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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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住友商事は12月14日、ルネッサンス・エナジー・リサーチが開発したCO2選択透過膜技術の実用化に向けた技術開発・市場開拓を、同社と共同で推進すると発表した。
このCO2選択透過膜は、混合気体からCO2だけを分離して透過するという特徴を持っている。
重要な基礎化学原料で、石油精製分野でも必要な水素は、ナフサやオフガス(メタン、エタン等)を高温高圧の条件下で、水蒸気改質することで得ている。
その過程で、CO、CO2が副生成物として発生するため、これを製品となる水素から分離しなくてはならない。
従来採用されている化学吸収法では、CO2を溶剤に吸収させ、CO2を吸収した溶剤をスチームで加熱することでCO2を分解・除去し、再び溶剤として回収している。このため、大量のスチームが必要で、エネルギー多消費型かつ巨大な脱炭酸塔が必要となる。
ルネッサンス・エナジー・リサーチの開発したメンブレン(膜)を利用すれば、エネルギーの消費を4分の1以下にまで抑え、かつ、巨大な脱炭酸塔を小型のメンブレン装置に置き換えられるようになる。
さらに、中空糸(ストロー)状のCO2選択透過膜を束ねてモジュール化することによって、化学吸収法よりも狭い場所で効率よくCO2の分離回収が可能。
ルネッサンス・エナジー・リサーチは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、近畿経済産業局から補助金を得て、神戸大学松山教授らと共同で開発した。
この技術は大量の水素を必要とする石油精製や化学プラントの水素製造工程に応用可能で、日本国内で約40カ所、海外では国内の約50倍あると言われており、大きな商機が見込めるとしている。
また、CCS(CO2の分離、回収、貯留)のCO2分離・回収工程においても、この技術の活用が期待される。
住友商事は、このCO2選択透過膜の先進性に着目し、実用化に向けた技術開発、市場開拓を本格化する。当面は石油精製や化学プラントの水素製造工程をターゲットとして、2010年早々に日本の顧客プラントへ試作機を設置し、その評価・改良を行いながら、モジュールの大型化を進めていく予定。
付記
住友化学、住友商事およびルネッサンス・エナジー・リサーチは2012年10月、CO2 を選択的に透過する膜(CO2選択透過膜)を用いた「膜分離法」による
CO2 分離事業への参入に向け、合弁会社を設立することで合意した。
新会社設立後、さまざまな用途に適した膜の技術開発をはじめ、量産体制や事業モデルの確立などの検討を進めるとともに実証試験を行うなど、1
年以内を目途に本格的な事業化を目指す。
新会社: CO2 M-Tech
事業内容: CO2 選択透過膜を用いた CO2 分離事業、および膜の開発・用途拡大
所在地 : 東京都
資本金 :8億円
出資比率: 住友化学 47.5%、住友商事 47.5%、ルネッサンス社 5%
設立年月: 2012 年内
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ルネッサンス・エナジー・リサーチは大阪ガスの理事・エグゼクティブリサーチャーで触媒の研究を行っていた岡田治氏が2004年に大阪ガスを退職して設立した。
岡田氏が大阪ガス時代に培った触媒関連技術を幅広い領域で事業展開することを目的とし、大阪ガスから関連特許の製造・販売・ライセンスの権利を受け、ガス会社では参入が難しかった事業ドメインをターゲットとしている。
同社の事業内容は以下の通り。
CO2選択透過膜の利用の一つとして、次世代型水素ステーションの研究開発も進めている。
燃料電池自動車には、水素ステーションなどのインフラ整備が必須だが、現在の水素ステーションの水素は、天然ガスの改質が主流で、副生成物として生じる大量のCO2をPSA(吸着と脱着を繰り返すガス精製装置)により分離して、高純度水素にする必要がある。
この場合、PSAが高コストかつ巨大で、効率ロスも大きく水素ステーションの実用化の障害となっている。同社の開発した高性能CO変成触媒とCO2選択透過膜を組み合わせたメンブレンリアクターを用いれば、COとCO2濃度を同時に大幅に下げられることから、PSAを小型化でき、システム全体の低コスト化、小型化、高効率化が可能となる。
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なお、大阪ガスのエネルギー開発部長であった一本松正道氏が岡田氏と同時に大阪ガスを退職し、同じ事務所でルネッサンス・エナジー・インベストメントを開業した。両氏は互いに相手の事業に出資している。
ルネッサンス・エナジー・インベストメントは、独自の技術の目利きの力を生かし、無機機能性材料をベースとした独創技術を産業化する触媒として、最初期段階での研究開発への投資、技術開発ベンチャーの創成、技術開発ベンチャーのマネージメントなどを行っている。
経済産業省/NEDOの委託研究として平成19年度から5年計画(予算30億円)で開始された「マルチセラミックス膜新断熱材料の開発」プロジェクトで主要メンバーとして壁用断熱材/窓用断熱材料の材料開発を行っている。
投資先には次のものがある。
創光科学:
青色発光ダイオードの発明者の名城大学の赤碕勇、天野浩両教授の技術をベースに、紫外線発光素子の開発実用化を目的に設立された30億円の研究資金を持つ日本最大級の大学発ベンチャー。
REIメディカル:
京都大学理学部の中西和樹准教授の発明した独創技術“モノリス担体”技術を用いて、アフェレーシス治療用血液吸着カラムの開発を行っている。
矢野重信教授の発明した“光線力学療法 次世代感光医薬”の実用化にも取り組んでいる。
2009/12/18 中央アジアー中国 天然ガスパイプライン開通
中央アジアのトルクメニスタン東部のGedaimと中国新疆ウイグル自治区Horgos を結ぶ天然ガスのパイプラインが12月14日、操業を開始した。中央アジアのガスを中国に供給する初の基幹パイプラインとなる。
トルクメニスタンでの開通式典には中央アジア歴訪中の中国の胡錦濤国家主席と中央アジア3カ国Turkmen、Kazakh、Uzbek の大統領が参加した。胡主席は「パイプラインは中国と中央アジアの協力の象徴」と述べた。
