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目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2022/12/15 現代自動車、SK Onと米ジョージア州にバッテリー合弁工場
現代自動車グループとSK Onは米ジョージア州Bartow
Countyに電気自動車用バッテリーの生産設備を建設する。ジョージア州政府が12月8日、発表した。
Bartow
Countyは、ジョージア州の州都アトランタ北西部にある。ジョージア州政府は、「両社は、約40億〜50億ドルを投資する。2025年の稼動を目標にしている」と明らかにした。
両社は11月29日にMOUを締結したが、JVの詳細は未定。現代自動車グループは同日、「両社は詳細について検討しているが、現在具体的に決定された事項はない」と明らかにした。
50/50 JV とされる。初期の生産規模は年間20GWhで、年間最大30万台の電気自動車を生産できる。
米国での生産で、北米製造バッテリーを搭載している電気自動車にのみ補助金を与える米国のインフレ抑制法(IRA)に対応する。
付記
現代自動車は2023年4月25日、投資計画を発表した。
投資額は50億ドルで、現代自動車とSK Onが折半負担する。2023年に着工、2025年に生産を始める。生産能力は年35GWh
で、EV30万台分に相当する。
米国で電池を生産することでEV補助金の対象となる。
ーーー
現代自動車は2022年5月21日、米ジョージア州に電気自動車(EV)の専用工場を新設すると発表した。
投資額は55億ドルで、生産能力は年産30万台規模、2025年の稼働を目指す。
ジョージア州Bryan CountyにHyundai
Motor Group Metaplant America (HMGMA) 工場を来年着工し、2025年上半期から稼動する。生産量を次第に増やし2030年に年産30万台とする。
ジョージア州政府は税制優遇などインセンティブを提供し、持続的な諸般の支援を約束した。
電気自動車工場の近くにバッテリーセル工場も建設する予定としており、「バッテリーセル工場は合弁形態で設立するだろう。合弁対象は確定しておらず検討中」と説明した。
SK On、LGエネルギーソリューション、サムスンSDIの韓国企業3社のうち1社が有力という。
2022/5/24 現代自動車、米にEV工場
ーーー
5月の発表では、Bryan
Countyに新設するHyundai
Motor Group Metaplant America (HMGMA) 工場の近くにバッテリーセル工場を建設するとしていたが、今回、Bartow
Countyに建設すると決めた。
この地域には子会社起亜のジョージア工場(KaGA)、現代自動車のスポーツ用多目的車(SUV)
GENESIS GV
70の電気自動車モデルを生産するモンゴメリー工場 (HMMA) があり、これら3工場すべてにバッテリーを供給するものと予想される。
SK Onは、ジョージア州に二つのバッテリーセル工場、ケンタッキーとテネシー州にFordとのJVのバッテリー工場をもっている。
現代自動車の電気自動車 IONIQ 5 とIONIQ 6には、すでにSKオンのバッテリーが搭載されており、2024年に生産される予定のIONIQ
7にもSKオンのバッテリーが搭載される予定。
社名 |
工場 |
能力 |
操業開始 |
SK Battery America |
Georgia
No.1 |
9.8 GWh |
2022 |
Georgia No.2 |
11.7 GWh |
2023 |
BlueOval SK
(JV wjth Ford) |
Kentucky
No.1, 2 |
86 GWh |
2025〜 |
Tennessee |
43 GWh |
2021/10/1
Ford Motor、114億ドルを投じ、電動ピックアップトラックと3つの電池工場を建設
2022/12/15 米連邦準備理事会、0.50%の利上げ
米連邦準備理事会(FRB)は12月13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き上げ、4.25─4.50%とした。
金融引き締めが景気に与える悪影響などに配慮する。利上げペースの緩和は、今年3月から始まった今回の利上げ局面では初めて。
パウエル議長は、「10月と11月のデータで物価上昇ペースが減速していることは歓迎している」としつつ、物価の上昇率が持続的に抑えられていると確信するにはさらに根拠が必要だとして継続的な利上げが適切だとした。
|
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2018/12 |
2.25%〜2.50% |
+0.25% |
2019/7 |
2.00%〜2.25% |
-0.25% |
2019/9 |
1.75%〜2.00% |
