プーチン大統領は3月31日、「非友好国」の企業に対し、ロシア産天然ガスの購入に自国通貨ルーブルの支払いを義務付ける大統領令に署名した。
付記
ロシアのペスコフ大統領報道官は4月3日、天然ガス以外の輸出品についても、自国通貨ルーブルでの支払いを日本や米国、欧州などの輸入国に求めるとの見通しを示した。
ブログ 化学業界の話題 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp/
40年前の1982年4月1日に塩ビの共販会社の第1号として、第一塩ビ販売が営業を開始した。
1983年5月24日に産構法(特定産業構造改善臨時措置法)が1988年6月30日を期限とする時限立法として施行された。目玉は設備処理とポリオレフィンの共販会社である。
しかし、塩ビ業界はこれに先立ち、共販会社を設立していた。石油化学の産構法の先駆けとなるものである。
塩ビの共販会社は業界の自主的な動きとして、公取委の承認を得て設立され、ポリオレフィンの共販会社は産構法に基づき設立された。
ちょうど10年前に本ブログは「塩ビ共販誕生から30年」を、その1年後に「産構法30年」(5回連載)を書いた。
塩ビ共販会社と産構法の背景、内容については下記をご覧ください。
2012/4/3 塩ビ共販誕生から30年
2013/3/28 産構法30年
産構法前後の石油化学業界の動きの詳細については日本の石油化学最近40年史参照
ここでは、産構法と共販会社の意義について述べる。
高杉良の「局長罷免 小説通産省」には、産構法の立法に辣腕を振るった 通産省の内藤正久基礎化学品課長について、以下の通り書かれている。
石油化学工業の中核部門であるエチレンセンター13社の社長で編成された石油化学産業調査団が欧米に派遣されたのは、ランブイエ・サミットの7年後である。
同調査団は、欧州の石油化学事情を調査することを目的としていたが、これはあくまでおもて向きで、不況の脱出策を協議することが本来の狙いであった。
利害対立が激しく、メーカー間の相互信頼関係が著しく損なわれていた中で、斎藤(内藤正久基礎化学品課長)は各社首脳を精力的に訪問し、調査団の必要性について説いた。斎藤の水際立った根回しの見事さを青山(架空の通産省職員)はすぐ近くでつぶさに見ていたのである。
住之江化学の堤武夫社長(住友化学 土方武社長)を団長とする大型ミッションが最初の訪問地フランクフルトに向けて成田空港を発ったのは昭和57年10月2日のことだ。一行は随員を含めて総勢20名、副団長は光陵油化の吉岡正雄社長(三菱油化 吉田正樹社長)と昭栄化学の西本康之社長(昭和電工 岸本泰延社長)。通産省から斎藤ほか2名が参加した。
斎藤の存在なくして調査団はあり得なかったし、その後の石油化学工業の再生、収益改善など望むべくもなかった、といま青山は確信をもって断言できる。
一行は2週間にわたってフランクフルト、ブラッセル、パリ、ロンドンなどを回り、西独BASF社、オランダDSM社、CEFIC(欧州化学工業連盟)、EC委員会、フランス政府工業省、英BPケミカルズ、ICI社などの首脳と意見を交換する一方、円卓会議を頻繁に開催し、不況対策について話し合った。
調査団の帰国後、各社の首脳間に相互信頼感が芽生え、過剰エチレン設備等の廃棄、ポリエチレン、ポリプロピレンなどポリオレフィンの共同販売会社の設立など抜本的な構造改善対策が次々に打ち出され、構造不況に陥っていた石油化学工業は急速に立ち直ってゆく。
当時、苦境に陥りながらも、エチレン設備の廃棄にはほとんどが反対し(最終的に「休止」を認めた)、出光石化の場合は新設備を着工しようとしていた(最終的に着工を1年半延期)。業界での自主的な設備カルテルは無理であった。産構法での設備カルテルも内藤課長の努力なしでは出来なかったかも分からない。
また文末に記したが、「産構法精神」は1995年頃まで続き、業界の安定に役立った。
しかし、産構法により、「構造不況に陥っていた石油化学工業は急速に立ち直った」というの は正しくない。
塩ビをみると、産構法で24%の設備処理を1985年3月末を期限に実施した。
下図のとおり、1986年に能力が減り、1987年には需給ギャップはなくなった。これは産構法の効果である。
