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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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Ineos Vinyls Italia は事業売却交渉が破綻し、破産の危機に面していたが、同社の破産がイタリアの経済に波及するのを恐れたイタリア政府が介入し、2009年2月、Ineos と Safi Spa の間で売買契約の調印が行われた。
同社はVinyls Italia と改称した。
その後もEni への未払いエチレン、塩素代の扱いを巡って二転三転したが、4月1日、イタリアの経済開発相が入り、最終決着したとみられた。
2009/2/20 Ineos のイタリアのVCM/PVC事業、破産の危機を脱する
しかし、その後もEniと新会社Vinyls Italia の争いは続いた。Eni子会社に対するエチレン(Polimeri )、塩素(Syndial)の未払債務は80百万ユーロにまで増えた。
Vinyls Italia は破産申請がありうると示唆していたが、5月28日、裁判所に同社を“Controlled Administration”に置くよう申請した。これにより、政府指名の委員(commissar)の管理下で最長2年間 操業を続けることとなる。
イタリアでは破産の場合、3つのオプションがある。民事再生法やChapter 11 のような制度はない。
オプション | 対象 | 結果 |
破産 | 破産者 | ・管財人が管理 ・清算 |
Preventive agreement | 事業に失敗、破産宣言はせず | ・破産は回避、事業撤退 ・6ヶ月のうちに債権者平等の原則で、 債権者の2/3の賛成で 清算 |
Controlled administration | 短期的な資金不足問題 | ・管財人が管理 ・最長24ヶ月支払い延期 |
法律によれば、Controlled administrationは200人以上を雇用し、資産の2/3以上の負債のある企業は申請が出来る。
Vinyls Italia は120百万ユーロの負債があり、そのうち80百万ユーロがEni向けとなっている。
イタリア政府は6月18日、同社を“Controlled
Administration”に置くことを承認した。
経済開発相は弁護士2名とケミカルエンジニア1名をcommissarに任命、同社の経営に当たらせ、早期に私企業に戻すよう努力させる。
政府は多方面からの圧力(この問題の早期解決の要求、イタリアの石油化学をどうするのかの議論)を受け、結論を早めた。
Vinyls Italiaのメインの工場があるPorto
Marghera ではダウが2006年にTDIの生産を停止しており、PVCや電解が停まれば、地域経済に打撃を与える。
6月17日の経済開発相との会談で、Eni側は塩素事業からの撤退方針に変わりがないことを確認した。
Eniは 5〜6年前にIneos Vinyls Italia
に塩素事業売却の交渉を始め、本年末を塩素事業からの撤退の期限としているが、水銀法からイオン交換膜法への転換の費用負担が理由で交渉が中断した。
Eni (イタリア政府が最大の単独株主)ではVinyls Italiaに信頼できる新しいオーナーが見つかれば、同社としては約束した契約は尊重するとしている。
同社の問題はControlled administration 適用が該当する一時的な資金不足問題ではない。
現在の経済情勢のもとで、過去の未払代金を支払い、電解事業を買収してイオン交換膜法への転換を行うというのは、地域経済活性化の名目で国が資金を出さない限り、難しいであろう。
付記
2010年2月、カタールの建設請負会社
Ramco Trading & Contracting が管財人管理下のVinyls
Italiaの買収に乗り出した。
ENI group と原料供給の確認と、ENIの電解3工場(Assemini、Porto
Marghera、Ciro Marina)の買収の交渉を行った。
しかし、Ramcoは6月に撤退を決めた。
Vinyls Italiaの管財人は7月末に新しい入札を行う。
なお、Vinyls Italiaを買収したFiorenzo SartorはIneosに対して2億ユーロの損害賠償を求め訴えた。
買収に当たり、Ineosは原料を割引価格で供給することを約束したが、これを守らなかったため、再建がうまくいかなかったとしている。
付記
その後、SwissのファンドがGita Holding が乗り出したが、2011年4月の期限に資金を振り込まなかった。
国土交通省は7月31日、6月度の住宅着工件数を発表した。
6月度の着工件数は68,268戸で、本年1月以降、ほぼ横ばいの低水準の状況にある。
分譲マンションの着工件数は4,592戸(前年同月比68.2%減)で、統計を取り始めた1985年以降で最も少ない。
