これに先立ち、米下院外交委員会は3月1日、米国で「TikTok」を全面禁止する権限をバイデン大統領に付与する法案を賛成24反対16の賛成多数で可決した。
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2024/3/15
米下院、TikTok規制法案可決米連邦議会下院は3月13日、中国発の動画共有アプリ「TikTok」の親会社である字節跳動(ByteDance)に165日以内に同アプリの米国事業売却を求め、従わなければアプリの利用を禁止する法案:「アメリカ国民を外国敵対勢力管理アプリケーションから保護する法律」を賛成352、反対65という大差で可決した。TikTokは米国に1億7000万人のユーザーを抱える。
共和党 | 民主党 | 合計 | 欠員 | |
賛成 | 197 | 155 | 352 | |
反対 | 15 | 50 | 65 | |
棄権 | 7 | 8 | 15 | |
合計 | 219 | 213 | 432 | 3 |
これに先立ち、米下院外交委員会は3月1日、米国で「TikTok」を全面禁止する権限をバイデン大統領に付与する法案を賛成24反対16の賛成多数で可決した。
この時点ではバイデン政権は法案を支持するかどうかについて立場を示さなかった。ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、TikTokの問題は国民の個人情報に関係しているため懸念を持っていると述べるにとどめた。
付記
米下院は4月20日、「TikTok」の米事業売却を義務付ける法案を可決した。同社が売却しない場合、TikTokは米国で禁止される。
360対58で可決された同法案はデータのブローカーが外国の敵対勢力に情報を販売することに新たな制限を設けるとともに、ウクライナを支援するため、凍結されたロシア資産の押収を認めるとしている。
下院は3月に可決していた同様の法案(上記)を修正。売却までの猶予期間を先に決めた6カ月から約1年に変更した。これはTikTok側が米大統領選前に事業売却や閉鎖を必ずしも行う必要がないことを意味する。
一部の議員は中国がTikTokを使い米国の政治に介入しようとするのではないかと懸念している。
上院は4月23日、中国発の動画共有アプリ「TikTok」の規制法案を賛成多数で可決した。バイデン大統領が翌24日に署名し、同法案は成立した。
米首都ワシントンの連邦控訴裁は12月6日、国家安全保障上の懸念から中国系動画投稿アプリ「TikTok」の利用を米国で禁止できるとの判断を下した。TikTok側が法律の差し止めを求めた訴えを退けた。
TikTok側は、この法律が表現の自由を侵害し、憲法に違反しているとして差し止めを求める訴えを起こしていた。
この理由について裁判所は、「アメリカ政府が敵対的な外国から表現の自由を守り、国民のデータを収集する能力を制限しようとする法律だ」として、憲法と照らしあわせても問題がないとしている。
2025年1月19日までに中国の親会社がアメリカ事業を売却しなければ、アプリでの配信などが禁止されることになる。
ーーー
中国では企業に国家安全保障法が適用され、要請に応じて政府とデータを共有することが義務付けられている。
TikTokはこれまで、中国のByteDance従業員がアメリカ国内のユーザーのデータにアクセスできないことを保証するため、15億ドル以上をかけてデータ流出阻止のため「プロジェクト・テキサス」という措置を講じたとし、規制当局を安心させようとしてきた。
TikTokの周受資CEOは、同社はデータの安全性と「外部から操作できない」プラットフォームを維持すると約束すると述べた。
しかし、今年1月にWall Street Journalが行った調査によると、TikTokが導入したシステムはまだ「穴だらけ」で、アメリカのTikTokと中国のバイトダンスの間で非公式にデータが共有されていることが判明した。
上院のチャック・シューマー院内総務(民主党)は、上院は間もなくこの法案を検討すると述べた。
バイデン大統領は先月から選挙戦でTikTokを使い始めているが、法案については「上下両院で可決されれば署名する」と述べて、成立させる考えを示したが、共和党のトランプ前大統領は今月に入って、TikTokを禁止すればほかのSNSサービスの利益になるだけだとして反対する姿勢に転じており、上院での見通しは不透明である。
トランプ氏は大統領時代、TikTok 規制に動いていた。バイデン大統領は逆に、トランプ大統領の中国企業のアプリに関する一連の大統領令を取り消した。
トランプ「大統領」は2020年8月14日、国家安全保障上の懸念を理由に、中国のBytedance(北京字節跳動科技)に対し、運営する動画投稿アプリTikTokの米国資産を売却するよう命じた。
2020/8/10 米国、TikTokとWeChatの運営会社との取引禁止
米商務省は2020年9月18日、TikTokとWeChat の規制を発表した。
2020/9/19 TikTokとWeChat ダウンロード禁止
バイデン米大統領は2021年6月9日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok」の米国内での提供や利用を禁じるなど、トランプ大統領の中国企業のアプリに関する一連の大統領令を取り消した。
2024/3/18 公取委、「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表
公正取引委員会は昨年5月以降、11万社余りを対象に、賃上げに伴う人件費の増加や原材料価格などの上昇分を適切に価格転嫁できているか、書面や立ち入りなどによる調査を実施した。
その結果、多くの取引先と協議をせずに取引価格を据え置いたことなどが確認されたとして、下記の10社の企業名を公表した。
・ イオンディライト(イオングループの施設管理会社)
・ SBSフレック(物流サービス)
・ 京セラ
・ 西濃運輸
・ ソーシン(輸送機器メーカー)
・ ダイハツ工業
・ 東邦薬品(医薬品卸)
・ 日本梱包運輸倉庫(物流サービス)
・ PALTAC(医薬品や日用品などの卸売り)
・ 三菱ふそうトラック・バス
なお、社名公表は独占禁止法又は下請法に違反すること又はそのおそれを認定したものではない。
付記
公正取引委員会は6月5日、企業が人件費や原材料費の上昇分を製品やサービスに適切に転嫁できているかどうかの特別調査を始めたと発表した。
ーーー
(2022年度)
公正取引委員会は2022年に、適正な価格転嫁の実現に向けて、事業者間取引において、下記の@又はAに該当する「協議を経ない取引価格の据置き等」が疑われる事案に関する実態を把握するため「緊急調査」を実施した。
@ 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
A 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
この緊急調査では、受注者から申入れがないこと等を理由として、発注者からは積極的な協議の場を設けず取引価格が据え置かれているケースが多数みられた。
公取委は発注者4,030社に対して注意喚起文書を送付した。また、個別調査の結果、多数の取引先に対する協議を経ない取引価格の据置き等が認められた佐川急便やJA全農、デンソーなど13社について、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、その事業者名を公表した。
