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北朝鮮の戦前の化学工場
鎌田正二 「北鮮の日本人苦難記 −日窒興南工場の最後ー」 から
在日朝鮮人グループが興南に工場を設立
Chemnet Tokyo 2003/1/21 「取材ノートから」
いまや「夢の跡」か、北朝鮮の大化学工場
○北朝鮮には、戦前チッソ(当時日本窒素)が建設した、150万キロワットの発電所と、硫安50万トンを含む最新鋭の化学工場(興南工場)があった。従業員数4万5,000人を数える、世界規模の工場だった。
○「このように朝鮮での日本窒素の事業は、発電所の建設、興南における硫安、硫燐安工場によって始められたが、やがて発電、化学工業を中心とした世界的な事業となっていった」(鎌田正二著『北鮮の日本人苦難記ー日窒興南工場の最後』から)。
鎌田正二 「北鮮の日本人苦難記 −日窒興南工場の最後ー」 から
(昭和45年8月 時事通信社)
工場名 | 製品 |
能力 |
製品 |
能力 |
製品 |
能力 |
興南肥料工場 |
硫安 |
500,000 |
燐安 |
14,000 |
グリセリン |
3,360 |
アンモニア |
130,000 |
燐酸 |
1,200 |
脂肪酸 |
37,200 |
|
硫酸 |
450,000 |
過燐酸石灰 |
50,000 |
洗濯石鹸 |
36,000 |
|
硫燐安 |
160,000 |
硬化油 |
81,000 |
化粧石鹸 |
3,600 |
|
興南金属工場 |
アルミナ |
8,000 |
人造黒鉛電極 |
3,000 |
銑鉄 |
36,000 |
アルミニウム |
6,000 |
天然黒鉛電極 |
4,800 |
鋼塊 |
86,400 |
|
弗化アルミ |
3,500 |
アークカーボン |
180 |
セメント |
46,800 |
|
亜鉛 |
3,600 |
カーボランダム |
1,000 |
|||
日窒マグネシ ウム金属 |
マグネシウム |
1,000 |
||||
日窒宝石 |
人造宝石 (カラット/日) |
50,000 |
||||
本宮工場 |
塩酸 |
28,800 |
ソーダ灰 |
10,000 |
アセトン |
1,080 |
晒粉 |
16,660 |
肥料用塩安 |
10,000 |
エチレングリコール |
720 |
|
液体塩素 |
2,680 |
カーバイド |
93,600 |
アランダム |
2,400 |
|
苛性ソーダ |
15,000 |
石灰窒素 |
18,000 |
アンモニア |
64,000 |
|
工業用塩安 |
2,880 |
アセチレンBlack |
2,880 |
|||
日窒燃料 竜興工場 |
イソオクタン (kl) |
18,000 |
||||
朝窒火薬 |
ダイナマイト |
13,300 |
黒色火薬 |
700 |
硝安 |
8,400 |
硝安爆薬 |
700 |
稀硝酸 |
30,625 |
カーリット |
1,750 |
|
導火線(km) |
78,750 |
濃硝酸 |
14,700 |
雷管(千個) |
105,000 |
|
綿火薬 |
3,500 |
(硝酸は98%換算) |
||||
日窒鉱業 開発 興南製錬所 |
金 (kg) |
2,700 |
銅 |
3,200 |
鉛 |
4,800 |
銀 (kg) |
40,000 |
昭和20年 | 8月15日 | 終戦 | |
8月19日 | ソ連軍 元山上陸 | ||
8月26日 | ソ連軍 興南工場接収 |
龍川列車爆発事故はテロだったのか 安部桂司 (草思 2004年7月号) http://www.infovlad.net/underground/asia/nkorea/html/ST/briefs_2004/aug_newtech.html 平成3(1991)年4月に操業を開始した国際化学合弁(株)が興南に工場を設立した理由にも、酸・アルカリ工業の存在があげられている。国際化学合弁(株)の事業は在日朝鮮人の商工人と科学者の協力で立ち上げられたのだが、事業の発展に合わせて塩酸、硝酸、苛性ソーダ、アンモニアなどの関連工業の技術向上をはかるとの目標を掲げていた。この目標からして、野口遵の築いた酸・アルカリ工業が建設時から半世紀を経過し、技術的に遅れを来していること、そのため在日朝鮮人の商工人と科学者が、日本からの技術移転で刷新をはかろうとしていたことが推察できた。
