指しで批判。「対抗措置の応酬を通じて負の影響がグローバルに拡散しかねない」と懸念を示した。
日本は世界貿易機関(WTO)協定を柱とする国際ルールに基づき、貿易問題を解決していくとする対応方針も打ち出した。
<最近の動き>
米国は、2017年4月、輸入鉄鋼および輸入アルミについて、232条調査を開始した。調査開始の背景として、外国政府による補助金、その他不公正な措置による過剰供給構造が生じた結果、米国市場および世界市場が歪曲し、米国国内産業が損害を受けている旨が指摘された。また、アンチ・ダンピング税や相殺関税措置では、かかる不公正な輸入品に対抗できず、過剰供給構造問題も解決に至っていないとし、232条調査に踏み切ったともされた。
(中略)
WTO協定上、輸出自主規制をとろうとすることも、とることも禁止されている(セーフガード協定11条)。上記割当がどのように運用されるのか、注視が必要である。
EU、中国、インド、ロシア、トルコは、米国の措置は実質的にはセーフガード措置に該当するとして、セーフガード協定に基づく対抗措置(リバランス措置)を見据え、補償協議を要請するなどしている。これに対し、米国は、232条措置は安全保障に基づく措置であり、セーフガード措置ではない、と反論している。
我が国からの鉄鋼やアルミの輸入は、米国の安全保障に悪影響を与えることはないとして、我が国は、米国に対し、累次にわたり懸念を伝え、除外を求めて働きかけを行っている。
また、米国の232条に基づく措置は、単に米国の市場を閉ざすのみならず、世界の鉄鋼及びアルミニウム市場を混乱させ、 多角的貿易シス テム 全体に大きな悪影響を及ぼしかねない。我が国は、産業への影響を極力回避するよう多様なレベルで働きかけを行っている。
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004532/2018/pdf/01_02.pdf
2) WTO
世界貿易機関(WTO) は6月19日、ノルウェーが、鉄鋼とアルミニウムを対象とする米国の輸入制限は国際的な貿易ルールに違反しているとしてWTOへの提訴手続きを始めたと発表した。
ノルウェーのNorsk Hydro はアルミニウムメーカーで、米国にも輸出している。
これまでに、中国、インド、欧州連合(EU)、カナダ、メキシコが既に提訴手続きに入っており、
これで6カ国・地域となった。
付記 ロシア、スイスも手続きに入り、8か国・地域となった。
日本政府は5月18日までに、対抗措置を取る権利を有すると世界貿易機関(WTO)に通知した 。
WTOは6月22日、日本が検討している対抗措置が年4億4000万ドルに上ると明らかにした。日本のほか、ロシアとトルコも米国による追加関税額を通知、それによると、ロシアは5億3800万ドル、トルコが2億6700万ドルと推計しているという。
このほか、中国は6億1200万ドル、EUは16億ドル、インドは1億6500万ドルとしており、対抗措置による総計は35億ドルに上る。
3) EU
欧州委員会は6月20日、 報復措置の第1段階を発動すると発表した。
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-4220_en.htm
米国からの輸入品28億ユーロ相当に25%の関税賦課を最終承認した。対象品目はハーレーダビッドソンの二輪車やリーバイストラウスのジーンズなど。米国製のトランプカードにも10%の関税をかける。
残りの36億ユーロ(38億ドル)相当の製品には、3年後又はWTOでの裁定のあった時のいずれか早い時期に課税する。
これを受け、トランプ大統領は6月22日、「EUが関税や障壁をすぐに取り除かないなら、輸入自動車全てに20%の関税をかける。米国で生産せよ!」と呟いた。
Based on the Tariffs and
Trade Barriers long placed on the U.S. and it great companies
and workers by the European Union, if these Tariffs and Barriers
are not soon broken down and removed, we will be placing a 20%
Tariff on all of their cars coming into the U.S. Build them
here!
欧州委員会は6月6日、対抗措置として、米国からの輸入品に報復関税を課す方針を正式決定した。
2018/6/7
EU、米国の 鉄鋼・アルミニウム輸入制限への報復関税、7月発動へ
付記 3)-2 カナダ
カナダ政府は6月29日、米国が課した鉄鋼とアルミニウムの関税に対し、7月1日に報復関税を発動すると発表した。
鉄鋼やアルミ、食品など166億カナダドル相当の製品を対象に10〜25%の追加関税を課す。
米国から輸入する鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す。
ウイスキーやイチゴジャム、トマトケチャップなどの食品のほか、食洗機やトランプ札などにも10%を上乗せする。
米産地に打撃を与えつつ、カナダ経済への打撃を抑えるため、国内で代替品が用意できるものを選んだ。
あわせて国内の鉄鋼・アルミ産業の雇用維持などのために20億カナダドルの支援策を実施する。
また、だぶついた鉄鋼がカナダに流入しているのに対応するため、数週間以内にセーフガード(緊急輸入制限)を含む対策も検討する。
4) ロシア
ロシアのオレシキン経済発展相は6月19日、米国の鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に対抗し、一部米製品に対し輸入関税をかけると発表した。
具体的な対象品目は向こう数日以内に公表する。
付記
ロシアは7月6日、米国から輸入する約8760万ドル相当の製品を対象に高関税を課す報復措置を発動した。ロシア経済発展省が発表した。
対象は道路建設機や金属加工品などで、最大40%まで関税を引き上げる。いずれもロシア国産で代替できる製品で、国内経済への影響を回避する。
米国の輸入制限によって5億3760万ドルの損害を受けるとみており、これに相当する額の米国製品を対象に報復措置を発動する方針
で、残りは追って発動する。
5) トルコ
トルコのゼイベクジ経済相は6月21日、米国から輸入する石炭、自動車、ウイスキーなどに3億ドル規模の報復関税を発動したと表明した。当初報じられていた、米国による追加関税による損失と同等額の約2億6千万ドルから上積みした。
22品目群の選定理由について「米国の輸出業者が政権に影響力を行使できる」と説明した。バーボンウイスキーは米共和党の有力議員の選挙区の産品で、産炭地域はトランプ政権の重要な支持基盤となっていることを意識した。
トルコの2017年の対米鉄鋼・アルミニウム輸出額は11億ドルで、米国の鉄鋼輸入シェアではメキシコやロシアに次ぐ6位と日本を上回る。
6) インド
インド政府は6月21日、大型バイクなど30品目の米国からの輸入品に8月4日から報復関税を課すことを決めた。年間241百万ドルの損害と同額の関税を課す。
排気量800cc以上の大型バイクには50%を課す。
7) 米商務省、適用除外を発表