2022/12/28 公取委、価格転嫁拒否で企業名公表
(2023年度)
公正取引委員会は、上記の緊急調査等を踏まえ、また、注意喚起対象4,030社及び事業者名公表13社の価格転嫁円滑化に関する取組に関するフォローアップのため、2023年度「独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」を実施し、2023年12月にその結果を発表した。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/dec/231227_tokubetucyosakekka.html
個別調査の結果、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が確認された事業者については、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、発注者に価格転嫁に向けた積極的な協議を促し、また、受注者にとっての協議を求める機会の拡大につながる有益な情報であること等を踏まえ、事業者名を公表することとし、上記の10社を公表した。
なお、2022年の事業者名公表13社は、全体としては価格転嫁円滑化を相当程度進めていた。
いずれも、「コスト上昇による価格転嫁の要望があれば価格交渉に応じるので申し出るように」などといった呼び掛けを行っていた。
交渉の内容を記録して保管することとしており、受注者から価格転嫁の要請があったものの取引価格を据え置く場合は、据置きの理由を記録の残る方法で受注者に回答することをルール化していた。
別途、経済産業省は2023年2月7日、下請け企業との価格交渉でコスト上昇による転嫁に後ろ向きな企業を実名で公表した。
2023/2/9 経産省、価格転嫁に後ろ向きな企業の実名公開
なお、これとは別に、公正取引委員会は3月7日、日産自動車に対し「割戻金」の名目で一部下請け業者への支払いを減額していたことが下請法違反に当たるとして、再発防止などを勧告した。
日産は減額分をすでに下請け業者へ支払い、割戻金の運用も廃止したとしている。
2024/3/19 国際協力銀行、丸紅参加のチリのセンチネラ銅鉱山拡張事業に対しプロジェクトファイナンス
国際協力銀行(JBIC)は3月16日、チリ共和国のMinera Centinela との間で、センチネラ銅鉱山の拡張事業を対象として、融資金額950百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結したと発表した。
本融資は、カナダ輸出開発公社、韓国輸出入銀行、ドイツ復興金融公庫及び民間金融機関(三井住友銀行、Crédit Agricole Corporate and Investment Bank、Société Générale S.A.、Natixis S.A.)との協調融資により実施するもので、協調融資総額は2,500百万米ドルである。
本プロジェクトは、英国法人Antofagasta plc及び丸紅が出資するCentinelaが、チリのアントファガスタ州に位置するセンチネラ銅鉱山の新規鉱区を開発の上、選鉱プラント及び関連設備を新たに建設・操業するもの。拡張事業によって増産される銅精鉱のうち一部を日本企業が引き取る予定。
センチネラ銅鉱山は、使用電力の100%再生可能エネルギー化や操業用水への海水利用等、環境に配慮した持続可能な銅生産を行っており、2021年7月にはCopper
Mark認証(国際銅協会が2019年に設立した銅産業の「責任ある生産」及びSDGsへの貢献を示す枠組み)を取得している。丸紅は、中期経営戦略「GC2024」において、グリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の一つに掲げており、電化推進に不可欠な銅事業をグリーン事業と位置付けているところ、日本企業の脱炭素社会の実現に向けたエネルギー変革への対応を後押しする観点から、こうした丸紅のグリーン戦略に基づく取り組みを支援するもの。
丸紅は2023年12月20日、英国のAntofagasta plcと共同出資するチリのMinera Centinela(「センチネラ銅鉱山」) の拡張プロジェクトについて投資意思決定を行ったと発表した。
銅の需要は、新興国の発展に伴う電化・インフラ整備の拡大に加え、電気自動車の普及や再生可能エネルギーの拡大などによって、更なる増加が見込まれてい る。
一方供給面では、既存鉱山の品位低下や資源枯渇による生産量低下に加え、環境許認可取得難化・所在地の僻地化等により新規鉱山も開発難度が高まることで供給の拡大が見込めず、長期的に銅は供給不足に陥り需給ギャップが拡大していく見通しである。
本拡張プロジェクトは、既存の選鉱プラントの南約7kmの場所に新規の選鉱プラントを建設することで、鉱石処理能力を日量9万5000トン追加して現状比2倍にする。
既存の選鉱プラント:Esperanza銅鉱床とEsperanza Sur銅鉱床から給鉱
新規の選鉱プラント:Esperanza Sur銅鉱床とEncuentro銅鉱床から給鉱
本拡張プロジェクト後のセンチネラ銅鉱山全体の銅生産量は、約14万トン/年の増産により生産量で世界トップ15の銅鉱山となる見込み 。
初期開発費用は44億米ドルを見込むが、センチネラ銅鉱山でプロジェクトファイナンスを組成予定 (上記の25億ドル)で両株主の資金負担は40%程度(19億ドル:43%)となる予定。2024年より建設を開始、2027年の生産開始を計画している。
<センチネラ銅鉱山概要>
<センチネラ銅鉱山概要> 所在地 チリ第U州(Antofagasta 市から北東に約180km、標高2,300m) 可採鉱量 硫化鉱 1,738百万トン(2020年12月末現在)
酸化鉱 324百万トン(2020年12月末現在)生産量 (銅地金換算)約25万トン/年+約14万トン/年 生産期間 2001年〜2068年 持分権益比率
権益比率 アントファガスタ 70% 丸紅 30% Antofagasta plc は1888年設立で、事業内容は銅精鉱及び銅地金の生産・販売事業、輸送事業、水事業
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丸紅は同じ2023年12月20日、JX金属が保有するチリのMinera Los Pelambres Limitada(「ロスペランブレス銅鉱山」)の権益3.27%の取得、およびパンパシフィック・カッパーの株式20.0%の取得につき、JX金属と合意したと発表した。
ロスペランブレス銅鉱山は、現地パートナーである Antofagasta plcと丸紅を含む日本コンソーシアムが共同運営する年間生産量約40 万トン(銅地金換算)の世界有数の大型銅鉱山であり、世界でトップクラスのコスト競争力を誇る。また、操業用水への海水利用や、使用電力の100%再生可能エネルギー化を実現するなど、環境に配慮した持続可能な銅生産を行っている。
丸紅は、現在9.21%の権益を保有しており、今回の追加取得後には12.48%を保有することになる。
<ロスペランブレス銅鉱山概要> 会社名 Minera Los Pelambres Limitada 所在地 チリ Coquimbo州 埋蔵量 9億トン (2022 年 12 月末現在) 生産量 約40万トン/年(銅地金換算) 生産期間 1999年〜2036年 持分権益比率 会社名 本取引実施前 本取引実施後 Antofagasta plc 60.00% 60.00% JX金属 15.79% 12.52% 丸紅 9.21% 12.48% 三菱マテリアル 10.00% 10.00% 三菱商事 5.00% 5.00% 事業内容 銅精鉱の生産・販売事業