-0.25% |
2019/10 |
1.50%〜1.75% |
-0.25% |
2020/3 |
1.00%〜1.25% |
-0.50% |
2020/3 |
0.00%〜0.25% |
-1.00% |
2022/3 |
0.25%〜0.50% |
+0.25% |
2022/5 |
0.75%〜1.00% |
+0.50% |
2022/6 |
1.50%〜1.75% |
+0.75% |
2022/7 |
2.25%〜2.50% |
+0.75% |
2022/9 |
3.00%〜3.25% |
+0.75% |
2022/11 |
3.75%〜4.00% |
+0.75% |
2022/12 |
4.25%〜4.50% |
+0.50% |
|
11月(PCEは10月)の物価は下図の通り。
付記 これを受け、EUと英国も12月15日に0.5%引き上げた。
2022/12/16
米政府、GMとLGのバッテリー合弁会社に25億ドルの融資
米国エネルギー省(DOE)は12月12日、GMとLG Energy Solution のJVのUltium
Cells LLCのオハイオ州とテネシー州、ミシガン州のリチウムイオンバッテリーセル製造施設の建設資金として、最高25億ドルの融資を承認したと発表した。
このバッテリーセル製造施設の建設によって約1万1,000人以上の雇用が創出される見込み。
ーーー
GMとLG Chemは2019年12月5日、オハイオ州Lordstown
の近辺に23億ドルを投資してEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。
折半出資の合弁会社Ultium Cells LLCを通じて最大で総額23億ドルを投資する。
Ultium Cells LLCは2021年4月16日、テネシー州スプリングヒルに約23億ドルを投資し、新型電池Ultiumバッテリーの工場を建設すると発表した。
GMは2022年1月25日、EVの生産能力の強化に向けて、米国で3つ目となる新たな電池工場の建設を発表した。
LG Energy Solution との50/50 JVのUltium
Cells LLCが26億ドルを投じ、ミシガン州
Lansing に第3工場を建設する。
本年夏に土地の整備を始め、電池生産の開始は2024年後半となる。
2022/1/28 GM、米国で3つ目の電池工場を建設、電気自動車生産投資も
ーーー
今回の融資は、融資プログラム局(LPO)が「先端技術車両製造ローンプログラム」(Advanced Technology Vehicles
Manufacturing Loan Program)の下で、米国内のバッテリーセル製造計画に融資を実行した最初の例となる。
2007年のエネルギー自立・安全法(Energy
Independence and Security Act of 2007:EISA)によって認められた融資プログラムで、これまでにフォード、日産、テスラなどが同プログラムによる融資を受けており、直近では4月にオーストラリアの鉱物探査会社シラーテクノロジーズがリチウムイオン電池材料のルイジアナ州での生産拡大に対して承認を受けた。
同プログラムは、先進技術を利用した自動車やそれらの部品を製造する国内設備の整備・拡張、また新工場の建設に対して
DOE
が融資を行うものであり、これらの設備で製造される自動車は、燃費性能の大幅な向上が見込めるものでなければならない。
2009年6月、オバマ政権は、国家の海外石油依存の危険を減少させるとともに、何千人ものグリーン・ジョブを作る革新的で先進な輸送技術の開発に対して、80
億ドルの条件付き貸付予約を公表した。
・フォード自動車に対する
59
億ドル:イリノイ、ケンタッキー、ミシガン、ミズーリおよび、オハイオ州の工場で、燃料効率の良いモデル用に工場製造ラインを改造
・北米日産に対する
16
億ドル:先進的な電気自動車の組み立てと先進的なバッテリー製造設備を設置するために、テネシー州のスマーナ工場の機械設備を更新
・テスラ社に対する
4.65
億ドル:カリフォルニアでの電気のドライブトレーン(動力伝達装置)および電気自動車の製造
エネルギー省の融資プログラム局は2022年4月18日、米電気自動車(EV)メーカーのテスラへのサプライヤーであるオーストラリアの鉱物探査会社Syrah
Technologies, LLCに対し、最大1億700万ドルの融資を承認したことを発表した。
融資は「先端技術車両製造(ATVM)ローンプログラム」の枠組みを通じたもので、米ルイジアナ州Vidaliaの同社施設でのリチウムイオン電池材料の生産拡張に向けた資金として利用される。
LPOが177億ドルの融資権限を持つが、これまでフォード、日産、テスラに対し合計約80億ドルが融資されたが、2011年以降は利用されておらず、今回10年以上ぶりに活用されることとなる。