パイプラインはウズベキスタン、カザフスタンを通過。中国までの全長は1833km。
中国は天然ガスを建設中の国内パイプラインで沿岸部まで輸送する。総延長は7000kmに達する。
2007/9/7 四川−上海の天然ガスパイプライン「川気東送プロジェクト」工事開始
2006年に関係国が計画に調印、2007年に着工した。建設費73億ドルの多くを中国が負担した。
輸送能力は2012-13年のフル稼働時で年400億立方メートルとなり、中国の昨年の年間天然ガス消費量(778億立方メートル)の半分以上になる。
中国は石炭依存を減らす努力をしており、これはその一環。温室効果ガス削減に貢献する。
中国はカザフスタンからの原油輸入も拡大し、エネルギー分野で中央アジアとの関係強化を進める。
2006/5/29 中国−カザフ石油パイプライン正式稼動
付記
中国とトルクメニスタンは2007年に協定を結び、トルクメニスタンは30年間にわたり、毎年 300億m3の天然ガスを中国に輸出することとなっている。
これに基づき、CNPCはトルクメニスタンのBagtyiarlyk 地域でガス田の開発を行っている。2010年には産出量は50億m3になる予想。
これとは別にCNPCは2009年12月、トルクメニスタンのSouth Yolotan ガス田の開発権を取得した。
韓国のLG International と現代エンジニアリング、UAEのGulf Oil & Gas Fze とPetrofac International の各社と共同で開発する。
同ガス田は世界の5大天然ガス田の1つとされる。
2009/12/19 LANXESS、リストラの一環で中国JVから撤退
LANXESS は “LANXESS goes Asia” を合言葉に、特に中国とインドで、Bayer から引き継いだ事業をベースに活動を強めている。
既報の通り、同社はインドと中国の企業買収手続きが9月1日に完了したと発表した。
インドではベンジル製品のインド最大メーカーで塩化硫黄のメーカーのGwalior Chemical Industries を82.4百万ユーロで買収した。
Madhya Pradesh 州Nagdaに工場を持つ。中国では江蘇省のLiyang市でトリメチロールプロパンを生産するJiangsu Polyolsを買収した。
その一方で、同社は経済危機に対応するため、年初に“Challenge 09-12”プログラムをつくり、2012年までに世界中で360百万ユーロのコストダウンを行うこととしている。
同社は2007年にイネオスとのABSのJVの Ineos ABS を設立し、49%を出資した。
LANXESS は本年に入り、JV持株を全てIneosに売却、ABS事業から完全撤退した。同社のRubber Chemicals部門はSouth Carolina州にプラントを持つが、インフラ設備とサービス部門を投資会社のCooper River Partners, LLCに売却、そこから長期契約でインフラ設備をリースし、サービスを受けることとした。
同社のFunctional Chemicals 部門は着色剤の生産をメキシコのLermaで行っているが、近く生産をLeverkusen工場に移す。
LANXESS は12月15日、グローバルに生産ネットワークの効率化を進める一環として、山東省イ坊(Weifan)市のヒドラジン水和物のJVのLANXESS Yaxing (Weifang) Chemicals の持株(55%)をパートナーのイ坊亜星集団(Weifang Yaxing Group)に売却したと発表した。
このJVはLANXESSがバイエルの化学品子会社であった2004年9月に設立され、米国バイエルのBaytown工場から設備を移設し、2006年7月から稼動していた。
ランクセスは今後、ドイツのLeverkusenのプラントから世界中の需要家に供給する。
中国ではイ坊亜星が単独でこの事業を行う。
中国での活動強化という長期方針よりも、本社工場の操業度を上げ、コストダウンを図るという短期目的を優先したこととなる。
2009/12/21 BraskemとNovozymes、Green plastic で提携
Braskemと酵素メーカーのNovozymes は12月14日、サトウキビからのPP生産で提携したと発表した。
Braskemは約250億円を投じて、Rio Grande do Sul 州Triunfo市のSouthern Petrochemical Complex でさとうきびエタノールから年産20万トンのエチレンとポリエチレン(HDPE+LDPE)工場を建設している。
2009/12/1 テトラパック、ブラスケムのグリーンプラスチックを使用
同社は2008年9月30日、世界で初めて再生可能原料からのグリーンポリプロピレンの開発に成功したと発表した。
最初は実験室で、次にパイロットプラントで製造に成功、Beta
Analytic Inc.から認証を得た。
同社は、今回のNovozymesとの提携で、Novozymesの発酵技術とBraskemの化学、プラスチック技術を結びつけ、大規模生産技術を確立し、グリーンポリマーでの世界のリーダーを目指すとしている。
開発期間は最低5年としている。
Novozymesも農業廃棄物をバイオ燃料にする酵素を生産しており、また、再生可能原料からアクリル酸を生産する計画でCargill と提携している。
CargillとNovozymes は2008年1月、再生可能原料から3-ヒドロキシプロピオン酸(3HPA)を経由してアクリル酸を製造する技術を共同で開発する契約を締結したと発表した。
米エネルギー省から150万ドルの支援を受ける。バイオ技術でつくった微生物を使用して砂糖を発酵させて3HPAに変換する。
3HPAはその後、アクリル酸を含む幅広い化学製品に変えられる。
2009/12/22 借入金による買収のツケ ー ロシアUC Rusal の苦悩
バブル時に事業を担保とした借入金で買収を行い、バブル破裂により経営破たんに瀕しているのがIneosやBasell(現在のLyondellBasell)である。
前者は借入契約の変更を行い、合わせて製油所売却交渉を続けている。
後者は民事再生法(Chapter 11)での再生手続きを協議中で、合わせてインドのReliance
からの買収提案についても交渉している。
同じ問題を抱えているのが、アルミニウム大手の UC Rusal (United Company Rusal) である。
