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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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LG Chemは7日、浙江省寧波で2つの工場の竣工式を行った。
一つは寧波LG甬興化工(Ningbo LG Yongxing Chemical :LG Chem 75%/甬興化工 25%)のABSプラントで、76百万ドルを投じて15万トンプラントを新設した。既存プラントと合わせ48万トンとなる。
付記
その後の手直しで58万トンとなった。
2012年に70万トンにする予定。別途、広東省恵州市中国海洋石油(CNOOC)との50/50 JV CNOOC & LG Petrochemicals Co で建設、
2011年に先ず15万トンをスタート、2013年に倍増して計30万トンを生産する。恵州プラントが完成すれば、LG Chem の中国の能力は100万トンとなり、麗川の60万トンと合わせ、全体能力は160万トンとなる。
LGでは中国のABSの需要を310万トンで、年率8%で伸びるとしている。
LGは韓国の麗川工場の56万トン、寧波の33万トンと合わせると、合計89万トンの能力で、世界のABS市場の15%を抑えているが、能力では台湾の奇美に次いで2位である。今後の中国市場の伸びを考え、増設を行った。増設後の合計能力は104万トンとなる。
寧波LG甬興化工は1998年設立で、当初の能力は6万トン、2001年に15万トンに、2002年に20万トンにし、2004年に手直しで33万トンとしている。
同日、ABSプラントに隣接して、7万トンのSBラテックスプラントを竣工した。寧波LG甬興ラテックス(Ningbo
LG-Yongxing Latex:2004/6設立)が運営する。同社のSBラテックス能力は、麗川工場の8万トンと合わせ、15万トンとなる。
ーーー
LG Chem は2005年1月1日に中国に持株会社 LG
Chem (China) Investment を設立した。
同社では2003年の中国の売上高15億ドルを2006年に32億ドルとし、2008年には売上高45億ドル、営業利益率7%にし、売上高と利益率で中国の化学会社のトップ5になる計画をたてている。現地生産については2005年に57%、2008年に79%とし、最終的には100%にしたいとしている。
同社の中国の活動拠点は添付図の通り。
各社の概要は以下の通り。
天津LG大沽化工 Tianjin LG Dagu Chemical Co., Ltd. | |
設立 | 1996 |
立地 | 天津市塘沽 |
出資 | LG化学グループ85% 天津大沽化工 15% |
製品 | PVC |
能力 | 340千トン '98/4 100 |
天津LG渤海化工 Tianjin LG Bohai Chemical Co., Ltd. | |
設立 | 2005 |
立地 | 天津臨港産業区 |
出資 | LG
Chem 45% LG Petrochemical 20% LG International 10% LG Dagu 10% 渤海化工(Bohai Chemical) 15% |
能力 | 苛性ソーダ 240千トン EDC 300千トン VCM 350千トン |
備考 | VCMは天津LG大沽化工に供給 LGは2002年、中国でのPVC用に、豪州グラッドストーンで、現地の
Cheetham Salt と 渤海化工(Bohai Chemical)は天津大沽化工の親会社 付記 天津LG渤海化工は2007年9月、竣工式をあげた。 |
Tianjin LG Window & Doors Co., Ltd. | |
設立 | 2003 |
立地 | 天津市 |
出資 | LG Chem |
製品 | PVC窓枠 |
能力 | 20千トン |
Tianjin LG New Building Materials Co., Ltd. | |
設立 | 1996 |
立地 | 天津市 |
出資 | LG Chem |
製品 | PVCタイル、高光沢シート |
寧波LG甬興化工 Ningbo LG Yongxing Chemical Co., Ltd. | |
設立 | 1996 |
