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技術調査レポート http://www.meti.go.jp/policy/tech_research/report/vol2-color.pdf
酸化チタン光触媒に関する産業の現状と課題
平成14年5月31日 経済産業省産業技術環境局技術調査室
今回のレポート内容
@ | 酸化チタン光触媒は、東京大学の本多教授と藤嶋教授が世界に先駆けて発見したホンダ・フジシマ効果を基本原理とした、日本オリジンの技術であり、実用化も日本が先行している。 |
A | 酸化チタン光触媒は、光(紫外光)の照射により、強い分解力を発揮し、表面を親水化するなどの優れた性質を持ち、防汚、抗菌、脱臭等の作用を発揮する。 |
B | 酸化チタン光触媒は、建築用外装材、道路資材、生活用品など、多くの産業の高付加価値製品として商品化されており、その市場は今後急速な成長が期待される。 |
C | 製品の長期耐久性の保証や可視光の利用などの技術的対応のみならず、今後の普及に向けて重要な性能評価方法の確立とその標準化に向けた取組が進められている。 |
D | また、本レポートでは、各事業分野における事業化の具体的事例を補論として掲載した。 |
主な研究開発の経緯
1972 | 本多と藤嶋が、光触媒の原理(白金と酸化チタンを電極とした水の光分解反応)をNature 誌に報告。 |
1980 | 坂田と川合が、粉末状酸化チタン光触媒が高い有機物の分解性(光触媒機能)を有することをNature 誌に報告。 |
1986 | 資源環境技術総合研究所 指宿、竹内が酸化チタンによる空気浄化効果を発表。 |
1990 | 橋本、藤嶋、東陶機器鰍ェ、建材等に酸化チタン光触媒をコーティングする研究を開始。汚れが付きにくい・抗菌等の作用が発現することを発見。 |
1992 | 資源環境技術総合研究所 指宿、竹内、富士電機鰍ェ低濃度NOx 除去装置及び材料(フッ素樹脂シート)を開発。 |
1992 | A.Heller (米国)らが、光触媒ビーズによる海上流出油の浄化を発表。 |
1992 | M.Anderson (米国)らが、地下水に含まれている有機塩素を分解する光触媒装置を発表。 |
1994 | 東陶機器鰍ェ、最初の本格的な酸化チタン光触媒応用製品として抗菌タイルを実用化。 |
1996 | 橋本、藤嶋、東陶機器鰍ェ、紫外光照射により酸化チタン表面が非常に親水性になることによる防汚・防曇機能を発見。Nature 誌に報告(1997 年)。 |
1996 | 東陶機器鰍ェ、光触媒親水性を利用した最初のセルフクリーニングタイルを実用化。 |
1996 | 日本道路公団が、光触媒をコーティングしたガラスカバー付きのトンネル照明を採用(製造:東芝ライテック)。 |
1997 | ダイキン鰍ェ、光触媒を利用する家庭用空気浄化装置を実用化。 |
1997 | 三菱マテリアル鰍ェ、NOx 浄化用ブロックを実用化。 |
1997 | 日本曹達鰍ェ光触媒塗料を開発。 |
1998 | エコデバイス鰍ェ資源環境技術総合研究所とともにNEDO 提案公募事業により可視光型酸化チタンを開発(2001 年に実用化)。 |
1999 | 潟tジタがアスファルト道路を光触媒化するフォトロード工法を開発。 |
2001 | 住友化学、豊田中研が、可視光でも反応する光触媒を相次いで発表。 |
2002 | 太陽光を利用した環境浄化法が発表されるなど、様々な取り組みが進められている。 |
光触媒用酸化チタン(原材料)の生産状況
光触媒用酸化チタンを製造している国内メーカーは、石原産業、テイカ、堺化学工業など数社。光触媒用酸化チタンの国内需要は、粉末換算で年間約200
トン前後(数億円に満たない)といわれており、原材料のみでは市場規模は小さい。
(参考)酸化チタンの種類 | |
・ | 工業的に用いられる酸化チタンは2種類(結晶構造の異なるルチル型とアナターゼ型)。 |
・ | ルチル型は、従来より白色顔料として、塗料、樹脂・繊維・紙等への添加剤に大量に使用 されている。 |
・ | 光触媒用としてはアナターゼ型が用いられる。 |
各事業分野における事業化の具体的事例
(1 )内外装材への適用事例
