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目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2022/10/1 米議会、つなぎ予算を可決
米上院は9月27日夜、つなぎ予算案に関する手続き上の採決を行い、72対25の賛成多数で可決した。
成立しなければ一部の政府機関が10月1日に閉鎖される恐れがあるが、民主党トップのシューマー院内総務が採決直前に、共和党が反対している天然ガスパイプラインや送電線などエネルギー関連事業の認可を加速する項目を削除し、超党派の支持を取り付けた。
|
共和党 |
民主党 |
民主系 |
合計 |
無所属 |
賛成 |
22 |
48 |
2 |
72 |
反対 |
25 |
|
|
25 |
棄権 |
3 |
|
|
3 |
合計 |
50 |
48 |
2 |
100 |
12月16日まで前年度水準の歳出を可能にするもので、124億ドル規模のウクライナへの軍事・経済支援、光熱費補助の10億ドル、
西部の山火事やケンタッキー州の洪水、南東部のハリケーンなどの天災への緊急支援188億ドルが盛り込まれている。
下院は9月30日、賛成多数で可決した。
バイデン大統領は同日、これにサインし、
政府機関の閉鎖は回避された。
付記
米議会上院は12月15日、連邦政府の予算執行を維持するための「つなぎ予算」の期限を実質的に1週間延ばし、12月23日までとするための法案を可決した。すでに下院を通過している。
2022/10/1 中国、人民元基準値算出で逆周期因子を再導入
人民元安が続くが、中国人民銀行は9月29日から基準値の算出に「逆周期因子」を加えたと報じられた。
9月28日の16:30時点のレートは7.2458元であったが、9月30日の基準値は7.0998元、16:30時点は7.0931元と元高になった。
付記 その後の動き 実績は元安になっても、基準値は横這い。
ーーー
中国人民銀行(中央銀行)は2017年5月26日、人民元の対米ドル取引の基準値の決定に新たな手法を導入すると発表した。
新たに反循環的要因(counter-cyclical
factor:中国語で「逆周期因子」)を勘案する。counter-cyclical
factorとは変動抑制を意味し、前日の相場が大きく変動した場合でも、基準値の変動を緩やかに抑える仕組みとされる。
「逆周期因子」:
前日の相場変動のうち、どれだけが実需による値動きかを算出する。実需に拠らない変動は除外する。
実需による値動きに「マイナス3分の2」をかけたものが激変緩和要素となる。
従来は実需の値動きをほぼそのまま反映させていたが、今後は実需の値動きの1/3だけを反映させる。
架空の例で、基準値6.70元/$に対し、実績が6.60元と、0.10元の元安となったとする。
従来なら、6.60元近くに設定していたが、今後は差の1/3だけを反映させ、6.733元とする。
2017/6/5 中国、人民元の中心レート設定方法を変更
2017/6/26 新しい人民元基準値の設定方法
中国人民銀行は2018年に入り、2017年から実施してきた人民元の高値誘導を緩和した。
しかし、2018年6月頃から急落、8月には2017年1月の最安値に近づいた。
中国人民銀行は8月24日遅く、銀行各行が人民元の中心レート設定において「反循環的」要因を再導入したことと明らかにした。2020年10月まで続けた。
今回で3回目の導入となる。
9月28日の16:30時点実績は7.2458元、一時
7.2491元で、2008/1月以来14年半ぶりの安値となり、9月29日も実績は7.2000元であったが、9月30日は基準値が7.0998元、16:30時点実績が7.0931元と元高になった。
2022/10/3 昭和電工、来年1月に昭和電工マテリアルズと統合、「レゾナック」に改称
昭和電工は9月29日、同日の臨時株主総会の承認を得て、来年1月1日に持株会社体制へ移行、昭和電工マテリアルズ(買収した日立化成)と統合し、「レゾナック」になると発表した。
昭和電工マテリアルズが昭和電工の事業を承継し、「
レゾナック」となり、昭和電工は持株会社の「 レゾナック・ホールディングス」となる。
統合新会社の誕生を「第2の創業」と位置づけ、世界トップクラスの機能性化学メーカーを目指してさらなる変革を進めるとしている。
統合新会社レゾナックは「化学の力で社会を変える」をパーパスに掲げる。「共創型化学会社」として、共創を通じて持続的な成長と企業価値の向上を目指す。
新社名の「RESONAC」は、英語の「RESONATE:共鳴する・響き渡る」と、CHEMISTRYの「C」を組み合せることから生まれた。グループの持つ幅広く自在な先端材料テクノロジーと、パートナーの持つさまざまな技術力と発想が強くつながり大きな「共鳴」を起こし、その響きが広がることでさらに新しいパートナーと出会い、社会を変える大きな動きを創り出していきたいという強い想いを込めている。