立地 | 浙江省寧波市 |
出資 | LG化学 75% 寧波甬興化工 25% |
製品 | ABS |
能力 | 今回増設で480千トン 当初 60 2001 150 2002 300 2004 330 |
寧波LG甬興ラテックス Ningbo LG Yongxing Latex Co., Ltd. | |
設立 | 1998 |
立地 | 浙江省寧波市 |
出資 | LG化学 寧波甬興化工 |
製品 | SBラテックス |
能力 | 70千トン |
LG Chemical (Guangzhou) Engineering Plastics Co., Ltd. | |
設立 | 2003 |
立地 | 広州市 |
出資 | LG Chem |
製品 | エンプラコンパウンド |
LG Chemical (Tianjin) Engineering Plastics Co., Ltd. | |
設立 | 2004 |
立地 | 天津市 |
出資 | LG Chem |
製品 | エンプラ・ABSコンパウンド |
能力 | 20千トン |
LG Chem(Nanjing) Information & Electronica Materials | |
設立 | 2003 |
立地 | 南京市 |
出資 | LG Chem |
製品 | Rechargeable Battery TFT液晶ディスプレイ用偏光フィルム |
LG Chemical Phosphor Materials | |
立地 | 湖南省長沙 |
出資 | LG Chem |
製品 | PDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)用蛍光体 |
2006/9/13 日本のPVC業界の変遷と現状−1
2006/9/14 日本のPVC業界の変遷と現状−2
2006/9/15 新日本石油化学、OCTプロピレン設備完成
新日本石油は11日、川崎の新日本石油化学のOCTプロピレン設備(とイソオクテン製造装置)が1日から稼動を開始したと発表した。
OCTは能力14万トンで、同事業所のエチレン、ブテン留分のほか、室蘭と根岸製油所のFCCから発生するFCCブテンも原料とする。
川崎のプロピレンは既存のナフサ分解炉の38万トンと合わせ、52万トンとなる。
同事業所のエチレン能力は45万トンのため、プロピレンがエチレンを上回ることとなり、同社で名実共にエチレンセンターからプロピレンセンターに転換するとしている。
2005年3月に発表した新日本石油の2005-07年度第3次中期計画では石油精製と石油化学の一体化(CRI=Chemical
Refinery Integration)の更なる推進による石油化学製品の増産をうたい、アジア市場をにらみ、特に需給の逼迫が予想されているプロピレン・パラキシレンに軸足を置き、設備投資とCRIの更なる推進によるコスト競争力を確保しつつ、輸出を拡大するとしている。
|
2005年には水島製油所でFCCプロピレンの精留塔(プロピレン8万トン/年)の営業運転を開始した。2007年には仙台製油所の高付加価値化計画でプロピレンスプリッター設備が完成する。(プロピレン10万トン/年)
ーーーー
OCT(Olefins Conversion Technology)は、TECがABB Lummusの技術ライセンスをLummus社と共同でアジア地区における販売・設計を実施しているもので、TECは2002年に三井化学から大阪工場向に中国を除いたアジア地域で最初のOCTプラントの設計・建設を受注している。
三井化学は2004年秋に14万トン設備を稼動している。ブタジエンを含むクルードC4留分10万トンを水添したあとエチレン4万トンを加えて反応させ年間14万トンのプロピレンを得るもの。
新日石化学向けは2番目で、3番目は2004年8月に大韓油化工業から11万トン設備を受注している。
OCTプロセスは触媒を使ってエチレン、2-ブテンからプロピレンを製造することで廉価にプロピレンを増産するルートとして開発された。
OCTプロセスではプロパンを生成しないため、エチレンプラントやFCCで使われる精密蒸留(スプリッター)を必要とせず建設費及び用役消費が軽減される。また、OCTプロセスは熱的にニュートラルな反応であり、競合する他のプロピレン増産プロセスと比較して、少額の投資で用役コストも少なくプロピレンを製造できる非常に優れたプロセスであると言われる。