しかし、その後、需要は急増し、各社は能力を増やしている。
需要増は産構法によるものではなく、原油価格の急落によるものである。一時60,000円/klまであがったナフサ価格は、一気に15,000円/klまで下がった。
これにより需要は急増した。
通産省は、業界の経営状況が安定し今後環境の激変がない限り構造不況に陥ることはないとの判断から、期限(1988年6月30日)に先立ち、1987年9月16日にエチレンについて産構法の特定産業指定を取り消し、同時にポリオレフィンと塩ビ樹脂製造業の指示カルテルも取り消した。
石油化学工業が立ち直ったのは、原油価格の下落によるものである。
上の「PVC能力&需要推移」グラフにみられるように、他の石化製品も同様だが、需要の伸びを受け、各製品は能力を増強(休止設備の再稼働、新設備の建設)を行なった。
そして1990年以降の需要の減で再び、需給ギャップが広がり、各社は苦しむことになった。
最終的に、事業統合を経て、2000年頃から「選択と集中」により、事業撤退が相次ぎ、少なくともメーカー数は減ることになる。
産構法は正式には特定産業構造改善臨時措置法であるが、「多数企業の小規模設備の乱立」という石油化学の「産業構造の改善」を目指したものではない。
実は、これを目指したものがあった。1961年の特振法:特定産業振興臨時措置法案である。貿易自由化や資本自由化という外資参入の危機感から、通商産業省企業局長・佐橋滋が立案し、同局第一課長・両角良彦らと共に推し進めた国内産業向けの合理化構想の法案である。
主要産業を2〜3社に集約して競争力を持たそうというもので、実現していたら今のホンダはなかったといわれている。
反対が強く、審議もされずに廃案となった。
城山三郎が小説「官僚たちの夏」でこれを書いている。(佐橋滋:風越信吾、両角良彦:牧順三)
政府による産業構造の改善などは、現在の中国などを別として、もともと無理である。
産構法は単に既存のメーカーの設備をそれぞれ一時的に削減するもので、「産業構造の改善」を目指したものではない。
この時代に、各社は赤字に苦しんだが、それでも石油化学から撤退したのは日産化学だけである。
同社は1988年に石化からの撤退を決めた。
塩ビについては東洋曹達とのJVの「千葉ポリマー」を解散し、設備を東洋曹達(四日市)に移管した。HDPEについては、日産丸善ポリエチレン から撤退した。
「設備処理」は、ごく短期間の官製の設備カルテルである。
「共販会社」はどうであろうか。
実は、塩ビとポリオレフィンの共販会社は、その言葉から一般に考えられるもの(下図のように各社の製品を共同で販売する)とは異なる。
実態は下図のように、共同販売事務所会社である。 表面上は、共販会社の各営業部であるが、実態は各社の営業部隊が一つの事務所に同居しているというものである。
下図のように、A社からの出向社員は、共販会社の各営業部の社員だが、元々のA社の需要家のみにA社の製品のみを販売する。
売上高も費用(出向社員の労務費、旅費、交際費等々)もすべてA社に帰属する。
事務所費用や管理部の費用などは売上高比率で負担する。
対外的には、各社を統合した共販会社であることを示すため、統一のブランド(例えば 新第一塩ビは「ダイイチPVC」)を使用した。
しかし、同一事務所で隣り合って勤務するため、値引きによる拡販などはやれない。値上げの場合、一つの会社であるので同一共販内での値上げ協議、決定は独禁法に関係ない。
全体としても
アウトサイダーはおらず、全体で4社(共販)しかないので、同一歩調を取りやすい。
その意味で、共販体制は販売カルテルであると言える。
各共販会社は、生産の受委託による流通合理化などは進めた。
そのなかで、第一塩ビ販売は、各社の技術を出し合って技術改良や共同研究を行い、それまでになかった内部ジャケット重合層技術を開発、共同でプラントを建設している。
産構法体制は実体は官製の設備カルテル、販売カルテルである。
産構法の終了後、需要が減少すればまた、昔の繰り返しになることが懸念された。(実際、そうなった。)
しかし、産構法が終了した後、再度カルテルに戻ることは認められない。このため、今後とも産構法の精神を維持しようとして、2つの対応が取られた。