改正建築基準法の施行(2007年6月20日)により2007年7月以降の住宅着工は激減した。
その後も前年比のダウンは続き、2008年7月になって、ようやく、前年を上回った。しかし、2008年12月には再び前年比ダウンとなり、本年に入っても低水準が続いている。
現在の水準は改正基準法の施行で急落し、最低水準となった2007年8−9月の水準である。
1996暦年が1,643千戸であったのが、2006年が1,290千戸、2007年が改正基準法施行で1,081千戸に落ち込み、2008年は若干回復して1,093千戸となったが、本年上半期は年率換算で833千戸となり、1996年の約半分となっている。
これがPVCの国内出荷の下落の主因となっている。
ダウは7月30日、子会社のUnion Carbide とマレーシア国営 Petronas のJVのOptimal グループ3社の持分をPetronas に売却することで合意したと発表した。売却額は660百万ドル。
ダウとPetronas は供給契約を締結、ダウは従来アジア太平洋地区に供給していた需要家に引き続きOptimal 製品を供給する。
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ダウ は昨年7月10日、 188億ドルでRohm and Haas (R&H)を買収する契約を締結したと発表した。
しかし、クウェートのPICとの合弁会社 K-Dow Petrochemicals 設立破談で予定した売却代金が入らなくなり、四苦八苦の末、つなぎ融資の条件変更、R&H買収条件の変更、減配等々により、Rohm & Haas の買収を完了することが出来た。
2009/4/3 ダウ、Rohm & Haas の買収を完了
しかし、R&H買収のための多額の借入金が残っており、借入金返済の対策が実現しなければ、ダウが最も恐れているジャンクボンドへの格下げが避けられない。
このため、同社はこれまでいろいろの手を打ってきた。今回の売却はその一環。
Total
Raffinaderij はValero Energy に売却したが、合弁相手のTotal
が先買権を行使して買収、
それをロシアのLukoil
(ConocoPhillipsが20%所有)に売却した。Total 55%/ Lukoil 45%のJVとなる。
付記
ダウは2009年11月12日、Powder Coatings 事業をAkzo Nobel に売却する契約を締結したと発表した。条件は明らかにしない。
収入は借入金返済に充てる。
ダウとしてはジャンクボンドへの格下げを避けるためには、戦略事業のDow AgroSciences についても完全売却、JV、上場などのオプションの検討をしている。
2009/5/8 ダウ、16億ドルの増資、Dow AgroSciences の売却も検討
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Optimal グループは3社から成り、Petronas とUnion Carbide (及び
Sasol )のJVとして1998年7月に設立された。
(2001年にダウがUnion Carbide を買収し、子会社とした。)
マレーシアのケルテ(Kertih)でエチレンコンプレックスを運営している。
出資比率 | 製品 | |||
PETRONAS | UCC | Sasol | ||
OPTIMAL Olefins (Malaysia) SDN. BHD. | 64.25% | 23.75% | 12% | エチレン 600千トン |
OPTIMAL Glycols (Malaysia) SDN. BHD. | 50% | 50% | EO 380、EG 385千トン | |
OPTIMAL Chemicals (Malaysia) SDN. BHD. | 50% | 50% | ブタンジオールほか |
同地にはもう一つのエチレンコンプレックス Ethylene Malaysia Sdn Bhd がある。
PETRONAS、出光興産 12.5%、BP 15%
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マレーシアの石油化学
Titan については、2008/3/12 T.T. Chao 逝去
2009/8/4 広州のシノペックとクウェートの石油精製・石油化学計画 移転
シノペックとクウェートの石油精製・石油化学計画が多方面からの環境問題での反対を受け、移転することが決まった。
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シノペックとクウェート国営石油会社(KNPC)の石油精製プロジェクトが2006年にNDRCの承認を受けた。
シノペック広州石油化工がKNPCとのJVを設立し、広州市南沙経済開発区で12百万トンの石油精製を行うもの。
その後、2007年12月に年産15百万トンの石油精製と100万トンのエチレン計画のFS実施が承認された。