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なお、旭化成は本年6月に水島製造所で独自開発した接触分解装置「オメガプロセス」の実証プラントを建設し、6月初旬より商業運転を開始した。
オメガプロセスは、石化プラントや石油精製プラントから副生する C4・C5ラフィネートを原料とし、同社が開発した独自の触媒を用いて従来の熱分解法より低温条件下でエチレン・プロピレンを製造する装置。
オメガプロセスの特長は、 | |
1) | オメガプロセスを導入することで、 オレフィン(エチレン、プロピレン)生産量あたりのエネルギー使用量を現状より3%以上低減させる と同時にCO2排出量も大幅に削減することができる。 |
2) | オメガプロセスは、エチレン1に対しプロピレンが4 生成するという、従来法では成し得ない選択的なプロピレン製造を可能にした。 従来のナフサ熱分解法ではエチレンに対するプロピレンの生産比率は0.65が最大であったが、 オメガプロセスを組み合せることで生産比率を0.8にすることが可能になる。 |
副産物が増えるように分解炉を低温運転するため、エチレンの生産量は減少するが、低温運転のためエネルギー消費量も20%節約できる。
NEDOの平成16年度「エネルギー使用合理化事業者支援事業」に採択されている。
2006/9/16 Westlake Chemical、20周年
台湾資本のWestlake Chemical は事業開始から20年を迎えた。12日から各地で式典がおこなわれている。
同社は1985年に設立され、1986年にルイジアナ州Lake Charlesのポリエチレン工場を Cities Service
Company から取得して操業を開始した。その後、エチレン、LLDPE、SMを新設した。
その後、Calvert
City(KY)でAir
Products and ChemicalsからPVCプラントを、BF Goodrichから電解、エチレン、VCMプラントを買収した。
2002年には倒産したBorden Chemicals
and PlasticsからGeismar(LA)のVCM、PVCプラントを買収している。
また、PVC製品分野でパイプ、窓枠、その他の工場を多数買収、建設している。
一方、Norsk Hydro とのJVを中国に設立し、PVCと塩ビフィルム・シートを生産している。
同社については2006/4/15 「台湾の石油化学」で以下のように述べている。
「華夏プラスチック(CGPC)の元のオーナーのT.T.Chaoは台湾政府と問題を起こし、名目上撤退して持株をBritish Tire & Rubberの豪州子会社、BTR Nylexに譲渡したが、米国とマレーシアに進出した。
米国ではWestlakeを設立、ルイジアナ州Lake Charlesでエチレン、LDPE、LLDPE、SMを、ケンタッキー州のCalvert Cityでエチレン、塩素、VCM、PVCを生産している。同社は破産したBorden Chemicals and Plastics からルイジアナ州GeismarのPVCプラントを買収している。
Chaoグループはマレーシアの国有Permodalan
Nasional Berhad と組んでパシールクダンにTitan
Chemicalsを設立、石化コンプレックスを建設した。
エチレン70万トンで、HDPE、LLDPE、LDPE、PPを生産している。
同社は昨年、インドネシアのPT PENI (当初 BP/三井物産/住友商事JV:LLDPE/HDPE
45万トン)を買収し、PT Titan と改称した。」
また、2006/5/26 「アジア企業の海外展開」ではトリニダッド・トバコ進出計画に触れた。
「本年4月、Westlake Chemical と南米北端のカリブ海にある島国のトリニダッド・トバコ政府は、同国でエタンベースで57万トンのエチレンとポリエチレンほかの誘導品事業を行う覚書を締結した。当面の予想所要資金は15億ドルで、2007年後半にスタートを目指してFSを行う。安価な原料とその立地を利用して、中南米の成長市場での販売が可能と考えている。」
ーーーー
Westlake Chemical
の現在の能力は以下の通り。(単位:100万ポンド、2.2で割ると千トン能力)