今回の融資は、リチウムイオン電池の負極材に利用されるグラファイト(黒鉛)の生産拡張に対するもの。Syrah は2040年までにEV約250万台分のグラファイトを生産する計画で、そのほとんどは2021年12月に4年間の供給契約を結んだテスラに供給される。原材料の天然黒鉛は、同社の親会社が所有するモザンビークのバラマの鉱山から採掘したもので、原材料から生産まで同社による一括管理が行われており、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からも評価されている。
2022/12/17 中国、米の半導体製品輸出規制をWTOに提訴
中国は12月12日、米国の中国に対する半導体などの製品をめぐる輸出規制措置について、WTOの紛争解決制度に提訴した。
商務部は、「これは中国が自国の合法的権利を守り抜くために必要なことだ。米国には直ちに誤ったやり方を是正してほしい」と述べた。
「米国はここ数年、国家安全保障の概念を絶えず汎用化し、輸出規制措置を乱用して、半導体をはじめとする製品の正常な国際貿易往来を阻害し、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの安定に脅威を与え、国際的な経済貿易秩序を破壊し、国際的な経済貿易ルールに違反し、基本的な経済の法則に背き、世界の平和・発展の利益を損なってきたのは、典型的な保護貿易主義のやり方だ」とし、「提訴は法的手段を通じて中国が関心を抱く問題を解決するためであり、自国の合法的権利を守り抜くために必要なやり方だ」と述べた。
また、「中国は米国がゼロサム思考を捨て去り、誤ったやり方を直ちに是正し、半導体などのハイテク製品の貿易を混乱させることをやめ、中米の正常な経済貿易往来を維持し、世界の半導体などの重要な産業チェーン・サプライチェーンの安定を維持することを願う」と述べた。
バイデン米政権は10月7日、中国への半導体先端技術の新しい輸出規制を実施すると発表した。 その後、日本など同盟国に対中規制に追随するよう要求した。
対中規制のポイントは次のとおり。
・スーパーコンピューターなどの先端技術の輸出は商務省の許可制に
・先端半導体の製造装置やソフトウェア、設計ソフトも規制の対象
・14nm
以下のロジック半導体などをつくる中国工場に部品や技術を提供を厳しくする。
・中国企業で働いたり、取引する米国人も審査対象
・外国企業でも米国技術を使っておれば輸出を原則認めない。
・申請しても原則拒否。ただし商務省が許可すれば一定の猶予期間を認める。
2022/10/10
米国、半導体の対中輸出制限を拡大
中国によるWTO提訴後の12月15日、バイデン政権は中国半導体大手・紫光集団傘下の長江存儲科技(YMTC)を含む36の中国系企業・団体に対する輸出を事実上禁止すると発表した。
商務省が安全保障を脅かすと見なした外国企業を列挙するEntity Listに36社を16日付で追加する。
YMTCの日本子会社のYangtze Memory Technologies (Japan) Inc.も含まれている。
これらの企業・団体に対する米国製品・技術の輸出には商務省の許可が必要となるが、申請は原則却下される。
YMTCは中国政府系ファンドから多額の資金を受け、データ保存に使う「NAND型フラッシュメモリー」などの量産で急成長した。低価格で大容量のNAND型フラッシュメモリーの製造に強みがある。米政権は10月に先端半導体の対中輸出規制を強化した際、米国製品の最終用途が検証できない輸出先リストにYMTCを加えた。Huawei TechnologiesやHikvisionなどに米製品を横流ししているとの指摘が米議会などから強まっていた。
人工知能向けの半導体などをてがける中科寒武紀科技(Cambricon )、露光装置に強みを持つ上海微電子装備集団(SMEE)も対象になった。
ーーー
世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は12月9日、トランプ前大統領が課した鉄鋼・アルミニウムの輸入に対する関税はWTOのルールに違反しているとし、米国に対しWTOのルールに適応させるよう勧告した。
これを受け、米国側はパネルの「不備のある」解釈と結論を強く拒否すると表明した。中国の過剰生産能力が米国の鉄鋼・アルミセクターと国家安全保障の脅威になっている中で米国は黙って見守るつもりはないと指摘し、「紛争の結果として米通商拡大法232条に基づく関税を撤廃する意向はない」とし、今回のパネルの判断はWTO改革の必要性を強調したとした。
米国はパネルの判断を不服として控訴することが可能だが、米国は紛争処理機関の最終審に当たる上級委員会の新たな委員の選任を拒否し上級委は機能不全に陥っているため、控訴された場合には法的効力が失われることになる。
米国は、中国政府による産業補助金や知的財産権の侵害といった問題で、WTOが疑わしきは罰せずという原則に基づき中国に有利な判断を下したことを問題視し
、WTOを機能不全にした。