@内外装用タイル
: | 東陶;光触媒タイルを1996
年に実用化し、2001 年度で売上約 77 億円。 (タイル部門の総売上は約100 億円/年) |
|
・ | 価格は、通常のタイルとほぼ同程度(タイル需要が伸び悩む中、毎年3 割程度の売り上げ増)。 | |
・ | 内装用では、銅・銀等の抗菌性金属イオンと組み合わせて使用。 | |
DSCB社;欧州最大手のタイルメーカー(ドイツ)。 東陶鰍フ技術供与により、 光触媒タイルの生産・販売を開始(2000.7)。 |
Aテント
白色や淡色のテントを綺麗なまま保てるのに加え、内部の温度上昇抑制、照明削減などのメリットあり。
: | 太陽工業;酸化チタン光触媒を用いたセルフクリーニング性を持つテント膜材を開発(1998)、 本格的に販売(1999.5-)。 |
|
・ | 光触媒膜材が同社テント倉庫用膜材全体の約40
%。 (2001年;22万u、330棟, 1999年以来トータル;約45万u、680棟) |
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・ | 通常膜材のテント倉庫よりも10 %程度高い。 | |
(今後の課題) | ||
・ | ドーム用複合テント地の開発が技術的課題。 | |
B窓ガラス
: | PPG Industries 社;北米最大の板ガラスメーカー(米国)。 東陶鰍フ技術供与により、セルフクリーニングガラスを発売(2002 〜)。 |
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・ | 価格は通常の10 〜20 %増。 | |
Pilkington 社;英国。セルフクリーニングガラスを実用化と発表(2001)。 | ||
日本の板ガラスメーカー各社も技術的に完成しており、一部モニタリングを前提とした限定販売を開始。 |
: | (今後の課題) | |
・ | 高速スパッタリング法等のドライプロセスによる高品質で、かつ、低価格な窓ガラス材の開発が課題。 |
C外装用スチール鋼板・アルミ建材等
: | 川鉄建材;防汚・環境浄化型外装パネルを商品化(2000.6)
(ホーロー鋼板(焼き付け)、ステンレス鋼板(塗布))。 |
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・ | 2001 年で約1 億円の売上げ。2002 年は3 億円の売上げを見込む。 | |
日新製鋼;ビル用外壁材を商品化(2000)(光触媒塗料を焼き付け塗装)。 | ||
・ | 20 数件,1 万5 千uの設置実績,約4 億円の売上.今後2 年で,約5 万u、12 億円の売上見込。 | |
・ | 材料の設計価格は4 万5 〜7 千円/m2(300m2 以上)。 | |
YKK ;アルミパネル(焼き付け塗装)の外装材を開発(1999). | ||
・ | 防汚を目的に需要は拡大中。1 万m 2 の施工実績。 | |
(今後の課題) | ||
・ | 事業拡大のためには長期耐久性の保証が課題。 |
D外装用塗料 外壁用の塗料として販売されており、主に業者が施工。
: | 日本曹達;常温硬化型塗料を開発(1997)。 | |
・ | ポリエステルフィルムや汎用樹脂など様々な基材の表面にコーティング可能。 | |
・ | 大部分をテント、ブラインド等のメーカーに販売。需要は年々漸増。 | |
松下電工;酸化チタン光触媒塗料を商品化(1999)。 | ||
・ | ビル外装材へのコーティングを目的。タイル、アルミパネル、コンクリート等へ塗布可能。 | |
・ | 売上げは年間約1
億円で、年々増加。 標準設計価格(材料・施工込)は3,500 円〜8 千円/u 。 |
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ジャパン・ハイドロテクト・コーティングス;東陶鰍ニオキツモの合弁会社(JHC)。 外壁用の光触媒塗料を販売。 |
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・ | タイル用とそれ以外のセメント、金属、ペイント塗装面用。 | |