米商務省は6月20日、日本など5カ国から輸入する鉄鋼製品42品目について追加関税の適用を除外すると発表した。
鉄鋼やアルミニウムの輸入制限は米東部時間3月23日午前0時1分に発動された。
ある国を輸入制限の対象外とするかどうかについては大統領が最終決定するが、米国内で調達しにくい特定製品について関税の適用除外するかどうかは商務省が決定する。
商務省は 米国企業からの申請に基づき、製品ごとに、@満足できる水準の品質とA十分な利用可能の量で、米国内で製造されているかどうかを審査する。
3月 19日から受け付け、最長90日で判断する。
2018/3/26
米国、鉄鋼とアルミの輸入制限を発動
今回が適用除外の第1弾となる。
対象は、日本、スウェーデン、ベルギー、ドイツ、中国からの輸入品42品目で、下記の各社が認められた。
Schick Manufacturing, Inc. of Shelton,
Connecticut カミソリ・髭剃のシック
Nachi America Inc. of Greenwood, Indiana
不二越アメリカ
Hankev International of Buena Park, California
Zapp Precision Wire of Summerville, South
Carolina
U.S. Leakless, Inc. of Athens, Alabama 日本リークレス工業(自動車・工業製品向けガスケット・パッキン)
Woodings Industrial Corporation of Mars,
Pennsylvania
PolyVision
Corporation of Atlanta, Georgia
他方、11社からの申請 56件は拒否された。
ロス商務長官によると、鉄鋼・アルミで計2万件以上の除外申請が出ている。商務省は今後も審査の進展に応じて除外の是非を決める方針で、今回、承認されたのはそのごく一部になる
が、審査に時間がかかっている。
2018/6/25 ユーロ圏財務相、
ギリシャ金融支援の8月終了で合意
欧州連合(EU)は6月21日開いたユーロ圏財務相会合で、ギリシャを8年に及んだ金融支援から8月に「卒業」させる政策枠組みで合意した。
第3次支援の枠組み内で最終的な150億ユーロの追加融資を実施することや、 過去の支援融資の 返済期限を10年間延長することを決めた。
現在の第3次支援枠組みが終了する8月以降は、新たな融資を受けることなく自力再建を進め、支援から脱却する。
EU欧州委員会のモスコビシ委員は記者会見で「ギリシャの財政危機は今夜終息した」と述べ、2010年から続くギリシャ支援が完了するとの認識を示した。
ただGDPの1.8倍に達した債務をギリシャが計画通りに返済できるか不透明感はぬぐえていない。
合意には、8月20日に期限を迎える第3次支援の終了後に、財政再建の取り組みを厳しく監視していくことも盛り込まれた。ギリシャによる返済の持続可能性も今後再検討する
。
付記
ユーロ圏救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)は8月20日、ギリシャが2015年8月に合意した3カ年の第3次金融支援を終了したと明らかにした。
ESMはギリシャに対し、マクロ経済の調整や銀行の資本再構成のため、3年間で619億ユーロを支援。241億ユーロの追加融資は必要ないと判断した。
今回の合意事項は次の通り。
・
現在実施中の第3次支援策(860億ユーロ)のうち、最後の150億ユーロが今後実施される。約250億ユーロ分は未使用となる。
最後の150億ユーロのうち55億ユーロは債務返済用の勘定に、95億ユーロは非常時のためのバッファー勘定に、それぞれ振り分けられる。
付記 欧州安定メカニズム(ESM)は8月6日、ギリシャに150億ユーロの融資をしたと発表した。ドイツが融資の承認を留保し、遅れていた。
・
バッファー勘定には既にギリシャ自体も拠出しており、8月20日の支援策終了までに241億ユーロに達する見通し。
終了後約1年10カ月間にわたってギリシャの財政ニーズをまかなうことになる。
・
欧州委員会の推計では、2022年まで基礎的財政収支の黒字をGDP比3.5%に維持し、2023年から2060年まではEU財政規律に則って年平均2.2%の黒字を保つことになる。
・
第2次支援策の下で欧州金融安定基金(EFSF)が提供した969億ユーロ相当の融資は利払いを含めて10年間繰り延べられる。
・
第2次支援策に基づく債務買い戻しに関する金利マージン上乗せは今年をもって撤廃される。
・
欧州中央銀行およびユーロ圏各国の中央銀行が購入したギリシャ債から出た利益は、2018年から2022年6月まで半年ごとにギリシャに移管される。
ギリシャが合意した改革を実行するのが条件。資金はギリシャ政府のグロス借入所要額の削減に充てられる。
・
ユーログループは2032年、グロス借入所要額を上限以内に納めるために追加的な債務軽減策が必要かどうかを検証し、必要であれば適切な措置をとる。
・
ギリシャが想定外の厳しい経済シナリオに見舞われた場合、ユーログループは合意したグロス借入所要額の基準値を達成できるよう、利払いについてさらに調整を行うことができる。
・
欧州委員会、ECB、IMF、EFSFが四半期毎にギリシャの経済動向を監査する。
ーーー
ギリシャ債務問題の経緯
2009/10
ギリシャの財政赤字粉飾が表面化
2010/5
ギリシャに対する支援策( 2010〜2012年で1,100億ユーロの協調融資)
欧州金融安定化メカニズム(European Stabilization Mechanism)創設
EFSF 最大4400億ユーロ
IMF 2500億ユーロ
欧州委員会が発行する債券 600億ユーロ
最大合計 7500億ユーロ
2010/5/10 統一通貨ユーロの危機
2010/11
アイルランド支援(850億ユーロ)
2011/5
ポルトガル支援(780億ユーロ)
2011/6
EFSF拡充決定(2011/10
最後のスロバキアが一旦反対した後、賛成し、成立)
2011/7
ギリシャ向け第二次金融支援
公的支援 1090億ユーロ、民間金融機関による支援 370億ユーロ(21%の損失負担)
2011/10
欧州債務危機克服に向けた「包括戦略」で合意。
ギリシャ問題については ・ 民間銀行によるギリシャ債務の損失負担は7月時点の21%から50%に アップ
・ギリシャ債務残高は2020年にGDP比120%に削減へ
・ギリシャの財務状況を常時監視
・ギリシャに下記の改革を求める。
・女性年金支給開始 60歳→65歳
・一定額以上の受給者への支給額減額
・公務員3万人の削減、給与カットも
・民間企業の賃下げのための規制緩和
・保有不動産からの利益に対する課税の導入
・付加価値税 21%→23%(実施済み)
・ガス(DEPA)、通信(OTE)など国営企業の民営化
・公共事業の凍結、削減(2011年度は前年比3.3%減)
・軍事費の大幅削減
2011/11
ギリシャ首相は、国民の反対を受け、一度は国民投票実施の意向。
EUとの協議の後、首相は11月3日、緊急閣議を開き、国民投票を撤回
G20首脳会議は11月4日、首脳宣言を採択。
・EUが合意したギリシャの債務削減などの包括対策の速やかな実施を要請