パンパシフィック・カッパーは、JX金属と三井金属鉱業による合弁事業として、原料調達から製錬・加工委託、製品販売までを担う銅を主体とする非鉄金属素材の供給事業者であり、銅地金販売量は年間約65万トンと国内最大規模で、アジア圏を中心に幅広い顧客網を持ち、同社の取り扱う高品質の銅地金はマーケットにて確固たるプレゼンスを確立している。
会社名 パンパシフィック・カッパー株式会社 設立年 2000年 株主 会社名 本取引実施前 本取引実施後 JX金属 67.8% 47.8% 三井金属 32.2% 32.2% 丸紅 0.0% 20.0% 事業内容 銅原料調達、製錬・加工委託、製品販売事業
丸紅は、銅の需要は、新興国の発展に伴う電化・インフラ整備の拡大に加え、グリーントランジションに伴う電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギーの拡大などによって、更なる増加が見込まれており、銅鉱山操業、銅原料調達、銅地金販売等における銅のサプライチェーンを強化し、今後も持続可能な銅の安定供給を担うとともに、銅事業の拡大に取り組んでいくとしている。
日本銀行は3月18日〜19日の金融政策決定会合で、「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決めた。
政策委員会・金融政策決定会合において、賃金と物価の好循環を確認し、先行き、「展望レポート」の見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した。
これまでの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組み(イールドカーブ・コントロール)およびマイナス金利政策は、その役割を果たしたと考えている。
日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する。
現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。
(1)金融市場調節方針(賛成7反対2)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す。
この方針を実現するため、日本銀行当座預金(所要準備額相当部分を除く)に0.1%の付利金利を適用する。(「マイナス金利政策」を解除)
日銀による利上げは2007年2月以来およそ17年ぶり。
2016年9月に導入し、短期金利に加えて長期金利を低く抑え込んできた長短金利操作=イールドカーブ・コントロールと呼ばれる金融政策の枠組みを終了
(2)長期国債の買入れ(賛成8 反対1)
(日銀が国債を大量購入して長期金利を0%に抑える長期金利操作は撤廃するが、)
これまでと概ね同程度の金額(足もとの長期国債の月間買入れ額は6兆円程度)で長期国債の買入れを継続する。
ーーー
日本銀行(黒田・日銀)は2013年4月4日の政策委員会・金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」の導入を決めた。
日本銀行は2016年1月29日、政策委員会・金融政策決定会合で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。今後は、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で緩和手段を駆使して、金融緩和を進めることとした。
白川・日銀 黒田・日銀
2013/4/4 2014/10/31 2016/1/29 金融市場
調節手段無担保コール翌日物金利 マネタリーベース マイナス金利の導入 マネタリー
ベース年間 60〜70兆円増 年間約80兆円増 2012年末 138兆円 2013年末 200兆円
2014年末 270兆円長期国債
買い入れ
残高 年間50兆円増
40年債を含む全ゾーン残高 年間80兆円増 平均残存 3年弱 7年程度 7年〜10年程度 2016/2/13 マイナス金利の波紋
日銀は、2016年9月「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き・量的・質的金融緩和」の導入を決定した。
短期金利、および10年物国債金利の操作目標の2つの金利水準を提示する。
2016/9/27 バーナンキ氏、日銀の新政策は「ヘリコプターマネー政策に似ている」 後半に詳細
その後、長期金利については下記の通り、見直してきた。
2016/9 「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き・量的・質的金融緩和」の導入 10年物国債金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れ
0%〜±0.1%程度2018/7 ±0.2%程度 2021/3 ±0.25%程度 2022/12 イールドカーブ・コントロールの運用の一部見直し ±0.50%程度 2023/4 黒田総裁→植田総裁 2023/7 運用の柔軟化 「±0.5%程度」を目途とする=1%を事実上の上限 2023/10 長短金利操作の再修正 1%を「めど」とし、一定程度超えることを容認 2023/11/1 日銀、金利操作の再修正を決定、長期金利1%超え容認
上記の通り、日本ではゼロ金利が続いてきたが、欧米各国は早期に利上げに転じている。
2022/9/26 主要中央銀行でマイナス金利は日銀だけに
経済産業省は3月19日、電気自動車(EV)補助金に関し、車両ごとの2024年度の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」を公表した。充電拠点の整備状況や製造時の二酸化炭素(CO2)排出削減、サイバー攻撃対策などを進める企業を優遇した。
ガソリン車よりも価格が高いEVの購入者向けに購入金額の一部を補助するもので、2023年度の補正予算で1291億円の予算を計上し、財源としている。
2023年度までは充電1回あたりの航続距離など車両性能と、EV自体に災害時に充電設備としての機能があることなどを要件に37万〜85万円を支給していた。2024年度の補助からはこれらに加え、充電器の設置といったEVの普及に向けたメーカー側の取り組みを重視するようにした。その上で補助額を12万〜85万円と差を大きくした。
ーーー
経産省が要件とした項目は主に7つとなる。@航続距離など車両性能、AEV自体が災害時に充電設備として機能すること、B充電拠点の整備状況C製造時のCO2など排出削減Dサイバー攻撃対策E修理拠点の整備状況や部材の安定確保F整備人材の育成である。
各項目の達成度に下記の配分で車種と企業に点数をつけ、最大200点を付与する。
評価項目 車種 企業 @航続距離など車両性能 40点 AEV自体が災害時に充電設備として機能すること 10点 10点 B充電インフラ整備 40点 C製造時のCO2など排出削減 20点 Dサイバー攻撃対策 20点 E修理拠点の整備状況、部材の安定確保 20点 20点 F整備人材の育成 20点 合計 90点
110点 200点
下表の通り、EVの場合、130点以上に補助最高額となる85万円を支給する。このほか100〜129点は65万円、54点以下は15万円といった6段階に分けた。
販売価格が840万円以上の車両は支給額を2割差し引く。130点以上であっても68万円となる。