統治時代、多獅島鉄道沿線に工場が配置されていたが、太平洋戦争下で建設されたこともあって軍事工業関連が主であった。それらを新義州に立地する工場と合わせて列挙すると、安田鉱業所の新義州黒鉛選鉱場、三成鉱業龍岩浦製錬所、朝鮮神鋼金属新義州工場、三井軽金属楊市工場、東洋商工新義州工場、王子製紙新義州工場、鐘淵工業新義州葦人絹パルプ工場、日本農産化工義州工場、クームヒン新義州工場、郡是工業新義州製糸工場、朝鮮富士瓦斯紡績新義州工場、東棉繊維工業新義州工場、朝鮮無水酒精新義州工場、朝鮮燐寸新義州工場などである。 |
東亜日報(韓国) 2003/7/18
北朝鮮の7.1措置支える「会計法」全容が判明
北朝鮮当局が今年3月の第10期第6回最高人民会議で採択し、施行中の「会計法」の全文が、韓国で公開された。
まず、機関や企業などの経済主体の予算制約を考慮して、効率的な経済活動に向けて、独立採算制の完成に重点を置いている。
社会主義経済の特性であり長年の問題点である「ソフトな予算制約(soft budget constraint、経済主体が予算を気にせず、資源などを浪費する現象)」を正すという趣旨だ。
会計法は、会計報告と決算報告を通じて、このような浪費と非効率を徹底的に防ぐために制定されたものと解される。
(注 北朝鮮は2002年7月1日、賃金と物価を大幅引き上げて現実化し、採算性の強調などを骨子とした「7・1経済管理改善措置」を断行した。しかし北朝鮮経済はむしろ悪化したと分析された。)
7・1経済改善措置の主な内容は、
@物価および賃金の引き上げ、
A為替レートの現実化および関税の調整、
B企業の自律調整権拡大、
C食糧・生活必需品などの配給制の段階的廃止、個人耕作地の拡大などである。この措置に従って、物価は米の値段を基準にし、価格を全面的に現実化することに焦点を置き、賃金も平均18倍引き上げ、「労働の結果に応じた分配の原則」を土台に、差等支給するようになった。
北朝鮮の住民に及ぼした第一の影響は、既存の貨幣で蓄積された財産価値の下落をあげることができる。
第二に、北朝鮮住民の間では、「朝鮮のお金はお金ではない」という話が出ている。経済管理改善措置前は闇市場で1ドル当たり200ウォンほどだった為替レートが、一年後にはほとんど1000ウォンまで高騰していることからもわかる。肯定的な側面もある。まず、北朝鮮住民は私的経済活動の範囲が拡張し、条件によっては生活レベルが上がることができる。これまでは30〜40坪程度しか許可されていなかった個人の畑が、一部の地域では400坪規模まで許可された。
また、企業所でも賃金にインセンティブが導入されることにより、北朝鮮住民は努力如何によっては差等的な報酬を受け取るようになった。
中央日報 2006/4/7
北「中国型経済特区2カ所造成」…朝中が共同開発
北朝鮮に中国深セン型経済特区が造成される予定だと、香港の文匯報が日本の共同通信を引用して6日報じた。
これによると、中国と北朝鮮は鴨緑江(アムノッカン)河口の島々と平壌(ピョンヤン)近隣の南浦(ナムポ)港の2カ所に、深セン型経済特区を共同開発することにした。
特に南浦港の場合、すでに「海湾特区」という名称が付けられている。
また鴨緑江河口は、平安北道薪島郡(ピョンアンブクド・シンドグン)のビダン島と周辺10島が特区予定地という。
開発日程や規模は公開されなかった。
これは中国の胡錦濤・国家主席が昨年10月に平壌を訪問した際、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と合意した内容だと、同紙は伝えた。
また金委員長は1月に中国・深センを訪問した当時、北朝鮮特区開発に中国企業の参加を要請した。
中国政府は改革開放過程で得たノウハウを北朝鮮特区に伝授する方針だ。