投資額は90億ドルとされる。
2006/8/1 クウェートの中国進出
本計画は現在環境アセスメントを実施中で、ほとんど完了し、環境保護部の承認待ちとなっている。
その後でNDRCからの最終承認を受ける必要がある。
なお、シノペック広州石油化工は同じ広州市の黄埔地区に石油精製・石油化学基地を持っており、石油精製能力を770万トンから1200万トンに増設した。
また、エチレンを既存の20万トンから80万トンに増設する計画の認可を取得していたが、南沙の100万トン計画で、増設計画を取り消した。南沙計画完成後は現在の20万トンエチレンを廃棄する。
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しかしながら、南沙計画に対しては環境面から反対が相次いだ。
南沙区は人口密集の珠江デルタの中心にあり、香港から37km、港珠澳大橋(香港〜珠海〜マカオ)から40kmしか離れていない。
香港やマカオから強い反対が起こった。
漁業やエビ養殖の盛んな南沙区の住民は、周辺の製油所による大気汚染と臭気に悩まされており、反対している。
広東省の議員も環境問題を理由に本計画の棚上げのロビー活動を行っていた。
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シノペックは移転先については明らかにしていないが、湛江市だろうと言われている。
付記
シノペックは8月10日、移転先を湛江(Zhanjiang)市 東海島(Donghai Island)に決めたと発表した。
投資額は90億ドルで、1500万トンの製油所、100万トンのエチレンコンプレックスを建設する。
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2006年11月に台湾資本のDragon Group(騰龍グループ)が福建省厦門の海滄投資区で芳香族とPTAプラントの建設を計画したが、住民の反対運動を受け、移転をやむなくされた。
2007/6/11 中国のインターネット反対運動が石化計画を止める
2009/8/5 CNPC、イランのアザデガン油田の権益取得へ
中国石油天然気集団(CNPC)はイラン国営石油(NIOC)との間で南アザデガン油田の開発に関する覚書を締結した。
油田の70%の権益を取得し、開発費用の90%を負担する。
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2004年2月、国際石油開発(インペックス)はイラン国営石油との間でアザデガン油田の評価・開発に係わる契約に調印した。
インペックスとイラン国営石油子会社NICOが、それぞれ75%と25%の参加権益で、アザデガン油田の開発を行うこととなった。
その後、イランの核問題は解決のきざしが見えず、開発に着手出来ない状況が続いた。
インペックスはイラン側が約束した油田の地雷除去を終えていないことが遅れの主因と主張したが、イラン側は地雷除去は96%終わっており、作業に問題はないと反論し、同社に与えた開発権を取り消し、イラン政府が引き取るとし、早期着工を促した。
2006年、インペックスとイラン政府は、インペックスが保有する75%の開発権のうち65%分をイランの国営石油会社に譲渡し、インペックスの開発権は10%とすることで合意した。
イランの核開発に反対する米国に配慮する一方、懸念されていた全面撤退は当面避け、同油田からの原油輸入に道を残した。
2006/10/9 アザデガン油田の開発権引き下げでイランと合意
2008/10/31 小説 「エネルギー」
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その後、NIOCの方針で北アザデガン油田と南アザデガン油田に分けられた。
2009年1月、CNPCは北アザデガン油田開発の契約を締結した。石油埋蔵量は60億バレルとされる。
投資予想額は17.6億米ドル。新しいBuy- back 方式によるもので、開発後は油田の操業はNIOCに渡され、CNPCは投資の回収のため一定期間、石油で支払いを受ける。
開発、回収期間は12年とされている。
今回はメインの南アザデガン油田の開発で、NIOCが90%、インペックスが10%の権益を持つが、CNPCはNIOC持分のうちの70%分を買収する。買収後の権益は、CNPC 70%、NIOC 20%、インペックス 10%となる。埋蔵量は332億バレル。
開発費用は25億ドルと予想され、このうち90%をCNPCが負担する。
第一段階で日量15万バレル、第二段階で11万バレル、合計26万バレルの石油生産を予想している。
2009年第1四半期の決算発表が始まった。
各社とも前年第4四半期よりは好転しているが、赤字企業が多い。
石油化学、電子材料関係が悪い。
住友化学、三井化学、三菱ケミカルホールディングス、旭化成、東ソーは連結当期損益は各社とも赤字となった。
営業損益は住友化学のみが辛うじて黒字となった。
信越化学も、黒字ではあるが、大幅な減益となった。
