ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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既報の通り、経済産業省は8月25日、エチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品等の石油化学製品についての、西暦2013年までの世界の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。
2009/8/26 世界の石油化学製品の今後の需給動向
これによると、世界のエチレン系誘導品の需給予想は以下の通り。
詳細データの発表はまだないため、昨年発表分(2006年までの実績、2012年までの予想)を元に、今回発表の2007年実績を置き換え、2013年予想を加えた。
経済情勢の変化を折り込み、2013年予想では昨年の2012年予想と比べ、それぞれ減少している。
2007年と2013年のエチレン系誘導品の需給は以下の通り。
2013年の需要と能力・生産は前年の2012年予想より減ってはいるが、余剰能力(能力ー生産)と需給バランス(生産ー需要)は増大している。
2007年実績
能力 130.7百万トン
生産 115.9百万トン 余剰能力 14.8百万トン
需要 111.3百万トン バランス 4.6百万トン(余剰合計 19.4百万トン)2013年予想
能力 159.6百万トン
生産 137.2百万トン 余剰能力 22.4百万トン
需要 127.6百万トン バランス 9.6百万トン(余剰合計 32.0百万トン)
地域別予想は以下の通り。
世界のエチレン換算生産能力及び需要 (単位:千トン)
|
アジアと中東のポリエチレンの需給は以下の通り。
シノペックの親会社である中国石油化工集団は8月18日、スイスに本拠を置き、ロンドンとカナダで上場している石油開発大手のAddax Petroleum の買収を完了したと発表した。金額は約75.6億米ドルで、中国企業による外国企業買収としては2009年で最大規模になった。
6月24日にAddax がSinopecの買収提案を受け入れると発表、8月10日にシノペックが中国政府から承認を得た。
2009/6/26 Sinopec、Addax Petroleum を買収
Addax はナイジェリア、ガポンなどとイラクのクルド自治区で権益を有している。
イラクのクルド自治区ではTaq Taq 油田についてトルコのGenel Enerji が組んで2005年7月に自治区政府と生産物分与契約を結んだ。2006年11月に生産を開始した。
イラク政府はこの契約を承認していないが、本年6月、例外的措置としてイラク政府はこの油田からの原油輸出を承認した。
2009/6/9 イラクのクルド自治区の原油輸出開始
イラク石油省の副大臣は8月24日、シノペックのAddax買収が確認できれば、イラクの石油の入札からシノペックを除外することを検討していると述べた。シノペックはCNOOC、CNPC、Sinochem とともに入札資格社として選ばれている。
中央政府はクルド政府が外国企業と結んだ契約は違法として認めておらず、中央政府の承認なしにクルド政府と石油契約を締結した企業とは取引しないとしている。
しかし、China Business News は26日、イラク政府がシノペックのAddax買収を通じてのクルド地区での石油権益取得を承認したとのシノペックの発言(発言者は明らかにせず)を報道した。
付記
10月3日付けのテヘラン発情報では、イラク石油省は未だシノペックからの説明がないとし、二次入札から締め出す意向を示した。
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中央政府はクルド政府が外国企業と結んだ契約は違法として認めていない。
イラク政府は37年ぶりに油田権益を外資企業に開放し、増産体制を整備して、2013年に原油生産能力を現状の日量250万バレルから460万バレルに 引き上げることとした。
イラクは6月30日、第一次開放対象の国際入札を実施し、Rumaila油田のみが落札された。BP 66%/CNPC33% 連合が落札した。
11月に行われる第二次開放対象の入札資格社が既に選ばれている。
第一次、第二次の入札資格社から韓国の韓国石油公社とSKエナジーが除外された。
韓国石油公社などが参加する韓国コンソーシアムは2008年2月14日、イラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結した。
イラクのシャハリスタニ石油相は4月2日、イラク駐在の河泰允 (ハ・テユン)大使に会い、「韓国石油公社やSKエナジーなどの韓国企業がクルド自治政府と締結した油田開発事業は、中央政府との協議を経ずに行われた違法なものだ。そのため両社は今後、イラクでの油田開発に関する入札に参加できない」と通知した。
2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外
本年2月にイラクのタラバニ大統領が韓国を訪問した際、イラク南部バスラの油田開発と現地でのインフラ整備を行うために必要な35億5000万ドルを韓国側が投資するという覚書を交わしたことで、一旦はこの問題は解消するかのように思われたが、石油省は両社を除外したままである。
イラク政府が本当にシノペックの入札参加を認めたのかどうか、発表されてはいないが、もしそうなら、イラク政府が中国との関係を考慮したものであろう。
