資料-5 「選択と集中」時代 −2 目次へ
5 | - | 17 | 三井化学および住友化学の全面的統合発表 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2000/11/17、三井化学と住友化学は、「21世紀の化学産業におけるグローバルリーダー」をめざすべく、2003/10を目処に両社の事業を全面的に統合することに合意したこと、ポリオレフィン事業については2001/10を目処に先行的に統合することを発表した。 厳しい環境のなかで、将来の事業の発展を確保し、企業価値の更なる向上を達成するためには、事業規模の拡大による競争力の強化が必要であると考えたためである。 統合の効果としては、 統合の方式については、対等の精神で全面的に事業の統合を行うとし、最終的には単一会社として事業運営を行うことを目標とするが、当初は、両社が共同株式移転により持株会社を設立し、これを上場する方式で出発すること、両社の統合における比率は、統合の際の株価およびその他の考慮すべき要素を勘案して決定するとした。 統合までの期間が長いこと、統合比率を事前に決めないことは、当時から問題とされた。また、一時は三井化学と統合して「大三井化学」をつくるのではとされた東レの前田会長が統合に疑義を示した。三井と住友は統合会社への東レの参加を否定した。 2001/4、両社は統合の具体案を発表した。
両社は合わせて、ポリオレフィン事業の統合について発表した。 |
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5 | - | 18 | 三井住友ポリオレフィン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2001/4、三井化学と住友化学は全面統合の具体案とともに、ポリオレフィン事業の統合について発表した。
しかし、この統合に対して公取委の承認がなかなか得られなかった。公取委はこのうち、PEについては当初から問題なしと伝えていた。 公取委は本件も踏まえて、統合に問題あるとしたため、2001/10のポリオレフィン統合は延期された。 公取委の問題点は以下の通りであった。(日本ポリケムとチッソの統合と同時に検討された)
これに対して両グループは以下の対応策をとった。
これを受けて、公取委は2001/12、ようやく両社の統合を承認した。 なお、石油化学工業協会では、2001/12、協会内の各種委員会を廃止することを決めた。石化協はそれまで、全体で11の委員会を設置、主要製品についてのデータ収集および分析等のほか、海外市場動静、原料、物流、など石化産業を取り巻く幅広い分野での調査活動を進めていた。2002年からは各種委員会を廃止、政策立案を中心にした活動に衣替えした。 三井住友ポリオレフィンは2002/4/1、当初予定から半年遅れでスタートした。 |
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5 | - | 19 | 宇部興産のPP事業撤退 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
宇部興産と三井化学はPP事業を統合してグランドポリマーとし、トクヤマとのPP製造JVの宇部ポリプロについては1999年に持分をグランドポリマーに譲渡していた。(宇部ポリプロのトクヤマ持分は2003年3月に三井化学が取得) 三井と住友のポリオレフィン事業統合を機に宇部興産はPP事業から撤退した。当初はグランドポリマーを生産会社とし、営業権を三井住友ポリオレフィンに譲渡する案が検討されたが、最終的には2001年10月に宇部がグランドポリマーの持分を三井化学に譲渡し、宇部・堺工場内のグランドポリマーのプラントの操業は宇部興産が受託することとした。 |
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5 | - | 20 | トクヤマの撤退と出光石化の提携 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2001/1、出光石化とトクヤマはPP事業における提携を発表した。
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なお、トクヤマはPP製造JVの千葉ポリプロ、宇部ポリプロの持分をそれぞれ、2001年6月に住化、2003年3月に三井化学に、譲渡している。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5 | - | 21 | 日本ポリケム・日本ポリオレフィン・チッソの再編 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2001/6、日本ポリケムと日本ポリオレフィンはポリエチレン事業について、日本ポリケムとチッソは、ポリプロピレン事業について、それぞれ両社の事業を統合することにつき検討を開始することで合意したと発表した。 海外での大型吸収合併による超巨大メーカー群の誕生、2004年に向けての関税率逓減、アジア・中東地区における大型設備の新規稼働等により、国内各社もコスト競争力の強化等が喫緊の課題となっており、これらの事業の統合を検討することが必要との合意に達したもの。日本ポリケムが、両事業会社の共通業務の一部を担当し、かつ、両事業の総合調整をする形で存続する。