・ | 標準設計価格(材料・施工込)はタイル用で2600 円/u、その他用で5500 〜7400 円/u (ローラー仕上げ)。 | |
・ | 防汚性が15 年相当維持できることを確認済。 | |
石原産業;透明な光触媒コーティング材を商品化。 | ||
・ | 札幌ドーム、ソニータワー、東京外語大学等への施工実績あり。 | |
・ | 製品の製造を同社が行い、荻野塗料鰍ェ施工(専任施工アドバイザ)。 | |
(今後の課題) | ||
・ | 長期耐久性の保証。 |
(2
)道路資材への適用事例
@道路資材用塗料(防音壁、ガードレール、コンクリート等)
: | 三菱マテリアル;酸化チタン光触媒を利用した舗道用コンクリートブロックを開発。 | |
・ | 表層に光触媒を含む多孔質のセメント系硬化体を使用し大気との接触面積大。 | |
・ | 標準的な除去能力は、日中の12 時間で、0.045g/uのNOx を処理。 | |
(今後の課題) | ||
・ | 道路の舗装工事では、短時間での施工が要求される。長距離・大面積の幹線道路への本格的な施工に向けて、さらに効率的な施工技術、機器が必要。 (現在は専用の施工機器を用いて300u /時間の敷設が可能。) |
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・ | 性能評価方法の確立による通常舗装からのコストアップ分のメリットについてのユーザーの理解促進。 | |
(3
)家電・自動車関連製品への適用事例 @空気清浄機・冷蔵庫 |
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・ | 紫外線ランプ等を組み込むことにより光不足を解消。 | |
・ | 業務用の脱臭など、真に脱臭が必要な場所で効果を発揮できるものが出てきている。 | |
ダイキン工業;家庭用、業務用空気清浄機を商品化(1997)。 | ||
・ | 酸化チタン光触媒と紫外線ランプを組み合わせた光触媒ユニットを内蔵。 | |
・ | 同社は光触媒タイプの市場の約半分を占有。 | |
盛和工業;業務用の空気清浄装置を商品化(2000)。 | ||
・ | 高効率のセラミック光触媒フィルターを内蔵。光触媒フィルターの寿命を改善。 | |
・ | 化学工場、食品加工・生ゴミ処理関連施設、病院等に採用。分煙機も開発。 | |
・ | 4000 〜5000 万円の売上(2001)。当面年間200 〜300 台、約2 億円の売上を見込む。 | |
三菱電機;光触媒による脱臭方式の冷蔵庫を商品化(2001.9)。 | ||
・ | 光源に長寿命の紫発光ダイオード(LED )を使用。 | |
東芝;光触媒による脱臭装置のついた冷蔵庫を販売。また、業務用の分煙機を商品化。 | ||
A蛍光灯 | ||
日立GE ライティング;蛍光灯ガラス表面に酸化チタン光触媒をコーティングした製品を商品化。 | ||
・ | 一般家庭での利用が多い。汚れの付きにくさ、脱臭効果を目的に購入。 | |
・ | 1 か月に約5 万本の売上。同社のランプ売上全体の数%だが、年々漸増。標準価格は、通常蛍光灯に比べ約20 %高い。 | |
東芝ライテック;光触媒応用蛍光ランプを商品化(1998.2)。 | ||
・ | 年平均5 万本の売上。価格は980 円(20W),1600 円(40W)。(標準品は780 円(20W),1300 円(40W)) | |
(今後の課題) | ||
・ | 可視光型光触媒の導入等による消臭効果の向上。 | |
・ | 生産数量の増大による製品価格の低下。 | |
B自動車用脱臭装置 | ||
豊田合成;光触媒と光源に紫色発光ダイオード(LED )を用いた自動車用脱臭空気清浄機を開発し、商品化(2000.10- )。トヨタ自動車の一部の車種に搭載。 | ||
C自動車用ドアミラー | ||
ミラー表面に酸化チタン光触媒を直接コーティングしたものは、自動車ドアミラー市場全体の約10 %にあたる120 万枚を占め、この他に、同様の目的でドアミラーに貼付するための光触媒を含むフィルムが商品化されている。 | ||
椛コ上開明堂;光触媒を表面に加工した自動車用ドアミラー等の外部装着ミラーを商品化。 | ||