2022/12/13 WTO、米国の鉄鋼・アルミ関税はWTOルール違反
今回も、WTOはおそらく
米の半導体製品輸出規制を批判し、米国がそれを無視するという事態が予想される。
各国が米国を説得し、WTOの改革を通じて機能の回復を図ることが必要である。
ーーー
米議会下院は2月4日、中国に対抗するため先端技術の競争力向上をめざす包括法案
The
America
COMPETES
Act of 2022 を賛成多数で可決した。
下院民主党が1月25日に公表した法案で、上院は2021年6月8日に同様の法案
United States Innovation and Competition Act
を異例の超党派で可決している。
いずれも、中国政府が巨額の産業補助金を投じるハイテク産業政策「中国製造2025」に対抗するもので、今回の中国に対する半導体などの製品をめぐる輸出規制措置もこれに対応するものである。
このままでは中国に追い抜かれるという恐怖感が強く、この進展を妨害しようとしているように見える。
中国製造2025(Made in China 2025)は2015年5月に公表された。
ステップ1で、2025年までに、格差縮小、十点突破で製造強国の仲間入りを果たし、
ステップ2で、2035年までに工業化の実現により製造強国の中位レベルに到達する。
ステップ3で、建国100周年の2049年までにイノベーション先導で製造強国の先頭グループに入るとの目標を掲げている。
2022/2/7 米下院、「対中競争法案」可決
2022/12/19 Amgen Inc., Horizon Therapeutics
Plc を約278億ドルで買収
米製薬会社Amgen Inc.は同業のHorizon Therapeutics Plc
を約278億ドルで買収することで合意した。両社が12月12日に発表した。
Horizon は11月29日に、Amgen Inc、Janssen
Global Service、Sanofi の3社との間で、それぞれ売却の初期的な交渉を行っていると発表した。
Amgenは他の2社との買収合戦に勝利した。
同社にとって過去最大規模の買収で、Amgenは1株当たり116.5ドルの現金を支払う。これは11月29日のHorizonによる発表時の終値を約48%上回る。
同社は、Citigroup
とBank of America による285億ドル規模のつなぎ融資の与信枠を通じ、買収資金を調達する。
Amgenは買収を通じて、Horizon Therapeuticsの持つ甲状腺眼症治療薬「Tepezza」と痛風治療薬「Krystexxa」という2つの成長製品を手に入れる。いずれも米FDAからオーファンドラッグの指定を受けており、通常の新薬より長い市場独占期間が付与されている。
Amgenの主力の関節リウマチ治療薬「Enbrel」が競争激化に直面し、乾癬治療薬「Otezla」などの主要製品も今後数年で特許切れを迎えようとする中、新たに獲得する製品が防波堤になることを期待している。
買収の目玉は、目の周りの組織が腫れて損傷する希少疾患の甲状腺眼症の治療薬「Tepezza」で、治療薬として米国で唯一承認されており、年間20億ドル近くの売上高を上げている。
Horizonは11月にこの治療薬の売上高見通しを上方修正し、米国外での販売拡大と国内の成長により、ピーク時の売上高が40億ドル以上になると予想した。
但し、Tepezzaの売上高は2021年第3四半期に6億1600万ドルの過去最高を記録して以降、3四半期連続で減少し、22年第3四半期には4億9100万ドルとやや回復している
が、売り上げが停滞しているという懸念を完全に払拭することはできない。
Horizon のもう1つの主力品であるKrystexxaの2021年の売上高は5億6550万ドルだった。2028年には13億6000万ドルまで伸びると予測されている。
付記
米連邦取引委員会は2023年5月16日、アムジェンが希少疾患用バイオ医薬品メーカーのホライゾン・セラピューティクスを278億ドルで買収する計画を阻止する訴訟を起こした。
販売額の大きい医薬品を手がけるアムジェンがその立場を利用し、医療保険会社や薬剤給付管理会社に対してホライゾンの主力製品の価格設定で有利になるよう圧力をかける恐れがある点を挙げた。
米連邦取引委員会は9月1日、合併後にホライゾンの主力薬品2品目を抱き合わせで販売しないとした両社の決定を受け入れた。
AmgenはHorizonの独占的な薬剤である甲状腺眼病を治療するためのTepezzaと慢性難治性痛風のためのKrystexxaを抱き合わせで販売しないを約束した。
Amgenにとっては、8月に行った米ChemoCentryx Inc, 買収に続くM&Aとなる。
Amgenは8月4日に米同業のChemoCentryx Inc, を37億ドルで買収することで合意したと発表した。昨年遅くに承認されたChemoCentryxの期待の血管炎薬「TAVNEOS」が狙い
である。別の少なくとも2種類の免疫障害治療薬候補も入手できる。