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日本ポリオレフィンは2001/12で資本金150億円に対して累積損失が104億円に達していた。
(日本ポリケムも2001/12期では44億円の赤字で、資本金200億円に対して累積損失は28億円になった。) 日本ポリオレフィンを主導する昭和電工では2002年の新中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」で「総合化学」から、「無機・アルミと有機の融合」中心の「個性派化学」への転換方針を決め、石油化学は、再構築が必要な事業群(再構築事業)としているが、PP(サンアロマー)は既にBasellに運営を任せているが、PEについても日本ポリケムを主導する三菱化学に任せることとなった。 |
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両新会社は実質的に三菱化学主導であるが、工場のあるエチレンセンターは下記の通り6つに及んでおり、各センターの主要製品であることから停止は難しく(三菱・四日市はエチレン停止後にPE、PP停止)、少なくとも暫くの間はこれらを抱えていかざるを得ない。
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日本ポリケムとチッソとのPP事業統合については、上記の通り2001年10月に公取委の事前承認を得たが、日本ポリケムと日本ポリオレフィンのPE事業統合は難航した。問題は日本ユニカーの存在であった。日本ポリケム設立時に三菱化学と東燃化学は日本ユニカーのポリケムへの統合を検討したが、実現しなかった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
公取委は日本ポリケムの親会社の東燃化学を通じて新会社が日本ユニカーと結びつくことを問題とした。 新会社のLDPEの合算販売数量シェア・順位は,約30%・第1位で上位3社累積シェアは,約70%となるが、日本ユニカーを加えると、当事会社グループの合算販売数量シェア・順位は約45%・第1位となり、上位3社累積シェアは約80%となるとした。 輸入圧力については、現状において品質等に対する要求の高さから,輸入圧力が十分に働く蓋然性が高いとは認められないとした。
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(2003/5/30 公取委 企業結合事例 http://www.jftc.go.jp/pressrelease/03.may/03053001.pdf) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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当初、新会社は2002年春(から年央)に営業開始するとしたが、大幅にずれ込んだ。東燃化学の実質的な経営権を持つ米エクソンモービルの承認が遅れているためとされたが、当然、上記公取委指摘(日本ユニカー問題)への対応が問題であった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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公取委はこの処理を受け、ポリケムと日本ユニカーとの企業結合関係が解消されたことから,本件統合により,LDPE の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断し、承認した。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2003/5、三菱化学は今後のポリオレフイン事業の運営体制について発表した。 ポリエチレン事業について、日本ポリケム・日本ポリオレフィン・三菱商事プラスチック3社の合弁会社を2003/9/1に発足させ、ポリプロピレン事業については、日本ポリケムとチッソの合弁会社を2003/10/1に発足させる。 |
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5 | - | 22 | 宇部興産PE事業再編 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
宇部興産は2001年10月に宇部がグランドポリマーの持分を三井化学に譲渡しPP事業から撤退したが、新聞報道では丸善石化コンビナートに197千トンの能力を持つPE事業についても2003年までに撤退する方針を決め、事業売却の検討に入ったと伝えられた。 しかしながら、京葉モノマーのVCMと同様、宇部のPEプラントが停止するとエチレンの操業に支障を生じる丸善石化の提案により、丸善石化のエチレンとの一体運営を行うこととし、宇部はPE事業を分離して宇部丸善ポリエチレンを設立し、その50%を丸善石化に譲渡し、JVとした。2004年10月に営業開始した。
なお、丸善石化は100%子会社でEO、EGを製造販売する丸善ケミカルと、同じくHDPEを製造する丸善ポリマー(販売はチッソとの販売JVの京葉ポリエチレン)を2005年4月に吸収合併した。 |