ーーー
昭和電工は2019年12月18日、日立化成を株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表、1株あたり4630円で2020年3月24日から4月20日までTOBを実施した。
TOBの結果、87.61%を取得した。4月28日付で昭和電工の連結子会社になり、その後全株式を取得し、6月23日に完全子会社とした。
6月19日に上場廃止となった。
日立製作所の持株は51.29%であったが、買付け後の株式等所有割合が1/3を超える場合はTOBによる実施が義務付けられる。TOBに上限を設けた場合、応募株券等の数の合計が上限を超えるときは、あん分比例の方式により応募株主から平等に買付けを行うものとされている。日立は全持ち株の売却を考えているため、全株を買わざるを得ない。
昭和電工は買収資金9700億円を次により手当てした。
昭電 |
みずほ銀行からの融資 |
2,950億円 |
HCホールディング |
みずほ銀行、日本政策投資銀行にA種優先株を発行 |
2,750億円 |
みずほ銀行からノンリコースローン |
4,000億円 |
合計 |
|
9,700億円 |
買収によるノレン代は6259億円で、長期的に大きな負担となる。
(億円) |
総額 |
償却期間 |
償却額 |
2020年 |
2021年 |
無形
固定資産 |
顧客関連 |
1,549 |
20年 |
39 |
77 |
技術関連 |
571 |
7年 |
41 |
82 |
その他 |
39 |
20年 |
1 |
2 |
合計 |
2,159 |
|
81 |
161 |
のれん |
3,651 |
20年 |
91 |
183 |
小計(営業費用) |
5,810 |
|
172 |
344 |
投資有価証券(営業外) |
449 |
20年 |
11 |
22 |
合計 |
6,259 |
|
183 |
366 |
昭和電工は連結子会社化した日立化成の社名を2020年10月1日付で「昭和電工マテリアルズ」に商号変更した。
2019/12/25 昭和電工、日立化成にTOB
昭和電工は2021年7月8日、昭和電工マテリアルズの鉛蓄電池事業を投資ファンドのアドバンテッジパートナーズとリース大手の東京センチュリーに売却すると発表した。事業売却で得た資金で昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の買収で悪化した財務を改善させるほか、半導体材料の生産能力増強や開発投資に充てる。
2021/7/17 昭和電工、鉛蓄電池事業を売却
昭和電工は2022年3月9日、2023年1月をめどに、同社とグループ会社の昭和電工マテリアルズを統合した持ち株会社制への移行について検討と準備を開始すると発表した。
また、持ち株会社制移行後の新社名として、持ち株会社を「株式会社レゾナック・ホールディングス」、事業会社を「株式会社レゾナック」とすることも決めた。
ーーー
今回の統合で、新会社の売上高は約1兆3,000億円(2021年決算ベース)となり、うち半導体・電子材料分野の売り上げが約4,000億円を占め
る。なかでも、半導体の微細化に限界が見えるなか新たに注目が集まる「後工程」分野において、圧倒的なグローバルトップ企業の誕生となる。
昭和電工は石油化学事業、黒鉛電極事業、機能性材料事業など、安定的に収益を稼げる事業を有している。
一方、昭和電工マテリアルズは半導体材料事業や自動車材料事業など成長の期待される事業に強みを持っている。
両社の統合により、安定事業で得た収益を成長事業へ集中投資することが実現し、さらなる成長を目指す。
セグメント概況
SDKマテリアルズの2021/12月期の営業損益には、のれん等の償却費等約334
億円を含む。
無機の損益の変動は、「黒鉛電極」の損益で、「バブル」で一時的に膨大な利益を計上、反動で赤字も大きかったが、通常の形に戻った。
2021/2/19
昭和電工の2020年12月決算
新体制へ組換え(2021年12月期を組換え)
昭和電工報告書2022 より
2022/10/4 英中央銀行、長期国債の一時的購入を発表、国債売却は延期
英国新内閣のクワルテング財務相が9月23日に減税を含む経済対策「成長計画」を発表したが、これが財政やインフレの悪化につながる懸念を生んだ。
英国のこの経済対策は国際通貨基金(IMF)のほか、米国の財務省や連邦準備理事会(FRB)からも酷評されている。フランス、ドイツ、スペインの財務相も批判した。
IMFは9月27日、大規模で的を絞っておらず、国内の不平等拡大を招くほか、金融政策の効果を損なう恐れがあると警告し、大規模な減税や歳出拡大の代わりに、より的を絞った世帯・企業向け支援を行うよう当局に促した。
付記