なお、別枠でNasiriyah油田(Samawahの南東)の交渉が続いている。
将来、日量数十万バレルの生産が見込まれる有望油田で、日本連合(新日本石油/国際石油開発帝石/日揮)とイタリアのEniが争っている。
シャープは8月31日、国務院国有資産監督管理委員会が直轄する中国最大級の電子・情報通信企業集団「中国電子信息産業集団(CEC)」と液晶パネル事業で提携することを発表した。
CECと江蘇省、南京市とのJVの南京中電熊猫信息産業集団(CECパンダ)の液晶事業会社「南京中電熊猫液晶顕示科技」に対し、液晶の生産技術およびノウハウを提供するとともに、亀山第1工場の最先端生産技術を盛り込んだ第6世代(1500mmx1800mm)生産設備を売却し、新会社が南京市において進める第6世代液晶パネル工場の建設と生産に協力する。
2011年3月までの稼動をに予定している。
また、南京市、CECと第8世代(2,160mm×2,460mm)の液晶パネル生産の合弁事業について協議を進めていくことを確認した。
中国電子信息
産業集団(CEC)70% 〉 南京中電熊猫信息
産業集団(CECパンダ)ー 南京中電熊猫
液晶顕示科技江蘇省 15% 南京市 15%
さらに、シャープは液晶パネルから液晶テレビに至る設計開発を行う「液晶設計開発センター」を2010年4月に南京市に設立する。
同社は既に南京市で液晶モジュールから液晶テレビまでの一貫生産を行っており、今回の開発センター設立及び液晶パネルと液晶モジュール生産決定で、設計開発、液晶パネルおよびモジュールの生産、そして液晶テレビの組み立てまでを行う垂直統合体制を構築する。
同社では関連企業の進出が進み、「南京市クリスタルバレー」が構築されることを期待している。
クリスタルバレー構想は、液晶ディスプレイなどフラットパネルディスプレイの組み立て工場およびその要素技術を持つ企業や研究機関を誘致することを核とするもの。
青森県の「むつ・小川原工業団地」の再建策の議論の中から、青森クリスタルバレー構想が生まれた。但し、進出企業は1社のみ。
三重県では、2000年当時の北川正恭知事がシャープ本社を訪問し、シャープ経営陣に三重県への液晶産業集積を要請を主としたトップセールスを行った。
2004年1月、シャープ亀山工場が稼動を開始、日東電工、凸版印刷など20社を超える液晶関連企業が三重県に進出を決めた。さらに2006年8月にはシャープ亀山第二工場が稼動を開始した。山形県では「有機ELバレー構想」を進めている。
サムスン電子も10月16日、江蘇省蘇州市と共同で2兆6000億ウォンを投資し、液晶パネル工場を建設すると発表している。
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シャープが堺市に建設中の液晶パネル新工場は10月に稼動する。
最先端の液晶パネル工場と、薄膜太陽電池を量産する太陽電池工場を併設する「21世紀型コンビナート」である。
ここでは最新の第10世代(2,880mmx3,130mm)を月72千枚(当初は36千枚)生産する。
2007/12/5 シャープの「21世紀型コンビナート」
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シャープは従来の国内一貫生産の方針を転換した。
本年4月8日の経営戦略説明会では、「新しいビジネスモデルによる事業展開」として、
・消費地生産でのValue Chain
の確立(前半工程の現地化)
・現地有力企業とのアライアンス
により、投資額の最小化による投資効率の最大化、Cashflow
改善を狙うとしている。
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/event/policy_meeting/pdf/shar090424_1.pdf
2009/9/3 欧州化学品庁、15の高懸念物質(SVHC)候補を発表
「REACH規則」には「高懸念物質(SVHC:Substances
of Very High Concern )の通知義務」の項目がある。
製品中に「高懸念物質」が重量比で0.1%以上含まれている場合、企業は直ちにその旨を公表する義務があり、消費者からの情報の要求があれば45日以内に答えなければならない。
高懸念物質(SVHC)の対象は以下のとおりとされており、行政庁において具体的な物質リストが作成される予定となっている。
@一定程度以上の発ガン性・変異原性・生殖毒性物質(CMR物質)
A残留性、蓄積性、毒性を有する物質(PBT物質)
B残留性及び蓄積性が極めて高い物質(vPvB物質)
C上記以外の化学物質で、内分泌かく乱特性を有しており人の健康や環境に深刻な影響がありそうなもの(個別に特定)
SVHCリストに掲載される化学物質は約1,500種と言われているが、一度に全てのSVHCが公開されるわけではなく、順次発表される。
欧州化学品庁 (ECHA) は9月1日、15の新しい高懸念物質(SVHC)候補を発表した。45日以内のコメントを求めている。
品目 | 理由 |
Anthracene oil | Persistent, bioaccumulative and toxic |
Anthracene
oil, anthracene paste, Light fractions from distillation |
Persistent, bioaccumulative and toxic |
Anthracene
oil, anthracene paste, anthracene fraction |