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5 | - | 23 | 三井化学と住友化学の全面的統合の破談 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2000/11/17、三井化学と住友化学は、「21世紀の化学産業におけるグローバルリーダー」をめざすべく、2003/10を目処に両社の事業を全面的に統合することに合意したこと、ポリオレフィン事業については2001/10を目処に先行的に統合することを発表した。 三井住友ポリオレフィンは2002/4/1、当初予定から半年遅れでスタートした。 両社はその後、統合の準備を進めたが、他方では競って事業の拡大を行った。「両社の統合における比率は統合の際の株価およびその他の考慮すべき要素を勘案して決定する」とした取り決めが影響している。 公取委は両社の統合について審議を行ったが、9品目について重点的に検討を行った。
これを受け、2002/12/16、公取委は本件を承認した。 しかしながら、統合の検討を始めると直ぐに、両社の間に不協和音が出だしたとのことである。 新聞情報によると、経営統合に当たり、両社は「対等の精神」を理念に掲げたが、住友化学が時価総額(株価が15%弱の差で、株数は住化が三井の約2倍*)をベースに考えて主導権を取ろうとし、三井化学は文字通りの「対等」にこだわった。
2002年末には首脳人事(社長には米倉弘昌住友化学社長、会長に中西宏幸三井化学社長)などが内定したが、統合比率で折り合えず、2003/3を期限に再交渉することで合意した。 ポリオレフィン事業の合弁会社である三井住友ポリオレフィンについては、全体事業統合見送りの結果、両社が独自の事業戦略に基づき、それぞれポリオレフィン事業を推進していくことで合意し、2003/10/1合弁事業を解消した。 その後、住友化学はサウジのラービグ計画を、三井化学は出光興産との提携強化、ポリオレフィン事業の統合を発表する。 |
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5 | - | 24 | 出光興産による出光石油化学の吸収合併 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出光興産は創業以来、外部資本を受け入れない経営方針を貫いてきたが、2000年には株式の上場を決断、市場からの資金調達で財務健全化を目指す戦略に転換した。 2000年以降、12の金融機関を引受先として議決権のない優先株を発行し、計378億円の増資(当初資本金10億円)を実施したが、2002/4の新中期経営計画では、2006年度の株式上場を目標とするとした。天坊昭彦社長は「プライベートカンパニーからパブリックカンパニーヘの転換」「2006年の上場」など基本方針を明らかに、「製油所体制の見直し」「石油化学産業の地域連携による競争力強化」「選択と集中」などを骨子とする新中期経営計画完遂に向けて「結果重視、スピードの経営」を進めるとした。 最大の子会社である出光石油化学については、燃料油・石油化学両事業とも益々厳しいことが予想される中、両社の合併を視野に入れた燃料油・石油化学事業のインテグレーションの検討に着手していた。 なお、出光石油化学は2002/7にPS事業を旭化成、三菱化学のA&Mスチレンと統合することを発表、2003/4にPSジャパンを発足させている。 2004/2より、三井化学と千葉地区を中心とした競争力強化に向けて包括的な検討を開始し、2004/5、ポリオレフィンの事業統合について基本合意に達した。ポリオレフィンを実質的に三井化学に任せる結果、石油化学事業の大半は、化成品事業を中心に燃料油事業と密接なものになるため、原油から石油・石化製品までの一貫した事業運営、簡素な組織体制を構築し、より効率的な事業経営を進めることとし、2004/8に合併、出光石油化学は解散した。 なお、2005/10に金融機関や系列販売店を引受先とする総額750億円の第三者割当増資と自己株売り出しを実施した。すると発表した。うち522億円は新株を発行し、228億円は、子会社から取得した自己株式を売り出した。優先株は有償消却し、資本金を388億円からいったん1億円に減資したうえで、新株発行分を加えた523億円とした。 |
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5 | - | 25 | 新日本石油による新日本石油化学の管理・営業・開発部門の統合 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
新日本石油では2001年、新日本石油化学にCRI推進室を設置し、グループをあげてCRI(石油精製と石油化学の一体化:Chemical Refinery Integration)を推進し、未利用留分の有効利用や統合LPの活用による製油所とスチームクラッカーの一体運営など成果を上げていた。 同社では石化事業における競争力の源泉は、これまで以上に原料面での優位性(量の確保とコスト競争力)に求められるという形に構造変化し、石油と石化の事業領域の境界もなくなりつつあると考え、国内最大の精製能力約120万BD という強みを最大限に生かすべく、原油から石油および石油化学製品までの一貫生産・販売・研究開発体制の強化を図ることとした。 2006/4日付で、新日本石油化学の管理部門、販売部門および研究開発部門を、会社分割の方法により新日本石油に統合し、製造部門は、製造会社たる新日本石油化学として存続させた。 |