車種別の補助上限額は、日産自動車「リーフ」やトヨタ自動車「レクサス」、米テスラ「モデル3」が最高額の85万円となった。
マツダ「MX-30」や独メルセデス・ベンツ「EQA」は65万円、韓国の現代自動車「KONA」は45万円、中国の比亜迪(BYD)「DOLPHIN」は35万円とした。
表にはないが、英ジャガー「I-PACE」は、2023年度は52万円だったが、今回は12万円となり、最も低い。
トヨタの「bZ4X」と、スバルの「ソルテラ」は共同開発しており、ほぼ同じ車両だが、それぞれ85万円、65万円と差がついた。 日本経済新聞によると、経産省の担当者は「EVの普及に向けたメーカー独自の取り組み状況を反映した」と話す。
日本国内に整備拠点を設置しにくい海外メーカーからは「新制度で不利になる」との懸念の声が上がっていた。経産省は自社の整備工場がなくても、他社の工場と提携しているかといった点を考慮し、海外メーカーでも対応できる制度設計にした。
経産省はメーカーの要望に応じて配点理由を個別に説明、得点が低かった項目などを示し、改善を促す。
EV補助金に関しては政府からの支援のほか、東京都など各自治体の制度も併用できる。
2024/3/22 米政府、CHIPS and Science Act に基づき Intelに最大で85億ドルの補助金
バイデン大統領は3月20日、西部アリゾナ州Chandler市のOcotillo Campusにある半導体メーカー、インテルの施設を視察した。
Intelは2021年9月24日、アリゾナ州Chandler市のOcotillo Campusで新工場建設の起工式を行なった。総額200億ドルを投じて2つの半導体製造工場を建設し、「インテル20A」を含む同社の最先端製品の製造を予定する。2024年の完全稼働を目指している。
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Intelは2022年1月21日、最大1000億ドルを投じ、オハイオ州に世界最大級の半導体製造工場を建設すると発表した。
先進半導体の製造に向け、まず200億ドルを投じてオハイオ州に新工場2カ所を建設する。最終的には8つの工場を擁する1000億ドル規模の 世界最大規模の「メガサイト」とする。
スマートフォンや自動車向けなどの最先端の半導体を生産するほか、他社からの受託事業も行なう。建設場所は州都Columbus郊外のNew Albanyで敷地面積は1000エーカー。3000人の正規雇用、建設関連で7000人の雇用を創出する見込み。
2022/1/31 インテル、米に世界最大級の半導体工場新設
視察後、演説したバイデン大統領は、CHIPS and Science Act に基づき、インテルに最大で85億ドルの補助金を出すと明らかにした。合わせて110億ドルの融資も行う。
付記 2024年11月26日、支給額は最大78億6500万ドルに決まった。
補助金は、Arizona, Ohio, New Mexico, Oregon で最先端の半導体工場を建設する費用などにあてられる。
バイデン大統領は「アメリカ国内で投資を行えば国の未来を変えるとともに世界を再びリードすることができる」と述べ、半導体産業の立て直しをはかると強調した。補助金は、バイデン政権が2022年に成立させた国内の半導体の生産や開発を後押しする法律、CHIPS
and Science Act の枠組みが使われ、この制度では最大の額となる。
また、今回の投資によっておよそ3万人の雇用創出につながるとしている。
秋の大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領としては、最先端の半導体をめぐり国家主導でばく大な予算を使って技術開発を進める中国に対抗するとともに、製造業を強く後押しする姿勢を強調するねらいもある。
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バイデン大統領は2022年8月9日、国内半導体産業支援法「CHIPS法」案に署名し、同法が成立した。
法案の総額は約5年で約2,800億ドルとなり、その多くはエネルギー省や商務省、国立科学財団(NSF)、国立標準技術研究所(NIST)といった連邦政府機関の研究開発プログラムなどへの予算の充当となる。
産業界向けのCHIPSに関する5年間で527億ドルの予算の内訳は次のとおり。
2022/7/29 米議会、「CHIPS法」を可決
商務省はこの390億ドルのインセンティブの実質第1号として、2月にGlobalFoundriesに15億ドルを支給した。
2023年12月にNew HampshireのBAE Systems の施設に35百万ドル、2024年1月にMicrochip Technologyに162百万ドル支給を発表したが、本格的な支給はこれが最初。
GlobalFoundriesは米国の半導体製造企業で、ファウンドリとしてはTSMC、Samsungに次いで世界第3位グループ。
2024/2/28 米国商務省、CHIPS法に基づく半導体メーカーへの最初の補助金支給
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3月14日の関係筋の話として、米政府は韓国のサムスン電子に対して、同社が発表したテキサスプロジェクトを越えて投資を拡大するよう支援するために60億ドル以上の補助金を支給する方針と報じた。
これは、台湾のTSMCが受け取るものと知られている50億ドルを上回る金額である。
これらはいずれも未発表である。
2024/3/23 日本の半分にも及ばなかった韓国企業の賃金が20年ぶりに追い越す
3月18日付けの韓国東亜日報(日本語版)は上記のタイトルの記事を配信した。
韓国経営者総協会(経総)は、このような内容を盛り込んだ「韓日賃金の現状推移の国際比較と示唆するところ」と題した報告書を公開した。
それによると、2002年は、10人以上の企業に従事する常用労働者の月賃金は、韓国労働者が179万8000ウォンで、日本(385万4000ウォン)の47%の水準に過ぎなかった。(1ウオンは0.11円)
しかし、2022年は、韓国が399万8000ウォンで日本の379万1000ウォンを上回った。
20年間で韓国の賃金は122.4%上がったのに対し、日本はむしろ円基準で0.03%下がったことで逆転が可能になった。
特に、韓国の大企業が大幅に賃金を引き上げた(157.6%) のが決定的な役割を果たした。
「韓国では、大企業と中小企業間の賃金格差が社会的対立を招いている」とし、改善の努力が必要としている。
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JETROも2022年9月5日付けで、「韓国の賃金水準、日本並みに:最低賃金や大企業の大卒初任給は日本を上回る」という報告をしている。
日韓の各年の名目平均賃金をその年の平均為替レートでドル換算すると、下図のとおりとなり、2001年時点では日本の平均賃金は韓国の2.4倍だったが、その後、2010年代前半にかけて格差が縮小し、2010年代後半以降は、逆転とまではいかないものの、ほぼ類似の水準で推移している。
為替レート次第では、現実の日韓の平均賃金が2022年に逆転することもありうるわけで、両国の平均賃金の格差はそれほど小さい。 (実際には、最近の円安の影響が大きい。)