2011/11/7
EU 金融危機
2012/2
EU・IMF、第2次支援
EU がギリシャに課した 3条件をようやく達成
1)「財政緊縮関連法案の議会承認」
2)「財政緊縮策実行の誓約書」
3)「歳出削減策の具体化」(これが難航した。)
ギリシャ支援を巡る合意内容の骨子は以下の通り。
・EUとIMFが1300億ユーロ(約13兆6500億円)を支援
・民間債権者が保有するギリシャ国債の元本削減率を50%から53.5%に引き上げ
・ECBとユーロ圏各国の中央銀行が支援に参加
・ギリシャの対GDP債務比率を現状の160%から2020年に120.5%に
・ギリシャをEUの監視下に置き、財政緊縮策を確実に履行させる
2012/2/23 ギリシャ第二次支援決定
2012/6
総選挙で 数々の緊縮策を打ち出してきた連立与党が敗れる。
2012/6/26 ギリシャ、連立政権発足
ギリシャ支援凍結
2012/11
EUとIMF、融資再開で合意
2012/11/29 ユーロ圏、ギリシャへの融資再開へ
2015/1
ギリシャ総選挙で、反緊縮派の急進左派連合(SYRIZA)が勝利
2015/2
欧州中央銀行(ECB)、ギリシャ国債に対する適格担保ルールの適用除外を停止
2015/2/9 ギリシャ問題
2015/6
ギリシャ、IMFへの債務返済を先送り
EU、 金融支援の条件となる改革案で合意できず。
2015/6/20 ギリシャ支援合意できず
2015/7/13
ギリシャ対策 難航
2015/7/1
ギリシャ支援が失効
2015/7
7月5日の国民投票で、反対派の勝利
ギリシャ議会、新たな金融支援の条件としてEUから求められた財政改革案を承認
ユーロ圏首脳会議、ギリシャ金融支援で合意 (最大860億ユーロの支援)
2015/7/14 ユーロ圏首脳会議、ギリシャ金融支援で合意
2015/7/16 ギリシャ、財政改革法案可決後も綱渡り
ギリシャ、中国等への接近
2015/7/15
ギリシャへの中国、ロシアの接近
2016/4/12 ギリシャ、最大のピレウス港を中国に売却
2015/9
2015/9/24 ギリシャ総選挙でチプラス首相信任
2015年8月の最大860億ユーロの支援 合意で、合計214億ユーロの融資を実行したが、その後はギリシャ政府の財政再建努力を見極めるため、融資を中断
2016/5
ギリシャ国会、EUによる金融支援継続の前提となる財政改革法案を可決
ユーロ圏とIMF、ギリシャ支援協議で合意
2016/5/31 ギリシャ追加支援決定
103億ユーロの融資を実施したが、 約束していた増税や年金の削減など構造改革が進んでいないとして、これを最後に融資を中断
2017/5
ギリシャ、年金削減や増税策などの財政構造改革法成立
2017/6
ユーロ圏財務相会合で、中断していたギリシャへの支援融資を再開することで合意
2017/6/19
ユーロ圏財務相会合、ギリシャ融資再開で合意
2018/6
ギリシャ議会、ユーロ圏からの追加融資を受け取るために必要な財政構造改革法案を可決
欧州安定メカニズム(ESM)、ギリシャに対し10億ユーロの追加融資を正式決定
2015年夏に合意の第3次金融支援(3年間で最大860億ユーロ)融資額の累計は469億ユーロに。
今回
ユーロ圏財務相会合、ギリシャの債務軽減策などで合意
2018/6/26 EUの危機:難民問題
イタリアのサルビーニ内相が難民問題で過激な発言をしている。難民問題でのEUの対応を求め、EU予算拠出見直しや国境検問を示唆、 「統合欧州がまだ存在しているかどうかは1年以内に決まるだろう」と発言したと報じられている。
他方、難民受け入れで動くメルケル首相のドイツでは、内相が、難民を域内で最初に登録した国に送り返すEU合意を求め、メルケル首相に最後通牒を突き付けた。
メルケル連立内閣がつぶれる可能性も出てきた。
EUは6月28、29日に首脳会議を開き、難民問題を巡る議論を行うが、解決策は考え難い。統合欧州の危機である。
サルビーニ内相は、EUの移民政策を批判する「同盟」の書記長で、移民問題を扱う内相 兼 副首相である。
イタリアでは、3月4日の総選挙でジェンティローニ首相の「民主党」が大敗、その後、政治の空白が続いていたが、反EUの 「五つ星運動」と「同盟」 が連立することとなった。
両党は反EUの立場では同じだが、政治姿勢が異なる。
「五つ星」は失業者らへの最低所得保障など「ばらまき型」の経済刺激策を重視する。
「同盟」は、EUの移民政策を批判、違法移民の強制送還の強化や、難民が域内で最初に到着した国で保護申請することを義務づけたEUのダブリン規則の見直しを強く求める
6月1日、連立内閣が発足した。
行政法の専門家で、「五つ星」と近いジュセッペ・コンテ教授(フィレンツェ大)が首相に就任した。
「五つ星」のディ・マイオ党首が経済発展・労働相、同盟のサルビーニ書記長は移民問題を扱う内相として入閣し、ともに副首相となった。
2018/6/5
イタリアの混迷
EUには、難民が最初に入国したEU 加盟国のみが難民申請手続きを受け付けるという「Dublin
規則」があるが、「 玄関口」にあたる国に負担が集中するため、EUの内相会議は2015年9月、加盟国の経済規模などに基づいて難民を割り当てることを賛成多数で決めた。
実際にはほとんど進んでいない。
ハンガリーでは2016年10月に、難民を分担して受け入れることの是非を問う国民投票が行われたが、投票率が43%しかなく、無効となった
。投票では反対が98%を超えた。
2016/10/8
EUの難民分担を問うハンガリー国民投票、投票率低く成立せず
ギリシャ、イタリア、フランス、ポルトガル、キプロス、マルタ、スペインのEUの南欧7カ国の首脳は2016年9月、アテネで初の南欧諸国会議を開き、難民・移民問題や失業、安全保障など南欧が苦しむ課題について提言をまとめ、EUに一層の対応を求めることで一致し、「アテネ宣言」を採択した。
2016/9/15 EUの南欧7カ国がEU構造改革を求めアテネ宣言採択
欧州への難民の流入ルートには、地中海ルート(海路)とバルカン・ルート(陸路)があるが、地中海ルートが約8割を占めるといわれる。
アフリカからの難民が多数上陸するイタリアは、下記の諸点を望んでいる。
・負担の集中を避けるためEU が合法的移民について強制的な受け入れ枠を設定すること
・北アフリカに移民の管理センターを設けること
・リビアとチュニジアの当局が陸および海上でのコントロールを強化するための資金をEUが負担すること
・人道支援団体の移民船がイタリアの港に入るのを禁止すること
サルビーニ内相は国営放送RAI
とのインタビューで、イタリアへの移民流入を抑制するために他のEU加盟国が協力しない場合、EU予算へのイタリアの拠出について見直す可能性があると発言した。
「年間60億ユーロも払っていて小突き回されるのではたまらない。この拠出について再協議を求めざるを得なくならないことを望む」と暗に警告した。
イタリア紙は、内相がコンテ首相との20日の会談で国境検問を開始する案に言及したと報じた。
また、ロマ(以前はジプシーと呼ばれていた)の人口調査を実施した上で、イタリア国籍を持たない者について国外追放する考えを示した。
サルビーニ内相はフェイスブックに投稿した動画で、難民の「マフィア」がやって来るのを止めたいと発言、難民船への対応でチュニジア当局の介入を求めたとも述べた。