事業部 | 製品 | 立地 | 合計 | ||
Lake
Charles (LA) |
Calvert
City (KY) |
Geismar (LA) |
|||
Westlake Petrochemicals | エチレン | 2,400 | |||
Westlake CA&O | エチレン | 450 | 2,850 | ||
塩素 | 410 | 410 | |||
ソーダ | 450 | 450 | |||
Westlake Polymers | LDPE | 850 | 850 | ||
LLDPE | 550 | 550 | |||
Westlake Monomers | VCM | 1,300 | 600 | 1,900 | |
Westlake PVC | PVC | 800 | 600 | 1,400 | |
Westlake Styrene | SM | 485 | 485 | ||
North American Pipe | PVC Pipe | Booneville(MS), Springfield(KY), Litchfield(IL),Wichita Falls(TX), Van Buren(AK),Bristol(IN), Leola(PA),Greensboro(GA) |
810 | ||
Westech Building Products | Fence, Deck and Railing | Evansville(IN) | 75 | ||
Doors and Window Profiles | Calgary(Alberta), Pawling(NY) | 30 | |||
Suzhou Huasu Plastics Company (蘇州) |
PVC | Westlake
43%/Norsk Hydro 32%/ Jiangsu Chemical Pesticide Group 14%/ China Taicang Petrochemical 3% |
726 | ||
PVC film & Sheet | 132 |
付記
その後、
同社のこの20年の動きは以下の通り。(単位は百万ポンド)
1985 | 設立 | |
1986 | Cities Service CompanyからLDPE(220)を買収 | →1988年 750 →1993年 850 |
1990 | B.F. Goodrich からVCM(1,000)を購入 | |
1991 | Lake Charlesでエチレン(1,000)スタート | →1997年 2,300 |
1991 | Air Products and ChemicalsからCalvert CityのPVCを買収 | |
1992 | Lake CharlesでSM(350) スタート | |
1992 〜94 |
塩ビパイプ工場買収 | |
1994 | カナダの塩ビ窓枠工場買収 | |
1995 | 蘇州の塩ビフィルム・シートJVスタート | |
1996 | New Yorkで塩ビフェンス製造開始 | |
1997 | BF GoodrichからCalvert Cityの電解、エチレン、VCM買収 | |
1998 | LLDPE製造開始 | |
1999 | 蘇州のJVでPVC製造開始(13万トン) | 2004年末に33万トンへの増設決定 |
2002 | Borden Chemicals and Plastics からVCM、PVC工場買収 |
注 Borden Chemicals and
Plastics は3つのPVCプラントをもっていたが、全て売却した。
Addis, Louisiana 工場:Shintech が購入、工場廃棄
Illiopolis,
Illinois 工場:Formosa Plasticsが購入 (2004/4 爆発事故)
Geismer, Louisiana工場:Westlake が購入
2006/9/18 日本のVCM業界の変遷−1
2006/9/19 日本のVCM業界の変遷−2
2006/9/20 中国、日本からの輸入食品や化粧品に禁止物質発見
中国の国家質量監督検験検疫総局はこのたび、日本からの輸入食品や化粧品に禁止物質や基準値を超える物質が続々と発見されていると発表した。
国家質量監督検験検疫総局 (AQSIQ)は中国全土で販売される商品全般の品質検査・管理、輸出入衛生検疫、輸出入動植物検疫、認証認可、品質管理の基準化作業などを行う国務院の直属機関。中国語の「質量」は「品質」の意味。