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5 | - | 26 | 三井化学と出光石化のポリオレフィン事業の統合 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
三井化学は住友化学との経営統合計画の解消後、2004年2月に同じ千葉にコンビナートを持つ出光興産/出光石油化学と包括提携で基本合意した。 3社は、石油精製・石油化学事業の国際競争が激化するなか、これまで個別企業毎に行ってきた合理化等の取り組みだけでは限界があるとの共通認識に基づき、千葉地区における業務提携の可能性について予備的な検討をしてきたが、原料・留分から石化製品、また、工場基盤・業務を含めた幅広い領域にわたり、石油精製と石油化学という業種や企業の枠を超えた業務提携の検討を進め、千葉地区コンビナートの国際競争力の強化を目指すこととした。 この業務提携を具体化することにより、出光グループは石油精製と石油化学のインテグレーションを更に推し進め、「石油精製の高度化による原料・留分の付加価値向上」と共に、「製油所・石油化学工場のコスト競争力強化」を図る、三井化学は石油化学事業構造の抜本的な変革、即ち「分解原料の多様化」「プロピレンセンター化」「差別化」を促進するとした。 2004/11、三井化学と出光興産は4日、包括提携の一環として、千葉地区へ輸入するナフサを大型タンカーを使い共同輸送すると発表した。両社が千葉地区で中東から輸入しているナフサの量は、三井が年間230万トン、出光100万トンで計約330万トンあるが、大型船を共同活用することで輸送費の削減を図る。 2004/5、三井化学/出光興産/出光石油化学は三井化学と出光石化のポリオレフィン事業の統合の発表を行った。 新会社は、三井・出光の包括的提携の一部として、両者の全世界におけるポリオレフィン事業を、生産・販売・研究のすべての面で戦略的に統合し、事業規模の拡大とシナジー効果の発揮による事業価値の最大化を図ることを基本的な使命としている。
事前相談を受けた公取委は、HDPE、LDPE、L−LDPE、PPの4分野のうち、統合後の市場状況,販売額シェア,順位から、特に競争に及ぼす影響が大きいと考えられたHDPE(市場シェア約25%・第2位)及びPP(約40%・第1位)の2つの分野につき,重点的に審査を行った。 審査の結果、HDPEについては、有力な競争業者の存在、競争業者の代替能力、製品輸入の拡大等から、競争を実質的に制限することとはならないと考えられた。しかし、PPについては、上位2社が合計75%と著しく高いシェアを有すること、また、国内事業者に十分な供給余力がないほか、輸入圧力が十分に働いているとはいえない等の問題点があり、当事会社が単独で又は協調して競争を実質的に制限することとなるおそれがあるとした。
公取委は、この対応策が着実に実行された場合には、競争を実質的に制限することとはならないと判断し、承認した。 2005/4/1 プライムポリマーは営業開始した。 なお、出光興産中間決算(2005/11/15)によれば、特別損益に「事業移転利益」48億円を計上している。 |
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5 | - | 27 | PSジャパン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2002/7、旭化成、三菱化学、出光石油化学の3社は、旭と三菱との合弁のA&Mスチレンと出光がそれぞれ展開しているPS事業を再編・統合するため、3社間での合弁会社設立で基本合意したと発表した。 厳しさを増す状況下で、事業の維持・発展のためには事業統合によって、設備の更なる統廃合を含む徹底した合理化を推進することが必要不可欠と判断したもの。
出光は出資比率は27.5%で、統合直後の2003/6に85千トンのプラントを停止、能力を130千トンから45千トンに落としており、実質的には旭化成に運営を任せた形となっている。 公取委は本件統合による合算販売数量シェアが45%弱、順位は第1位となり、上位3社累積シェアは約85%となるとしたが、ポリスチレンは競争事業者や輸入の供給余力があり、取引先の変更も容易となっている上、輸入が容易であり,国内品の価格の状況に応じて輸入量が増加する蓋然性が高く、輸入圧力が一定程度働いていると認められることから、競争を実質的に制限することとはならないとした。 2003/4/1、 PSジャパン(PSJ)は営業を開始し、これにより日本のPSメーカーは東洋スチレン(ダイセル/新日鐵化学/電気化学)、日本ポリスチレン(住友化学/三井化学)、PSジャパン(旭化成/三菱化学/出光興産)の3統合会社と大日本インキ化学の4社となった。 なお、旭化成は香港にダウとの50/50のPS販売JV STYRON