クワーテング財務相は10月3日、高所得者向けの所得税の減税を撤回すると表明した。撤回するのは、年収15万ポンドを超える部分にかかる所得税率を45%から40%に引き下げる計画。
減税策全体の規模は年450億ポンドだが、撤回する高所得者向け減税の財政負担は数十億ポンドほどにすぎず、トラス政権の経済対策に対する市場の懸念が払拭されるかどうかは不透明。
9月26日の外国為替市場で、英ポンドが一時、1.035ドルまで下落し、過去最安値を更新した。これまでの最安値は1985年2月26日(プラザ合意の半年前)の1.042ドルであった。
2022/9/27
英ポンド暴落
インフレや財政悪化への不安から、英ポンドの下落に合わせ、英国債価格も急落(=国債利回りは急騰)した。30年物国債は3%台後半から一時5%強まで跳ね上がた。
これにより、低金利を前提にリスクが潜む運用に傾斜した年金が、国債価格の急落で資金難に陥る恐れが出た。
翌27日も長期国債を中心に利回りは上昇を続けた。
イングランド銀行(中央銀行)は9月28日、英国の長期国債を一時的に購入することを発表した。
この状況が継続すれば英国の金融の安定性にとって大きなリスクになるとして、今回の購入策に踏み切った。
購入は9月28日から10月14日までと限定しており、介入の規模は定めず、市況が通常の状態を取り戻すまで無制限に行う
。
市場が安定化すれば、購入した国債を売り戻す方針で、損失が生じた場合は財務省が補償することに同意している。
イングランド銀行は9月22日、政策金利を0.5%引上げ、年2.25%にするとともに、量的緩和策として過去に買い入れた国債の売却も決定した。
国債の積み上げは2021年末に終え、2022年3月から満期を迎えた分の再投資をやめて残高を落とし始めている。
イングランド銀行は9月21日時点で約8380億ポンド(約135兆円)の英国債を保有している。
償還と市場売却を合わせて、向こう1年間で残高を800億ポンド減らして7580億ポンドとする計画で、売却のための初回の入札は10月3日に実施する。
国債の市場売却に踏み切るのは、今回の引き締め局面では主要中銀で初めてとなる。
今回、この800億ポンドの保有国債の削減については変更しないものの、現在の市場環境に鑑み、10月3日から開始予定だった売却の開始を10月31日まで延期する
。
9月28日朝時点では30年英国債の利回りは一時、20年ぶりの高水準となる5%超を記録したが、発表を受けて約3.9%にまで低下した。
2022/10/5 米最高裁、中国政府主導の米国でのビタミンCカルテルで二度目の審議せず
米最高裁は2018年6月14日、中国のビタミンC
メーカーによる価格カルテルの裁判で、控訴裁がカルテルは中国政府の指示によるもので無罪とした判決について、満場一致で誤りとし、再審査のため差し戻した。
事件は、2005年にTexasの動物飼料会社や
New JerseyのビタミンのディストリビューターなどのビタミンC 需要家が、中国のビタミンC
メーカーが2001年12月以降、米国で価格や供給量についてカルテルを結んでいるとして4つのグループを訴えたもの。
訴えによると、
中国の医薬・健康製品輸出入協会の2001年12月の会合で、上記4グループを含むビタミンC メーカーがビタミンC
の輸出を制限して国際市場で不足状況を生むため、輸出数量を管理し、値上げをすることを決めた。需要家は4つのグループに対し集団訴訟を起こした。
NY
連邦地裁の裁判で、メーカー側はカルテルを否定せず、中国政府の命令に従っただけであり、カルテル実行者は米国の独禁法の被告にはならないとした。また価格カルテルは中国政府の行為であるとし、更に、中国政府は米国法で裁かれないともした。
地裁判事は2011年9月に、中国政府は優遇政策としてビタミンC
カルテルを奨励しているが、メーカーに価格カルテルを強制するほどのレベルでなく、違反しても罰金はないと認定した。
これを受け、3つのグループは和解し、華北製薬 と 河北维尔康製薬のグループだけが残った。
New York Eastern District
地裁の判事は2013年3月14日、グループに153.3百万ドルの罰金を命じた。
両社は控訴し、連邦巡回区控訴裁判所は2016年9月20日、中国法が被告に対し外国で売られるビタミンCの価格を決め、数量を下げるよう要求しているとの正式の陳述書を中国政府が裁判所に提出していること、中国企業は中国法と米国の独禁法に同時に従うことができないということから、地裁は本件の管轄権を実行すべきでなかったと判断した。
しかし最高裁は2018年6月14日、連邦裁判所は外国政府の主張に耳を傾ける必要はあるが、それにそのまま従う必要はないとし、更に審議するよう、下級審に差し戻した。
2018/6/19 米最高裁、中国政府主導の米国での価格カルテルを認めず
連邦巡回区控訴裁判所は審議の結果、2021年8月10日に2対1でメーカー側の勝訴の判決を下した。(詳細)