2022/12/27 米議会、Electoral
Count Act を修正
米議会
はつなぎ予算が切れる前日の12月22日に上院が、当日の12月23日に下院が、本年度(2022/10〜2023/9)予算を可決した。
2022/12/24
米議会、本年度(2022/10〜2023/9)予算をようやく可決
Trump前大統領などが2020年の選挙の承認を阻止するために利用しようとした135年前の法律(Electoral Count
Act)の見直しが含まれている。
ーーー
米連邦議会は2021年1月6日、大統領選の結果を最終確定し、バイデン次期大統領を正式に選出するため上下両院合同会議を開いた。
連邦議会集計は以下のように行なわれる。
上下両院合同会議は、下院議場で午後1時から開催される。上院議長
(副大統領)が会議を主宰し、自ら選挙人から送付された投票証明書を開封する。
開封された投票証明書は、上院議員2名、下院議員2名からなる投票計算役に渡され、読み上げられた後、集計される。
集計結果は、上院議長から発表される。選挙人総数の過半数の投票を獲得した大統領候補が大統領に、選挙人総数の過半数の投票を獲得した副大統領候補が副大統領になる。
上院、下院議員は、投票証明書に異議がある場合、「書面で」反対することができる。
その場合、上院、下院はそれぞれ、2時間以内に、この反対を認めるかどうかを単純過半数で決める。反対を認める場合、両院の一致が必要。
ーーー
トランプ大統領は1月5日、上下両院合同会議の議長を務めるペンス副大統領に対し、バイデン次期大統領の勝利を受け入れないよう威圧した。ツイッターに「副大統領は不正に選ばれた選挙人を拒否する権利がある」と投稿した。
1887年のThe Electoral Count Act
によれば、副大統領が会議を主宰する(assigns the vice president to preside over the session)
となっているが、副大統領の仕事の範囲について述べていない。
トランプ大統領はペンス副大統領に対し、副大統領が主宰する1月6日の上下両院合同会議で、主催者として「当選を決定しない」ことを求めた。
仮に1月6日に大統領、副大統領の当選を決定できない場合(選挙における偶発的事態:electoral
contingencies)、米国憲法修正第12条で進め方が決められている。
下院は直ちに無記名投票により大統領を選出する。投票は州を単位として行われ、各州の議員団が1票をもつ。
下院はルイジアナ州決選投票で共和党が勝ち、共和党213、民主党222で、議員数では民主党が過半となったが、この投票では各州1票である。
州別に下院議員数で過半をとったのは共和党が27州、民主党が20州、同数が3州となり、共和党候補のTrumpが選ばれることとなる。
トランプのツイッター:
If Vice President @Mike Pence
comes through for us, we will win the Presidency.
Many States want to decertify the mistake they made in certifying
incorrect & even fraudulent numbers in a process NOT approved by their
State Legislatures (which it must be).
Mike can send it back!
States want to correct their votes, which they now know were based on
irregularities and fraud, plus corrupt process never received
legislative approval.
All Mike Pence has to do is send them back to the
States, AND WE WIN.
Do it Mike, this is a time for extreme courage!
ペンス副大統領はトランプ大統領への忠誠を取るか、憲法上の義務を尊重するかで厳しい立場に追い込まれた。
最終的に、副大統領は上下両院合同会議を前に、「熟慮の末に判断した。どの選挙人投票を集計すべきで、どれを集計すべきでないかを決める一方的な権限を私が主張することは、憲法を支持し守るという私の宣誓によって制約される」との書簡を議会に送った。
大統領は副大統領を批判した。
ツイッターはこれに「この主張には根拠がない。暴力のリスクがあるので、リツイートするな」という警告文をつけた。
This claim of election fraud is disputed,
and this Tweet can’t be replied to, Retweeted, or liked
due to a risk of violence.
