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2003/4/24 理化学研究所

半世紀ぶりの新種ビタミンPQQ(ピロロキノリンキノン)
   
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2003/030424/

理化学研究所は、ピロロキノリンキノンと呼ばれる物質が新種のビタミンとして機能していることを世界で初めて解明しました。

 

 


「生物の生存・生育に必要な栄養素のうち、微量ではあるが生理作用を円滑に行うために必須な有機化合物群」を、まとめてビタミンと呼びます。 1910年に鈴木梅太郎によって発見されたビタミンB1がその第1号とされますが、1920年代にはビタミンの一大ブームが巻き起こり、多くの生物学者が 新ビタミン探しに狂奔しました。しかし1948年にビタミンB12が発見されてからは新たな報告はなく、人間の健康維持に必要なビタミンはこれで全て出 揃ったものと思われていました。

 ところが半世紀以上を経過した2003年になり、理研の笠原らが久々に新しいビタミン「ピロロキノリンキノン」(PQQ)の存在を報告して世界を 驚かせました。なんだか変な名前のようですが、ピロール(右上の5員環)とキノリン(6員環2つ)が縮合し、それがo-キノン構造(右下部分)をとってい るための命名です。

 実はPQQという化合物自体は新しいものではなく、ある種の細菌の増殖に必要な化合物として1979年にはすでに報告がなされていました。その後 人間など高等生物の体内からもPQQが発見されたため、人間にとっても必要な化合物だろうと推測されていたのですが、その役割がわかっていなかったので す。
http://www.org-chem.org/yuuki/mow/0506/pqq.html

 


2003年9月24日 三菱ガス化学

三菱ガス化学、補酵素PQQのビタミン用途の開発を加速
http://www.mgc.co.jp/news/2003/030924.pdf

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京、社長:小高英紀、以下MGCと略す)は、14番目のビタミンであるピロロキノリンキノン(以下PQQと略す)の研究開発を加速します。
 PQQは、生体のエネルギー獲得系において必須な酸化還元酵素の補酵素の一つで、1979年、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)に次いで、3番目の補酵素として、C1資化性微生物の研究から発見されました。PQQは、微生物を始め生物界に広く存在し、種々の生理活性機能や、必須栄養素としての活性も認められています。更に、本年4月、
PQQはビタミンである事が明らかとなりました。
 MGCは、世界に先駆け、独自の発酵技術によりPQQの製造技術を確立し、1987年以来現在に至るまで、研究用試薬として広く販売し、多くの研究者に使用されています。同時に、多くの大学と共同で、PQQの生理・薬理研究を行い、PQQの抗酸化作用、神経成長因子(NGF)増強作用、アルドース還元酵素阻害(ARI)作用などを見出しています。更に、大学と共同でガス・マス分析法による生体内の微量のPQQ 測定法を開発し、PQQ は多くの野菜や肉類などの食品、特に納豆(61ng/g)、パセリ(34ng/g)や緑茶(30ng/ml)に多く含まれる事、更に、ヒト体内にもPQQが存在する事を明らかにしています。

 PQQ などの生体キノン化合物を広く研究する研究会として「
生体キノン研究会」が昨年8月に発足しました。その第2回講演会(本年9月26日、中央大学駿河台記念館)では、国内外の研究者によるPQQ のシンポジュウム「新しいビタミン、補酵素PQQの最近の研究」が企画されています。PQQ は、新しいビタミンとして研究の面からも関心を集めています。

 


2004年9月8日 三菱ガス化学

生体キノン研究会第3回講演会の開催
http://www.mgc.co.jp/news/2004/040908.pdf

 生体キノン研究会(会長は紀氏健雄・神戸学院大学薬学部長)は、9月17日に、東京で第3回講演会を開催いたします。

 自然界には、コエンザイムQ10をはじめ、ビタミンK、ロドキノン、ピロロキノリンキノン(PQQ)など数多くのキノン化合物が存在し、生体の中で重要な役割を担っており、その生理作用から医薬品や健康食品として注目されています。これらのキノン化合物を広くかつ深く理解して行くことを目的に生体キノン研究会(事務局:三菱ガス化学株式会社・生物化学部内)を2002年8月に設立しております。