合わせて、昭和電工(12月決算)の上期決算も示した。
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住友化学
単位:億円 | ||||||||||||||||||||
|
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前年 同期比 |
|
基礎化学 | 16 | -77 | -28 | -44 |
石油化学 | -7 | -198 | -56 | -49 |
精密化学 | 13 | -20 | -1 | -14 |
情報電子化学 | 72 | -187 | -31 | -104 |
農業化学 | 58 | 90 | 58 | 0 |
医薬品 | 110 | 34 | 98 | -12 |
その他 | -15 | -47 | -20 | -5 |
全社 | -0 | 2 | 4 | 4 |
合計 | 247 | -402 | 23 | -224 |
ーーー
三井化学
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 4,539 | 207 | 250 | 152 |
09/1Q | 2,606 | -135 | -140 | -164 |
増減 | -1,934 | -342 | -391 | -317 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前年 同期比 |
|
機能材料 | 56 | -258 | -67 | -123 |
先端化学品 | 38 | 22 | 8 | -30 |
基礎化学品 | 124 | -327 | -70 | -194 |
その他 | 2 | -0 | 2 | -0 |
全社 | -13 | -12 | -8 | 5 |
合計 | 207 | -575 | -135 | -342 |
ーーー
三菱ケミカルホールディングス
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 7,638 | 346 | 390 | 131 |
09/1Q | 5,497 | -106 | -172 | -168 |
増減 | -2,141 | -452 | -562 | -299 |
当期のポリマーズの赤字が目立つ。
(在庫評価の影響がケミカルズは08/4Qに、ケミカルズは09/1Qに大きい)
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前年 同期比 |
|
エレクトロ | 57 | -67 | -9 | -66 |
デザインド | 8 | -46 | -8 | -16 |
ヘルスケア | 266 | 93 | 252 | -15 |
ケミカルズ | 24 | -326 | -29 | -53 |
ポリマーズ | 10 | -43 | -281 | -292 |
その他 | 14 | 3 | 3 | -11 |
全社 | -35 | -35 | -33 | 1 |
合計 | 346 | -422 | -106 | -452 |
ーーー
旭化成
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 3,860 | 194 | 212 | 135 |
09/1Q | 2,893 | -3 | -18 | -17 |
増減 | -966 | -197 | -230 | -152 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前期比 増減 |
|
ケミカルズ | 91 | -185 | 22 | -69 |
ホームズ | -37 | 111 | -29 | 8 |
ファーマ | 90 | -10 | 31 | -59 |
せんい | 12 | -18 | -15 | -27 |
エレクトロニクス | 45 | -51 | -6 | -51 |
建材 | 3 | -2 | 0 | -3 |
Service & Eng. | 13 | 15 | 4 | -9 |
全社 | -23 | -12 | -10 | 13 |
合計 | 194 | -151 | -3 | -197 |
2009/1Qに一部事業の組み替え等があり、若干の対比差異あり。
ファーマはライセンス収入源と輸出の円高効果による減益。
ーーー
東ソー
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 1,933 | 35 | 50 | 30 |
09/1Q | 1,340 | -49 | -48 | -34 |
増減 | -593 | -84 | -99 | -64 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前年 同期比 |
|
石油化学 | 15 | -56 | -8 | -22 |
基礎原料 | -10 | -40 | -21 | -12 |