合同会議に先立ち、トランプ大統領はホワイトハウス近くで選挙結果に反対する大規模集会を開催し「敗北を認めない」と重ねて訴えた。
同氏はさらに「ペンシルベニア通りを歩き、この国を取り戻すのに必要な誇りと大胆さを(連邦議会議員に)与えよう」と、支持者に対して議会に向かうよう呼びかけた。
この議場にトランプ支持者が乱入し、大混乱となった。
2020/12/27 トランプの大統領選
最後の無駄な抵抗
2021/1/7 米議会にトランプ支持者が乱入、大統領選確定の上下両院合同会議が中断
トランプ前大統領は、1887年のThe
Electoral Count Act
が、副大統領が会議を主宰するとなっているが、副大統領の主宰者としての業務が書かれていないのを利用し、議長権限で当選を決定しないことを求めたもの。
また、The
Electoral Count Act によれば、各州は投票証明書に異議がある場合、「書面で」反対することができる。その場合、上院、下院はそれぞれ、2時間以内に、この反対を認めるかどうかを単純過半数で決める。反対を認める場合、両院の一致が必要。
現行法では、各州で1名の上院議員と1名の下院議員が主張すれば、州としての異議となる。
トランプ大統領は共和党議員に上下両院合同会議で反乱するよう呼び掛けた。
この会議では、ペンシルべニア州が、上院議員1名、下院議員80名が書面にサインして提出し、異議が受け入れられた。(投票で否決)
他に、いくつかの州で上院、下院いずれかの議員1名が反対を表明したが、条件を満たさず、異議はならなかった。
2021/1/7 大統領選確定の上下両院合同会議再開、バイデン候補の勝利が確定
ーーー
今回の改正の結果、次のとおりとなる。
会議主宰者としての副大統領の役割:
単に儀礼的なもので、決定、受諾、拒否、または裁定する権限を持たない。
投票証明書に対する反対:
現在はその州の上院議員1名+下院議員1名の反対で可能だが、これを上下両院議員それぞれの5分の1とし、ハードルを上げた。
これにより、上下両院合同会議は投票結果を正式に承認する形式的なものとなる。
2022/12/28 公取委、価格転嫁拒否で企業名公表
公正取引委員会は12月27日、原燃料費や人件費などコスト上昇分を下請け企業などとの取引価格に反映しなかった企業として佐川急便や全国農業協同組合連合会(JA全農)、デンソーなど13社の社名を公表した。
2021年12月27日に中小企業等が労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるようにし、賃金引上げの環境を整備するため、関係省庁において「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」が取りまとめられた。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/partnership_package_set.pdf
この取組の一環として、公正取引委員会は、2022年1月26日、下請法運用基準を改正するとともに、同年2月16日、独占禁止法Q&Aに、労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストの上昇分を取引価格に反映せず、従来どおりに取引価格を据え置くことは、優越的地位の濫用の要件の1つに該当するおそれがあることを明確化した。
公正取引委員会ウェブサイト
独占禁止法Q&A
Q20 労務費,原材料費,エネルギーコストが上昇した場合において,その上昇分を取引価格に反映しないことは,独占禁止法上の優越的地位の濫用として問題となりますか。
独占禁止法上,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商習慣に照らして不当に,取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定すること(第2条第9項第5号ハ)は,優越的地位の濫用として禁止されています。
このため,取引上の地位が相手方に優越している事業者が,取引の相手方に対し,一方的に,著しく低い対価での取引を要請する場合には,優越的地位の濫用として問題となるおそれがあり,具体的には,
1 労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について,価格の交渉の場において明示的に協議することなく,従来どおりに取引価格を据え置くこと
2 労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストが上昇したため,取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず,価格転嫁をしない理由を書面,電子メール等で取引の相手方に回答することなく,従来どおりに取引価格を据え置くこと
は,優越的地位の濫用として問題となるおそれがあります。
この判断に当たっては,対価の決定に当たり取引の相手方と十分な協議が行われたかどうか等の対価の決定方法のほか,他の取引の相手方の対価と比べて差別的であるかどうか,取引の相手方の仕入価格を下回るものであるかどうか,通常の購入価格又は販売価格との乖離の状況,取引の対象となる商品又は役務の需給関係等を勘案して総合的に判断することとなります。