ロシアの大富豪 Oleg Deripaska が1997年に持株会社Basic Element を設立し、エネルギー、製造、機械、資源、ファイナンスサービス、建設、航空の各分野でロシア、CIS、アフリカ、豪州、アジア、欧州、ラテンアメリカの合計100社以上に出資している。ロシアの自動車大手GAZもこれに含まれている。
その1社でロシア最大のアルミメーカーであるRUSALが2006年に、同国2位のSUALとスイスの商社Glencore International AGのアルミニウム部門を買収し、UC Rusal を設立した。
買収規模は約300億ドルになると伝えられた。2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収
UC Rusal は2008年4月、Onexim Group (Norilskの元社長のMikhail Prokhorov が所有)からNorilsk Nickel 株の25%+1株 の買収を完了した。
2008/8/11 ニッケル世界最大手Norilsk Nickel、KGB出身者がトップに
Onexim
は現金とUC Rusalの株式 14%を受け取ったとされている。
UC Rusal は買収に当たり、45億ドルの協調融資をアレンジした。
ところがコモディティー価格が急落すると、担保のNorilsk 株が急落し、担保割れとなった。
オーナーのDeripaska氏 の資産も2008年に280億ドルあったのが、今年は35億ドルに激減した。
銀行からの追加担保の要求を受け、カナダの自動車メーカーMagna Internationalの株式15億ドルとドイツの建設会社Hochtiefの株式5億ドルを売却している。
UC Rusalは2008年10月31日期限の対外債務の返済資金を工面できなくなった。
このため、海外金融機関は見返りにNorilsk Nickel の株式を要求した。
ロシア政府は、ニッケルや希少金属をもつ戦略企業の所有権が海外移転するのを恐れ、また、雇用維持のため、危機対策として設定した500億ドルの融資枠から45億ドルを国営の、対外経済銀行(Vnesheconombank)を通じて融資、同社を破綻から救った
対外経済銀行の監査役会はプーチン首相が長となっている。
本年6月、Deripaska 氏の所有するサンクトペテルブルク郊外の工場が閉鎖され、労働者がプーチン首相に助けを求めた。
プーチンは国営テレビが放映する中で、「自分の野心、プロ意識のなさ、そして恐らく強欲のために、何千人もの住民を人質にした」とDeripaska を非難、工場再開に合意する契約書にサインさせた。
債務総額は168億ドルに達しており、UC
Rusalは本年1年はその対策に追われた。
Deripaska 氏は本年5月、プーチン首相に同行して日本を訪問、日本の債権者と協議した。
12月3日、UC Rusalは総額169億ドルの債務の条件変更について契約を締結したと発表した。
海外金融機関からの74億ドルの債務は2段階に分かれる。
最初の4年間は返済は返済可能ベースで行われる。金利は借入金のレベルに応じてLIBOR+(1.75%〜3.5%)とする。
残額は3年返済とするが、Rusalは別の返済方法があればそれを採用できる。
ロシアの銀行の21億ドルについても契約が締結され、4年の期間を必要があればあと3年延長することとし、金利は8〜9%に下げられた。
ONEXIMからの27億ドルについては、18.2億ドルをRusalの株式6%に変換することとなった。
残額は海外金融機関のものと同様の扱い。
UC Rusal はこの決着を受け、新株発行で20億〜25億ドルの資金調達(IPO)を目指すこととしている。
発行済み株式数の10%にあたる新株を香港とパリの株式市場で発行する。
但し、当初は年内に行われる予定であった増資は来年に繰り越されることとなった。
対外経済銀行からの45億ドルの融資は期間が1年であったが、11月に1年間延長された。
海外金融機関が7年の延長を認めたが、対外経済銀行は来年以降については明言していない。
このため、増資を承認する担当の香港当局は来年これがどうなるかを懸念した。
付記 2010年1月27日、香港市場に上場した。上場による資金調達額は約167億香港ドル。
ロシア企業の中国関連市場上場は初めて。
対外経済銀行はその後、1年以上延長する手続き中であること、約6億ドルを出資してIPOで3%以上引き受けることを明らかにしている。
プーチン首相と並んで対外経済銀行の監査役 会に名を連ねるロシア財務相は、「我々は、Rusalが財務問題をすべて片付け、危機を乗り越えることに関心を持っている」と述べた。
2009/12/23 エーザイ、米国でAkaRx, Inc.を買収
エーザイは12月18日、AkaRx, Inc.の買収手続きを開始すると発表した。
買収価格は255百万米ドルで、AkaRxは米国事業会社エーザイ・インクの子会社となる。
付記
2010年1月6日、株式を100%取得した。
同社は2008年1月に、がん・救急治療に強みを持つ米国バイオファーマ企業のMGI PHARMA, INC を買収したが、これに伴い、AkaRx買収オプション権を取得した。
今回、このオプション権を行使したもの。
AkaRX は山之内製薬が藤沢薬品と合併し、アステラス製薬となった時にスピンアウトした会社で、山之内はここで新薬AKR-501 を(YM477 として)開発していた。
2007年8月に米国バイオファーマ企業 MGI PHARMAはAkaRXからAKR-501(現在の開発品コード:E5501)の開発権を買収するとともに、2010年1月8日までの間でAkaRxを買収するオプションを取得する契約を締結した。
エーザイは2007年12月、がん・救急治療に強みを持つMGI PHARMA を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結した。
MGI PHARMA買収で、AkaRxを買収するオプションがエーザイに移り、期限切れを間近に控え、オプションを行使した。
AkaRxの株式を100%取得し子会社化し、AKR-501の全世界における開発・
販売・製造権を取得する。
AKR-501は、巨核球およびその前駆細胞に作用して血小板産生を促進するトロンボポエチン(TPO)の受容体アゴニストで、経口投与により血小板数増加を促進させることにより、血小板減少を示す様々な疾患に対する効果が期待されている。
アゴニストとは生体内の受容体分子に働いて神経伝達物質やホルモンなどと同様の機能を示す作動薬。