「海上からの難民と非政府組織(NGO)をもうイタリアの港に入れない」とし、NGOは難民をオランダの港に連れて行くべきだと論じ、「制御不可能な状態になった難民問題の負担をイタリアだけで負うことは最早できない」と主張した。
「統合欧州がまだ存在しているかどうかは1年以内に決まるだろう」と発言したと報じられている。
他方、ドイツではゼーホーファー内相が、移民を域内で最初に登録した国に送り返すEU合意を求めた。 現在の 第4次メルケル政権は、CDU・CSUと第2党のドイツ社会民主党(SPD)の大連立政権であるが、 内相は、メルケル氏率いるキリスト教民主同盟(CDU)と組むキリスト教社会同盟(CSU)の党首である。
2018/3/17 メルケル首相 再選
内相は、寛容な難民政策が「欧州を分断させた」と糾弾し、他のEU諸国で難民登録済みの場合はドイツへの入国を許さず、元登録国に送還する措置の即時導入を要求した。
メルケル首相は「他国の負担になる」とこれに反対し、月末のEU首脳会議での協議を待つべきだと主張したが、内相はメルケル氏に18日までの同意を迫り、最後通告を突き付けた。
最終的には首脳会議まで待つこととなった。
しかし、首脳会議でこれが認められることはあり得ない。
今後、内相が送還措置の命令→首相が内相解任→CSUの連立離脱となり、 「連立政権は発足3カ月で終わりを迎える」
可能性もある。
EUは6月28、29日に首脳会議を開くが、その前に6月24日に緊急の非公式首脳会議を開いた。
問題点は分かっており、解決策としてEUの内相会議が2015年9月に加盟国の経済規模などに基づいて難民を割り当てることを賛成多数で決めている。
受入側がどの国も、これを実行できないのが問題である。 受入側の政府がこれを強行すれば、政府は倒されるだろう。
メルケル首相は緊急首脳会議の終了後、「多くの前向きな意思が示された」と述べたが、具体的な結論はなかった。「不法移民を減らし、EUの域外国境を守り、あらゆる移民・難民をめぐる問題に全員が責任を持つことで合意した」と総括したが、具体的な合意はなく、当初予定していた共同声明もイタリアの反対で採択を見送った。
月末の首脳会議で結論が出るとは思えない。
EUは内部を固めることで英国のEU離脱が他に広がることを抑えようとしているが、この問題が解決できなければ、 サルビーニ内相のいうように、 「統合欧州がまだ存在しているかどうかは1年以内に決まる」かも分からない。
そもそも、英国がEU離脱を決めたのは、移民(この場合は主に東欧)反対が理由である。
2018/6/27 Xerox、富士フイルムによる提訴に反論、提携解消も
富士フイルムホールディングスは6月18日、同社による買収合意を破棄した米事務機器大手
Xeroxを相手取り、正当な理由なく当該契約を終了することは契約違反であるとして、10億ドル超の損害賠償などを求める訴訟を米 New
York州南部連邦地方裁判所に起こした。
2018/6/21
富士フイルム、米Xerox を提訴
これに対し、Xeroxの副会長兼CEOのJohn Visentin
(今回、株主代表として富士ゼロックスの取締役に就任)は6月25日付の富士フィルム古森重隆会長に宛てた書簡を公表した。内容は次の通り。
・
今回の提訴は、経営統合を頓挫させまいと捨て身で交渉に誘い出そうとしている誤った策略でしかない。
・
Xeroxは、富士フィルム側の明らかな重要な違反により、契約の終了規定に従って契約を終了させたもの。
・
悪いのは富士フィルムであり、Xeroxではない。
富士ゼロックスの75%株主の富士フィルムは、富士ゼロックスの大規模な経理不正(これは富士フィルムのひどい経営ミスによるもの)の実態をXeroxに隠してきた。
富士フィルムと富士ゼロックスによるJV契約違反である。
・
富士ゼロックスの売り上げの大きな部分は中国からだが、富士ゼロックスの他のテリトリーで経理不正が蔓延しているのに、中国では正式に経理不正の調査がされていない。
報道では、富士ゼロックスの経理報告についての内部監査はまだ効果を見せていない。
・
富士ゼロックスは米国企業に適用される法と規則を守れる体制にない。何年もかかるだろう。富士フィルムは合弁契約で決められたことをやれない。
新聞報道にある、Xeroxが富士フィルムに新しい統合提案をするだろうというのは幻想にすぎない。絶対にない。
・
富士フィルムの多くの義務違反などから、Xeroxとしては技術契約が2021年に期限が来た際に、更新する考えは今のところ無い。
XeroxがXeroxの商号を独占的に使って、今より優れたサプライチェーンで、成長するアジア太平洋地域に直接製品を販売すれば、物凄い成長機会があることを投資家に説明する。
・
そのために、現在、富士ゼロックス以外から製品を調達するよう動き出しており、今後ますます努力する。
・
先週、富士フィルムの役員が日経に、「ゼロックスは製品供給を富士ゼロックスに依存しており、世界の事務用機器市場が縮小している中で自分で生き延びるのは難しい」と述べたのは皮肉だ。
富士ゼロックスは富士フィルムの売上高の約半分を占めているが、最大の顧客であるXeroxからの10億ドル以上の収入がゼロになると悲惨なこととなる。
法的には富士フィルムはこれをどうしようもない。
Xeroxが富士ゼロックスから購入するのを止めた場合、裁判所は富士ゼロックスがXeroxに対し懲罰的行動をとるのを許す筈がない。
現在、Xeroxと富士ゼロックスの技術契約に基づき、富士ゼロックスはアジア太平洋で「Xerox」の商標を使って独占的に販売する権利を持つ。事務機器市場が縮小するなかで、アジア太平洋市場は成長が続いている。
この契約では営業地域などを決めており、5年ごとに更新する。次回は2021年の更新で、更新がなければ、2021年からはXeroxが「Xerox」の商標で独占的に販売できることになる。
Carl Icahn とDeasonは2月20日、 Xerox の株主に対し「競合他社との合併や身売り」や「買収ファンドへの身売り」を提案する書簡を公開した。
Xeroxが敵対的買収で株式の30%を売却する場合、アジア太平洋の360億ドルの市場でのXeroxの知的財産権と製造権を富士フィルムに渡すという 企業買収防衛策としての重要資産の売却条項(“crown
jewel” lock-up right)があり、このため、他社への身売りは出来ないとされているが、これに対しては手があるとする。
一つは、富士ゼロックスの経理スキャンダルを理由に契約違反としてJV契約を打ち切ることで、それが出来ない場合でも、これまで明らかにされていないが、Xeroxは2020年に契約を終息するプロセスを始める権利を持つとしている。Xeroxは富士ゼロックスから製品の供給を受けているが、それまでに供給ソースを探すべきだとしている。
ーーー
富士フイルムは6月25日、「会計問題は解決済みであり、しかも経営統合に向けて、中国を含む全ての営業地域で監査済みであり、Xeroxの主張は正しくない」と反論した。
「内容は想定の範囲内である」とも指摘し、「Xeroxがアジアで販売することは現実的には非常に難しい」とコメントした。
今後は「当社の正当性を裁判を通じて訴えていく」としている。