韓国では、このところの物価高もあり、2023年の最低賃金を前年比5.0%増の9,620ウォン(約1,010円)にすることが決定されている。他方、日本の最低賃金時間額は全国加重平均で、2021年度(2021年10月〜2022年9月)930円、2022年度は961円で、既に韓国が日本を上回っている。
2024/3/25 米国の2024会計年度予算 ギリギリで成立、政府機関閉鎖を回避
上院は3月23日午前2時に2024会計年度予算案を可決した。下院は可決済みで、バイデン大統領の署名で成立する。昨年10月に2024年度に入ってから半年を経て、ようやく予算案全体が議会を通過した。
つなぎ予算は3月22日までで、期限を2時間過ぎていたが、ホワイトハウスは上院での審議が長引き期限に間に合わなかった場合でも、ホワイトハウス予算局は限定的ながら3月23日の閉鎖命令を先延ばしすることが可能 としていた。
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バイデン米大統領は3月9日、2024会計年度(2023年10月−2024年9月)予算案の一部(総額4600億ドル)に署名した。3度のつなぎ予算で賄ってきた昨年10月からの予算が5ヶ月遅れで成立した。
残るのは、 金融・サービス、商務・司法・科学、労働・保健・教育、国防、国土安全、内務・環境、立法、外交の8分野 で、つなぎ予算は3月22日までであり、22日までに可決・成立しなければ、これらの政府機関が23日に閉鎖される危険が残 った。
2024/3/11 米予算の一部可決成立
米議会指導部はつなぎ予算が期限切れとなる前日の3月21日に、残る分野に1兆2000億ドル規模を支出する超党派の予算案を発表した。
下院は3月22日、この予算案を可決し、上院に送付した。
共和党 民主党 合計 欠員 賛成 101 185 286 反対 112 22 134 棄権 6 6 12 合計 219 213 432 3
予算案の下院可決を見て、共和党のトランプ派の女性議員 Marjorie Taylor Greeneは予算案への怒りを表明し、ジョンソン下院議長(共和党)の解任動議を提出した。
下院を混乱に陥れることは望まないとしつつ、ジョンソン議長のように民主党の側に立つのではなく、共和党及び共和党の多数派の側に立つ新たな下院議長を見出す必要があるとの認識を表明した。「かなりの数の」議員が解任動議を支持していると述べた。ただそれらの議員の正確な数には言及しなかった。
下院は23日から来月8日まで休会に入る予定で、動議の審議や採決の日程は決まっていない。
一方、穏健派の共和党Mike Lawler下院議員はGreene議員による解任動議提出を「ばかげている」と一蹴。「保守運動を前進させることには全くならない」と批判した。
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予算案は上院に送付されたが、一部政府機関の閉鎖の期限は同日深夜に迫っている。
しかし、期限の0時になっても予算案の投票には至らず、予算案が可決されたのは3月23日午前2時であった。政府は午前0時を過ぎても政府機関閉鎖命令を出さず、23日午前2時の可決で最終的に閉鎖が回避された。
途中で、Majority Leader Chuck Schumer は、「重要な場所に行きたい人がいる。早く行かせたい」と述べ、急がせた。共和党予算充当者の Susan Collins議員の母親の葬儀が23日の朝にメイン州で行われる。
投票結果は次の通り。
共和党 民主党系 合計 民主党 民主系無所属 無所属 賛成 25 47 1 1 74 反対 22 1 1 24 棄権 2 2 合計 49 48 2 1 100 民主系無所属はSanders, King 両議員、無所属は元民主党のSinema議員
大統領の署名でようやく本年度(2023/10〜2024/9)予算がすべて通ったことになる。ただし、この予算にはウクライナやイスラエル支援などは含まれていない。
2024/3/25 小林製薬、「紅麹」の成分含む健康食品を自主回収
小林製薬は3月22日、「紅麹(べにこうじ)」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告されたと明らかにし、「健康食品が原因となった可能性がある」として、この成分を含む3つの健康食品を自主回収するとともに、使用を中止するよう呼びかけた。
紅麹コレステヘルプ 45粒15日分
90粒30日分
60粒20日分ナイシヘルプ+コレステロール ナットウキナーゼ
さらさら粒GOLDいずれもコレステロールや血圧を下げる効果を記した健康食品
「紅麹」は、コメなどの穀類に麹菌の一種である紅麹菌を繁殖させてつくられたもので、古くから食品の着色料などとして使われてきた。
小林製薬は、紅麹のサプリを摂取した40〜70代の男女13人から腎疾患などの報告が出ているとして、約30万袋を自主回収する。ただ、同社の生産量全体のうち自社で使用していたのは2割程度で、残りの8割は飲料や食品メーカーに供給していたという。
販売先は日本国内と台湾の飲料、食品メーカーや原料商社など52社だという。小林製薬は、各社に健康被害が出る恐れがあるとして、使用を中止するよう連絡をした。
宝酒造は3月24日、スパークリング日本酒「松竹梅白壁蔵『澪』PREMIUM〈ROSE〉」を自主回収すると発表した。この日本酒には、小林製薬が製造した紅麹原料を着色料として使用している。
松竹梅白壁蔵「澪」PREMIUM〈ROSE〉750ml
松竹梅白壁蔵「澪」PREMIUM〈ROSE〉300ml
福岡県に本社がある「ZEROPLUS」が製造・販売する機能性表示食品「悪玉コレステロールを下げるのに役立つ濃厚チーズせんべい」でも、小林製薬が生産の紅麹原料を使用しているとして、商品の自主回収を行うと22日に発表した。
このほか、紀文食品は「国産いか使用いか塩辛」「いか塩辛3P」、ジェイアール東海高島屋(名古屋市)は和菓子売り場「豆福」で販売した豆菓子などの自主回収をそれぞれホームページ上で公表した。
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小林製薬によると、ことし1月、「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告された。
その後、体調不良が報告された患者の数は13人に増えた。
付記
小林製薬は3月26日、健康被害の恐れがあるとして自主回収を決めた紅麹原料を含む機能性表示食品を摂取した消費者1人が死亡した可能性があると発表した。腎疾患で亡くなった人が生前に回収対象製品「紅麹コレステヘルプ」を使用していたと遺族から連絡があり判明した。
厚生労働省は3月26日夜、摂取した2人が死亡、106人が入院していると発表した。
腎疾患を発症したのは40代から70代の男女で、むくみやけん怠感、それに尿の色が濃くなるといった症状を訴えている。一時6人が入院したほか、現在も7人が通院している。このうち2人は一時、人工透析が必要な状態になった。
小林製薬の信頼性保証本部長は、腎疾患と製品との関連は調査中だとした上で、「腎疾患を発症した人が摂取していた製品にはいずれも同じロットの原料が使われており、分析したところ、私たちが想定していない成分が含まれている可能性があることがわかった。この成分がなにかまだ特定できていないが、紅麹を培養する過程で作られるという報告があるシトリニンという毒素は検出されなかった。大学の研究室とともに調査を進めていて、人体への影響が分かりしだい伝えたい」と説明した。
今回の小林製薬製品に用いる紅麹菌株は、そもそもシトリニンを生成しないものを選定しており、問題発覚後の検査でもシトリニンは検出されていない。