現在、米国において、特発性血小板減少性紫斑病および肝疾患に伴う血小板減少症を対象とした第II相試験を進めており、前者についてはPOC(Proof of Concept:創薬概念の検証)が確認されている。また、がん化学療法に伴う血小板減少への適応についても可能性を追求していく。
特発性血小板減少性紫斑病は、血小板が減少し、さまざまな出血症状を引き起こす疾患で、日米欧、中国、インドなどで患者数は約80万人と推計されているという。
内藤社長は、中国では人口の1割が肝炎ウイルスを保有していると言われており、AKR-501は将来の中国市場開拓の役割を期待できると述べた。
同社は今回の買収を通じ、開発品ラインナップの更なる強化を図り、アンメットメディカルニーズ(未だに医療ニーズが満たされない疾患領域)を充足させる。
なお、同社はAkaRxの買収に伴い、インプロセス研究開発費 255百万米ドルが発生するため、当期の営業損益、経常損益、当期損益予想をそれぞれ227億円減額した。
Alcoaは12月21日、サウジアラビアで国営鉱物資源会社(Ma'aden)とJVを設立し、サウジでワールドクラスのアルミ一貫事業を行うと発表した。
先端技術を導入し、世界で最低水準の生産コストのアルミナ、アルミ、アルミ製品のサプライヤーになるとしている。
第一期では以下の能力の、完全に統合されたコンプレックスを建設する。
・年400万トンのボーキサイト鉱山
・年180万トンのアルミナ
・年74万トンのアルミインゴット、スラブ、ビレット
・年25万〜46万トンの最先端の圧延工場(当初はアルミ缶製造用、将来は建材用なども)
精錬所と圧延工場はサウジ東海岸のRaz Az Zawr産業地区に建設される。低コストでクリーンな発電所や港湾、鉄道施設など政府の開発したインフラを利用できる。
原料のボーキサイトはQuiba(Qiba)近郊のAl Ba'ithaの新鉱山から鉄道で輸送される。
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Qibaの近くのAz Zabirahにはボーキサイト鉱山があるが、Al Ba'ithaの新鉱山はこの近くにあると思われる。(地図参照)
計画は2段階で開発される。第一段階はアルミ精錬と圧延で、2013年に製造を開始する。第二段階のボーキサイト採掘とアルミナ製造は2014年に予定されている。
投資額は108億ドルとしているが、詳細設計次第となる。
Ma'adenがJVの60%を所有、Alcoa主導の投資事業組合(Alcoa 50%)が40%を所有する。
Alcoaは全工程にわたっての設計、建設、操業でノウハウ、経営技術、支援を提供する。また、第一段階では原料アルミナを海外から供給する。
付記
現代建設は2012年3月、サウジアラビアでアルミナ製錬工場の建設を受注したと発表した。受注額は15億2000万ドルで、設計、調達、施工、試運転までを行う一括受注(EPC)方式 。
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Ma'aden は1997年3月に、サウジの石油以外の金属資源を開発し、サウジ経済を石油と石油化学以外に多角化するために設立された。
2008年7月に株式50%を公開した。
今回の立地のRas Az Zawrは
Al Jubail の北90kmにあり、Ma'adenが70%、SABICが30%出資するMa'aden Phosphate
Company の統合化学肥料コンプレックスがある。
2010年にスタートする予定で、燐酸、硫酸、アンモニア、二燐酸アンモニウム(DAP)造粒の各プラント、コジェネレーション、海水淡水化プラントとインフラ設備がある。
原料の硫黄は北部のAl Jalamidから貨車で輸送される。
粒状DAPを年産292万トン生産し、そのほか、外汎用のアンモニア40万トン、硫酸20万トンを生産する。
付記
Ma'aden Phosphate は2011年6月、硫酸とリン酸の生産を開始した。全量がDAP用に自家使用する。
中東のアルミ事業については下記参照。
2008/6/3 中東のアルミ事業
2008/6/18 サウジの2つのアルミ計画 中国アルミとドバイアルミの進出
欧州連合(EU)閣僚理事会は12月22日、欧州委員会の提案を可決し、中国とベトナム原産の革靴製品に対する反ダンピング税の課税期間をさらに15カ月間延長することを決定した。
EUは中国とベトナムの革靴が不当な安値で輸出されているとの理由から、2006年10月7日から中国製品
16.5%、ベトナム製品 10%のダンピング課税を行っている。
これを期限を過ぎた後の10年1月以降も15カ月間、延長することにした。
この措置は当初から極めて異常な、政治的なもので、今回の延長について中国は猛反発している。
付記
中国商務省は2010年2月4日、EUが中国製革靴に課している反ダンピング措置は不当だとして、WTOに提訴したと発表した。
声明で「EUの措置はWTOの規定に違反しており、中国企業の合法的な権益に損害を与えた」とし、WTOの紛争処理手続きに基づくEUとの協議を求めた。
協議が決裂した場合はWTOが両者の言い分を調査する紛争処理小委員会(パネル)を設置する見通し。
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EU欧州委員会は2006年、中国・ベトナム製の革靴に対し、臨時反ダンピング税を課すよう提案した。最初は4%とし、段階的に引き上げて最後は 19.4%(ベトナム製は16.8%)に引き上げ、臨時措置の6カ月間にダンピングが解消されなかった場合は、正式な反ダンピング税の課税に踏み切るとした。
中国商務部はこの件について、特にEUが中国を非市場経済国待遇をしていることに猛烈に反発した。
WTO協定では「貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国ですべての国内価格が国家により定められているものからの輸入の場合には、規定の適用上比較可能の価格の決定が困難であり、また、このような場合には、輸入締約国にとって、このような国における国内価格との厳密な比較が必ずしも適当でないことを考慮する必要があることを認める。」と規定している。
「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。EUは中国に市場経済国待遇を適用せず、しかも中国よりコスト水準の高い国を代替国に採用するケースが多く、この結果、ダンピングと判定される確率も高くなっているといわれている。
欧州連合(EU)は2006年10月、加盟国による投票を行い、中国・ベトナム産革靴に対する反ダンピング税徴収法案を僅差で可決した。