深セン検験検疫局では、日本から輸入された魚肉ソーセージに中国の最高基準値の17.3倍に当たる1キロ当たり1.3グラムのソルビン酸が検出された。このほか、九州地方で生産された大根の漬物からも基準値を上回るソルビン酸を検出した。
山東省の検験検疫機関で、日本から輸入された冷凍タチウオから微量のリステリア菌が検出された。リステリア菌はヒトや家畜に敗血症、脳膜炎、単核細胞の増加などを引き起こすなど、人々の安全を脅かす。
天津市の検験検疫局で基準値を超える細菌を含む日本産コーヒーが見つかった。また遼寧省の検験検疫局で、日本からの冷凍タコ1181ケースから黄色ブドウ球菌が検出された。
広東省の検験検疫局で日本製ケーキから基準値を上回るアルミニウムが検出された。日本製のデンプン粉18トンから基準値を大きく上回る二酸化硫黄が、冷凍カキから基準値の約5倍のカドミウムが検出されている。
広東省の境検験検疫局は又、プロクター・アンド・ギャンブル
グループのマックスファクター社が製造した「SK―II」ブランドの化粧品から、配合が禁止されているクロム、ネオジムなどを検出した。
クロムはアトピー性皮膚炎や湿疹などのアレルギー反応を引き起こす可能性があり、発病すれば治癒までに時間がかかるうえ、大変治りにくい。ネオジムは目や粘膜に強い刺激を与えるほか、皮膚にも刺激を与え、吸い込むと肺血栓塞栓症や肝機能障害をもたらす可能性がある。いずれも中国や欧州などの関連規定では、化粧品への配合が禁止されている化学物質。
北京ではSK―IIの返品ラッシュ始まったという。
質検総局はこうした問題について、日本政府の主管部門と駐中国大使館に書簡を送り、日本の関連部門が対中輸出食品の管理を強化し、中国の国家基準に合致させることを保証するよう求めた。
また同局は各地の検験検疫機関に通知を出し、日本からの輸入食品の検査を強化し、食品の安全を確保するよう求めている。
日本経済新聞(9/15)は、「日本政府による残留農薬規制の強化に対抗し、日本製品への検査を厳格化している可能性が高い」としている。
ーーーー
日本ではこれまで、食品残留基準にネガティブリスト制度を採用していた。
厚生労働省が食品衛生法に基づいて残留農薬基準を設定しており、残留農薬基準を超えるような農薬が残留している農産物は、食品衛生法により販売禁止などの措置がとられる。
この場合、規制するものをリスト化(ネガティブリスト)し,リストに記載された農薬のみに残留基準が定められたが、残留農薬基準が設定されている農薬等は約250農薬に過ぎなかった。
「不検出」(検出されてはいけない物質)は、2,4,5-T
など15物質。
このため,残留基準が定められてない農薬では,残留が検出されても基本的に規制対象外となり流通することが出来た。輸入農産物に、国内で使用されていない農薬の残留があってもリストに無い農薬であれば,流通を規制することが出来なかった。
厚生労働省は2003年に食品衛生法を改正し、基準が設定されていない農薬等が、一定量を超えて残留する食品の流通を原則禁止するポジティブリスト制度に、3年以内に移行することを決定、本年5月29日から施行された。(添付図参照)
規制の対象
規制対象物質 …
農薬、動物用医薬品、飼料添加物
規制対象食品 … 加工食品を含むすべての食品
・ | ポジティブリスト制では、国内や海外で使用されるすべての農薬や動物薬、飼料添加物(799成分)について、国際基準であるCodexや農薬登録保留基準、先進諸外国の基準を参考として暫定的に基準値(暫定基準)が設定され、基準値をオーバーする食品(加工食品を含む)については流通が禁止される。 |
・ | 残留基準が定められていないものについては「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が一定量を告示する」こととなっており、0.01ppm と告示された。 |
・ | なお、「人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるもの(特定農薬等)」として厚生労働大臣が指定する物質は本制度の対象外となり、65物質が指定されている。 |
(例)コメの残留基準(単位:ppm)
農薬等 従来基準 改正基準 2,4,5-T 不検出 不検出 2,4-D 0.1 0.1 アセフェート 基準なし 基準なし→0.01適用 アセキシノル 基準なし 暫定基準→0.02