機能商品 | 22 | -39 | -23 | -46 |
サービス | 8 | 6 | 3 | -4 |
合計 | 35 | -130 | -49 | -84 |
ーーー
信越化学
|
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前年 同期比 |
|
有機・無機化学品 | 275 | 126 | 111 | -164 |
電子材料 | 411 | 12 | 70 | -341 |
機能材料その他 | 75 | 25 | 27 | -48 |
全社 | -2 | -1 | -1 | 2 |
合計 | 758 | 162 | 206 | -552 |
ーーー
昭和電工 6月中間決算
単位:億円 | ||||||||||||||||||||
|
08/6中 | 09/6中 | 増減 | |
石油化学 | 60 | 20 | -40 |
化学品 | 37 | -11 | -48 |
電子・情報 | 75 | -157 | -232 |
無機材料 | 98 | 3 | -95 |
アルミニウム他 | 7 | -68 | -75 |
全社 | -31 | -16 | 14 |
合計 | 246 | -229 | -475 |
BASFは8月3日、蔚山のSKコンプレックスにある年産32万トンのSMプラントと土地をSK
Energy に売却すると発表した。売却金額などは明らかにされていない。
このプラントはアジア市場の供給過剰のため昨年10月から休止していた。
従業員34名のほとんどは早期退職を受け入れており、プラントを稼動させるのかどうかは不明。
BASFは蔚山にPS(25万トン)、EPS(8万トン)、ABS(25万トン)のプラントを持つが、原料SMは外部購入する。
BASFのSMプラントは2001年にSK グループのSK Evertec (現在のSKC)から購入したもの。
SKCは同コンプレックスにSM/PO(384千トン/180千トン)併産設備を持っている。
BASF本社のスチレン系部門のトップは、「スチレン系の採算向上のためリストラを進めており、設備廃棄を含め、全てのオプションを考える」とし、スチレン系事業の売却も諦めていないとしている。
BASFは6月30日にLudwigshafen 本社工場のPSの1系列 80千トンを停止し、欧州のPS能力を540千トンとした。
需要減少によるもので、4月から休止していた。Ludwigshafen でのPS生産は断熱材生産用とし、需要家向けの出荷はAntwerp 工場から行う。
付記
BASFは9月15日、ブラジルのPS事業をPSプラント(19万トン)を含め、Unigel子会社のCompanhia Brasileira de Estireno (CBE)に売却すると発表した。
Unigelは2系列合計28万トンのSMプラントをもっている。
BASFは引き続きブラジルでABSとSBSを販売する。他の南米市場にはベルギーやメキシコの拠点からPSを供給する。
ーーー
BASFは2007年7月、スチレン事業一部の「戦略的な選択肢」を検討していることを発表した。
同社は2007年8月の第2四半期の業績発表の席上、 スチレン事業の一部の売却に関して、買い手候補のある1社と極めて建設的な交渉を行っていることを明らかにした。(成立せず)
売却対象はコモディティのSM、PS、ABS、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)であった。
2008/8/20 BASF、スチレン系事業の売却準備 進める
2009年1月付けで売却対象事業を子会社(複数)に分離した。
これまで対象外としていたスチレンコポリマー事業を分離対象に加えた。
ーーー
BASFは本年4月にスイスの特殊化学薬品メーカー Ciba を買収した。
買収によりスペシャリティケミカル分野を拡大し、主導的地位を高めるとしている。
2008/9/19 BASFがCiba買収へ
ーーー
SKグループは2007年7月に持ち株会社体制に移行した。
石油化学関係は以下の体制となった。(能力は現状、千トン)
SK Energy | エチレン 730、ベンゼン
393、パラキシレン
650、オルソキシレン
200、 HDPE 190、LLDPE 160、PP 340 |
||
: | 100%子会社 SK Petrochemical |
: | PTA 520、DMT 80 |
SKC | SM 394/PO 275、PPG 90、PG 75 | ||
SKCの歴史は以下の通り。
1980/12. | SK(旧 鮮京)が大韓石油公社を買収(民営化) | |
1982/7 | 大韓石油公社をYukong(油公)と改称 | |
1987/9 | Yukong ARCO Chemical 設立 | |
1991/1 | PO/SM 稼動 | |
1992/10 | ARCO 離脱 | |
1997/3 | SM(260千トン)稼動、SM合計 560千トンに | |