同法案に基づき、10月7日から、中国製品には16.5%、ベトナム製品には10%の反ダンピング税が課された。期間は2年間。
同法案はフランスが提出したもので、投票結果は反対12、賛成9、棄権4。EUの規定では、提案を否決するには加盟国の過半数の票が必要で、棄権票は賛成票とみなされることから、同法案は1票差でかろうじて可決された。
欧州委員会は、十分な法的根拠と事実の裏付けを欠くとする内部の強い反対意見を踏まえて、最終的な反ダンピング措置の実施期間を通常の5年間から2年間に改め、2年後にはダンピング措置を終わらせなくてはならないとした。
2006/2/27 EU、中国・ベトナムの革靴に反ダンピング税
EUは2008年4月末にはアモイから輸入する皮靴も課税対象とし、中国企業がアモイを経由することで課税を免れる行為を封じた。
2年後の2008年10月にEUは再調査を開始し、11月19日に行われた同委の反ダンピング諮問委員会では、多くの加盟国の代表が、客観的な事実に基づいて反ダンピング措置の延長に反対を表明した。
しかし、EU閣僚理事会は11月22日、欧州委員会の提案を可決し、中国とベトナムが原産の革靴製品に対する反ダンピング税の課税期間をさらに15カ月間延長することを決定した。
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これの期限を迎える2009年10月、欧州委員会は中国とベトナム製革靴に対する反ダンピング関税を再度15か月延長することを提案した。
EUの反ダンピング委員会は11月19日、評決を行い、賛成10か国、反対15か国、棄権2か国で同案を否決した。
しかし、欧州委員会は反ダンピング委員会の否決にもかかわらず、閣僚会議で反ダンピング関税の延長を認めた。
欧州委員会の主張は以下の通り。
反ダンピング課税を取り止めると、ダンピングとそれによる被害が増大し、EUで26万人以上が従事する産業の構造調整を遅らせることとなる。
また、反ダンピング課税により需要家や流通業者に悪影響は出ていない。
消費者価格は安定しているし、流通業者の利益率も適正である。
このため、延長が妥当である。しかし、最大5年の延長が可能なところ、15ヶ月の延長にとどめる。これは業界が構造調整するのに適当な期間である。
このように、反ダンピング委員会が延長に反対し、多数の参加国が延長に反対したのを、革靴業界を抱えるイタリアやフランスなどが延長を主張し、通したもので、EUが最終的に保護貿易主義の圧力に屈服したと見られている。
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これに対して、中国商務部の姚堅報道官は次のような談話を発表した。
中国側はこの決定に対して強い不満を抱いており、中国政府はEU側がいかなる形式でもこの案件において反ダンピング措置を延長することに反対する。今後はこの案件をめぐり世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度に提訴するとともに、相応の措置を取って中国産業界の合法的な権利を着実に保護する方針だ。
EUの靴製品産業は長期にわたり割り当て制度によって保護され、これにここ数年の反ダンピング措置が加わったが、産業界は必要な構造調整をすでに終えている。EUの業界は世界の供給チェーンの中で、徐々にミドル・ハイエンド市場へと足場を移しており、その製品は中国産製品と直接の競合関係にはなく、対中反ダンピング措置を継続することに意味はない。
我々はEUの輸入業者、小売業者、多くの加盟国が今回の反ダンピング措置の延長に反対していることに注目する。EU側が事実を尊重し、民意に従って、中国産革靴製品に対する反ダンピング措置を即刻停止することを願う。
保護貿易主義は相互の信頼関係を損なうばかりで、最終的には人を損ない、自身の利益をも損なうという結果を招くだけだ。
中国皮革工業協会のデータによると、反ダンピング課税によって、中国製革靴のEU向けの生産量が約20%減、輸出量が約4000万足減少しており、中国では約2万人の職が失われたとしている。
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中国商務部は12月23日、EUからのカーボンスチールファスナーに対するダンピング調査でクロの仮決定をしたと発表した。
本年初めに、EUは中国製スチールファスナーに対して5年間のダンピング課税(最高87%)を行った。中国は10月にWTOに提訴している。
米国もダンピング調査及び反補助金調査を開始した。
中国は生産量の50%を輸出しており、EUと米国の措置は中国メーカーに悪影響を与えた。
今回の決定はEUによる中国製革靴製品に対する反ダンピング税の課税期間延長の発表の数時間後に発表されたが、実際には昨年12月から調査しており、対象になるのが1社という小さなもので、対抗策ではなく、偶然の一致である。
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米国と中国の間では米国が中国品に対して反ダンピング措置を取ったのに対して中国が対抗策をとり、エスカレートしている。
参考 2009/11/9 米中 貿易戦争、更に激化
今後、中国が対抗策を取り、エスカレートするのが懸念される。
2009/12/25 Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に
Huntsmanは8月31日、世界第三位の酸化チタンメーカーで再生法(Chapter 11)適用中のTronoxの主要資産買収の"stalking horse" 契約を締結したと発表した。それよりも良い条件の買い手が出なければ、購入できる。
2009/9/5 Huntsman、再生法適用の酸化チタンメーカーの資産買収
Tronox はこのたび、Huntsmanとのstalking horse契約を破棄した。12月21日に予定されていた入札も中止となった。
Tronox は社債保有者がスポンサーとなって再建する方向で交渉している。
Huntsmanは買値を高めてまで購入しようとは思わないとしている。
付記
2011年2月14日、Tronox はChapter 11 から離脱、既存事業を再建した。
設備:Oklahoma City, Oklahoma; Hamilton, Mississippi; Henderson, Nevada; Botlek, The Netherlands and its Western Australian joint venture.