このコメントからは、契約更新が無ければ、アジアでの販売権がXeroxに戻るというのは事実らしい。
ーーー
富士フイルムがXeroxの株式を過半数取得した上で富士ゼロックスと経営統合させる計画を、米ニューヨーク州のマンハッタン地方裁判所が暫定的に差し止める仮処分を下したことを巡り、同地裁の判事は6月21日、仮処分の取り消しを求めていた富士フイルムの請求を退けた。
Darwin Deasonが富士フィルムによるゼロックス買収は不正だとして、差し止めを求めた裁判で、 4月27日に米国ニューヨーク州裁判所が、Darwin
Deason の主張を認め、 買収手続きの一時差し止めを認める仮処分命令を下した。
裁判では、富士フィルムとXeroxのメールが開示され、 裁判官は、複数のメールを引用したうえ、当時 のXerox社長ら について「自身の地位を守ろうとして富士フイルム側と協力した」などと認定し買収の暫定差し止めを命じ
た。
Xerox は5月4日、異議申し立てをした。
「差し止め命令はニューヨークの法律に反する。買収提案を認めるかどうかは裁判所ではなく、Xerox
の株主が決めるものだ」と主張し、裁判所による差し止めの無効を訴えた。
富士フィルムホールディングスも同日、異議申し立てをした。
米ニューヨーク州の裁判所は、上訴の審理を9月から始めると決めた。
2018/4/30 富士フイルムの
Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分
富士フィルムは今回、Xerox株主とXeroxがもはや対立しておらず、法的な争いの終結を目指している点を指摘し、富士フイルムだけが仮処分の対象となるのは不当だとし、これが解除されなければ、Xeroxとアクティビストらは自由に富士フイルムを「攻撃」できると主張。仮処分を取り消すよう判事に求めたもの。
2018/6/27
Harley-Davidson、一部生産を米国外に移転
2018/6/28
米最高裁、トランプ政権の入国規制を支持
米連邦最高裁は6月26日、トランプ政権がテロ対策を目的に導入した中東・アフリカ圏からの入国規制を支持する判断を示した。
「イスラム教徒差別だ」として批判が出ていたが、最高裁判断は「政権は国家安全保障上の正当な措置であることを適切に説明した」として訴えを退けた。
ロバーツ最高裁長官は、この措置は「大統領権限の範囲内にあり、どの大統領であれ実施した可能性がある」と強調した。
トランプ大統領は twitter
で「SUPREME COURT UPHOLDS TRUMP TRAVEL BAN.
Wow!」と呟き、「今日の最高裁の判決は、アメリカ市民、そして憲法にとって途方もない成功であり、勝利だ」と述べた。
現在の入国規制は2017年9月に導入された改訂版で、イラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメンからの入国を実質的に禁止している。また、北朝鮮とベネズエラも入国規制の対象となっている。
ーーー
これまでの経緯は次の通り。
Trump大統領は2017年1月27日、 移民の入国を一時禁止する大統領令 を出した。
・移民国籍法
217(a)(12) と連邦法 1187(a)(12)で規定した国(イラン、イラク、シリア、イエメン、リビア、スーダン、ソマリアの7か国) へのビザ発給を90日間停止
・シリア難民受け入れを無期限停止、他国の難民受け入れも120日間停止
・全体の難民受け入れを年5万人に半減
サンフランシスコの連邦控訴裁判所は2月9日、7カ国からの入国を一時禁止する大統領令について、3人の判事の全員一致で、即時停止を命じた連邦地裁の仮処分を支持する判断を示した。
このため、 3月6日、大統領令の問題個所を修正し、新たな大統領令を出した。
2017/3/14 Trump大統領の新たな入国禁止命令
米連邦最高裁判所は6月26日、 10月以降
(のち、10月10日に決定)に同大統領令の合憲性を巡る審理の最終判断を行うとし、それまでの間、 イスラム圏6カ国からの入国を制限する米大統領令を巡り、一部を執行することを認める判断を下した。
2017/6/28
Trump 大統領の米入国制限令、最高裁が一部容認
ハワイ州連邦地裁は 7月13日 、 トランプ政権が 「近い親族」 に祖父母やおじ・おば、甥、姪、いとこ、義理の兄弟姉妹を含めなかったことは、条件付きで施行を認めた最高裁の決定に反するとして、全米で親族の定義を広げて運用するよう命じた。 また、難民については、 難民の再定住を支援する団体から支援を保証されていれば入国を認めるべきとの判断を示した。
政府による控訴による裁判で、 サンフランシスコの
Ninth U.S. Circuit Court of Appealsは9月7日、 ハワイ地裁の判断を支持した。
これについて 最高裁大法廷は9月12日、 難民入国制限を巡る件では、控訴裁判断の差し止めを求めた司法省の主張を認めたが、 「近い親族」の範囲については認めなかった。
2017/9/11 トランプの入国制限令、また敗北
トランプ大統領が出したイスラム圏諸国からの入国禁止令については、これを問題とする裁判所の判決が続出しており、休会明けの10月10日に最高裁が口頭弁論をする予定であった。
しかし、大統領が9月24日に新しい大統領令を出したことから、最高裁が審議を取り止める事態となった。
入国制限の対象国は次の通り。
2017/1/27
2017/3/6
2017/9/24
理由
イスラム
イラン
〇
〇
〇
シリア
〇
〇
〇
リビア
〇
〇
〇
イエメン
〇
〇
〇
ソマリア
〇
〇
〇
チャド
ー
ー
〇
スーダン
〇
〇
X
公共の安全と情報交換での米国政府との協力関係
イラク
〇
X
ー
対IS共闘、ビザ申請者の情報提供など
他
北朝鮮
ー
ー
〇
渡航者に関し一切の情報提供がない
ベネズエラ
ー
ー
〇
政府がその国民が危険人物かどうかを通知するのに非協力
合計
7か国
6か国
8か国
このうち、イスラム圏からの移民については、ハワイ州連邦地裁や メリーランド州連保地裁 が 宗教 による差別にあたるとして入国制限令を暫定的に差し止める命令を出した。
これを受け、米連邦最高裁判所は12月4日、訴訟継続中の入国禁止令の執行を認めた。
最高裁の判事9人のうち7人が禁止令の執行を差し止めた下級審命令を無効とした一方、2人は反対した。
最高裁は、控訴栽が「適切な早さで」結審するのを期待すると述べた。
Richmondの第4巡回控訴裁判所は2018年2月15日、9対4の評決で、Marylnd地裁の判断を支持、憲法のEstablishment
Clause(国教条項)に違反すると判断した。
2018/2/20 米入国禁止令、控訴裁が違憲判断 「イスラム教徒差別」
米最高裁は2018年1月19日、 2017年 9月24日に発表された新しい入国禁止令の合憲性を審理するとの決定を出した。
大統領令が違法である可能性が高いとする下級審の判断に対し、政権が上訴していることを受け、口頭弁論を開くこととした。
ーーー
今回の最高裁の審議で、
9人いる最高裁判事のうち保守派5人が規制を支持し、リベラル派4人が反対した。
2016年に保守派の Scalia