@設備投資の「デクレア方式」(事前報告制度)
産構法終了により今後は設備カルテルは認められなくなったが、新増設の乱立をおさえるため、新増設に当たっては事前に通産省に報告し公表する制度がつくられた。
具体的には
・3万トン/年以上の新増設は着工の6ヵ月前、
・3万トン/年以上の設備を改造する場合は着工の3ヵ月前、
・休止設備を再開する場合は稼働開始の3ヵ月前に通産省に報告して公表する。実際には通産省が業界の意向を尊重し、業界の反対の強いものについては「事前報告」を受け付けないという例もあった。
A共販制度の維持
公取委は産構法の終了をもって共販会社も解散すべきだと強く主張した。米国の市場開放要請の中に共販制度も参入障害とする指摘があったことも、これを後押しした。しかし業界では共販制度が価格競争を防ぐ重要な手段として継続を主張、きっかけが産構法であったとしても(塩ビ共販はそれ以前)、商法上誕生した株式会社であり、生産・流通・販売の合理化のためにも必要とした。
最終的に公取委は、他の共販メンバーとの提携をしないこと、生産・流通・販売の合理化の進展状況を毎年報告することを求めた。
この時期、設備の増強に当たっては単独では大規模設備の増設は難しいことから共同生産方式が取られたが、上記の制約により、共販メンバー同士の合弁による共同生産が行われた。更に共販会社としての行動であることを示すために、合弁生産会社に一部共販会社が出資するという形態を取った。
共販制度は1995年まで続いた。1982年の第一塩ビ販売のスタートから13年も続いたことになる。
産構法終了時に公取委は共販会社について、他の共販メンバーとの提携をしないという条件を付けていたが、これに基づき、1995〜96年にすべて解散した。
1995年6月に新第一塩ビがスタートした。第一塩ビ販売が解散し、日本ゼオン、住友化学、徳山曹達が新会社を設立、呉羽化学は単独企業に戻った。共販制度が崩れた。
1996年4月に大洋塩ビが営業開始した。共同塩ビ販売の東ソーと、日本塩ビ販売の三井東圧と電気化学の3社合弁であり、両共販会社は1995年末に解散した。
1996年4月の三菱化学(中央塩ビ販売)と東亞合成(日本塩ビ販売)の提携発表を機に残る中央塩ビ販売も1996年7月末に解散し、塩ビ共販はすべて解散した。
ポリオレフィン共販では、三菱化学誕生で1994年9月にダイヤポリマーが解散した。
エースポリマーの昭和電工と三井日石ポリマーの日本石油化学が1995年10月に日本ポリオレフィンの営業を開始した。三井石油化学(三井日石ポリマー)と宇部興産(ユニオンポリマー)が両社のPP事業を統合して1995年10月からグランドポリマーの営業を開始した。
エースポリマーは1995年6月、三井日石ポリマーとユニオンポリマーは9月に解散した。
原油市場が高止まりするなか、産油国に対する増産要請が高まっているが、OPECプラスは3月31日の会合で5月も大幅増産を見送った。
付記 OPECプラスは5月5日、6月も43.2万バレルの減産縮小にとどめた。
G7は3月24日の首脳声明でOPECに対し、一層の増産を求めたが、OPECプラスは会合後に出した声明で、現在の価格変動の大きさは「市場のファンダメンタルズ(基礎的条件)が引き起こしたものではなく、地政学的な要因によるものだ」との考えを表明した。
OPECプラスは2021年7月18日の閣僚協議で、協調減産を8月から毎月日量40万バレルずつ縮小すると決めた。減産縮小は2021年7月の約580万バレルの減産が解消するまで続け、「22年9月末までに生産調整を終了するよう努める」とした。
今回もこの姿勢を崩していない。減産を少しだけ縮小するだけで、未だに減産しており、大幅増産による価格引き下げは全く考えていない。
5月については43.2万バレルの減産縮小を行なった。40万バレルでないのは、メンバー5カ国についてベースの基準生産量を変更したためである。
サウジとロシア:10.549 million bpd、UAE:3.04 million bpd、Kuwait:2.694 million bpd、Iraq:4.461 million bpd.
