仏国際放送局RFIの中国語版サイトは、8月17日、中国のレアアース輸出が大幅に減少しており、米中対立の新たな火種になり得るとの見方が出ていると報じた。

中国産のレアアース輸出量が4月ごろから明らかに減少しており、7月の輸出量は前年同期比で69.1%減の1,620トンにまで落ち込んだ。

米国がレアアースの8割を中国からの輸入に頼っていることから、「中国のレアアース輸出が停滞すれば、米中対立の新たな火種となり得る。中国はレアアースを米トランプ政権による中国企業締め出しの対抗措置に用いる可能性がある」との見方があると伝えた。

一方で、中国のレアアース輸出の大幅な減少は新型コロナウイルスの影響による世界経済の停滞、需要低下に関係しているとの分析や、中国で4月に新材料開発やその応用技術の研究センター設置が決定され、自国産業強化のために輸出を減らしているとの意見もあるとしている。

 

コロナ禍による景気減速が波及し、レアアースの取引価格は5月まで軟調だった。しかし、6月に中国政府が国家備蓄に動くとの情報が伝わり、価格は上昇基調にあり、8月には9カ月ぶりの高値となった。

国家備蓄は戦略資源の確保が目的とされるが、相場上昇を狙ったものとの見方もある。但し、中国政府の具体的な行動は確認されておらず、市場からは「財源不足で実施されないのでは」との声も上がる。

 

8月20日の中国商務部のオンライン定例記者会見で、これが取り上げられた。

【記者】

税関総署のデータによると、7月の中国のレアアース輸出は前年同期比約70%減少した。輸出減少の原因は何か。
新型コロナウイルス感染症がサプライチェーンに影響を与えたからなのか。
米国は中国の輸出するレアアースに依存している。輸出量が減少したのは中国の米国への対抗措置なのか。

【報道官】

税関の統計によると、今年1-7月には、中国のレアアース輸出量は2万2800トンで、前年同期比20.2%減少し、輸出額は2億1100万ドルで同26%減少した。
業界の見方によると、今年に入ってから、新型コロナの影響を受けて、レアアース産業の川下企業の生産経営活動が鈍化した。
中国企業は国際市場のニーズの変化とリスクの状況に基づいて、国際貿易業務を展開している。