判事 が死去し、保守派4人(中道1人含む)、リベラル派4人と勢力が拮抗してが、米上院本会議が2017年4月7日に禁じ手の「核オプション」(nuclear
option)を使い、トランプ大統領が指名した保守派のNeil Gorsuch 連邦 控訴裁 判事を54
対 45 の賛成多数で承認したのが効いた。
最高裁で保守色が強まり、銃規制や人工妊娠中絶やこの移民の入国禁止など、米世論を二分する問題を巡る司法判断に影響すると見られていた。
2017/4/8 米上院、異例の手続きで最高裁判事を承認
2018/6/28 米最高裁
Anthony
Kennedy判事 引退へ
米最高裁は6月27日、 Anthony
Kennedy判事(81歳)が7月31日付で引退すると発表した。
Kennedy判事はレーガン大統領に指名された。
判事は 過去10年間にわたって同裁判所の重要な判決を左右してきた。選挙資金規制や銃規制など、多くは保守派と行動を共にした。
トランプ大統領が指名し、反対が多かったNeil Gorsuch
判事については、どの最高裁判事よりも賛成した。トランプ政権がテロ対策を目的に導入した中東・アフリカ圏からの入国規制についても認めた。
しかし、同性婚の合法化を支持し、妊娠中絶、死刑反対、Afirmative actionでもリベラル派に加わった。
トランプ大統領はケネディ判事の後任候補探しを直ちに開始すると明らかにした。
Neil Gorsuch
判事が加わり、時にはリベラル派に賛同したKennedy判事が引退することで、後任次第では、過去数世代で最も保守的な法廷となり可能性がある。
人工妊娠中絶を合法化した画期的な「Roe v.
Wade」判決がリスクにさらされる可能性もあると報道されている。
米国の最高裁判事には定年がない。
2018/6/29 Dow Chemical、 エチレンJVに関するNova
Chemicals への訴訟で勝訴
アルバータ州の最高裁(Alberta Court of Queen’s Bench)の裁判長は6月20日、Dow
Canadaが契約違反を理由にエチレンJVの相手のNova Chemicals を訴えた裁判で、Dowの主張を認め、Nova Chemicals
に10億6千万米ドルの支払いを命じた。
Novaは30日以内に控訴するとしている。
問題のJVは、Nova Chemicals の Alberta
州 Joffre
工場にある能力年産130万トンのエチレン第3系列(E3)で、操業はNovaが行い、製品は50/50で引き取っている。
Dowの訴え:
NovaはDowの持分のエチレン及び副産品の一部を取り込んだ。契約違反である。
JV契約での義務に違反し、設備をフル稼働しなかった。
エタンの不足はなかった。JVプラントをフルに動かすエタンはあり、Novaは追加のエタンを取得する能力も自由も持っている。
Novaの反論:
エタン不足でフル稼働できなかった。Joffreの3つのエチレンプラントへのエタンの割り当てに起因する。Dow
はその時点でエタンの割り当て問題を知っていたが、反対しなかった。
メカニカル問題の際を除き、出来る限り稼働させた。
契約では、カナダ西部ではNovaのみがエタンを取得できるとなっているが、Dowはこれに違反して、エタンを取得した。
(これについてはDowは、契約の解釈の誤りとし、その後、この条項はコモンローの競争制限に違反し、競争法にも違反するため無効であると主張した。)
JV契約上の責任条項には限度がある。
要は、Novaが原料エタンを3つのエチレンプラントのうち自社の2つのプラントに優先的に廻し、JVのプラントが減産になった。結果として、Dowが受け取るべきエチレンの一部がNovaに盗られたということ。
エタンが不足した場合の配分方法を事前に決めておかなかったのが問題と思われる。
判事は、Dowの「 JVプラントをフルに動かすエタンはあり、Novaは追加のエタンを取得する能力も自由も持っている」とする 主張を受け入れ、Novaの主張を却下した。
「Dowは、 Novaが操業担当者として、かつ共同所有者としてJV契約に違反し、Dowが利用する権利のあるエタンの一部をJVのプラントから横流ししたということの作為の蓋然性(作為の可能性が高いこと)を示した」とした。更に、Novaの操業担当としての行為は、故意の不正行為(Wilful
Misconduct)で、重大な過失(Gross Negligence)であるとした。
判事はまた、「JVプラントの能力はNovaが試運転時に示したよりもっと多く、Novaは生産量を最大にしなかった」というDowの主張を受け入れた。
ーーー
Nova Chemicals の Joffre 工場の概要は次の通り。
Capacity
(千トン)
Owner
Start
Ethylene
E1
545→726
Nova
1979
E2
680→816
Nova
1981
E3
1,300
Nova/Dow
2000
50/50JV
PE
PE 1
670
Nova
1984
Unipol gas
phase LLDPE
PE 2
430
Nova
2001
NOVA’
Advanced SCLAIRTECH process
PE1
増設
450
Nova
2017
Novapol butene
LLDPE
カナダのNOVA Chemicals、ポリエチレン拡大計画NOVA 2020 をスタート
Linear α Olefins
265
Inneos
2001
BP
Amoco が建設、2005年にINEOSがBPから買収
Cogeneration
450MW
Nova
20% / CU Power 40% / EPCOR
Utilities 40%
2018/6/29
米輸入鉄鋼協会、鉄鋼関税を「違憲」と提訴 、米自動車業界も自動車の追加関税に反対
トランプ大統領の強硬策に米国内でも反対が広がっている。
鉄鋼商社や自動車など鉄鋼ユーザー企業で組織する米輸入鉄鋼協会(American Institute
for International Steel
:AIIS)は6月27日、トランプ米大統領が鉄鋼に課した輸入関税が違憲だとして、ニューヨーク市の米国際貿易裁判所(U.S. Court of International
Trade)に提訴した。
AIISでは、追加関税により値上げせざるを得なくなり、商売を失い、従業員をレイオフせざるをえなくなると懸念している。
今回の追加関税は議会の権限を大統領に不当に移したもので、権限の分離、チェック&バランスの原則に違反し、違憲であるとし、政権が追加関税を課することを止めさせるよう求めている。
国際貿易裁判所は、国際貿易及び関税問題に関する事件を取り扱う特別の一審裁判所である。
1926年に設立された合衆国関税裁判所 (United States Custome Court)
が1980年に関税裁判所法によって改組されたもので、9人の裁判官で構成され、裁判官は上院の助言と同意の下、大統領から任命される。
国際貿易に関する法律の下で発生した合衆国又はその職員・機関に対する訴訟は同裁判所が専属的に管轄する
。
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欧州委員会は6月6日、 米国がEUなどに適用した鉄鋼・アルミニウム製品への輸入関税に対抗し、 米国からの輸入品に報復関税を課す方針を正式決定した。