この制度により、農薬の飛散による影響などが懸念されるが、日本への農産物の輸出が多い中国が大きな影響を受け、日本向け輸出量が減少した。
5月30日には中国商務部の報道官は以下の通り述べている。 | |
・ | 日本が「食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度」を実施すれば、中国の対日農産物輸出に対するハードルは引き上げられることになり、両国の農産物貿易に大きな影響を与えるだろう。 |
・ | 29日から実施されているポジティブリスト制度は技術基準問題にとどまらず、貿易の公平さにもかかわってくる。中国は消費者の健康と安全を守ろうとする日本政府の立場を尊重するが、ポジティブリスト制度が中国の農産物企業と農民の利益に与える利益にも大きな関心を寄せている。 |
・ | 日本政府が食品の品質保証を前提に、正常な貿易が影響を受けないよう必要な措置を講じることを中国は望んでいる。また広範な中国の農産物輸出企業が関係省庁と業界組織の指導のもと、生産管理を強化し、自主検査能力と自主規制能力を高め、主体的に措置を講じて輸出リスクを回避するよう望んでいる。 |
食品衛生法では輸入食品に関して以下の規定がある。
厚生労働大臣は、食品衛生上の危害を防止するため必要があると認めるときは、生産地の事情、過去の違反事例等その他の事情からみて食品衛生法に違反するおそれがあると認められる食品、添加物、器具又は容器包装を輸入する者に対し、当該食品、添加物、器具又は容器包装について、厚生労働大臣又は登録検査機関の行う検査を受けるべきことを命ずることができるとされており、命令を受けた者は、当該検査を受け、その結果の通知を受けるまで、当該食品等の販売又は営業上の使用が禁止される(検査命令)。
検査の結果、食品衛生法違反であることが判明した食品等については、廃棄、積み戻し等の措置が行われることとなる。
ーーーー
食品輸入をめぐる争いに関しては、中国と韓国のキムチ問題があった。
昨年、韓国政府が中国からの大量のキムチ輸入への対応として製品検査をしたところ、寄生虫卵が発見され、発表した。
これに対して中国側は、韓国製のキムチからも寄生虫卵が発見されたと発表、韓国側で調べたところ16社の製品から検出され、中国の発表が事実であると確認された。(日本も輸入していた)
付記(9/23)
国家質量監督検験検疫総局は21日再び緊急通知を出し、各地方の検験検疫部門に対して、日本産輸入食品の検査を強化し、問題のある食品の国内流入を断固として防ぎ、輸出入食品の安全性を確保するよう求めた。
関連の検験検疫機関は問題のある食品について、「中華人民共和国輸出入食品検験法」とその実施条例の規定に基づき、すでに輸入禁止措置を発動している。
GEは14日、シリコーン事業のGE Advanced Materials をApollo Management, L.P.,に38億ドルで売却すると発表した。GEは1971年に東芝と設立したGE Toshiba Silicones、1998年にBayerと設立したGE Bayer Silicones の2つのJVを持つが、両社からJV持分を買い取ってGE 100%とした上で、本体とともにApollo に売却する。なお、GEはApollo の新会社に10%出資する。
付記 Apollo の新会社はMomentive Performance Materials
GEは、工業部門をより成長の高い、より利益率の高い分野に向ける大きな一歩としており、JV持分買収費等を差し引いたネット売却収入の20億ドルを、この部門の成長とリストラの原資にするとしている。
東芝はジーイー東芝シリコーン(GE 51%/東芝 49%)と、その子会社6社の株式をGEに売却すると発表した。
GETOS
Singapore Pte.Ltd.、
GE
Toshiba Silicones Asia Pacific Pte.Ltd.、
GE
Toshiba Silicones (Nantong) Co., Ltd.
GE Toshiba
Silicones Hong Kong Co., Ltd.、
GE
Toshiba Silicones Shanghai Co., Ltd.、
GE
Toshiba Silicones Thailand Ltd.