Persistent, bioaccumulative and toxic |
Anthracene oil, anthracene-low | Persistent, bioaccumulative and toxic |
Anthracene oil, anthracene paste | Persistent, bioaccumulative and toxic |
Coal tar pitch, high temperature | bioaccumulative
and toxic; carcinogen, category 2 |
Acrylamide (アクリルアマイド) | Carcinogen,
category 2; mutagen, category 2 |
Aluminiosilicate, Refractory Ceramic Fibres | Carcinogen, category 2 |
Zirconia
Aluminosilicate, Refractory Ceramic Fibres |
Carcinogen, category 2 |
2,4-Dinitrotoluene (2,4-DNT) | Carcinogen, category 2 |
Diisobutyl phthalate | Toxic for reproduction, category 2 |
Lead chromate | Carcinogen,
category 2; toxic for reproduction, category 1 |
Lead
chromate molybdate sulphate red (Pigment Red 104) |
Carcinogen,
category 2; toxic for reproduction, category 1 |
Lead
sulfochromate yellow (Pigment Yellow 34) |
Carcinogen,
category 2; toxic for reproduction, category 1 |
Tris(2-chloroethyl)phosphate | Toxic for reproduction, category 2 |
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ECHAは2008年11月4日に、第一回目のSVHC候補 15品目(下記)を発表した。
ECHAは本年5月26日にそのうちの7物質(下記のうちの色がけ分)を認可対象物質リスト(Authorisation List) に入れることに同意している。
2009/6/16 REACH 認可対象物質
品目 | 理由 |
Anthracene | Persistent, bioaccumulative and toxic |
4,4'- Diaminodiphenylmethane (MDA) | Carcinogen, cat. 2 |
Dibutyl phthalate (DBP) | Toxic for reproduction, cat. 2 |
Cobalt dichloride (二塩化コバルト) | Carcinogen, cat. 2 |
Diarsenic pentaoxide (五酸化ニ砒素) | Carcinogen, cat.1 |
Diarsenic trioxide(三酸化ニ砒素) | Carcinogen, cat.1 |
Sodium dichromate | Carcinogen,
cat. 2; Mutagen, cat. 2 Toxic for reproduction, cat. 2 |
5-tert-butyl-2,4,6-trinitro-m-xylene (musk xylene) | Very persistent and very bioaccumulative |
Bis (2-ethyl(hexyl)phthalate) (DEHP) | Toxic for reproduction, cat.2 |
Hexabromocyclododecane
(HBCDD) and all major diastereoisomers identified (α-HBCDD, β-HBCDD, γ-HBCDD) |
Persistent, bioaccumulative and toxic |
Alkanes, C10-13, chloro
(Short Chain Chlorinated Paraffins) (短鎖塩素化パラフィン) |
Persistent,
bioaccumulative and toxic Very persistent and very bioaccumulative |
Bis(tributyltin)oxide (TBTO) | Persistent, bioaccumulative and toxic |
Lead hydrogen arsenate (ヒ酸鉛) | Carcinogen,
cat. 1 Toxic for reproduction cat. 1 |
Benzyl butyl phthalate (BBP) | Toxic for reproduction, cat. 2 |
Triethyl arsenate | Carcinogen, cat. 1 |
2009/9/4 米Pfizer、Health Care不正で政府に23億ドル支払い