2018/6/7
EU、米国の 鉄鋼・アルミニウム輸入制限への報復関税、7月発動へ
欧州委員会は6月20日、 報復措置の第1段階を発動すると発表した。EUが農産物やオートバイを含む米製品に25%の関税措置を発動した。
トランプ大統領は6月22日、「EUが関税や障壁をすぐに取り除かないなら、輸入自動車全てに20%の関税をかける。米国で生産せよ!」と呟いた。
トランプ大統領は本年5月、自動車、トラック、部品の輸入を巡り通商拡大法232条に基づく調査開始を検討するよう商務省に指示した。
「自動車や自動車部品など中核的な産業は国力の重要な要素だ」と主張し、これらの輸入が米国の安全保障を脅かすかどうかを判断するとし た。
米商務省は5月23日、乗用車やトラックなどの車両や関連部品の輸入が国内の自動車産業を侵害し、安全保障を脅かしたかどうか通商拡大法232条に基づき調査を開始すると発表した。
鉄鋼・アルミニウム輸入制限と同様の手段を自動車にも用いる。
ロス商務長官は声明で「外国からの輸入によって、数十年にわたり米国内の自動車産業が侵害されていることを示唆する証拠がある」と指摘、「商務省は、自動車や部品の輸入が米国の経済を弱体化させているかどうか、安全保障を脅かす可能性があるかどうかについて、本格的で公正な調査を行う」と述べた。
国内の自動車生産の減少が経済を弱くし、コネクテッドカーや自動運転車、燃料電池、電気モーター・バッテリーなどを開発する能力が低下したかを調査する。
米紙は最大25%の関税を課す可能性があると報道した。
ロス米商務長官は最近、輸入自動車と同部品に対する追加関税を視野に入れた調査を「7月下旬か8月」までに完了させる考えを示した。
これについて、米国の自動車業界から反対の声が相次いだ。
GM、Ford、 Daimler 、トヨタ
などが加盟し、米国の自動車と軽トラックの70%を占める米自動車工業会(Alliance
of Automobile Manufacturers :AAM )
は6月27日、輸入自動車及び部品に関する232条調査について声明を発表した。
自動車と部品の関税は全ての需要家にとって値上げとなり、消費者の選択を制限し、貿易相手の報復を招く。我々は貿易の制限ではなく、貿易障壁を取り除き、フェアネスを達成することを望む。
国内及び海外の自動車メーカーは、14の州で45プラントを持ち、米国で700万人以上を雇用する。NAFTAの近代化で米国の製造業と雇用を伸ばし、EUとの貿易協定を結んで双方の障壁を取り除き、その他の方策で米製自動車の市場を拡大するのが、米国の自動車業界と国の経済的セキュリティが強化されると信じる。
AAMのメンバー:
BMW、Fiat Chrysler、Ford、GM、Jaguar、Mazda、Mercedes-Benz、Mitsubishi
Motors、Porche、Toyota、Volkswagen、Volvo
AAMは、米国が25%の自動車関税を導入すれば、米消費者が負担するコストは車両1台当たり5800ドル、年間で450億ドル増加するとの見通しを示した。
付記 トランプ大統領はこれを聞き、 「実際には20%だ。正しい数値を使うよう言ってくれ」と語った。
自動車の輸入が national
securityへの脅威になるというのは根拠がなく、米国の輸入車の98%は同盟国からであるとしている。
電気自動車や自動運転で熾烈な国際競争のなかにおり、関税で部品コストが上がれば、これらの先進技術の開発での競争力を失うとする。
また、トヨタ自動車やVolkswagen、BMW、現代自動車などの海外
の自動車及び部品メーカーでつくる世界自動車メーカー協会(Association of Global Automakers:AGA)は、関税がメーカーや米消費者に打撃となると指摘
した。
世界自動車メーカー協会は“national
security”の名目で輸入自動車・部品に高関税を課すという政府の提案に反対する。
これらの関税は、メンバーの14の自動車メーカーを害するものだ。各社とも米国での自動車生産に米国人を雇用している。
輸入車や部品に関税をかけ、米国に本社を置くか同盟国に本社を置くかで差別するのは、“national
security”では正当化できない。全ての米国工場はnational emergency
時には利用できる。これらの企業で直接働く13万人の米国人は他の米国人と同じく愛国的で、危機の際には国に奉仕する。
関税を課すことになれば、米国の輸出品への報復は避けられない。既に米国からの自動車に高関税をかけると発表されており、米国の自動車の労働者を貿易紛争の最前線に置くこととなる。
欧州の報復関税で、 米オートバイ製造大手Harley-Davidsonは6月25日、欧州向けオートバイの生産を米国から海外に移す方針を明らかにした。
2018/6/27
Harley-Davidson、一部生産を米国外に移転
我々は、直接・間接に129万の米国人を雇用し、米国での自動車生産、設計、研究開発に750億ドルを投資し、2017年に500万台の自動車とトラック(米国の生産の47%)を生産し、毎年約100万台を輸出している。
AGAのメンバー:
Aptiv(旧 Delphi Automotive )、Aston Martin、Byton(中国の電気自動車メーカー)、Ferrari、Honda、Hyndai、Isuzu、KIA
(起亜自動車)、Maserati (イタリアのスポーツカー)
McLaren (英)、Nissan、Subaru、Suzuki、Toyota
Bosch
(独自動車部品)、Denso、NXP(車載半導体)、SiriusXm (自動車向け衛星放送ラジオ)
トヨタ自動車は声明を発表し、 追加関税に改めて反対する考えを示した。
同社の製造拠点が米国内に10カ所ある。
自動車輸入への25%関税は消費者への課税となる。米国内で販売される全ての車のコストを押し上げる。
ケンタッキー州ジョージタウンで製造され、米国で最も売れている車である『トヨタ・カムリ』でさえも、 部品への課税が響き、 1800ドルのコスト増となる
。
2018/6/29 TPP11関連法案が成立
TPP11
関連法は6月29日、参院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決、成立した。衆院本会議では5月24日に可決している。
関連法案は、 畜産農家への補助を法律に明記したり、著作権の保護期間を50年から70年に延ばすなど、 新協定の発効に必要な10の法律を一括して改正するもの。
TPP11そのものの法案は5月18日の衆院本会議、 6月13日の参院本会議で可決、承認されている。
参院内閣委員会は5月28日の採決で、7月に始まる新たな日米貿易協議を見据え、TPP
を上回る市場開放要求は国益に反するとして「断固として拒絶」するよう政府に求める付帯決議を採択した。
政府は近く関係政省令を改正し、7月上旬にも協定の事務局を務めるニュージーランドに国内手続き完了を通知する。
手続き完了はメキシコに次いで2カ国目となる。
メキシコでは上院が批准権を持つが、上院は4月24日、賛成73、反対24、棄権4で新協定を承認した。