特区開発が完了すれば、中国・韓国・日本企業の誘致も支援する予定という。
中国改革開放論壇東アジア研究部の于米華主任は「特区予定地の2地域は中国から近いため、造成されれば中国企業の投資が相次ぎ、両国の経済にシナジー効果が生じるだろう」と語った。
于主任はまた「中国が特区開発を建議した主な理由の一つは、北朝鮮が経済発展で政治体制が安定すれば、結局、中国にも有益であるため」と説明した。
一方、中国外務省は6日、こうした報道に関し論評を拒否した。
日本経済新聞 2009/5/16
北朝鮮 開城工業団地「契約無効」を宣言 韓国揺さぶり目的か
北朝鮮の中央特区開発指導総局は15日、開城(ケソン)工業団地を巡り、土地賃貸料や賃金、税金など既存の契約について「無効を宣布する」と主張し、新たな条件を受け入れなければ「出て行っても構わない」とする通知文を韓国側に送った。
開城工業団地の契約条件のうち、工場で働く北朝鮮従業員の賃金は月額約70ドル(約6700円)。入居企業の土地使用料や所得税などは優遇措置として免除されているほか、土地賃貸料は事業主体の現代蛾山と韓国土地公社が50年分の1600万ドルを支払い済みだ。
▼開城工業団地
2000年の南北首脳会談後に南北経済協力の一環として開発を始め、04年12月に稼働した。
ソウルの北方約60キロに位置し、韓国企業を中心に101社が入居し北朝鮮労働者約3万8千人が働く。08年の総生産額は2億5142万ドル。
開城工業団地を巡る北朝鮮の強硬措置
2008年3月 常駐する韓国政府関係者を追放
11月 開城観光と貨物列車運行を中断
12月 立ち入り制限を厳格化
2009年3月 韓国側要員の往来たびたびストップ
4月 優遇措置の見直し要求
5月 契約無効を宣言
開城(ケソン、かいじょう)は、朝鮮民主主義人民共和国にある都市のひとつ。今日の北朝鮮の行政区画では、行政区画としての道には属さない「開城工業地区」となっている。朝鮮半島の主要都市の中では、もっとも板門店に近い位置にある。
2000年8月、金正日・朝鮮労働党総書記と鄭夢憲・現代グループ会長との合意のもと、北側が土地と労働力を、南側が技術と資本を提供して、開城に一大工業団地を作ることが決まった。2002年11月には、朝鮮民主主義人民共和国で開城工業地区法を制定。2003年6月、約330万uを造成する第1期工事が起工され、2007年の完成に向けて工事が進行中である。ただし、南北間の政治的・思想的なすれ違いなどもあり一概に順調とはいえない。それでも南北で送電線やソウルから光ファイバーが連結されるなどの進展も多い。
韓国土地公社と現代峨山が造成し、一昨年末の操業開始以来、11企業で4300人の地元従業員が働く。周囲では排水処理施設や敷地造成工事など基盤整備が着々と進む。
売りは1人当たり毎月57.5ドル(約6700円)の低賃金。「中国に負けない競争力」で進出企業を募る。将来は66平方キロの敷地に2000社、約70万人が働く大規模団地をつくる構想だ。
東亜日報 2006/5/11
各大手企業「開城工業団地にストレス」
政府当局が、全国経済人連合会(全経連)に「各大手企業も北朝鮮の開城(ケソン)工業団地に入居するように協力してほしい」と要請していたことが10日、確認された。
これについて、開城工業団地を忌避する多くの大手企業は、政府の要請を「事実上の圧迫」と受け止め、相当な負担を感じている。
東亜(トンア)日報の取材結果、統一部の開城工団事業支援団のKチーム長と韓国土地公社のL役員は先月初め、ソウル汝矣島(ヨウィド)にある全経連会館を訪問し、「各大手企業が開城工団に入居するように全経連がとりなしてほしい」と要請した。
全経連の関係者は「Kチーム長が『モデル団地に入居した企業は大部分小規模の加工メーカーで、南北経済協力の根本の主旨を生かすためには大手企業の入居が必要だ』と述べた」と伝えた。
政府の協力要請を受け、全経連は大韓商工会議所、韓国貿易協会、中小企業協同組合中央会などが今月末に中小企業を対象に開く共同説明会とは別途に、来月初めに大手企業のみを対象にした分譲説明会を行うことにした。