食品安全委員会によると、紅麹由来の成分にはLDLコレステロール値を下げる効果が期待される一方、一部の紅麹は腎臓の働きに影響を与える「シトリニン」というカビ毒を発生させる可能性がある。
実際にフランスでは、紅麹由来の成分が配合されたサプリメントの摂取と関連が疑われる筋肉や肝臓障害の事例が複数件報告されている。
欧州では以下の対応をしている。
欧州連合(EU)は2014年3月7日、紅麹由来のサプリメント中のかび毒シトリニンの基準値を設定
スイス連邦食品安全獣医局は2014年3月14日、紅麹を成分に含む食品の売買は違法と注意喚起
フランス食品環境労働衛生安全庁は2014年3月13日、紅麹を有効成分とするサプリメントを服用する前に必ず医師に相談するよう注意喚起 付記
小林製薬中央研究所の検証では、
日本で主に利用されている紅麹菌M. pilosusは、物質レベルでシトリニンを生成せず、ゲノムにもシトリニン産生遺伝子が存在しないことが確認された。一方、中国で主に利用されている紅麹菌M. purpureusでは、シトリニンの産生およびシトリニン産生遺伝子の存在が確認された。
台湾で主に利用されているM. ruber に関しては、今回の研究で用いた菌株ではシトリニンを作る遺伝子は存在していないが、M. purpureusとM. ruberは過去にシトリニンの遺伝子が機能している菌株の報告がある。
食品安全委員会の担当者は「欧州の事例でも健康被害の原因が明らかになっておらず、今回も原因究明が待たれる」と話している。
2024/3/26 レゾナックの「月面での蓄熱・熱利用システムの研究提案」をJAXA が採択
宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の宇宙探査イノベーションハブは2023年9月に第11回研究提案の募集を行った。
課題はアイデア型が12課題、チャレンジ型が1課題ある。
レゾナック(昭和電工と旧日立化成が統合)は研究課題(8) レゴリス物理蓄熱エネルギーシステムに対し「月面での蓄熱・熱利用システムの研究提案」を 行い、採択された。
2024年4月よりJAXAと共同研究を開始する。
月では、夜の気温がマイナス 170℃まで下がり、昼夜の気温差が激しい過酷な期間が約2週間ずつ続くため、有人活動をするには、安定的にエネルギーを確保する必要がある。
日照時の太陽光発電の余剰電力を蓄電し、夜間に利用しようというもの。
月面上には、宇宙風化作用によって生成された主にガラス質の微小粒子の「レゴリス」が大量に存在する。これを蓄熱材として活用できれば、月面で効率的に低コストでエネルギーを確保できる。
上図のシステムイメージ図の通り、日照時の太陽電池の余剰電力をレゴリスを蓄熱材として蓄え、越夜時に熱を取り出し利用する。
フィンランドのPolar Night Energy社のSand Battery は、地球上で砂を蓄熱材として使うものである。
しかし、月の場合は真空のため、レゴリスの粒子間の空隙は熱が伝わらない。
従来の研究では、レゴリスの蓄熱性を改善する手法として、レーザ溶融によるガラス固形化などが考えられてきたが、重量物であるレーザの月への運搬や溶融といった製造時に多大なエネルギーが必要であることが課題であった。
レゾナックは、同社グループで量産実績のある「レジンコーテッドサンド 技術」を用いることで、熱伝導率および比熱を向上できると着想した。
鋳物製品を製造するときに使われる表面をポリアミドイミド等の樹脂層をコーティングした砂のこと。
加熱により樹脂が溶融し硬化剤等と反応することで硬化物となる。鋳物生産後はバラバラにして再生処理し、再利用する。
このシステムを利用し、レゴリスを樹脂でコーティングし、熱伝導経路を確保するもの。
この適用可能性を確認するため、メンバーは、熱が輻射のみで伝わる真空の環境、かつ約2 週間ごとに昼夜の過酷な気温変化を繰り返す月面環境を想定して、熱シミュレーションを行った。
その結果、熱伝導率、比熱ともに向上し、月の赤道面においてはレゴリス単体に比べ、コーティングした場合のほうが昼間の太陽熱を20 倍以上蓄熱可能な見込みであるという結論を得た。
今回提案した手法は、月面上で、スクリュー混練のみでコーティング可能であり、実現できれば圧倒的に低エネルギーで大量製造することができる。
同社は計算情報科学研究センターで高いシミュレーション技術を保有しているため、今回の蓄熱効果の検証も短期間で実現できた。このような独創性が評価され、「チャレンジ型」枠で採択された。
今後、JAXA との共同研究実施に向け、研究計画・体制等の調整を行った後、レゴリスを蓄熱材として成立させるための検討、また、コストと性能のバランスの取れた月面用蓄熱エネルギーシステムについて検証を行う予定 。
なお、JAXA との共同研究期間は、最長1 年を予定している。
鉄道車両メーカー世界大手の中国中車(CRRC)は水素を動力源とする鉄道車両の試験走行に成功したと発表した。時速160キロメートルで走り、航続距離は1000キロメートルに達するという。都市間の旅客輸送への導入をめざす。
グループの中車長春軌道客車(中車長客)は3月21日、中国・長春市の実験線で同社が研究開発した中国初の水素燃料電池都市列車の走行試験を行った。
この列車は、水素をエネルギー源とし、水素駆動システムを内蔵している。燃料電池と蓄電池のハイブリッドシステムを併用し、同時に中車長客が独自に開発したエネルギー管理システムを搭載することで、エネルギーの利用効率を高め、エネルギー供給の柔軟性と安全性を向上させている。列車の1キロ当たりの実際の走行平均エネルギー消費量は5キロワット時で、車両設計の各指標の要求を満たし、世界トップ水準に達している。
外観や内観デザインは水素を意識して青色で統一した。
水素エネルギー都市鉄道の水素動力システムとそのコア部品の耐久性、高・低温下の性能、振動、電磁両立性、防災性などに関する試験を完了したほか、速度別のエネルギー消費量、航続距離、安全性、牽引力、制動、動力などに関する車両試験も実施しており、初めてマイナス25〜35度の低温環境の中での性能を確認できた。
中国政府は2022年春に公表した水素産業の発展計画に「2035年までに交通、貯蔵、工業など水素エネルギー応用の生態系をつくる」と明記した。水素を「戦略的新興産業」と位置づけ、水素の生成から活用まで研究開発を支援する方針を示している。
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日本ではJR東日本が水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を併用するハイブリッド車両(燃料電池)試験車両「FV-E991系」愛称 HYBARI(ひばり)の開発を進めている。最高時速は100キロメートルで、環境に配慮した列車として2030年度の実用化を目指して、2022年春から首都圏で試運転を始めている。
世界で初めて70MPaの高圧水素を利用できる燃料電池鉄道車両で、これにより、35MPaの燃料電池車両では困難だった長距離での鉄道走行が可能になる。
JR東日本が長年培った鉄道車両の設計と製造の技術、日立製作所がJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術、トヨタ自動車が燃料電池の技術を担当した。
2号車の屋根上に水素貯蔵ユニットを配置し、2号車の床下にある燃料電池装置へ世界初となる70MPaの高圧水素を供給して空気中の酸素との化学反応で発電を行う。水素貯蔵ユニットは容量51Lのタンクを5個ずつ内蔵しており、計4ユニットが搭載され、圧力70MPaで約40kgの水素を貯蔵できる。