公取委はその後、適正な価格転嫁の実現に向けて、独占禁止法違反事件の審査ではなく、事業者間取引における上記の@又はAに該当する行為が疑われる事案に関する実態を把握するため、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査を実施してきた。
本日、下記の通り、結果を取りまとめたもの。
独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について
公取委は、これらの独占禁止法Q&Aの@又はAに該当する行為が認められた発注者4,030社に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。
また、個別調査の結果、受注者からの値上げ要請の有無にかかわらず、取引価格が据え置かれており、事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者であって、かつ、多数の取引先について独占禁止法Q&Aの@に該当する行為が確認された事業者については、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、取引当事者に価格転嫁のための積極的な協議を促すとともに、受注者にとっての協議を求める機会の拡大につながる有益な%情報であること等を踏まえ、独占禁止法第43条の規定に基づき、その事業者名を公表することとした。
(事業者名は五十音順によるもの)
番号 |
事業者名 |
1 |
佐川急便株式会社 |
2 |
三協立山株式会社 |
3 |
全国農業協同組合連合会 |
4 |
大和物流株式会社 |
5 |
株式会社デンソー |
6 |
株式会社東急コミュニティー |
7 |
株式会社豊田自動織機 |
8 |
トランコム株式会社 |
9 |
株式会社ドン・キホーテ |
10 |
株式会社日本アクセス |
11 |
株式会社丸和運輸機関 |
12 |
三菱食品株式会社 |
13 |
三菱電機ロジスティクス株式会社 |
※ 独占禁止法Q&Aに該当する行為を行っていたか否かを調査したものであり、この公表が独占禁止法又は下請法に違反すること又はそのおそれを認定したものではない。
※ 発注者の中には、今回の調査期間中に、一部の受注者との間では価格転嫁を進めていた事例や、今回の緊急調査の実施等を受けて、調査対象期間後において、受注者との間で価格転嫁を行うための協議の場を設けた事例又は今後設けることとする旨の方針を明らかにしている事例、取引の相手方に対して適正な取引体制の構築、援助等を行っている事例等も確認された。
付記
デンソーは2023年2月3日、名指しされたことについて「痛恨の極み」とし、価格転嫁の取り組みを進めていく考えを示した。
仕入れ先への対応では、同社の総調達額の10%弱に相当する約1500億円の価格反映を実施する。また、部品サプライチェーン(供給網)内の取引適正化などに対応するため、新たに副社長を調達グループ長に任命した。
2022/12/29 オマーンとLNGの長期契約基本合意
三井物産と伊藤忠商事、JERAは、12月27日、オマーンとの間で10年程度の長期契約を結び、2025年以降、年間で235万トンのLNGを新たに輸入することで基本合意した。
このうち
JERAは2025年から10年間、年間最大80万トンを調達する。
Oman Liquefied
Natural Gas LLC (Oman LNG) は1994年に設立された。2013年にQalhat
LNGを統合した。
現在の株主は以下の通り。
オマーン政府 |
51.00% |
Shell |
30.00% |
Total |
5.54% |
Korea
LNG |
5.00% |
三菱商事 |
2.77% |
三井物産 |
2.77% |
PTTEP
Oman E&P |
2.00% |
伊藤忠 |
0.92% |
伊藤忠商事はオマーンLNGと2006年から25年の20年間で年間70万トンの売買契約を結んでいる。
これに先立って現地を訪れている西村経済産業大臣は「LNGの需給が引き続きひっ迫すると見込まれる中、日本のエネルギー安全保障にとって極めて有意義なものだ」と強調した。
オマーン産のLNGをめぐっては三井物産や伊藤忠商事などが権益の一部を保有していて、日本は現在、LNGの輸入量全体の2.6%にあたる年間190万トン余りをオマーンから輸入している。
オマーンの輸出拠点は、ペルシャ湾のホルムズ海峡の外側にあることから、紛争などの影響を受けにく、日本としては今後の安定調達につながる重要な輸入先と位置づけている。
オマーンとはほかの日本企業も交渉を行っており、仮に合意すれば将来的な輸入量は最大で年間300万トン以上に増える可能性がある。
ーーー
ロシアのウクライナ侵攻を受け、LNGは取り合いになっているが、それまでは日本企業はLNGの長期契約には消極的であった。
2021年11月にJERAはカタールとのLNGの大型長期契約の更新をせず、2021年末で終了した。
2022年9月に日本が主催するLNGの国際会議で、世界屈指の輸出国であるカタールのエネルギー相が自国との大型LNG売買契約を打ち切った日本を皮肉る一幕があった。