1997/10 | SK Oxichemical と改称 | |
2000/1 | SK Evertec と改称 | |
2001/7 | SMプラントをBASFに売却 BASF Korea は蔚山にPS(230千トン)、ABS(200千トン)プラントを保有 |
|
2001/12 | SKCと改称 |
本日の日本経済新聞はトップ記事で以下の通り報じている。
SABICとのMMAモノマーJVに三菱レイヨンが50%以上を出資
投資額は500億円以上
年産能力は20万〜25万トン
三菱レイヨンが買収したルーサイトのエチレン法
2013年の稼動を目指すSABICがルーサイトに10〜20%出資
付記
三菱レイヨンの中期計画見直し(8月7日発表)では、モノマー
25万トン、成形材料 4万トンとなっている。
付記
三菱レイヨンは8月10日、SABICとの業務提携を発表した。同日付でLetter
of Intent を締結した。
50%ずつの出資でJVを設立し、ルーサイトの新エチレン法によるMMAモノマー(25万トン)、三菱レイヨン技術によるPMMA(3万トン)を建設し、2013年の稼動開始を目指す。
SABIC発表では投資額は10億ドルとなっている。
両社は今後もその他事業における業務提携の可能性を協議する。
なお、SABICによるルーサイトへの出資については何も述べていない。
付記
三菱レイヨンは2011年5月31日、SABICとの間で合弁会社設立を目的とする契約を締結することで合意したと発表した。
合弁会社の概要
名称(仮称):Saudi Methacrylates Company , LLC
所在地:アルジュベイル地区
出資比率:三菱レイヨン 50%、SABIC 50%
事業内容:MMAモノマー(年産25万t) 、新エチレン法(アルファ法)
アクリル樹脂成形材料(PMMA)(年産4万t)
操業開始:2014年末目標
付記 2014年6月26日、下記の発表を行った。
MMAモノマー、PMMAの製造
会社名:The Saudi Methacrylates Company
場所 :Al-Jubail
出資者:三菱レイヨン 50% (三菱レイヨン100%の日本サウディメタクレート合同会社を通じて出資)
SABIC 50%
設立 :2014/6/9
能力 :m-MMA 25万トン
p-MMA 4万トン
付記 2017年4月完工
本プロジェクトはSaudi International Petrochemical Company (Sipchem) がJubailでの第三期として計画していたもの。
エチレン100万トンのコンプレックスで、このうち、MMA
25万トンはルーサイトから、ANM
20万トンはルーサイトの株主のIneosから技術を導入することとなっていた。
Sipchemは一時、Ineos
に出資を打診している。
その後、同社は2008年6月にエチレン、PE、PP計画を取り止めた。
本年5月9日、サウジのSABICとSipchem は、それぞれの新計画の実施に当たり、互いに既存の余剰能力を出して協力する覚書に締結した。
当初Sipchemが第三期計画で計画していた誘導品のうち、ポリ酢酸ビニルとエチレン酢ビ以外はSABICが実施する。
MMA計画はSABICに移った。ANMについては旭化成がSABICとJVの交渉をしていると伝えられている。SABICはSipchemに割り当てられた原料エタンをSABIC子会社でエチレンにして供給する。
SipchemはSABICにMMA生産用の一酸化炭素を供給する。
(ルーサイト法ではエチレン、メタノール、一酸化炭素を原料とする。)
2009/5/11 サウジのSABICとSipchem、新プロジェクトで相互協力の覚書
SABICのルーサイトへの出資は全く新しい情報である。
各社とも前年第4四半期よりは好転しているが、赤字企業が多い。
石油化学、電子材料関係が悪い。
JSR
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 1,014 | 140 | 158 | 87 |
09/1Q | 677 | -32 | -25 | -46 |
増減 | -337 | -172 | -183 | -133 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前年 同期比 |
|
エラストマー | 30 | -6 | -44 | -74 |
エマルジョン | 0 | -3 | -5 | -5 |
合成樹脂 | 6 | -9 | -12 | -18 |
多角化事業 | 103 | -20 | 29 | -74 |
合計 | 140 | -39 | -32 | -172 |
ーーー
帝人
単位:億円 | ||||||||||||||||||||
|
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前期比 増減 |
|
合成繊維 | 33 | -69 | -40 | -73 |
流通・リテイル | 7 | 6 | 2 | -5 |