これを受け、原告側は再度、最高裁に上告した。
連邦最高裁は10月3日、今回の連邦巡回区控訴裁判所の判決について審議しないことを決めた。連邦巡回区控訴裁判所の判決が確定した。
最高裁は前回、全く同様の案件で、中国政府の主張にそのまま従う必要はないとの意見を付けた上で、(独禁法に違反するとの判決ではなく)更に審議するよう差し戻した。控訴裁判所がそれを受けて再審議したうえで結論を出した以上、最高裁として再審議する必要はないと判断したと思われる。
2022/10/6 OPECプラス、11月は日量200万バレル減産
石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は10月5日にウィーンで久しぶりに対面形式により閣僚級会合を開き、11月の日量200万バレル減産で合意した。
声明では「世界経済と石油市場の見通しを取り巻く不透明さを勘案した」と述べ、景気の減速で原油がだぶつく前に需給を引き締める考えを示した。
OPECプラスは新型コロナウイルス禍の2020年5月、世界需要の1割に当たる日量970万バレルの協調減産に踏み切った。その後、減産量を減らしてきて、9月には10万バレルの増産としたが、景気減速などで需要が減るとの見方が強まり、前回の9月会合で10月に日量10万バレル減産することを決めた。
今回は当初、100万バレルの減産と噂されたが、一気に200万バレルとした。200万バレル減産は世界需要の2%に当たり、2020年の970万バレル減産以来の規模になる。
ホワイトハウスは5日の声明で大幅減産について「バイデン大統領は目先のことしか見えていない決定に失望している」と述べ、「この決定はエネルギー価格上昇ですでに混乱している低所得・中所得国に最も大きな負の影響をもたらす」とも指摘した。米議会と連携し、OPECの価格支配を弱めるための措置を検討するとした。
ガソリン価格を抑制するため、バイデン大統領の指示のもと、11月に新たに1000万バレルの石油備蓄の放出を実施すると発表した。
WTI原油価格の推移は下図の通りで、2022年3月7日に時間外で一時130.50$/bbl、終値では3月8日に123.70$/bbl
と、2008年以来の高値を付けたが、現在は80$前後である。OPECが大幅減産するとの情報から10月5日の終値は87.76ドル、一時は88.42ドルと期近物として約3週間ぶりの高値を付けた。
ーーー
OPECプラスは2020年4月12日、4月9日に続いてふたたび緊急テレビ会議を開き、アジアの原油市場が開く直前に日量970万バレルの減産で最終合意した。
その後、下記の経緯をたどった。
(万バレル) |
OPEC+ |
サウジ追加 |
合計 |
2020/5〜6 |
970 |
|
970 |
2020/7
|
960 |
|
960 |
2020/8〜12 |
770 |
|
770 |
2021/1
|
720 |
|
720 |
2 |
712.5 |
100 |
812.5 |
3 |
705 |
100 |
805 |
4 |
690 |
100 |
790 |
5 |
-35 |
655 |
-25 |
75
|
-60 |
730 |
6 |
-35 |
620 |
-35 |
40 |
-70 |
660 |
7 |
-44.1 |
575.9 |
-40 |
0 |
-84.1 |
575.9 |
「OPECプラス」は2021年7月18日の閣僚協議で、協調減産を8月から毎月日量40万バレルずつ縮小すると決めた。
2021/7/20 OPECプラス、8月から2022年末まで減産縮小で合意
OPECプラスは2022年6月2日、オンライン会合を開き、今後の原油の生産量を協議した。7月の減産縮小(=生産増)を本来の43.2万バレルから64.8万バレルに増やし、8月で減産を終了した。
2022/6/3 OPECプラス、7月の減産縮小幅を拡大、8月に減産終了
中東歴訪中のバイデン米大統領は7月15日、サウジアラビア西部ジッダで同国のサルマン国王やその息子で実質的な最高実力者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子らと会談した。双方はロシアのウクライナ侵攻を一因とするエネルギー価格高騰への対応などを協議。バイデン氏は石油増産に向けたサウジへの働きかけに手応えをみせた。
バイデン大統領の要請にもかかわらず、OPECプラスは8月3日、9月の増産を日量10万バレルのみにとどめた。
そして、OPECプラスは10月は再度日量10万バレルの減産に転じた。
2022/10/7 Gazprom、イタリア向け天然ガス供給再開
ロシア国営ガス会社Gazpromは10月1日、イタリア向けの天然ガスの供給を停止した。
ロシアの天然ガスは、ウクライナからスロバキアを経由してオーストリアに入り、オーストリアとイタリアとスロベニアの国境のTarvisio でイタリアに入るが、Tarvisioでの天然ガス受入が止まった。