同社は1953年にシリコーン事業を開始し、1971年からGEグループとの合弁会社でシリコーン事業を営んできたが、現在ではシリコーン事業は同社グループの他の事業との関連性が低い状況となっており、GEの提案に同意したとしている。
譲渡価格は約570億円、売却益(税前利益)は約380億円。
Bayerも同日、売却を発表した。GE Bayer Silicones は1998年に両社のシリコーン事業を統合して設立された。ドイツ、オランダ、英国とインドに工場を持っている。Bayerの売却額は475百万ユーロで、売却益は250百万ユーロとしている。
付記
2006年12月、GE Advanced Materials は Momentive Performance Materials となった。
GE東芝シリコーンはモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズとなった。
(いずれもApollo 90%、GE 10% 出資)旧・GE東芝シリコーンは中国に4つの製造拠点をもつ。
上海市 GE東芝シリコーン(上海) 浦東地区と松江地区に2工場
広東省深セン市 JV、深セン通用精細有机硅有限公司
(GE東芝シコーン 51%/深セン市広化実業発展有限公司 49%)
江蘇省南通市の南通経済開発区で第4工場建設中。2007/7 新しいJV認可
浙江省建徳市 浙江新安モメンティヴ・シリコーン(Xin'an 51%/Momentive 49%)
Zhejiang Xinan Momentive Performance Materials付記 siloxane 50,000 ton 2010/4Q 生産開始
増設計画(150千トンへ) 2013年スタート予定ーーーー
シリコーン(Silicone)は、ケイ素(シリコン:Silicon)と酸素からなるシロキサン結合(≡Si-O-Si≡)を骨格とし、そのケイ素(Si)にメチル(-CH3)を主体とする有機基が結合したポリマーで、無機質のシロキサン結合と有機基との結び付きにより、炭素ー炭素結合を持つ有機化合物やポリマーと比較し数多くの優れた特性をもっている。
(耐熱・耐寒性
耐候性 電気絶縁性 化学的安定性
撥水性 消泡性 離型性)
形状はオイル、エマルジョン、レジン、ワニス、ゴムおよびパウダーなどと極めて多様で、用途も多岐にわたり、いろいろな分野で利用されている。
日本のシリコーン工業会 メンバーは以下の通り。
付記 2010/6現在 | ||
東レ・ダウコーニング・シリコーン | Dow Corning:65%、東レ:35% | 東レ・ダウコーニング |
GE東芝シリコーン | General Electric:51%、東芝:49% | モメンティブ・パフォーマンス・ マテリアルズ・ジャパン合同会社 |
旭化成ワッカーシリコーン | Wacker:50%、旭化成:50% | 旭化成ワッカーシリコーン |
信越化学工業 | 信越化学工業 | |
チッソ | チッソ |
* 他に、日本ユニカーがメンバーであったが、東レ・ダウコーニング・シリコーンに事業を売却した。
ーーーー
2001年2月、信越化学はGE/東芝グループと50/50出資のシリコーンモノマーの製造会社をタイに設立した。
社名はAsia Silicones Monomer Limitedで、能力は年間約7万トン(シロキサンベース)
、アジア最大の単独シリコーン製造工場
である。
このJVについては今回の発表では触れられていない。
信越はまた、タイにシリコーン製品の生産・販売を行う全額出資子会社「シンエツ・シリコーンズ・タイランド」を設立。上記JVのシリコーンモノマー設備の完成に合わせて、製造開始した。
付記
GEはAsia Silicones Monomerの持株をMomentive Performance Materials に売却せず、株主のままとなっている。
付記
信越化学は2013年5月17日、GE保有の株式を全量買い取り、完全子会社とした。取得価額は約150億円。
信越化学は2002年にシリコーン製品の製造販売に関する合弁会社を中国に設立している。
社名 浙江信越精細加工有限公司
出資 信越化学 90%、TOPCO International 10%
東レ・ダウコーニング・シリコーンは中国上海市にミラブル型シリコーンゴムの製造販売会社
Ling Dao Silicone (上海)を設立している。
本年8月、ダウコーニングとワッカーは中国・張家港市でのシリコーン事業のJV、Dow Corning
(Zhangjiagang) Co, Ltd. の認可を得ている。
ポリマーのシロキサンを製造するもので、シリコーン樹脂の充填材などに使う乾式シリカの製造JVも設立する。ダウコーニングがシロキサン、ワッカーが乾式シリカを担当する。
付記
2008年11月14日、生産開始。
参考資料:シリコーン工業会ホームページ
2006/9/22 エチレン業界の変遷−1
2006/9/23 エチレン業界の変遷−2