化成品 | 21 | -51 | -19 | -40 |
医薬医療 | 59 | 65 | 65 | 6 |
IT・新事業 | -3 | 28 | 1 | 4 |
全社 | -30 | -23 | -24 | 6 |
合計 | 86 | -44 | -15 | -101 |
帝人はポリエステル事業の構造改革を発表した。
長繊維事業については国内唯一の製造拠点の松山事業所での生産を中止し、短繊維事業では徳山事業所に生産を一元化する。
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なお、当期の特別損失に、異常操業損失 -53、事業構造改善費用 -32 などがあるが、このほか、金銭信託の追加拠出による損失 -72 がある。
帝人は1999年発行の10年物社債150億円を2005年11月にオフバランスした。(バランスシートから外し、簿外処理とする)
社債の元利払いを銀行に引き受けてもらう一方で、社債と同額を信託銀行に拠出して、その信託財産を金融商品などで運用することにより元利金を確保しようとした。
「取消不能で、かつ社債の元利金の支払に充てることを目的とした他益信託等を設定し、当該元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債又は優良格付けの公社債)を拠出すること」がオフバランスの要件となっている。
しかし、その運用資産が米国企業を中心に約100社を参照銘柄とするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に連動する証券化商品だったため、大きく目減りし、穴埋めが必要となったもの。
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宇部興産
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 1,770 | 109 | 103 | 65 |
09/1Q | 1,201 | -12 | -34 | -33 |
増減 | -569 | -121 | -137 | -98 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前期比 増減 |
|
化成品・樹脂 | 34 | -97 | -42 | -75 |
機能品・ファイン | 25 | -9 | 12 | -13 |
建設資材 | 23 | 9 | 4 | -19 |
機械・金属成形 | 7 | 11 | -1 | -8 |
エネルギー・環境 | 19 | 22 | 12 | -7 |
その他 | 2 | 1 | 2 | 0 |
全社 | -2 | 1 | -1 | 1 |
合計 | 109 | -62 | -12 | -121 |
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トクヤマ
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 787 | 75 | 75 | 44 |
09/1Q | 613 | 22 | 16 | 7 |
増減 | -174 | -53 | -60 | -37 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前期比 増減 |
|
化学品 | 7 | -29 | 13 | 5 |
特殊品 | 78 | 39 | 25 | -53 |
セメント建材他 | 1 | -37 | -6 | -6 |
全社 | -11 | -15 | -11 | 0 |
合計 | 75 | -42 | 22 | -53 |
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カネカ
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 1,245 | 53 | 62 | 40 |
09/1Q | 992 | 43 | 43 | 27 |
増減 | -252 | -10 | -18 | -13 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前期比 増減 |
|
化成品 | 14 | -13 | 5 | -9 |
機能性樹脂 | 16 | -7 | 16 | 0 |
発泡樹脂製品 | -3 | 5 | 8 | 12 |
食品 | 7 | 16 | 22 | 15 |
ライフサイエンス | 15 | 5 | 10 | -5 |
エレクトロニクス | 9 | -23 | -10 | -19 |
合成繊維他 | 11 | -8 | 5 | -6 |
全社 | -16 | -15 | -14 | 2 |
合計 | 53 | -39 | 43 | -10 |
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三菱ガス化学