米司法省は9月2日、医薬品大手Pfizer が、医薬品の違法な販売促進があったことを認め、罰金と和解金を合わせ計23億ドルを政府側に支払うことで合意したと発表した。
同社は抗炎症薬Bextra
の不正表示で食品医薬品化粧品法違反を認めた。
食品医薬品化粧品法ではFDAへの医薬品申請に当たり、対象とする効能を特定しなければならない。
承認されれば、目的外(off-label)
用途で販売したり、販売促進をしてはならない。
同社はFDAが安全性の問題で承認しなかった用途でBextraの販売促進を行っていた。
罰金としてPfizer が11.95億ドル、子会社Pharmacia & Upjohnが1.05億ドルを支払う。合計額は13億ドルで、米国で過去最高の罰金となる。(PfizerはBextraを2003年のPharmacia 買収を通じて取得した。)
加えて、Pfizerは4つの医薬品(Bextra、抗精神病薬Geodon、抗生物質Zyvox、抗てんかん薬 Lyrica)を違法に販売促進したこと、本来は公的医療保険が適用されないのに保険申請したことで、虚偽請求取締法に基づき、10億ドルの和解金を支払う。
司法省によると、Pfizerの営業部はFDAが承認していない用途に関する情報を医師らにメールで提供した。同社はこのほか、医師らをリゾート地で接待して同社製品を処方するよう勧めたり、「バイアグラ」などを処方した医療機関に奨励金を支払う制度を設けていた。
製薬会社の詐欺行為では罰金も和解金も過去最高額になる。
これまではEli Lilly
が統合失調症治療薬のZyprexaを、当局から認可を受けていない用途向けに販売した問題で本年1月に合意したものが過去最大だった。
罰金が515百万ドルと100百万ドルの資産没収、和解金が800百万ドルの合計1,415百万ドルであった。
ニューヨーク州のクオモ司法長官は「Pfizerは自社の利益を出すために、米国中の納税者を騙した」と批判している。
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Pfizer はBextra
とCelebrex
の副作用で健康被害を受けたとして、患者などから訴えられ、昨年10月に総額894百万ドル和解金で原告側の大半と和解している。
同社はBextra については2005年に自発的に撤退した。
2008/10/21 米ファイザー、消炎鎮痛剤の健康被害訴訟で和解
2009/9/5 Huntsman、再生法適用の酸化チタンメーカーの資産買収
Huntsmanは8月31日、世界第三位の酸化チタンメーカーで再生法(Chapter 11)適用中のTronox Incorporated の主要資産の買収の"stalking horse" 契約を締結したと発表した。
Chapter 11は通常は企業再生のためのものだが、優良事業だけを原則として売却し、数年かけて清算する手段としても使用される。
Stalking horse (直訳すれば「当て馬」)方式では、非公式に資産の買い手候補を探し、最もよい条件を提示した買い手候補(Stalking horse)を選択し、それよりも良い条件の買い手が出れば入札で買い手を決め、なければその買い手候補が当初の条件で購入する。
Huntsmanよりもよい条件の買い手が現れなければ、Huntsmanが買収できる。
付記
Tronox は12月にHuntsmanとのstalking horse契約を破棄した。12月21日に予定されていた入札も中止となった。
Tronox は社債保有者がスポンサーとなる方向で検討する。
2009/12/25 Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に
買収対象はTronox の次の事業
・オランダと米国(Savannah, Georgia を除く)の酸化チタン製造設備
・南アのExxaro
Resources との豪州での酸化チタンの50/50JVの持分
・米国の電解製品製造設備(2工場)
(電解二酸化マンガン、塩素酸ソーダ、三塩化ホウ素、エレメンタルホウ素、酸化リチウムマンガン)
Tronoxは他にオランダに酸化チタン製造設備を持っている。
豪州JVの相手のExxaro Resources はHuntsmanによる肩代わりに条件を付けるとしている。
買収金額は運転資金込みで415百万ドルとなる。Huntsmanはこのうちの半分を借入金で賄う。
同社はPigments 部門で酸化チタンを扱っており、CEOは「これら資産を既存のPigments 部門に加えることにより、効率を高めることが出来る」とし、収益性と資金繰りの改善に役立つとしている。
同社の事業 2007/2/20 ハンツマン、米国の汎用品事業を売却
Huntsman はHexionと合併契約を締結したが、Hexionが解約しようとしたため、裁判になり、最終的にHuntsmanが10億ドルの解約金を受け取り、合併契約を破棄した。更に銀行からも1,732百万ドルの和解金を受け取っている。
2009/6/24 Huntsman、銀行と和解
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Tronox は本年1月12日にChapter 11 を申請した。
同社は2006年に米国の独立系石油企業であるKerr-McGee からスピンオフした。
その直後にKerr-McGee は Western Gas Resoucesとともに、独立系石油企業のAnadarkoに買収された。