TPP11は参加11カ国のうち、6カ国以上が国会承認などの手続きを終えれば60日後に発効する。
シンガポール、ニュージーランド、オーストラリア、ベトナムの計4カ国が年内にも国内手続きを終える見通し。
付記 シンガポール政府は7月19日、メキシコと日本に続いて国内での手続きを終えたと発表した。
付記 豪州議会は10月17日、NZ議会は10月24日に法案を可決した。NZは10月25日に批准した。
付記 カナダは10月26日に批准、豪州が10月31日に批准した。
これで、メキシコ、日本、シンガポール、NZ、カナダ、オーストラリアの6カ国が批准、「6カ国の国内手続きが終了した60日後」の12月30日に発効する。
残る5カ国 ベトナム 、ペルー 、チリ、 ブルネイ、マレーシア 。
付記 ベトナム国会は2018年11月12日、TPP11を全会一致で承認した。
付記 2021年7月、ペルーが国内手続を完了。マレーシア政府は2022年10月5日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を批准し、国内手続きを終えたと発表した。批准は9カ国目。
付記 チリの外務省は2022年12月22日、TPPの批准を終え、ニュージーランド政府に文書を送付したと発表した。10か国目の締約国となり、2023年の2月に発効する。残るはブルネイのみ。
付記 ブルネイ政府は2023年6月13日、TPPの批准を終え、ニュージーランド政府に文書を送付した。11カ国全てが批准した。
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米国を除く TPP 参加11カ国は 2018年3月8日午後、チリのサンティアゴで新協定「TPP
11」に署名した。採択した閣僚声明では「迅速に発効させるために国内手続きを完了する決意」と強調した。
正式名称は「包括的及び先進的なTPP」(CPTPP:
Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific
Partnership)で、世界のGDPの13%、貿易額の15%を占める。
2018/3/12 TPP-11
に署名
付記
英政府は2021年2月1日、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を正式に申請した。発足11カ国以外の国が参加を申請するのは初めてとなる。春から本格的な交渉に入る見通しだ。
英国は2020年1月31日にEUから離脱。TPPへの参加申請で、EUのルールに縛られず諸外国と貿易協定を結んでいく姿勢を強調した。
英国とオーストラリアの両政府は2021年6月15日、2国間の自由貿易協定(FTA)で合意したと発表した。今後、両国での国内手続きを経て、早期の批准と発効を目指す。
豪州は環太平洋経済連携協定(TPP)の主要国の一つで、モリソン豪首相は合意後の記者会見で英豪FTAについて「英国のTPP加盟への道を開いた」とした。
2018/6/30
中国、インド等からの大豆輸入関税ゼロに
中国国務院は6月26日、7月1日付でインド、バングラデシュ、ラオス、韓国、スリランカの5カ国から輸入する大豆の関税を3%からゼロに下げると発表した。
アジア太平洋貿易協定で決まっていた関税引き下げで、他にも多くの製品の関税が引き下げられる。 対象品目数は8549で、インドや韓国などの海産物、生花、果物や野菜などの農産品、医療用品、飲料品、有色金属製品、化学品、鉄鋼製品、アルミ製品、タイヤ、エンジンと専用部品などの関税率が、これまでの最恵国待遇税率よりも下がる。
採種用大豆は元々最恵国待遇税率が0%であるが、採種用大豆、黄大豆、黒大豆、青大豆、その他の大豆の5つの税則番号に含まれる製品が7月1月から3%がすべてゼロになる。
税率改正 http://gss.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201806/P020180626540874117547.pdf
2017年初めには改定交渉を終え、2017年7月に発効する予定が遅れていた。
米国は6月15日、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、中国による知財侵害の被害額と同規模の500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表したが、中国商務省は6月16日、報復措置として、659品目、総額500億ドル規模の米国製品や農水産品に25%の追加関税を課すと正式発表した。
7月6日に発動する第1弾の追加関税は下記の545品目、約340億ドル相当。
大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、水産物、じゃがいも、たまねぎ、キュウリ、ホウレンソウ、マンゴー、オレンジ、ブドウ、りんご
ウイスキー、たばこ、綿花、乗用車、電気自動車など
米国産大豆は中国が輸出先の6割を占めている。
原油、天然ガス、石炭、エチレン、医療器具など資源エネルギー分野を中心とした114品目、約160億ドル 相当は後日、発動日を公表する。
航空機は対象から外れた。
2018/6/16 米、対中制裁関税 発動へ、中国も報復
中国は世界最大の大豆消費国で、9割を輸入に頼っている。今回の関税撤廃は米国との貿易摩擦激化に備え、調達先を増やす狙いがあるとみられる。
但し、インドは世界4位の大豆生産国だが、消費量が上回り、輸出に回す余力は少ない。他の4国も輸出余力はない。
WTOルールでは一部の国の特定商品に限り関税を下げることは出来ない。
今回は、アジア太平洋貿易協定の改定ということで引き下げが可能となる。
アジア太平洋貿易協定は、1976年に「バンコク協定」として韓国、インド、スリランカ、バングラデシュ、ラオスの5カ国でスタートし、その後、中国が加盟した。2006年から「バンコク協定」と改称した。
モンゴルが参加を決め、国内の承認手続きを進めている。
自由貿易協定ではなく、特恵貿易協定で、原産地基準のもと、協定国からの特定品目に対して、特恵関税が適用される。
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中国政府はこれとは別に、7月1日から自動車や家電製品、衣服など日用品の輸入関税を引き下げる。中国市場の対外開放をアピールし、米国の保護主義を警戒する国際社会の支持を取り付ける狙いだ。
中国財務部は5月22日、税委会公告〔2018〕3号を出し、 輸入自動車及び自動車部品に対する関税を引き下げると発表した。
自動車については、現在税率が25%の(関税番号での)135種と現在20%のトラック4種を引き下げ、全て15%にする。
自動車部品については、現在、8%、10%、15%、20%、25%の(関税番号での)79種を引き下げ、全て6%とする。
2018/5/24 中国、自動車関税を一律引き下げ 米に歩み寄り
中国国務院常務会議は5月30日、日用品の輸入関税を7月1日から引き下げることを決定した。
2018/6/6 中国、日用品の関税を引き下げ、日本での爆買いに影響?
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