市光工業;日産自動車(株)、セントラル硝子(株)、帝国化学産業(株)と共同でゾルゲルプロセスによる自動車用ドアミラーを商品化(1998.6)。また、松下電工と共同で親水ミラーの簡便な製造プロセスを開発、2002 年8 月から商品化予定 。 | ||
D車体コーティング・ワックス | ||
東陶;自動車ボディ用コーティング材を商品化(1998)。 | ||
・ | コーティング材は、シリカを配合した酸化チタン光触媒で、光が当たらない場所でも親水性による防汚効果を維持。一回のコーティングで防汚効果は約6 ヶ月持続する。 | |
タイホー工業;酸化チタン光触媒を含む防汚ワックスを商品化(2000)。 | ||
・ | 塗装を傷めない塗膜構造を開発。フッ素系のカーワックスと同程度の設定価格。月1 万本前後の販売がある。 | |
(4
)生活用品等への適用事例 @ブラインド |
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ブラインドは太陽光が当たる場所で使用されるので、光触媒には向いている。 | ||
ニチベイ;酸化チタン光触媒をコーティングしたブラインドを発売(1999)。 | ||
・ | 年間約7 億円の売上(2001)。同社の売上の15%、販売量は年率30%の伸び。価格は通常品に比べ10 %程高。 | |
立川ブラインド;酸化チタン光触媒をコーティングしたブラインドを発売(1999)。 | ||
・ | 酸化チタン光触媒ブラインドは、同社のブラインド売上全体の1%強。価格は通常品に比べ約10 %程高。 | |
A壁紙・障子紙等 | ||
モルザ;光触媒障子紙や和紙のブラインドを販売。 | ||
・ | 光触媒をカプセル化したものをこうぞ等に漉き込む特殊加工で寿命は5 〜6 年以上。 | |
・ | 障子紙では家庭用は2000 年発売開始(1.5 万本(2001),約千円(95cmx3.6m))、業務用は2001 年発売開始。 | |
アイン・エンジニアリング;光触媒を固定した和紙を発売(2000)。 | ||
・ | 乾式パルプの表面に酸化チタン光触媒を固定。 | |
・ | 最も大きな需要は障子紙であり、2 〜3 年の寿命を持つ。障子紙が約千円/3.6m × 1m 。 | |
(今後の課題) | ||
・ | 光触媒の特性に合った紙製品の用途開発。 | |
・ | 可視光活性型の実用化。 | |
Bカーテン | ||
目的は、室内のホルムアルデヒド、キシレン等の除去及び抗菌、消臭など。 | ||
叶島織物;酸化チタン光触媒加工したカーテンを発売(2001.10)。 | ||
・ | 初年度は年間32 億円、次年度は40 億円の売上げを見込む。 平均価格は光触媒加工無しのカーテンと同等の価格設定(約2,600 円/m 2 (レースを除く)、約1,300 円/m 2 (レース))。 | |
・ | 5 回の洗濯後でも50 %の性能保持を実現。 | |
(今後の課題) | ||
・ | 長期安定性の向上、可視光下での性能向上。 | |
Cプラスチックフィルム | ||
プラスチックフィルムの内部に層構造または傾斜構造を持たせるなどの技術開発により、幅広い用途への適用を実現。耐久性も確認。 | ||
東陶;ドアミラー用フィルムを実用化(1998)。 | ||
・ | PET フィルム/中間層/光触媒層の層構造を持つ。 | |
東京磁気印刷;防汚用フィルムを開発(2001.9)。 反射板等の道路資材、屋外看板、広告塔用に販売。 |
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・ | PET フィルム/中間層/光触媒層(コーティング)の層構造を持つ。促進試験では3 年の耐久性を実現している。 | |
・ | 価格は約3400 円/m2 (9 万8 千円/96cm ×30m )。 | |
宇部日東化成;屋外の看板、広告塔等向けに現在サンプル出荷中、2002 年10 月の商品化を目指す。 | ||
・ | 自己構造化の手法を用いて成分傾斜膜と呼ばれる中間層の開発に成功。 | |
・ | 防汚機能が、長期間(10 年程度)保持されることを確認済。 | |
(今後の課題) | ||
・ | 長期耐久性の保証と用途開発 | |