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 1,339 | 52 | 127 | 92 |
09/1Q | 853 | -21 | -33 | -24 |
増減 | -486 | -73 | -160 | -116 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前期比 増減 |
|
天然ガス系 | -9 | -46 | -35 | -26 |
芳香族 | 16 | -56 | -8 | -24 |
機能化学品 | 24 | -4 | 9 | -15 |
特殊機能材 | 22 | -19 | 12 | -11 |
その他 | 1 | 1 | 1 | 0 |
全社 | -2 | -0 | 0 | 2 |
合計 | 52 | -125 | -21 | -73 |
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住友ベークライト
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/1Q | 598 | 31 | 39 | 14 |
09/1Q | 361 | -15 | -13 | -14 |
増減 | -237 | -46 | -53 | -28 |
08/1Q | 08/4Q | 09/1Q | 前期比 増減 |
|
半導体・表示体材料 | 26 | -16 | 4 | -22 |
回路製品 | -5 | -15 | -8 | -4 |
高機能プラスチック | 11 | -14 | -2 | -13 |
Quality of life | 10 | -14 | 2 | -9 |
その他 | 0 | 0 | -0 | -0 |
全社 | -12 | -14 | -10 | 1 |
合計 | 31 | -74 | -15 | -46 |
韓国とインドは8月7日、包括的経済連携協定(CEPA:Comprehensive Economic
Partnership
Agreement)に正式署名した。
発効後8年以内に、輸入額の8割前後の品目で互いに関税を撤廃する。
インドと同様の交渉を進める日本に先駆けての締結になった。
インドは国内手続きを終えており、韓国国会の承認を経て来年1月の協定発効をめざす。
現在、韓国がインドに輸出している5227品目のうち85%にあたる4459品目の関税が今後廃止または削減される。
対印輸出品目1位の自動車部品は、現行の12.5%から1〜5%に引き下げる。これにより、イ
ンドでシェア2位の現代自動車の市場競争力はさらに向上するとみられる。
韓国産の冷蔵庫、カラー テレビは8年内に50%削減される。
現代自動車のインドの国内市場でのシェアは16%。
インド国内でシェア第1位の日本のスズキのシェアは45%。
インドから韓国への輸入は品目数ベースで93%、輸入額ベースで90%の関税が即刻または段階的に撤廃あるいは削減される。
ナフサ、鉄鉱石など原資材は関税が廃止される。
付記
2010年1月から、 インドから輸入するナフサ、ベンゼン、赤鉄鉱など、品目数基準で60.6%となる6824品目、輸入額基準で63.0%となる12億4800万ド ルの関税が即時撤廃された。
農水産品については、コメ、牛肉、冷凍太刀魚、冷凍ワタリガニなど一部敏感な品目は今回の交渉対象から除外し、CEPA発効後も現行の関税率が維持される。
また、コンピューター
専門家・英語補助教師・エンジニア・経営コンサルタントなど163の専門職種における人材移動を相互開放することで合意した。
インドで学士の学位を取得し、専門分野で一定期間の経験を積んだインドの人材が韓国企業に就職すれば、就労ビザ取得への門戸が開かれる。
コンピューター専門家や英語補助教師などインドが競争力を持つIT人材の韓国への進出が拡大する可能性がある。
インドは商品市場では競争力が劣るため、FTA交渉開始当初から人材市場の開放を強く要求していた。
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韓国外交通商部は他のBRICs諸国との自由貿易協定について、以下の通り述べている。
・中国は産学官共同研究の大詰めの段階に来ている。
・ブラジルは南米共同市場4カ国(Mercosur:ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)と共同研究に取り組んでいるため、少し時間がかかっている。
・ロシアは、世界貿易機関(WTO)加入に向けた最後の段階に来ているため、その後に話し合う予定。
韓界各国・地域との自由貿易協定(FTA)締結を積極的に推進中で、米国やEUともすでに合意している。(いずれも未発効)国は世
2007/4/4 米韓FTA妥結
2009/7/14 韓国・EU、FTA最終合意
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