 
ロドキノンは、光合成細菌から初めて単離された脂溶性の生体キノンであり、嫌気性呼吸鎖の構成要素と考えられています。現在基礎研究が行われており、ロドキノンの関与する代謝経路を標的とした医薬品の開発が進められています。ビタミンKは、血液凝固作用や骨量減少改善作用が認められ、医薬品や健康食品原料用途で使用されています。PQQは、生体のエネルギー獲得系において必須な酸化還元酵素の補酵素の一つで、1979年に微生物から発見されました。PQQには抗酸化作用、神経成長因子(NGF)増強作用、アルドース還元酵素阻害(ARI)作用などが見出されています。2003年4月に、哺乳類で初めてPQQを利用する酵素が見出されたことから、PQQは新しいビタミンではないかと注目を集めています。コエンザイムQ10は、体内に広く存在する補酵素で、エネルギーを供給する働きに加えて、抗酸化作用を持つことから、国内外で医薬品や健康食品原料として広く使われています。


2008/9/8 三菱ガス化学

新規健康食品素材「補酵素PQQ」の展開について

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:酒井和夫、以下「MGC」という)は補酵素ピロロキノリンキノン(以下「PQQ」)の新規健康食品素材としての届出をFDA(アメリカ食品医薬品局)に提出しておりましたが、この度、2008 年8 月15 日付けで正式に受理されました。これを受けて、MGC はPQQ の事業化に向け、先ずはアメリカ国内で健康食品素材としての市場開拓を開始します。
 PQQ は酸化還元酵素の補酵素の一つであり、2003 年に理化学研究所によって、50 年ぶりに発見された
14 番目のビタミンである可能性が報告されています。MGC はPQQ の製造技術を持つ世界で唯一のメーカーであり、研究用試薬として広く販売する一方で、国内外の大学や研究機関と共同でPQQ の生理作用について研究を行って参りましたが、PQQのビタミン作用が報告されたのを受け、新規の健康食品素材としての開発を進めておりました。
 PQQ には
神経保護作用、神経成長因子の増強作用、抗酸化作用が見出されておりますが、最近の研究により、ラット試験やヒト試験において記憶能力や識別能力の向上など脳機能改善が確認されております。さらには、コエンザイムQ10 と併用することでPQQ のこれらの作用が増強されることも確認されております。このように、PQQ はこれまでにない新しいタイプのブレインフードとして期待されます。
 MGC はコエンザイムQ10 のメーカーでありますが、新たにPQQ をラインアップに加えることで、健康食品素材事業の拡大を図り、ライフサイエンス分野の積極展開を進めます。

【用語説明】
PQQ:酸化還元酵素の補酵素の一つとして1979 年に発見された水溶性キノン化合物。パセリやピーマンなどの野菜や納豆、緑茶、ウーロン茶などに含まれるほか、ヒト体内にも存在し、特にヒト母乳中に多く含まれる。2003 年4 月に理化学研究所からPQQ が14 番目のビタミンとなる可能性が報告されている。

FDA:米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration)は食品、医薬、化粧品などを監督する米国官庁。該当する製品を米国内で販売する場合、製造、規格、表示などFDA が施行する数々の規則に適合する必要がある。

補酵素:酵素の働きを助ける物質ビタミン:微量ではあるが、体内の生理作用を円滑に行うのに必須かつ体内で合成することができない有機化合物群。(ただし、例外的に極微量ながら体内で生成できるものもある。)

識別能力:対象の質的、量的な違いを認識する能力。

ブレインフード:脳に健康と若さをもたらすもので、脳の活性化のほか、認知症の予防にも役立つと言われている。代表的なものに、EPA、DHA、イチョウ葉エキス、などがある。

 

三菱ガス化学株式会社 広報IR部  2008/9/9
結論から申しますと「PQQはビタミンか否か」についてはまだ決着しておりません。

現状、「ビタミンである」と断定するには研究データが不足しているようです。
ビタミンが最後に発見されてから50年以上が経過しているため、なにを以ってビタミンとするかの研究にも50年以上のブランクが生じており、これも、論争
を長引かせる一因となっていると推察されます。