(5
)環境浄化への更なる展開の事例 @土壌・地下水中の揮発性有機化合物(VOC )除去等 |
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アデカ総合設備; トリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物(VOC )の分解・中和装置を商品化(1998- )。 |
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・ | 揮発性有機化合物(VOC )を曝気処理により気層にして処理。すべてを汚染現場で処理できる。 | |
・ | 土壌・地下水中のVOC 浄化設備のシェアは我が国最大。 | |
住友金属工業;揮発性有機化合物(VOC )の分解・中和装置を商品化(2002)。 | ||
・ | すべてを汚染現場で処理できるのが特徴。既に汚染現場で2 年半の装置駆動の実績あり。 | |
A環境浄化への新たな取組 | ||
・ | 酸化チタン光触媒が持つ開放空間での処理が可能との特徴を活かすことができれば、すなわち、環境中に低濃度で広がる汚染物質を除去する場合に、「低濃度の状態のまま、無尽蔵な太陽エネルギーのみを利用することによって処理できる」との特徴を活かすことができれば、環境浄化などの分野において大きく飛躍する可能性を持つと考えられる。 | |
・ | このような考え方に基づけば、高効率に処理するために人為的に吸引することなどによって濃縮する際に必要となる新たなエネルギー投入等が、新たな環境問題を引き起こす可能性を持つことと対照的であり、環境問題を解決するための社会システムを考える上で重要な視点と考えられる。 |
その他の用途
: | ○ | ここまで取り上げてきたものも一部に過ぎず、各々の事業分野において幅広い取組が多くの事業者により進められている。さらに、酸化チタン光触媒をコーティングした建材表面で、その超親水性により水が効率良く蒸発する現象を利用する冷却システムの開発や、酸化チタン光触媒の分解力に着目したガン治療への応用など、様々な技術開発が進められている。 |
○ | また、酸化チタン光触媒が酸化力と同時に持つ還元力に着目した、“太陽光による水素製造”を目指した「水分解」の実現に向けた研究も、引き続き取り組まれている。 |
http://www.ubenitto.co.jp/RD20020620/hydwrap1.htm
「ハイドラップ」は光触媒効果を応用した透明なセルフクリーニングフィルムです。光(太陽光)で汚れを分解し、水(雨)で汚れ洗い流すので、看板や標識などの屋外表示物をいつもきれいに保てます。
また東京大学先端科学技術研究センターと共同開発した成分傾斜膜を中間層に用いていることにより、これまでにない耐久性を実現しています。
日本パーカライジング 光触媒コーティング剤(パルチタンシリーズ)
http://e-trade.kitakyu-techno-ctr.co.jp/ja/seeds/kitakyu/093.html
技術分野 抗菌 防曇性 防汚性 利用分野 建築材料
2002/5/8 旭硝子/富山大学工学部/日本カーリット/東芝ライテック
光触媒セルフクリーニングガラスの共同開発に成功
http://www.agc.co.jp/news/2002/0508.html
富山大学工学部蓮覚寺(れんがくじ)教授、日本カーリット及び東芝ライテックと共同で、非常に高い光触媒効果を与える新型の酸化チタン光触媒膜を形成することにより高い汚染分解性能と高耐久性が特長である「セルフクリーニングガラス」の開発に成功し、トンネル用照明カバーガラスを始め多用途展開が可能となりました。
日本経済新聞夕刊 2003/1/23
建物冷やす新建材 YKK・川鉄など 光触媒を活用
技術共同開発
YKKや川崎製鉄、TOTOなど7社は、表面に水を蓄える特殊な建材を使うことによって住宅や事務所ビルの冷房効果を高める新技術の実用化に共同で取り組む。
日本経済新聞 2003/2/21
光触媒、新用途開発進む 土壌浄化・冷却効果ある建材 市場、1兆円に拡大も