Gazpromは制裁への報復として欧州各国へのガス供給を制限している。
ロシアとドイツをバルト海経由で結ぶ天然ガスパイプラインはNordstream 2 がEUの未承認で稼働しておらず、Nordstream
1は点検を理由に停止しているが、9月末にNordstream 1で2か所、Nordstream
2で1か所のガス漏れが見つかったと発表した。(その後、Nordstream 2 でもう一カ所見つかった。)
Nordstream 1 及び 2
は、それぞれ2本のパイプラインがあるが、Gazpromによると、このうち3本が損傷、10月3日にいずれもガス漏れは止まったが、破損が原因とみられる圧力の急低下が起こっている。
Norstream 2 の1本だけが損傷なく、輸送可能である。但し、Norstream 2はロシアのウクライナ侵攻の兆候を受けドイツが承認手続きを凍結している。
2022/9/29 Nordstream
Pipelineで漏れ
今回も制裁への報復かと見られたが、オーストリアへのガス供給は止まっていない。
実際は手続き上の問題であった。
Gazpromはイタリアへの供給停止について、ロシアからイタリアにガスを運ぶパイプラインが通過するオーストリアで規制変更を巡る問題が解消していないためだと説明し
た。
詳細は明らかにされていないが、事情は下記の通りと見られる。
オーストリア当局は、オーストリア経由のガス輸送について、10月1日から
ルールを変更した。
新ルールは数カ月前から全ての市場関係者に通知されており、当事者全員が必要な手続きをとる必要があるが、
イタリア側がとっていなかった模様。
このため、オーストリア経由のイタリア向け輸送についてGazpromが輸送申請をしたが、オーストリア側に拒否され、停止した。
Gazpromはイタリア側と協議して解決策を見つけ、10月5日に輸送を再開した。イタリアのENIも供給再開を確認した。
需給逼迫への懸念から上昇していた欧州の天然ガス先物相場は急落した。
なお、EU加盟国は10月5日、ロシアに追加制裁を科すことで合意した。
ロシアとの貿易規制の対象品を鉄鋼やハイテク製品などで拡大するほか、ロシア産原油の取引価格に上限を設ける。上限を上回る価格で販売されたロシア産石油を第三国に海上輸送することを禁じる。
さらに、ロシア国防省当局者やウクライナで強行した住民投票に関与した人物など制裁対象を拡大する。
これを受け、ロシアのノバク副首相は10月5日、「このような手段を導入して価格制限の恩恵を受ける消費者に供給を行うことは望ましくない。市場ベースの価格メカニズムを提供する国にのみ供給を継続する」と発言したと報じ
られた。
欧州各国はこの冬の天然ガス対策はなんとか取れそうだが、ロシアからの供給が断たれた場合、他のソースについては限度があり、次の冬については対策が取れないとされる。ロシア側はいろいろな形で揺さぶりをかけてくると思われる。
ーーー
イタリアはかつてガス輸入の約4割をロシアに依存していたが、今冬は供給が減っても北アフリカから調達できるという。
アルジェリアは天然ガスと石油を多く産し、天然ガスは地中海の海底パイプライン4本でイタリア、スペインに送られており、欧州の経済を支えている。
2022/8/23 アルジェリアの天然ガスをドイツに送る新パイプライン計画
2022/10/10
米国、半導体の対中輸出制限を拡大
バイデン米政権は10月7日、中国への半導体先端技術の新しい輸出規制を実施すると発表した。
付記 米、日本など同盟国に対中規制に追随要求
商務省の産業安全保障局 (BIS) は、新しい輸出規制を発表、米国の国家安全保障と外交政策上の利益を保護するための継続的な取り組みの一環として、輸出規制に対象を絞った一連の更新を実施すると述べた。
今回の輸出規制は、中国が高度なコンピューティング
チップを取得し、スーパーコンピューターを開発および維持し、高度な半導体を製造する能力を制限する。
「中国はスーパーコンピューティング能力の開発にリソースを注ぎ込み、2030年までに人工知能の世界的リーダーになることを目指している。これらの能力を利用して自国民を監視、追跡、監視し、軍事近代化を促進している」とし、
「我々の行動は、米国の国家安全保障と外交政策の利益を保護すると同時に、米国の技術的リーダーシップは価値と革新に関するものであるという明確なメッセージを送信する」としている。
軍事開発に欠かせないAIやスーパーコンピューターに使われる先端半導体の輸出を制限、さらに特定の先端半導体を扱う中国企業の工場に対し、米国製の製造装置を販売することも原則禁止する。中国への輸出は商務省の許可を必要とするようにするが、安全保障上の懸念があれば認めない。