Chapter 11 申請は主にKerr-McGeeから引き継いだ負債(legacy liabilities)によるもので、環境汚染の復旧費用と訴訟費用が中心である。
銀行から125百万ドルのDIPファイナンス(一時的な運転資金)を受けている。
2009/9/7 英国Nomura、BASFの格付けを引き下げ
Nomura Holdings Inc.はこのたび、BASF株式の格付けを“neutral”から“reduce”に引き下げた。同社の利益が来年減少すると予想した。
同社の格付けは次の3段階
Buy
Neutral
Reduce
工場の操業度が低いままで、利益水準が落ちると予想、2010年は「失望」とした。
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同社の上半期の業績は前年同期を大幅に下回っている。部門別でも農業部門以外はいずれも前年よりも悪い。
ただし、Performance Products とOil & Gas を除き、第2四半期実績は第1四半期を上回っている。
単位:百万ユーロ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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EBIT(特損除く)内訳 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2009/9/8 世界の石油化学製品の今後の需給動向(詳細)
既報の通り、経済産業省は8月25日、エチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品等の石油化学製品についての、西暦2013年までの世界の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。
既報 2009/8/26 世界の石油化学製品の今後の需給動向
2009/9/1 世界のエチレン系誘導品の需給予想
既報で資料が未発表としたのは誤りで、下記が発表されている。
経産省発表 |
2008年の需要が世界的景気減速の影響により激減したが、その後は世界全体で経済の回復が達成されることを前提に、昨年度版より需要の伸び率が縮小するものの、緩やかに回復していくと見ている。
昨年度版では、2006〜2012年のエチレン系誘導品の世界全体の需要量の伸び率を年平均約4.8%と推計していたが、今回は同期間で年平均約1.7%と伸び率が減少する見込み。プロピレン系誘導品の需要量の見通しにも同様。
エチレン系製品の需要の伸びは地域別に傾向が異なり、アジア地域が年平均+3.9%程度。中国の需要増が大きく、中国1ヶ国のみで、2007年から2013年までの間に780万トンの需要増。
一方、北中南米は年平均+1.3%、西欧は年平均
-1.1%で推移する見通し。
なお、2009年から2013年のアジア全体の伸びは、年平均で5.7%でエチレン換算で1,037万トンの増となっている。
世界のエチレン系誘導品の生産能力(エチレン換算)は、2007年末時点で130.7百万トンだが、現時点において2013年までに稼働する可能性の高い生産能力新増設計画に基づくと、2013年末の生産能力は159.6百万トンと2007年比で29百万トンの増とみている。
2013年の需要量は127.6百万トンの予想で、32百万トンもの過剰能力となっている。(実際には上記に加え、多くの新設があると思われる。)
2013年の需要水準では現在の能力でも十分という状況である。
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中国の需給予想は以下の通り。
中国については2008年も需要減はなく、2007年以降平均6.5%で伸びるとしている。
中国政府は早くも昨年11月に、2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施するとの緊急経済対策を発表した。
(地方政府の経済対策を入れると150兆円になるとの説もある)
さらに、中国国務院は本年に入り、国内の10産業について景気刺激策を順次発表した。
中国政府は2007年末に農村市場の消費刺激策として「家電下郷」(農村部に家電を)制度を策定し、2008年1月に導入したが、今回これを全国に適用し、対象製品を増やした。
また本年に入り、「汽車下郷」(農村部に自動車を)制度をスタートさせた。
中国の耐久財の生産は好調を続けているが、耐久財の需要増はこれらによるところが大きい。
他方、これまで中国経済の牽引車であった輸出は上期が前年比で21.8%減、7月も23.0%の減となっている。
中国の農村部と都市部の収入格差が実質 4−6倍前後になり、2000年当時(収入差は2.79倍)より経済の格差は大幅に拡大している。
2009/6/29 中国の現状
緊急対策資金が切れた後、需要がこの予想のとおりとなるのかどうかが大問題である。
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各国(地域)の需給は以下の通り。
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主要製品の需給予想は以下の通り。
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参考
昨年の記事 2008/5/29 世界の石油化学製品の今後の需給動向
最新情報は http://knak.cocolog-nifty.com/blog/