光を当てると汚れを分解する光触媒技術の新たな応用を目指した研究が活発になっている。土中有害物質の浄化や冷却効果を持つ建材の開発が始まった。現在の光触媒関連市場は自浄作用を持つ建材など300億ー400億円。新用途の実用化が成功すれば1兆円に飛躍するとの試算もある。
毎日新聞 2003/8/9
研究者たちの素顔
光触媒を発見し、実用化に結び付けた神奈川科学技術アカデミー理事長、藤嶋昭さん(61)
◆半導体に光を当て、その性質を探る研究を進めていた大学院時代の67年、偶然出合ったのが酸化チタンだつた。
◆酸化チタンが光を浴びると、表面の電子の状態が変化し、強力な酸化作用が起きる。水は、この酸化作用で分解されていた。1年後、指導教官の本多健一助教授(現東京工芸大学長)と学会誌に論文を発表した。だが反響はなかった。
◆光触媒による水の分解はホンダ・フジシマ効果と呼ばれるようになった。だが、光触媒に実用化の道が開けたのは、発見から20年以上たった89年。きっかけは、研究室近くのトイレのにおいだった。
◆95年、酸化チタンの超親水性が確認された。酸化チタンをコーティングしたガラスは曇らず、汚れない。光触媒の応用範囲はどんどん広がっている。
日本経済新聞 2003/12/12
光触媒 応用広がる
JR東海 喫煙車輌を脱臭
宇部興産 循環風呂で殺菌
脱臭、殺菌効果などの機能を持つ光触媒を業務用に使う動きが一段と広がってきた。東海旅客鉄道(JR東海)は新型新幹線車両の導入に備え、光触媒を使った脱臭装置を開発する。宇部興産は循環式の風呂の浄化装置を実用化した。畜産業でも悪臭対策向けに光触媒を応用する研究が本格化してきた。話題先行で注目された光触媒の市場が一気に膨らむ可能性が出てきた。
環境分野で拡大の兆し
日本経済新聞 2004/2/6
光触媒研究、海外でも 日本発の技術、国際競争激しく
中国、量産で安価に 米は毒ガステロ対策
窓ガラスの浄化や有害物質の分解に効果を発揮する光触媒の実用化研究が、海外でも盛んになってきた。このほど開催された光触媒の国際会議で、中国は低コストの生産技術の開発成果を説明、量産計画も公表した。欧米の研究者は毒ガスによるテロ対策や環境対策に役立てる光触媒の用途開発計画を明らかにした。光触媒は日本発の技術で、市場も国内に限られていたが、今後は国際競争も激しくなりそうだ。
技術供与で海外開拓 日本企業、戦略転換迫られる
2005/9/7 三井化学
高性能光触媒の新規事業化
http://www.mitsui-chem.co.jp/whats/050907.pdf
当社(社長:藤吉建二)はオレフィン重合触媒を中心に、触媒科学の分野で主導的な役割を担っておりますが、この度、既に事業化している各種ポリマー製造用触媒に加え、新たに高性能光触媒の市場開発に着手いたしました。
〈事業化計画の概要〉
1.製品:高性能光触媒
2.技術:自社技術(無機ナノ制御技術)
3.スケジュール:2006年度販売開始予定
4.売上高:25億円〈2011年度)
一般的に、光触媒は、光分解力と超親水性を有するため、汚れの分解、消臭・脱臭、抗菌・殺菌、有害物質の除去、ガラス等の曇り防止、防汚などの機能があることで知られており、現在、空気清浄器、建物の外壁・建材、抗菌・脱臭用繊維・紙、自動車の防汚コーティング等、幅広い分野で用いられ始めましたが、内装分野においてはその分解力がニーズに対して十分でないと一般的に言われて降ります。
今回、当社が新たに開発した高性能光触媒(以下、「本触媒」)は、当社の触媒科学で培われた無機ナノ制御技術を駆使して開発した独特の構造の光触媒で、従来の光触媒に比べ非常に強い光分解性能を有しています。そのため、蛍光灯のような弱い光にも反応し、有害物や臭いを分解することができます。また、本触媒は、非常に高い吸着性能を有しているため、無光下においても、有害物や臭いを吸着除去することが可能です。加えて、本触媒は、高温耐性という特長も併せ持っており、タイル・陶磁器分野への展開も期待されます。更に、有機基材分解抑制という特長を有していることから、フィルム・シート・繊維・不織布などの有機系基材分野への展開も期待されます。
これらの特長を活かし、光の弱い室内の内装材分野などを中心に積極的に用途展開を推し進めてまいります。
当社は今後とも、機能性材料分野の拡大・成長に向け、更なる新製品開発・新規用途開発の加速を図っていく方針です。