付記
Huntsmanは2009年12月、Rockwood
Holdingsから、Performance Additives とTitanium Dioxide 事業を買収した。
2009/12/26 旭化成ファーマ、ライセンス契約違反の仲裁裁定で91百万ドル受領へ
旭化成ファーマは12月24日、同社が開発したRho-kinase阻害剤ファスジル(Fasudil)のCoTherix社へのライセンス契約に関しての仲裁手続で、CoTherix社に対し、同社に約91百万米ドル(+金利)の支払いを命じる最終裁定が出たと発表した。
同社は2006年6月にCoTherix社に対してファスジルの開発・販売権を供与するライセンス契約を締結したが、2007年1月以降、CoTherix社がファスジルの開発を中止したため、同社は2007年10月にCoTherix社に対し、ライセンス契約の違反に基づく損害賠償を求め、 国際商工会議所(ICC)の仲裁手続をカリフォルニアで開始していた。
ーーー
旭化成ファーマは2006年6月、CoTherixに対してファスジルの経口剤および吸入剤に関するライセンス契約を締結した。
北アメリカとヨーロッパで独占的に開発・販売する権利を供与した。
ファスジルは、新しい作用機序 (Rho-kinase 阻害作用)をもつ薬剤で、Rho-kinaseの機能についての解明が進むにつれて、 多くの疾患に対してファスジルが効果を示すことが期待されている。
Rho-kinaseは、細胞内情報伝達に関与するリン酸化酵素で 、血管平滑筋の収縮・弛緩をコントロールする生体機能分子として、近年、注目を集めている。
血管平滑筋に存在するRho-kinaseが異常に活性化されると、血管平滑筋の収縮が亢進され、 その結果生じる血流障害により組織の機能異常が起こる。
同社は当時、ファスジルを注射剤として、国内で 「くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状の改善」の適応症で販売しており、 同疾患において広く使用されていた。また、注射剤については、国内で脳梗塞の治療薬としての開発を進めていた。
経口剤については、米国での狭心症を対象とした用量探索臨床試験が終了し、 ファスジルの特徴が確認されており、また、その作用機序から肺高血圧症にも効果が期待されることもあり 、当該治療領域に米国で経験のあるCoTherixにライセンスした。
ライセンス一時金は8.75百万米ドルで、以降開発のステージアップ等に応じて支払いを受けることとなっていた。
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CoTherixは2000年の設立で、2004年にNASDAQに上場、肺高血圧症薬Ventavisを2005年から販売していた。
CoTherixは、2007年1月にActelionに420百万ドルで買収され、同社の100%子会社となった。
Actelionは1997年12月、「血管内皮細胞に関連した疾患に対する革新的な新薬の創製と開発に注力する」という明確なビジョンの下、創始者チームによって設立された。
Actelionは、エンドセリン受容体拮抗薬の分野におけるリーディングカンパニーとして、長年実現しえなかった経口エンドセリン受容体拮抗薬を世界で初めて肺動脈性肺高血圧症の治療薬として製品化することに成功した。
CoTherixは2007年1月(Actelionによる買収完了当日)、旭化成に対しファスジルの開発を取り止めると通告、旭化成に返却した。
旭化成は2007年10月に契約違反として仲裁手続きを開始するとともに、2008年にカリフォルニア州裁判所に訴えていた。
裁判は引き続き行われている。
Actelionでは、この仲裁の結果と金額に驚き、失望していると述べた。
CoTherixでは、本件への対応を検討している。
独占契約の場合、勝手にやめられると技術供与側にとっては損害は大きい。
契約上の規定がどうなっているか、仲裁決定の理由がどうなっているのか、興味がある。
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日本でも同様の係争がある。
湧永製薬は1998年6月に、同社が創製したニューキノロン化合物(抗菌剤)の国内外の独占的な開発・製造・販売権を大日本製薬(その後合併し、大日本住友製薬)に供与するライセンス契約を締結した。
湧永製薬によると、大日本製薬は2002年5月になって突如開発を中止した
湧永はライセンス契約の定めに従って開発を履行するよう、再三にわたって求めたが、応じなかったため、ライセンス契約を解除した上で、2004年7月に損害額89億8300万円についての一部請求として50億円の損害賠償請求訴訟を提起した。
大日本製薬は、開発中止は化合物を適正に評価したうえで決定したものであり、ライセンス契約の解除は正当な権利行使であると主張した。
2007年3月に大阪地裁は、原告の請求の一部を認容し、大日本住友製薬に対して8億9,000万円の支払いを命じた。
大日本住友製薬は控訴し、大阪高裁は2009年3月、第一審判決を取り消し、湧永製薬の請求を棄却した。
これに対して湧永製薬は2009年4月、最高裁に上告し、現在争っている。
付記
最高裁は2010年4月22日付けで上告棄却の決定を行い、大日本住友製薬の全面勝訴の判決が確定した。
2000年のポリプロカルテルについては、トクヤマ、出光興産、住友化学、サンアロマーの4社が2007年8月8日の審決を不満として東京高裁に審決取消を求めて提訴していたが、その判決が9月25日にあった。
東京高裁は、本件審決には、原告らの主張するような違法はなく、 原告らの請求は理由がないとして、原告らの請求をいずれも棄却した。
2009/10/14 ポリプロカルテルで高裁判決
住友化学は10月14日、「主張が認められなかったことは残念だが、上告しないことにした」とのコメントを発表した。
しかし、残り3社のうち、トクヤマのみが上告及び上告受理申立てを行い、現在係属中となっていることが分かった。
12月2日の事務総長定例記者会見で以下の説明があった。(12/25 メールマガジン)
本年9月25日、ポリプロピレンの販売価格カルテル事件の審決取消訴訟について、東京高等裁判所において、株式会社トクヤマほか3社の請求を棄却する判決が出された。その後、原告のうち株式会社トクヤマから上告及び上告受理申立てが行われ、現在係属中となっているが、それ以外の原告については、当該判決が確定している。
この事件は、平成12年の価格カルテル事件であったわけであるが、争点となったのは、平成12年3月6日の会合において、原告7社の間でポリプロピレンの販売価格の引上げに関する合意があったのかどうかという事実関係、公正取引委員会が行った審決の事実認定が引用している証拠が実験則や経験則に照らしてどうなのか、実質的な証拠があるのかどうかというところが争点であった。