東京電力ホールディングスと中部電力の火力・燃料合弁会社のJERAは2021年11月25日、2021年が契約期間の最終年であるカタールとの年間550万トン規模の液化天然ガス(LNG)長期売買契約について、延長しない方向で検討していることを明らかにした。
JERAの小野田聡社長はオンライン記者会見で、世界的なLNG市場の発展や国内の電力・ガス市場自由化によるLEGの位置付け変化などにより、従来のような長期間の大型LNG契約を継続することが難しくなっていると語った。
LNG輸入者国際グループによると、2021年末に満了となる契約のほか、カタールとの間には2028年までの年間70万トンの契約も残る。小野田氏は同国と「友好な関係は継続していきたい」と話した。
契約打ち切りの背景には脱炭素化の流れなどを受けてLNGの中長期的な需要が見通しにくい状況となってることがある。LNG契約では定められた向け先以外の場所への転売を制限する条項が根強く残っており、日本の電力・ガス各社は余剰を抱えることになりかねない長期契約の締結に及び腰となっている。また、契約更新見送り時には、ウクライナ侵攻などでこれほどLNG需給が厳しくなることを予見することも難しかった。
公正取引委員会が2017年に「仕向け地条項」は独占禁止法違反の疑いがあるとの報告書をとりまとめたのを機に、国内の電力・ガス会社は供給者側に同条項の緩和を働きかけてきた。ただ、カタール側は制限緩和に難色を示していたとされており、柔軟性を求めるJERAと物別れに終わった一因となった可能性がある。
経産省の保坂伸資源エネルギー庁長官は、脱炭素化の時代の中で、LNGの売り手側が求める契約期間が20−30年間に及ぶ長期契約を締結することは容易ではない、との見方を示した。
LNG長期契約の終了に伴いカタールからのLNG輸入は激減。貿易統計によると2022年1−8月期のカタールからの輸入量は、前年同期比6割以上減少し約216万トンにまで落ち込んている。その一方で、ロシア・ウクライナ危機によってLNGの需給は世界的に逼迫しており、世界有数のLNG輸出国であるカタールは急速に存在感を高めている。
参考 オマーン、カタールのガス田
2022/12/31 プーチン大統領、ロシア産の原油制裁国に輸出禁止の大統領令
ロシアのプーチン大統領は12月27日、同国産原油の輸入価格に上限を設けた国に対し、原油の輸出を禁止する大統領令に署名した。
ーーー
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、G7、オーストラリア、EUが12月5日にロシア産原油の国際的な取り引きの上限価格を1バレル=60ドルに設定するなどとした新たな制裁措置を発動した。
ロシアの戦費を削ることが狙いで、価格の急騰など市場の混乱を避け、ロシア産原油が国際市場に供給される流れを保つ目的もある。
上限価格60ドルを超えて取引する場合には、海上輸送に欠かせない保険契約ができないようにした。
G7、オーストラリア、EUの管轄下にある者は、プライスキャップ価格以下で販売されていない限り、ロシア産原油および石油製品の輸送、あるいは輸送を可能にする保険、最保険を含むサービスの提供は禁止されることになった。
禁止は、G7、オーストラリア、EU以外の第三国からの、または第三国への輸送にまで及ぶ。多くのグローバルな石油輸送、保険企業はG7諸国に本部を置いている。
上限価格措置の発動により、中国やインドについても、原油の海上輸送の保険枠組みに巻き込むことで、ロシア産原油の輸入を減少・抑制させる思惑がある。
日本政府はG7の合意に基づき、ロシア産原油の上限価格を超えた輸入を禁じた。但し、日本企業が参画するロシアの資源開発事業「サハリン2」で産出する原油は制裁の対象外としている。サハリン2プロジェクトからの原油の日本への輸入に関連するサービスの提供については、同志国間で例外とすることで合意しており、当該購入の価格が上限価格を上回っていても、再保険サービス等については、各国(米、英、EU)の規制対象とはならない。
政府 ロシア産原油等に係る上限価格措置(プライス・キャップ制度)のQ&A
これに対しプーチン大統領は、「我々はそのような決定をする国には原油を売らない」と述べ、「必要であれば減産の可能性についても考えていく」とも発言し、西側諸国をけん制した。
ーーー
この発言の通り、輸入価格に上限を設けた国に対し、2023年2月1日から7月1日まで5カ月、原油輸出を禁じる。石油製品も対象とし、同年2月以降で政府が定めた日から適用する。プーチン氏の特別な決定があれば、禁輸を解除できる。
「米国やその他の国のほか、こうした国に賛同する国際機関による非友好的で国際法に反する行動」への直接的な対応としてロシア産原油と原油製品の供給を禁止するとし、「最終購入者に至るまでのすべての供給段階に適用される」と表明した。
日本は「サハリン2」で産出する原油は制裁の対象外としているが、これに対するロシア側の反応は明確になっていない。
ロシアのUrals oil (URL-E ) は12月27日時点で上限以下の $56
で取引されている。
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