18nm以下のDRAM、128層以上のNAND、FinFET技術などを使用した14nm以下の非メモリー半導体を生産できる装備・技術を米国企業が中国に販売する場合、許可を受ける必要がある。
米国企業の半導体や米国で製造した半導体に加え、外国でつくった製品でも米国の製造技術を使っておれば輸出を原則認めない。
報道では、商務省はこれまでに半導体製造装置メーカーである KLA Corporation、Lam Research、Applied
Materialsに文書で輸出制限を通知している。
今回の一連の措置が適用されると、米国の技術を利用する米国内外の企業による中国の主要工場および半導体設計業者への支援が強制的に打ち切りとなり、中国の半導体製造業が立ち行かなくなる可能性がある。
別途、米政権は10月7日、中国半導体製造大手、長江メモリー・テクノロジーズなど中国の31企業・団体を安全保障上の輸出規制リストに追加したと発表した。中国が米国の半導体技術を軍事転用する動きを阻む狙いがある。リストに掲載されると、米商務省の許可なく米国からの技術や部品を対象企業などに輸出することが制限される。
中国外務省の副報道局長は記者会見で「輸出管理措置を悪用し、中国企業に対して悪意ある弾圧を行っている」と強く反発した。
中国企業に輸出するライセンス付与は厳格に抑制される一方、中国で半導体を生産する韓国などの外国企業への輸出の場合は、「ケースバイケース」でライセンスが審査されることになる。韓国の半導体メモリー生産大手SKハイニックスは中国工場の操業継続に向けてライセンスを申請した。
韓国産業通商資源省は、米の規制措置がサムスン電子やSKハイニックスの中国での半導体製造向けの設備供給に大きな混乱をもたらすことはないとの見解を示したが、米輸出管理当局との協議を通じて不確実性を最小限にする必要があると述べた。
台湾経済部は、「台湾の半導体産業は長年にわたり世界の顧客にサービスを提供しており、法律の遵守を非常に重視している。台湾の法令遵守のみならず、海外顧客のニーズや規範にも協力する」とする声明を発表。引き続きメーカーと緊密に連絡を取り合い、各社が工場拡張のために投資したり技術発展に向け世界に製品を供給するのを支援していくと述べた。
付記
中国に大規模工場を持つ韓国のサムスン電子や台湾のTSMC(台湾積体電路製造)など一部企業には1年間、適用を免除した。
米紙は2023年6月12日、米政権が、中国に対する最先端半導体の輸出規制に関し、韓国と台湾の企業への適用免除措置を延長すると報じた。
米商務省幹部が業界団体に伝えた。
バイデン政権は昨年10月、中国に大規模工場を持つ韓国のサムスン電子や台湾のTSMC(台湾積体電路製造)など一部企業には1年間、適用を免除しており、今秋の期限切れを前に対応が焦点になっていた。
2022/10/11 中国最大の超深度油田の石油・天然ガス生産量が1000万トン以上に
中国石油天然ガス集団有限公司(CNPC)は10月9日、タクラマカン砂漠奥地にある中国最大の超深度油田「富満油田」の石油・天然ガス生産量が累計で1000万トンを超えた(原油
867 万トンと天然ガス 16 億立方メートル)ことを明らかにした。
「富満油田」があるタリム油田は、中国で3番目の石油・天然ガス田で、「西気東輸」(西部地域の天然ガスを東部地域に輸送するプロジェクト)の主なガス供給源となっている。
2012/12/29
中国の西気東輸 第三パイプライン
新彊を構成する主要三盆地、ジュンガル盆地、タリム盆地、吐哈盆地それぞれが、豊富に石油や天然ガスを埋蔵しており、多くの油田やガス田が存在
する。これらの油田やガス田を大きく3つにまとめて、カラマイ油田、タリム油田、吐哈(トゥハ)油田と総称している。
カラマイ油田はジュンガル盆地西部に位置し、中国西部では最大の油田。2010年の産出量は原油1,089万t、天然ガス38億m3で、原油はパイプラインにより独山子、ウルムチの石油コンビナートに送られ精製され、主に鉄道で東部地域に送られ
る。
タリム油田は原油より天然ガスが主で、2010年の産出量は原油554万t、天然ガス183億m3。西气東輸パイプラインの国内最大の供給源で、昨年は158億m3が東部地区へ送られた。
原油はパイプラインで塔中〜輪台〜コルラと送られた後、主に鉄道で東部地域に送られる。
これら二つの油田地帯と比べると、吐哈油田の産出量は少なく、2010年の産出量は原油換算で244万tだった。
「富満油田」はタリム油田の一つ。
「死の海」として知られるタクラマカン砂漠の後背地に位置し、中国で発見された最大の超深海
・断層制御・断層洞窟・炭酸塩貯留層で、この油田の石油とガスは、7,500 メートルから 10,000
メートルの超深度に埋もれている。
世界でも珍しい超大深度・超高温・超高圧という特徴を持っているため、貯留層の認識・特定は極めて困難で
、ドリルビットを精密に制御して石油やガスの貯留層の超深度地下掘削を行う場合、それは地下のエベレスト山を横切る「ターゲット」に相当し、その難易度は