東京高等裁判所としては、9月25日の判決において、公正取引委員会の審決の認定は、経験則、採証法則、証拠を採用する法則等に反するとは言えず、実質的な証拠があって、本件審決が上記会合において基本合意、これは価格カルテルであるから意思の連絡ということになるわけであるが、意思の連絡が成立したと認めたことは合理的であるということができ、原告らが主張するような違法はないとして原告らの請求を棄却したというものである。
2009/12/28 2009年 回顧と展望
2009/12/29 新日本石油と新日鉱ホールディングスとの経営統合詳細
新日本石油と新日鉱ホールディングスは2008年12月4日に「経営統合に関する基本覚書」を締結し、両社グループの経営統合に向けた協議を進めてきた。
2008/12/8 新日本石油と新日鉱ホールディングス、経営統合
両社は本年10月30日、経営統合契約を締結、統合持株会社設立のための株式移転計画を作成したと発表した。
2010年4月1日 両社が共同して株式移転を行うことにより統合持株会社 JXホールディングス を設立
新日石の普通株式1株に対して統合持株会社の普通株式1.07株を、
新日鉱の普通株式1株に対して統合持株会社の普通株式1.00株を割当て交付2010年7月1日 両社グループの全事業を統合持株会社の傘下に統合・再編・整理
2009/11/3 新日本石油と新日鉱ホールディングスとの経営統合契約の締結
付記
2010年7月1日、事業会社再編が実施され、JX日鉱日石エネルギー、JX日鉱日石開発、JX日鉱日石金属の3社が発足した。
JX日鉱日石エネルギーはブランドをENEOSとする。
ーーー
両社は12月25日、公取委への事前相談で、1点について対応策をとれば、独禁法上の問題がない旨の回答をもらったことを明らかにした。
両社が行っているニードルコークス事業(コークスを加熱して製造される針状組織の炭素材料で、電気炉用の電極の骨材として使用)について、競争を実質的に制限することとなるおそれがあるとの懸念を指摘された。
これに関しては、両社いずれかの本事業を分離の上、その経営権を第三者に譲渡する旨の問題解消措置を申し出て了承を得た。
付記
JXホールディングス株式会社は2010年4年1日付で設立されるが、統合持株会社について、2010年3月1日に東京証券取引所、大阪証券取引所および名古屋証券取引所への新規上場が承認された。
ーーー
両社は12月25日、持株会社JXホールディングスの子会社のJX日鉱日石エネルギー(「JXエネルギー」)の製油所、製造所および支店の体制ならびにブランドについて発表した。
1.JXエネルギーのグループ製油所、製造所および支店の体制
JXエネルギーは、8製油所、3製造所、10支店を全国に配置する。
(1)製油所体制(8製油所)
製油所名 | 原油処理能力(千BD) | 参考 赤数字は削減分 | ||
2008/12 | 2011/3予 | トッパー内訳 | ||
室蘭製油所 | 180 | 180 | 第2 180 | 新日石精製 室蘭製油所 |
仙台製油所 | 145 | 145 | 第1 145 | 新日石精製 仙台製油所 |
根岸製油所 | 340 | 270 | 第1 120 第4 150 第2 70 |
新日石精製 根岸製油所 |
大阪製油所 | 115 | − | 新日石精製 大阪製油所 CNPCとのJVで輸出型製油所化 |
|
水島製油所 | 455 | 345 | 第3 140 第2 110 |
新日石精製 |
第2 95 第3 110 |
ジャパンエナジー | |||
麻里布製油所 | 127 | 127 | 第4 127 | 新日石精製 麻里布製油所 |
大分製油所 | 160 | 136 | 第3 136 第1 24 |
新日石精製 大分製油所 (旧 九州石油) |
鹿島製油所 | 210 | 189 | 第1 189 (-21) |
鹿島石油 (ジャパンエナジー 70.7%) |
(日本海石油 富山製油所) |
60 | − | − | 2009/3 廃止済 |
計 | 1,792 | 1,392 | 計-400 |
* 上記のうち、日本海石油(新日石の100%子会社) 富山製油所はオイルターミナルに機能変更した。
* 残り8製油所のうち、大阪製油所はCNPC(ペトロチャイナ)とのJVとするため、新会社の能力から除外した。
新日本石油とペトロチャイナは2008年5月、新日本石油精製が保有する大阪製油所(115千バレル/日)を共同出資会社として運営することで合意した。
同製油所を輸出特化型製油所に転換するため新会社を設立、ペトロチャイナが49%出資する。
2009年6月、中国国家発展改革委員会(NDRC)の承認を得た。付記
新日本石油は2010年6月29日、ペトロチャイナの日本法人の中国石油国際事業日本(PCJP)との間で、主要条件を定めた基本合意書を締結した。
10月1日の合弁会社設立を目標として、関連する諸契約の締結に向けた準備を進める。
今後の事業環境変化に先んじ、2011年3月末までに、昨年12月4日(基本合意日)を基準として日量400千バレルの石油精製能力(原油処理能力)を削減する。
うち、大阪製油所の115千バレルはペトロチャイナとの輸出特化JVへの移管のため、実質的には285千バレルの減となる。
さらに、遅くとも2015年3月末までに、日量20万バレルの追加削減を行う予定。
(2)製造所体制(3製造所)
製造所名 | 参考 |
川崎製造所 | 新日石精製川崎製造所 石油化学製品(エチレン、プロピレン、パラキシレン、ベンゼン等) |
横浜製造所 | 新日石精製横浜製造所 潤滑油製品、各種溶剤、ワックス等 |
知多製造所 | ジャパンエナジー知多製油所 石油化学製品(パラキシレン、ベンゼン等)、各種溶剤等 |
(3)支店体制(10支店) 略
2.石油精製販売事業で用いるブランド
統合後の石油精製販売事業で用いるブランドについては「ENEOS」に統一する。
(現在のジャパンエナジーのブランドは「JOMO」)
出光興産は12月25日、日本風力開発(JWD)と提携し、JWD子会社の二又風力開発の増資を引き受け、 共同で事業を推進することを決定したと発表した。
JWDと出光は、2009年3月30日に「共同事業に関する協定書」を締結して以来、CO2フリーのエネルギー供給を拡大することを目的として、蓄電池を併設した風力発電所の共同事業について協議を進めている。
今回、二又風力開発に出資し、その発電する電力と環境価値を初年度は40%、2年目以降は全量を引き取り、これを三菱地所が所有する新丸ビルに販売する。
二又風力開発は青森県上北郡六ヶ所村にあり、JWD
59.96%、出光 40%、六ヶ所村 0.04%の出資となる。
2008年5月の運転開始で、1,500kWの風力発電機を34基、合計51,000kWの能力を持ち、世界で初めて蓄電能力34,000kWの大型蓄電池を併設している。