Asia Ltdを設立、アジアでの販売を統合、中国の江蘇省張家港市では同じくダウとの50/50JVの斯泰隆(スタイロン)石化(張家港)有限公司を設立して2002/12からPS120千トンを生産している。 そのほかでは、三井化学(35%)がタイに Eternal Plastics Co., Ltd..(6万トン:三井物産 25%、Eternal 40%)、電気化学がシンガポールにDenka Singapore Private Ltd(80千トン)、出光興産がマレーシアにPetrochemical (Malaysia) Sdn. Bhd.(140千トン)、タ台湾に高福化学工業(出光興産 35%:GP 50千トン、HI 50千トン)がある。 2004/6、PSJの3社と大日本インキ化学(DIC)はポリスチレン事業を再編・統合することに基本合意したと発表した。
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これに関しての公取委との交渉は難航し、予定の2004/10の統合は延期された。 最終的に公取委は前回と異なる判断を下した。PSJの場合は合算販売数量シェアが45%弱、順位は第1位、今回はシェアが約50%・第1位と、余り変わらないが、今回は 実際には3社体制になることに対する不安を表明した需要家の意見も影響を与えているといわれている。 これを受けて、関係各社間で可能な限りの問題解消措置を検討したが有効な措置を採ることができないと判断し、2005/4、基本合意の解消、公取委への事前相談の取り下げを発表した。 |
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PS業界は電気・工業用がアジアへのシフトで低迷が続く中、不採算の輸出もカットし、余剰能力を設備廃棄により減らして需給の均衡を図ってきた。原料SMの輸出が好調なため可能となっているが、他の樹脂と大きく異なっている。生き残りのためには模範的な対応だが、中国バブルによって輸入圧力が消えてしまったため、結果的にはこれが再編を更に進めるための足かせとなってしまったこととなる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
公取委は1年前には輸入圧力が一定程度働いているとしてPSJの統合を認めている。中国の輸入が減った時点では中国輸出に頼っていた韓国・台湾勢が余った分を日本に振り向ける可能性は高く、短期的な状況を理由に今回否認したのは問題と思われる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5 | - | 28 | 鐘化のABS事業撤退 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
鐘化は1966年以来超耐熱・耐熱ABSを製造販売してきたが、経営資源を他部門に集中することを決め、2002年10月、テクノポリマー(JSR、三菱化学の事業統合会社)に営業権を譲渡した。高砂のプラントは他の製品に転用した。 なお、2002年10月に東レもABS樹脂でテクノポリマーへの統合を検討している旨の報道があったが、実現していない。 |
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5 | - | 29 | 日立化成のAAS樹脂事業のUMG ABSへの営業譲渡 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日立化成工業は、1970年より熱可塑成形材料であるAAS(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体)樹脂を販売してきたが、AAS樹脂の販売価格の下落、原料SMやアクリロニトリルなどの原料価格の高止まりから、収益の低迷を余儀なくされていた。日立化成では厳しい事業環境下では収益の改善は困難であるとの判断、UMG
ABSに営業譲渡することとした。
この結果、2005/7からUMG ABSによる営業が開始された。 |
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5 | - | 30 | 日本の合成樹脂の特徴 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本の合成樹脂は、もちろん全くの汎用品もあるが、ほとんどは需要家のニーズにあわせた特殊品で、しかも汎用品との間に余り価格差がない。 海外の場合はほとんどが大量生産の全くの汎用品であり、グレード数も非常に少ない。それを必要とする需要家に販売するだけで、特注のグレードの場合には追加コストをそのまま上乗せして販売している。 これに対して日本では需要家の様々な要求に応じて新グレードをつくっており、多くのグレードを切り替え、切り替え、生産している。 最近では、更に進んで、需要家のニーズに適したグレードを自ら試作して提案するという「提案型」マーケティングをおこなっている。例えば自動車のバンパーの衝突設備までつくって実験した上で、最適のグレードを提案し、供給している。
しかしながら、(中国バブルまでは、)過剰能力を抱えたことによる過当競争の結果、これらの努力分を価格に上乗せすることが出来ず、十分な利益を計上できない状況にあった。 |
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