100mの距離で「針に糸を通す」ことにも劣
らないとされる。これまで8,000メートルを超える「地下のエベレスト」は累計58カ所突破された。
確認埋蔵量は10億トンを超えており、今年に入ってからは1000トン級の油井を4基、100トン級の油井45基を新たに掘削した。
2022/10/12 プーチン大統領、クリミア大橋爆発の報復でウクライナに大規模ミサイル攻撃
ウクライナで10月10日、首都キーウをはじめ各地でロシア軍による大規模なミサイル攻撃があり、14人が死亡し、97人がけがをしたほか、インフラ施設が被害を受けた。
ロシアのプーチン大統領は同日、ロシア国防省の提案と参謀本部の計画に従い、ウクライナの軍事、通信、エネルギー関連施設に対して長距離精密兵器による集中攻撃を行ったと発表した。
クリミア大橋での破壊工作をテロ行為だと指摘し、「ロシア連邦領内でテロ行為を実行する試みが続く場合、対応は厳しく、そして脅威のレベルに合致したものとなる」と強調した。
「キエフ政権はその行動によって事実上、国際テロ組織、最も唾棄すべき集団と自分自身を同列に並べた。この種の犯罪を対応せずに放っておくことは、すでにただ不可能だ」と述べ
、わが国の領土でテロ攻撃の試みが続くなら、その脅威のレベルに応じた規模で厳しく対応していく」と述べ、ウクライナ側を強くけん制した。
10日に行われたウクライナ情勢をめぐる国連総会の緊急特別会合ではおよそ20か国が演説し、ロシアへの非難が相次いだ。
翌11日もリビウや南部ザポロジエなど複数の都市で攻撃が続いた。
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ロシア南部のタマン半島とクリミア半島をつなぐクリミア大橋の自動車専用道で10月8日、貨物自動車(無人ボート説もある)が爆発し、
隣を走行中の貨車に引火、大規模な火災が発生、自動車道路の一部が崩落した。
プーチン大統領は下記についても触れた。
・ウクライナの情報機関はロシアのクルスク原子力発電所に対してすでに3回テロ行為を実施しており、発電所の高圧の送電線を何度も損傷させている。
・ザポリージャ(ザポロジエ)原子力発電所に対する攻撃を「原子力テロ行為」だと指摘した。
・ロシアの電力施設やガス輸送インフラに対してその他にも一連のテロが行われ、そこにはガス輸送システム「トルコストリーム(TurkStream)」の1区画での爆破の試みも含まれるという。
Turkish Streamは2ライン(各157.5億立方メートル)で構成されるガスパイプラインで、1ラインはトルコへの
ガス供給、もう1ラインは南・南東ヨーロッパへの供給を予定している。
海底部分のうち660kmは中止になったSouth Stream用に予定されていたルート、その他に
250kmがトルコ向けの新ルートとなる。
黒海南西部沿岸の都市 Kıyıköyから陸上に入り、ギリシア国境のİpsala
までの180kmが敷設される。
年間輸送能力は315億m3で、うちトルコが 半分を引き取る。トルコからブルガリア、セルビア、ハンガリーを経由して欧州へと輸送する。
2020/1/10 トルコストリーム開通
2022/10/13 東芝再編の状況
東芝が国内投資ファンドの日本産業パートナーズに優先権を与えたことが10月11日に報じられた。今後、買収価格などの詳細な条件の協議を始める。
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東芝は2022年4月21日の取締役会で、パートナー候補となりうる潜在的な投資家やスポンサーから、企業価値向上に向けた戦略的選択肢(非公開化を含む)に関する提案を募集することを決議した。
東芝は7月19日の取締役会で、上記の10件のなかから第2次入札プロセスに招聘する複数の本パートナー候補を選定した。非公開化に関する提案と、上場維持を前提とした戦略的資本業務提携に関する提案が含まれている。
報道では、下記の各社が選ばれたとされる。
1.産業革新投資機構(JIC)
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日本産業パートナーズ(JIP)
2. 米大手投資ファンド Bain Capital
東芝の筆頭株主で旧村上ファンド出身者がシンガポールで設立した
Effissimo Capital Managementは、Bain
Capitalが東芝株を公開買い付けした場合、保有株をすべて応募する方針であることが、Effissimoが3月31日に関東財務局へ提出した変更報告書で明らかになった。
2022/4/5 Bain
Capital が東芝の買収を検討
3. 欧州拠点のCVC Capital Partners
4. カナダのBrookfield
唯一、東芝の上場維持を前提とした提案をしている。
2022/7/22 東芝再編、4陣営に絞り込み?