蓄電池は1ユニット2000kWのNAS(ナトリウム硫黄)電池17基から成る。
自然エネルギーは出力が不安定で取り扱いが難しいため、電力会社への送電量が制限されてきたが、蓄電池併設で、需要に応じて出力させることが可能となり、送電線への負担を大幅に減少させることができる。
需給調整ができる風力発電所が増えれば、電力会社への送電量も増やすことができ、CO2フリーのエネルギー供給の拡大に繋がるため、JWDと出光は、今後も蓄電池を併設した新たな風力発電所の開発および発電した電気・環境価値の販売に協力して取り組む。
また、電力の需給調整機能を果たす蓄電池の特徴を活かし、スマートグリッドなどでの活用方法を共同で検討する。
石油会社各社は、国内での石油製品需要の漸減、海外市場での新規輸出型製油所の出現による国際競争の激化と、低炭素社会への動きという事業環境の変化を考慮し、新エネルギー分野への進出を図っている。
ーーー
日本風力開発は1999年の設立で東証マザーズに上場している。
2001年2月に先ずドイツのザルツベルゲン市で売電事業を開始、同年9月に銚子で売電事業を開始した。
2009年9月末の風力発電所の設備容量は、ドイツのザルツベルゲン市の7,000kWを加え、272,450kWとなり、本年9月中間決算での風力発電による売電収入は1,937百万円となっている。
付記
日本風力開発は英国北端のOrkney Islandsに次世代送電網(Smart Grid)を構築する。
現在風力発電所が25千Kw、波力発電所が7千Kwあるが、更に20千Kw程度の風力発電所を建設する。
4千Kwの蓄電能力の日本ガイシ製のNAS蓄電池を設置する。
発電量・需要量データを把握し蓄電能力を使ってバランスを調整する。
ーーー
世界風力会議(Global Wind Energy Council)の2009年2月の発表によると、世界の風力発電総設備容量は、前年の94,123MWから120,798MWに達した。毎年、20〜30%超の伸び率を示し、順調に増加している。
日本は13位 1,880MWで、世界全体のわずか約1.6%である。
日本の主な風力発電業者は以下の通り。
・ユーラスエナジーホールディングス(Eurus Eergy)
2001年11月設立で、東京電力が60%、豊田通商が40%を出資する。
操業中の設備容量:
日本 438,060kW (+建設中 84,050kW)
韓国 138,994
アメリカ 523,960
ヨーロッパ 726,240(スペイン 507,740、イタリア 169,200、イギリス 38,100)
合計 1,827,254付記
同社は2010年1月28日、5年間で総計100万kW分の自然エネルギー発電所新設の方針を発表した。
5〜6割を米国、1/4を欧州、残りを日本や他のアジア。
9割を風力、1割程度を太陽光。付記
同社は2010年9月1日、ノルウェーで風力発電所の建設を開始したと発表した。ノルウェーの南西岸にあるスタバンガー市の南方約40kmの丘陵地で、1基あたり2,300kWの風車を26基設置する。 (総出力59,800kW)。
地元の開発会社が進めていたこのプロジェクトに2005年に参画するとともに、2008年には現地法人であるユーラスエナジー ノルウェーを設立し、準備を進めてきた。
このたび各種の許認可等が取得できたことにより、本格的な工事を開始した。営業運転は2011年秋を予定しており、発電した電力は電力取引業者の EGL社に売電する。
・電源開発(Jパワー)
国内13地点で合計出力264,380kW
海外はポーランドにザヤツコボ風力発電所(48,000kW)付記
2010年2月22日、豊田通商から、3つの風力発電事業会社の保有株式を譲り受けた。
豊田通商はユーラスに経営資源を集中する。
・ 「潟Eインドテック田原」(豊田通商が運営、11基)の全株式。 ・ 「潟Wェイウインド東京」および「潟Wェイウインド田原」(J-POWERと豊田通商のJV)の豊田通商持分
ジェイウインド東京(2基)全株式の50%、ジェイウインド田原(11基)全株式の34%
これで両社とも J-POWER100%出資3社の事業規模は合計 25,680kw
・日本風力開発 日本 265,450kW、ドイツ7,000kW。
・エコ・パワー(EcoPower)
荏原製作所子会社 → コスモ石油子会社
20地域で119基が稼動中で、総発電容量は130,510kW付記
コスモ石油は2010年3月25日に荏原製作所の持株(2月19日の増資後 98.8%)を全て、計1円で譲り受け、エコパワーの100億円程度の借入金を引き受ける。
付記
三菱重工業は2010年2月25日、英国政府と覚書を締結し、最大3,000万ポンド(約42億円)の補助金を受けて洋上風車の開発プロジェクトに取り組むと発表した。
第1段階は、5,000〜7,000kW級の洋上風車実証機を製作・試験
第2段階は、英国に洋上風車先端技術センターを設置して洋上風車の先端技術を開発
第3段階は、大型の複合材タービンブレードの設計と
開発、ならびに関連生産技術の開発を進める。
ーーー
出光興産と三菱地所は12月9日、出光の「生グリーン電力」を三菱地所の新丸ビルで受電することで合意 した。
再生可能エネルギー100%の「生グリーン電力」を直接需要地が受電する取り組みは日本で初めてとなる。
グリーン電力とは、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電力のことで、「電気そのものの価値」の他に「環境付加価値」を持つ電力と考えられる。
「生グリーン電力」は発電所から需用者に直接送られたグリーン電力のこと。
(通常の電力に「環境付加価値=グリーン電力証書」と組み合わせた「みなしグリーン」ではない。)
出光は、二又風力開発の生グリーン電力を2010年4月から託送(他の電力会社が保有・運用する送配電網を使用)により、直接新丸ビルに供給する。
三菱地所は、新丸ビルで使用する電力すべてを「生グリーン電力」で賄い、新丸ビルのCO2排出量が年間約2万t削減される。
三菱地所と出光興産は、東京都、千代田区、青森県が進める「再生可能エネルギー地域間連携」の仕組みに参加することを今後検討する。
ーーー
東京都は12月4日、青森県及び千代田区と、再生可能エネルギー地域間連携に関する協定を締結した。
都市の旺盛なエネルギー需要に対し、自然エネルギーの豊かな地域が創り出す再生可能エネルギーを活用することで、都市のCO2削減と地域の経済活性化及び雇用拡大とを同時に達成することを目指すもの。
同協定を踏まえ、都は、その民間パートナーを募集している。
参考 2009/11/7 中国企業、米国で風力発電事業
2006年2月15日にスタートして、今回で1336回となりました。
ご愛読、ありがとうございました。
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