
「四国88ケ寺徒歩巡り」体験記
2003/2/23
石川信太郎
私は定年退職を機に昨年10月1日より11月14日の45日間をかけ約1200キロの四国88ケ寺徒歩巡りをしてきました。この体験記を5回連載で皆様にお届けしたいと思います。拙い文章ですがご一読頂ければ幸甚です。
石川信太郎さんは2012年2月1日、バンコックで急逝されました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
四国88ケ寺
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阿波(徳島県) 発心の道場 /1
霊山寺(通称「一番さん」) → 土佐(高知県) 修行の道場 24 最御崎寺 25 津照寺 26 金剛頂寺 27
神峯寺 伊予(愛媛県) 菩提の道場 40 観自在寺 41 龍光寺 42 仏木寺 43
明石寺 讃岐(香川県) 涅槃の道場 66 雲辺寺 67 大興寺 68 神恵院 69
観音寺 |
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第一回 出発への思いと準備
四国には「お遍路さん」あるいは「お四国さん」と言って弘法大師・空海が開祖したと言う88のお寺を順番に拝礼して行く巡礼というものがあります。
巡礼には徒歩で行く「歩き遍路」の他、バスやマイカー、自転車などで周る方法があります。今では「歩き遍路」は非常に少なく、車による団体や夫婦、家族づれなどで周るのが大半のようです。また、全区間を一遍に周る「通し打ち」、適当区間に区切って周る「区切り打ち」があります。「打つ」とは遍路がお寺(札所)を巡拝することを言います。
私は数年前に故郷である徳島に行き、帰りの高松空港で一冊の本に出会いました。それは「歩く四国遍路千二百キロ」ーーある定年退職者の31日の旅ーー(現代出版 西川阿羅漢著)です。この本を読み進んで行くうちに、定年を数年後に控えた私の心に信仰心などと関係なく、ただ四国遍路に出てみたいという気持が湧いてくるのを覚えました。
この気持ちの高ぶりは40年近くのサラリーマン生活への決別、これからの半生への区切りとして何かをしなければという日頃の思いとが一致したと思っております。
この思いを具体化するため、その後いろいろな本や雑誌などを集めて読みましたか、意外に多いことに驚きました。中でも新聞、テレビ番組やホームページなどの各種メデイアにも出てきて、四国遍路が全国的に有名になっていることも知りました。
勤務している日本ペルノックス(株)の退職日もはっきりし、いよいよ四国遍路実行について概略次のような計画を立てて見ました。
(1)ひとり徒歩で行く「歩き遍路」
(2)88ケ寺を一遍に周る「通し打ち」
(3)1番から88番札所(寺)を周る「順打ち」
(4)時期は10月〜11月
(5)期間は2ケ月
(6)宿泊は旅館、民宿、宿坊など
(7)予算100万円
(8)札所(寺)での拝礼は合掌と納経帳記入のみ
私自身の信仰心はむしろ低いほうで、家が仏教で真言宗であるという程度のものです。今回の巡礼でも何かの供養とか信仰というものではなく、定年退職を機に人生の区切りとして何かをすると言う目的に四国遍路を選んだわけです。このため札所(寺)での「お経をあげる」「線香、ロウソクをあげる」などはしないこととしました。
この四国遍路を具体化する時点から「歩き遍路」以外は全然考えませんでした。1200キロの道を歩く自信は全くなかったのですか、何故か「歩く」以外考えられませんでした。歩くことにより何か得るものがあるのではという気がしてその期待もありました。
時期としては気侯の良い秋が雨も少なく、10月に入れば台風も無いと言うことで10月1日出発としました。ただ秋より春の方が日が長く歩き遍路には春が良いのではと言う人もおりました。
また、期間ですが2ヶ月と言うのは約1200キロを1日約20キロ歩くとして単純に60日(2ヶ月)としましたが結果的には45日で完了すること出来ました。
宿泊も若い人の中には野宿などもするようですが、年令と荷物のことを考え、へんろ道保存協カ会発行の「四国遍路ひとり歩き同行二人*」のリストにある旅館、民宿および宿坊などを利用することにしました。
以上のようなアウトラインのもとに四国遍路への出発準備に入りました。
特に留意した点は下記でした。
(1)靴の選択
(2)着替え肌着/雨具
(3)背負い荷物の重量など
中でも1200キロの道を歩く靴の選択は最も重要と聞いており、出発半年前より3種類の靴を買い、歩行テストをしました。最終的にはドイツ・ブルックスの皮製軽量登山靴にしました。これは靴幅が広く(4E)、片足で430グラムと比較的軽い。サイズはダブダブ感のある24.5センチを選ぴました。結果的にはこれがベストであったと今でも思っております。
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いよいよ出発の10月1日(火)の朝が来ました。 5日前に第一日目の宿として5番札所近くの森本旅館を予約しておきましたので宿の心配もなく、羽田発徳島行きの一番飛行機に乗るべく家族に送られ午前6時墨田区の自宅を出立したのであります。 天気はあいにくの曇りでした。 |
このあと
第二回 発心の道場(徳島)
第三回 修行の道場(高知)
第四回 菩提の道場(愛媛)
第五回 涅槃の道場(香川)とむすび
* 【同行二人】どうぎょうににん
四国の旅にはいろいろ困難をともなうが、いつも弘法大師が見守っていらっしゃるから
(大師+自分で二人) 安心してお参りに専念しなさいということ。大師の身代わりとして杖を突きながら歩くのにはそういう理由がある。