1号車の床下には主回路用蓄電池を配置し、燃料電池装置からの電源供給と回生ブレーキからの電源供給によりエネルギーを蓄え、電力変換装置を通した上で主電動機などへ送られる。冷房装置などの接客設備に用いられる電源は電力変換装置を介さず補助電源装置へ供給される。主電動機は出力95kW×4台、蓄電池は容量120kWhのリチウムイオン電池を2基搭載する。
小林製薬は3月26日、健康被害の恐れがあるとして自主回収を決めた紅麹原料を含む機能性表示食品を摂取した消費者1人が死亡した可能性があると発表した。腎疾患で亡くなった人が生前に回収対象製品「紅麹コレステヘルプ」を使用していたと遺族から連絡があり判明した。
今年2月に腎疾患で入院中に亡くなった。2021年4月から2024年2月まで、悪玉コレステロールの抑制をうたったサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を通信販売で定期的に購入。これらに小林製薬が健康被害の原因とみている成分の入った商品が含まれていた。
厚生労働省は同日夜、会社から2人の死亡事例の報告を受けたことを明らかにした。また、106人が入院していると発表した。会社側には約3000件の電話相談が寄せられているという。
2人目の死亡については遺族から26日午後に連絡があり判明。生前に同社の「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた。ただ、摂取期間や、腎疾患が原因で亡くなったかどうかは不明という。
小林製薬では「腎疾患で亡くなったかどうかも含めて、事実と因果関係を確認している」と発表した。
付記
小林製薬は3月28日、新たに2人が亡くなっていたことがわかったと発表した。死亡事例は計4人になる。
.27日に2人の遺族から同社に連絡があった。いずれも「紅麹コレステヘルプ」を摂取しており、死亡は腎臓病を悪化させたことによるという。
3月29日、死者が5人に。
厚生労働省は3月29日、小林製薬のサプリメントに「プベルル酸」という物質が意図せずに含まれていたことを明らかにした。
厚労省によると、プベルル酸は青カビからつくられる天然の化合物で、どういう理由で混入したのかはまだ不明という。抗生物質としての特性があり、抗マラリア効果があるほど「毒性は非常に高い」というが、腎臓への影響は現時点ではわかっていない。
付記
小林製薬は8月13日、死亡事例11人分について厚生労働省に報告していなかったと発表した。サプリを解約した顧客の被害情報を正確に共有できていないなど社内の情報管理体制に不備があった。
ーーー
武見敬三厚生労働相は26日の閣議後記者会見で、「小林製薬が原因究明の調査をしている間、行政への情報提供を行わなかったのは遺憾だ」と小林製薬の対応の遅れを批判した。
サプリ摂取者の腎疾患の症例が最初に小林製薬に報告されたのは1月15日。一方、厚労省が健康被害の情報を把握したのは、それから2カ月以上過ぎて小林製薬が記者会見を開いた3月22日だった。
厚生労働省は3月26日、「紅麹」原料を使った小林製薬の機能性表示食品について、健康被害の恐れがある食品の販売禁止を定める食品衛生法第6条に該当するとの通知を大阪市宛てに発出した。
大阪市は3月27日、会社に対して自主回収の対象となっている3つの製品について製品の回収を命じる行政処分を出した。
食品衛生法第6 条(不衛生食品等の販売等の禁止)
次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
二 有毒な若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いのあるもの。
ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
三 病原微生物により汚染され、又その疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。
自見英子消費者担当相は26日の閣議後会見で、小林製薬が消費者庁に届け出ている「機能性表示食品」のうち、紅麹成分を含む8件について、撤回を申し出たと明らかにした。
同庁は4月5日までに安全性を再検証して報告するよう同社に求めている。
自見氏は約7000件ある機能性表示食品の全てについて、健康被害の有無を緊急点検する方針を示した。
小林製薬は52社に紅麹を販売したとしており、販売先には商社も含まれている。台湾では健康食品メーカーの「三合興産業」や「大医生技」などが小林製薬の紅麹を加工して販売していたことが判明し、カプセルや錠剤を回収している。
読売新聞によると、自主回収などの対応を取っている企業と主な商品(小林製薬を除く)は以下の通り。
「おたまや」(山形県) 粒・粉末『紅麹01〜11番』 | 「金谷ホテルベーカリー」(栃木県) いちごブレッド | 「ヘルシープラス」(千葉県) コレステライフ |
「紀文食品」(東京都) 国産いか使用いか塩辛 | 「富沢商店」(東京都) 紅麹パウダー | 「原商」(新潟県) 新潟紅麹甘酒 |
「富山薬品」(富山県) レッダームDX | 「アサダヤコーポレーション」(石川県)さくら御飯の素・紅麹入り | 「伝食」(福井県) 祖の食庵納豆キナーゼ |
「竹屋」(長野県) 塩ひかえめ紅麹仕立て | 「仙醸」(長野県) 黒松仙醸どぶろくロゼ | 「山高味噌」(長野県) 信州甘口紅麹みそ |
「シャンソン化粧品」(静岡県) 特撰十六酢 | 「豆福」(愛知県) 豆だくさん | 「山本漢方製薬」(愛知県) 内脂ブロッカー |
「甘強酒造」(愛知県) 紅麹梅酒 | 「パンのカワバタ」(滋賀県) いのちのパン | 「京都一の傳」(京都府) 大型いか紅麹みそ漬 |
「本田味噌本店」(京都府) 紅こうじ味噌 | 「宝酒造」(京都府)松竹梅白壁蔵『澪』PREMIUM<ROSE> | 「京都やま六」(京都府) 紅麹みそ漬 |
「大塚食品」(大阪府) あわ紅豆腐 | 「ノエビア」(兵庫県) ノエビアDHA & EPA | 「げんぶ堂」(兵庫県) 松葉マヨネーズ |
「高見味噌店」(岡山県) 米仕立て紅こうじみそ | 「キミセ麹油」(岡山県) 五穀紅麹みそ | 「馬場商店」(岡山県) 紅糀みそ |
「芳香園製薬」(香川県) ノンコレッセンプレミアム | 「ZERO PLUS」(福岡県) 悪玉コレステロールを下げるのに役立つ濃厚チーズせんべい | |
「森川健康堂」(熊本県)KIDSプロポリス | 「フジヨシ醤油」(大分県) カトレアさんの元気みそ | 「福山黒酢」(鹿児島県) 紅糀黒酢 |
「海洋食品」(沖縄県) 豆腐よう |
2024/3/29 出光興産と三井化学、千葉地区エチレン集約による生産最適化の検討開始
出光興産と三井化学は3月27日、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討開始について発表した。
中国を中心とした大型石化装置の新増設と国内エチレン需要減衰により、日本のエチレン装置は低稼働を余儀なくされる状況が続いている。
加えて、世界的にカーボンニュートラル社会の実現が推進される中、CO2 の排出量削減および資源循環を目指した次世代のコンビナート構築に向けた検討の加速化が強く求められている。
両社は2010年に千葉ケミカル製造有限責任事業組合を設立し、千葉地区の両社のエチレン装置の運営統合を行ったが、これまでの連携を一歩進め、更なる既存事業の競争力強化を目的として、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討を開始する。