9月下旬に官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)が共同で2次入札に進んだ日本産業パートナーズ(JIP)との連携を解消する方針であることがわかった。
関係者によると、共同提案を予定していたが、東芝への出資戦略をめぐり意見に隔たりが生じた。
日本産業パートナーズ(JIP)は国内企業の出資を募り2次入札に臨む方針で、オリックスなどの10社超に対し、東芝への出資に参加するよう打診し、日本企業を交えた連合体での落札を目指している。
これに対し、産業革新投資機構(JIC)は、事業会社の参加に消極的で、国内外のファンドとの連携を模索しており、同じく2次入札に進んでいる米Bain
Capital と連合を組む方向で調整しているという。
東芝は改正外為法で国が特に重要な「コア業種」として位置付ける原子力事業を抱えており、買収には国の重点審査が不可欠
である。
このため、Bain CapitalやCVC Capital Partnersの単独での買収は難しい。日本企業による買収に融資または優先株による出資で参加するのではないか。
カナダのBrookfield は唯一、東芝の上場維持を前提とした提案をしている
とされる。
しかし、物言う株主等は高値での売却を狙っている。TOBで彼らの持株を買う場合は全株を買わざるを得ず(昭電による日立化成買収と同じ)、上場維持を前提にするのは不可能と思われる。
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先行して交渉に入る日本産業パートナーズは、国内勢主体で買収するため、各社に参加を呼び掛けている。
改正外為法のハードルを乗り越えるため、日本勢を中心にした陣営づくりを考えている。
中部電力が「原子力や火力事業で関係が深いため」、デューデリジェンス(資産査定)に参加して
おり、1000億円弱を出資する方針を固めた。
東芝は、原子力分野で固有の原子炉技術を持ち、プラントの建設やメンテナンスのほか、東京電力福島第1原発の廃炉作業などを担う。中部電力の浜岡原発にも東芝の原子炉が納入されており、両社のつながりは深い
。
オリックスも1000億円規模の出資を検討していることを明らかにしている。
日本生命保険は非公開化も選択肢に再編を検討する東芝への出資について打診があったことを明らかにした。
JR東海、東レなども出資を打診された模様で、出資額はそれぞれ数十億から1千億円規模になる可能性がある。
各社が東芝への出資を検討しているのは、「東芝の製品には固有の技術が使われており、他社では替えがきかない」ため
で、東芝が絡むインフラ事業の先行きに危機感を抱いている。
問題は取得価額で、10月11日の東芝株価終値は5016円で時価総額は2兆2千億円弱になる。
東芝に非公開化を提案しているファンドのうち、少なくとも1社が最大1株7000円で買収を検討していると報じられており、その場合の総額は3兆円になる。(約40%のプレミアム)
2021年4月7日に英投資ファンドのCVC
Capital Partnersが買収を提案した。
前日6日終値に約30%のプレミアムを加え、1株5000円での買い取りで、時価総額は1兆7437億円に対し、TOBが成立した場合の買収額は2兆3,000億円弱となる。
しかし、提案書になんら具体的な詳細情報が記載されておらず、東芝は4月20日、買収交渉の中断を発表した。
現在の時価5000円はCVCが2021年4月に約30%のプレミアムを上乗せして提案した金額と同じで、買収を前提とした価格である。
その後、本年6月には6000円間近まで上がったが、物言う株主は売却せず、それ以上を狙っているのは間違いない。
しかし、これに更に40%ものプレミアムを上乗せするのは、高過ぎると思われる。買収後に採算がとれるであろうか?
出資金をいくら集められるか、残り金額を金融機関から借り入れできるかどうか、が問題となる。
(報道では、日本産業パートナーズは2兆円半ばでの買収、うち1兆円規模での出資を検討しているのではないかとしている。)
2022/10/14 ホンダ、米国オハイオ州の工場を北米におけるEV生産のハブ拠点へ
American
Honda Motor は10月11日、オハイオ州の既存3工場を北米におけるEV生産のハブ拠点に
すると発表した。
Hondaは、今後のEVの本格的な生産に向けて、米国オハイオ州内の3つの既存工場(四輪車を生産するMarysville
Auto Plant とEast
Liberty Auto Plant 、四輪車用パワートレインを生産するAnna
Engine Plant)に、合計7億USドルを投資して生産設備を更新し、LG Energy
SolutionとのEV用バッテリー生産合弁会社の工場と合わせ、北米におけるEV生産のハブ拠点として進化させてい
く。
本田技研工業と韓国のLG Energy Solution
は8月29日、北米で生産販売されるHondaおよびAcura(プレミアム・ブランド)のEV用リチウムイオンバッテリーを米国で生産する合弁会社の設立に合意したと発表した。
新たな合弁会社は2022年中に設立される予定で、出資比率はLGが51%、ホンダが49%とされる。
両社は総額約44億USドルを投資し、米国に生産工場を建設する。2023年初頭に着工し、2025年中の量産開始を予定している。
この工場で生産されるリチウムイオンバッテリーは、全量が本田の北米工場へ供給される予定で、その生産能力は最大約40GWhを目指している。
2022/9/2 ホンダとLG
Energy Solution、米国にEV用バッテリー生産合弁会社設立に合意
今回、このJVのバッテリープラントをオハイオ州Fayette
County(Columbus
の40マイル南西)に建設することを明らかにした。この工場には35億ドルを投じる。
今回の構想は次の通り。
Anna
Engine Plantで製造するバッテリーケースと、LGエナジーソリューションとのEV用バッテリー生産合弁会社の工場で生産されるバッテリーモジュールを、Marysville
Auto Plant で組み合わせてバッテリーユニットを製造し、これをMarysville
Auto Plant とEast
Liberty Auto Plantで生産するEVに搭載する。
この生産設備の更新により、2026年に北米で発売を予定しているEV向けプラットフォーム「Honda
e:Architecture」を採用したEVを、オハイオ州で生産する。
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