開城工団は韓国側の技術力と資本、北朝鮮側の安い賃金を結び付けて経済協力を強化するという主旨で、02年から推進されてきた。
造成を引き受けている土地公社は、第1段階の100万坪規模の開城工団の敷地を、韓国側の各企業に分譲する予定だ。このうち25万坪は6月末に分譲される。
しかし、各大手企業は開城工団への入居について大きな負担を感じている。
4大グループのある重役は、「国際協約により主な戦略物資は北朝鮮に搬入することができないため、開城工団には大手企業の施設投資そのものが大変だ」とし、「それでも政府の立場を無視することができず悩んでいる」と話した。
しかし、このような問題点にもかかわらず、政府の協力要請に心理的圧迫を感じたいくつかの大手企業は、結局「開城行き」を選択する可能性があるという予想も出ている。
ある財界関係者は、「北朝鮮の核問題がいつホットな問題になるかも分からない状況で、大手企業が北朝鮮に巨額の施設投資を行うことは非常識な経営判断」とし、「労働集約型の中小企業ではない大手企業が参加するとなれば、『政治的意味合い』のためと見なければならない」と話した。
一方、統一部のKチーム長は本紙との通話で、「開城工団の分譲に先立ち、全経連を訪問し、大手企業が開城工団に入居するように協力要請をしたのは事実だが、単純な広報と需要調査のレベルだった」と話した。
北朝鮮が開城工業団地の閉鎖を持ち出し、北朝鮮の労働者賃金の引き上げなどを要求しているが、韓国の進出企業らは、「開城工業団地の労働者一人当たりの生産効率は韓国の33%にすぎず、間食代など福利厚生費が多くかかる上、賃金水準は韓国やベトナムなどに比べて決して低くない」と分析していることが、17 日までに分かった。
開城工業団地企業協議会は先月25日の「第1回開城接触」以 降、工業団地進出企業40社余りに対しアンケートを行い、北側の賃金引き上げ及び土地使用料の早期支払い要求を受け入れられない理由をまとめた。調査結果 によると、開城工業団地の労働者一人当たりの生産効率は韓国の33%にとどまった。一方、中国の生産効率は韓国の96%、ベトナムは85%に達した。開城工業団地の北朝鮮労働者の場合、未経験者の割合が高く、欠勤率も平均10%に達し、夜勤や残業などを進出企業側が自律的に決定できないといった状況だ。
進出企業関係者は「北側労働者の目標意識が低く、インセンティブなど勤労意欲を高める対策を立てるのが難しいのも、生産効率が低い理由と思われる」と述べた。目標を超過達成したときには間食にチョコパイを多く配る程度だという。
工業団地の賃金も安くないという分析だ。開城で支給される基本給は賃金55.1ドル(約5200円)と社会保険料8.3ドル(約790円)を足し た63.4ドル(約5990円)ほどだ。ここに、残業勤務手当として月11−18.3ドル(約1040円−1740円)が加算される。また、食事代・間食・バス代など福利厚生費が1カ月に36.6−47.9ドル(約3480円−4550円)追加されるものと集計された。結局、開城工業団地の労働者の人件費は月110−130ドル(約1万500円−1万2350円)水準になるが、これは中国やベトナムなどに比べ決して低くない、というのが進出企業の主張だ。企業関係者は「中国東北3省は基本給180ドル(約1万7000円)、中国内陸部は基本給130ドル(約1万2000円)、ベトナムは基本給80ドル (約7600円)だが、福利厚生費が作業服(3−4ドル=約280−380円)以外にほとんど掛からない。労働者の生産効率まで考慮すれば、開城工業団地 の賃金は決して安くない」と話した。
また、北朝鮮が来年から支払うよう要求している土地使用料も、1平方メートル当たりの工場建設費などを考慮すると、早期の支払いは難しいという立 場だ。開城工業団地の1平方メートル当たりの建設費は394ドル(約3万7500円)であるのに比べ、中国は122ドル(約1万1600円)、ベトナムは 65ドル(約6200円)だ。政府当局者は「開城工業団地が稼動してから5年も経たないのに、特恵をなくすという一方的な北朝鮮の主張は受け入れがたい」 と述べた。