前提:2027年度を目処に、出光エチレン(年産370千トン)を停止し、三井エチレン(年産550千トン)に集約、これを共同運営する。
両社の能力は下記の通り。(千トン/年)
関東 関西 出光興産 千葉370徳山 688 三井化学 千葉 550 大阪 500
注 2023年末時点の各社能力は未発表で、2022年末は出光(千葉)が413千トン、三井(千葉)が612千トンであった。
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千葉地区における両社と関連各社の変遷は下記の通り。
1.京葉エチレン
京葉地区にある丸善石油化学、住友化学、三井石油化学はいずれもオレフィン不足の状況にあった。
1991年9月、丸善石化は需要に見合ったオレフィン供給体制の構築を図るため、100%出資の新会社「京葉エチレン株式会社」を設立した。
エチレン設備は2004年1月に完成したが、事業環境の悪化で営業運転開始は同年12月になった。
住友化学と三井石油化学は25%ずつの引取りを行ったが、異なる共販メンバー同士の提携を避けるため、出資については当初は行わなかった。
1995年9月に三井日石ポリマー、ユニオンポリマーが解散したのを受け、1995年12月に住友と三井は京葉エチレンに資本参加した。
出資比率 取引比率 丸善石化 55.0% 50% 住友化学 22.5% 25% 三井石化 22.5% 25%
2. 三井化学および住友化学の全面的統合発表と破談
2000年11月、三井化学と住友化学は「21世紀の化学産業におけるグローバルリーダー」をめざすべく、2003年10月に両社の事業を全面統合すること、ポリオレフィン事業については2001年10月に先行的に統合することを発表した。
しかし、統合比率で折り合えず、2003年3月31日、統合計画の白紙撤回を発表した。
以上 詳細は http://www.knak.jp/blog/ethylene-hensen.htm#ethylene-2
3. 三井化学と出光興産、「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意
両社は2009年5月11日、出光興産・三井化学の強みを活かした「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意
1. 両社ナフサクラッカーを中心とした生産最適化
2. 出光・千葉製油所のリファイナリー装置も含めた生産最適化
3. 既に両社でJVとして運営しているポリオレフィン・フェノール以外の両社石化誘導品の生産最適化
2009/5/18 三井化学、事業構造改革を実施、千葉地区で出光興産と生産最適化検討
4.両社の千葉のエチレンの統合
出光興産と三井化学は2010年4月1日、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。
4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立した。
10月1日に出光及び三井からエチレン装置を譲渡し、LLPの運営を開始することとなった。
2010/4/3 出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合
5.三井化学の京葉エチレン離脱と、住友化学の千葉エチレン停止(=国内エチレン生産撤退)
きっかけは三井化学の京葉エチレンからの離脱要求であった。供給過剰状態のなかで引取比率25%の三井が離脱すると、京葉エチレンは解散もありえた。
しかし、住友化学は2013年2月1日、国内石油化学事業の拠点の千葉工場の競争力強化のため、2015年9月(次の定修時期 )までに、エチレン製造設備(定修スキップ年能力415千トン)を停止すると発表した。
石油化学事業を強化・維持していくためには、製品の高付加価値化やコスト削減を一段と進めていく必要があるが、設備の老朽化(操業開始後 40年以上経過)や内需構造の変化を踏まえ、自社での生産を停止し、国内で最も新しく大型の設備である「京葉エチレン」からの調達に一本化することが最善と判断した。
同社は1958年に日本で最初のエチレンプラントをスタートさせた2社のうちの1社であるが、日本のエチレン事業から離脱する。
住友化学は京葉エチレンの三井化学の引取枠に加え、丸善石化の引取枠も一部引き受ける。
京葉エチレンの引取枠は次の通り。(千トン/年)
三井離脱前 三井離脱後 丸善石化 384 312 住友化学 192 456 三井化学 192 0 合計 768 768
十倉社長は2012年11月の記者会見で石油化学事業の今後の展開について以下のように述べている。
サウジのペトロ・ラービグ社が第2期計画段階に入る。
今後、バルク製品はサウジで展開し、シンガポールを高付加価値製品の供給拠点とする。
千葉工場はマザー工場として、生産技術・製品・ノウハウの発信拠点としても活用していきたい。
2013/2/4 住友化学、エチレン国内生産から撤退
6.今回の出光千葉のエチレン停止
小林製薬の紅麹原料を含む機能性表示食品による健康被害を巡り、厚生労働省は3月29日、腎疾患の原因と推定される成分が「プベルル酸」の可能性があると同社が報告したと発表した。
小林製薬は3月29日、紅麹原料の一部のロットで検出された不明の「成分X」について、分子量150〜250の環状構造を有する化合物であり、これまでに、プべルル酸などいくつかの既知の化合物に絞り込んでいることを明らかにした。
プベルル酸(puberulic acid)
1932年に Birkinshaw と Raistrick が糸状不完全菌類 Penicillium puberulum Bainier から産生されるC8H6O6の化学式を持つ化合物が存在することを報告し、これをプベルル酸と命名した。
C8H6O6 2,5-Dihydroxyterephthalic acid
細菌の増殖を抑える抗生物質(抗菌薬)の特性を持つが、毒性が非常に高いという。 プベルル酸はマラリア原虫に対する効果も高く、関連物質は抗マラリア薬の候補として研究されている。
感染症の原因となるマラリア原虫に効果があることを突き止めていた北里大のチームは2017年、マウス5匹に注射した実験で4匹が死んだと報告。
しかし今回のサプリで問題となった腎臓への影響はわかっておらず、プベルル酸以外の物質が腎障害を引き起こした可能性も残る。
ーーー
大阪市と厚生労働省は30日午前、紅麹原料を製造していた大阪市淀川区の工場へ食品衛生法に基づき立ち入り検査に入った。1940年に操業を開始して食品や日用品を製造していたが、生産体制見直しで2023年12月に廃止された。
31日には厚労省と和歌山県が同県紀の川市にある工場にも立ち入り検査をする見通し。
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小林製薬は紅麹原料の出荷にあたり、全てのロットについて、(1)機能性関与成分(米紅麹ポリケチド)が一定量含有されているか、(2)微生物検査で衛生的に製造されているか──を調べていた。
ただ、同社の紅麹菌株はもともとカビ毒のシトリニンを生合成する遺伝子を持っていなかったためか、「シトリニンについては年1回の分析としていたほか、質量分析で不明のピーク(成分)が検出されないかどうかの確認は行っていなかった」(広報担当者)と説明している。
海外向けの紅麹原料は、ロットごとにシトリニンの分析を実施していた。