原油価格は年初は$76/bbl であったが、連日値上がりし、3月1日に$100を超え、3月7日には一時$130を超えた。現在も$100程度を維持している。
しかし、OPECプラスは増産を見送っている。
一つにはロシアがサウジと並んでOPECプラスの中心メンバーであり、OPECメンバーとしてはロシアとの協調関係を崩したくないためである。
記者会見で「OPECプラスからロシアを排除するべきではないか」との問いに、サウジのエネルギー相は「我々は政治を協議の部屋には持ち込まない」と答えた。
それよりも大きな理由は脱炭素の動きである。将来、石油離脱が起こるのは予定されており、需要が減れば価格が下がるのは当然のことである。そのため、産油国としては 売れるうちに高値で売り、今のうちに財政再建、健全化を図ろうとしている。
当面はこの価格水準のままで推移すると思われる。
ーーー
バイデン米大統領は3月31日、高止まりしているガソリン価格の抑制を狙い、今後6カ月間にわたって戦略石油備蓄を1日当たり平均100万バレル追加で放出すると発表した。計1億8000万バレルに相当する。
米国以外の放出規模が「3000万〜5000万バレルになるだろう」と述べた。
バイデン米政権は2021年11月23日、日本や中国、インド、韓国、英国と協調して、今後数カ月かけて戦略石油備蓄を5000万バレル放出すると発表した
日本政府はバイデン政権の要請を受けて石油の国家備蓄の一部を放出する方針を決めた。その量は420万バレル(67万kl)と報じられた。
日本の石油の備蓄放出としては、2011年6月にリビア情勢の悪化を受けて民間備蓄から出したのが最後で、国家備蓄からの放出は初めてとなる。
付記 過去の民間備蓄放出
1979年 第二次オイルショック
1991 湾岸戦争
2005 米国ハリケーン
2011 東日本震災、リビア情勢
2021/11/25 石油国家備蓄、各国が放出
国際エネルギー機関(IEA)は2022年3月1日、日米などの加盟国が備蓄している石油を計6000万バレル協調放出すると発表した。
米国は3000万バレルを放出、日本はこれに次ぐ750万バレルを放出する。民間の石油会社に義務づける備蓄量を国内需要の70日分から66日分に4日分引き下げた。
付記
IEAは4月6日、合計6000万バレルの石油備蓄を追加で放出することを決めた。期間は不明だが、半年間なら日量30万バレル台の供給となる。
米国の計1億8000万バレルの独自放出も含めると総計2億4000万バレルになる。
ロシアのプーチン大統領は3月23日、非友好的と指定した国がロシアから天然ガスを購入する際には通貨ルーブルでの支払いしか認めない方針を示した。
関係閣僚とのオンラインの会議で西側の各国がロシアの外貨準備を凍結したことを批判し「このような状況でドルやユーロなどの外貨でわれわれの商品の支払いを受ける意味はない」と述べた。
2022/3/26 プーチン大統領、ロシアの天然ガス購入をルーブル支払いに
プーチン大統領は3月31日、「非友好国」の企業に対し、ロシア産天然ガスの購入に自国通貨ルーブルの支払いを義務付ける大統領令に署名した。
付記
ロシアのペスコフ大統領報道官は4月3日、天然ガス以外の輸出品についても、自国通貨ルーブルでの支払いを日本や米国、欧州などの輸入国に求めるとの見通しを示した。
テレビ演説で、「天然ガスを購入するには、外国企業はロシアの銀行にルーブル建ての口座を開かなければならない。天然ガスの代金はこの口座を通して払われる」と述べた。その上で、「支払いがなければ、買い手の不履行とみなす。慈善事業を行うつもりはなく、既存契約は止まる」と主張した。
大統領令によると、当面対象となるのは、ロシア国営Gazpromのパイプラインを通じた「気体状」の天然ガス。日本が輸入する「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)は対象外とみられる。
日本はLNGの輸入の約8%をロシアに頼っている。ほとんどがサハリン2のLNGだが、岸田首相は3月31日の衆院本会議で、サハリン2(とサハリン1)について撤退はしない方針を表明した 。
シェルはサハリン2から撤退を表明しているが、首相は「自国で権益を有し、長期かつ安価なLNGの安定供給に貢献しており、エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクトだ」と強調した。
萩生田経済産業相は同日の閣議後会見で、サハリン1、2に加え、ロシア北極圏のLNG事業「アークティックLNG2」からも撤退しない方針を示した。
付記 日本政府は上記の通り、撤退しないとしている。
しかし、ロシア紙が6月16日、米石油サービス大手Baker Hughes が「サハリン2」や「アークティックLNG2」など日本が権益を持つ液化天然ガス(LNG)開発事業への設備や技術者の提供を中止する方針だと報じた。ノバテクが主導して建設中のアーク2にガスタービンを提供する契約を破棄、サハリン2などに派遣している技術者も引き揚げる。専門家によるとタービンは他社製品での代替が容易でなく、ロシアでの代替品生産には2〜3年かかるという。
日本側は事業の継続を表明しているが、事実上、継続が困難になる可能性もある。
欧州などの取引企業がガスを買う場合、国営ガス会社Gazprom傘下のGazprombank
にユーロなどの外貨建てとルーブル建ての両方の決済口座を開設する必要がある。Gazprom
は4月1日、需要家に指示した。
Gazprombankは口座に振り込まれた外貨を市場で売却し、ルーブルを買い入れる。その後、同行が取引企業の口座からルーブル建てで代金をGazpromに送金する仕組みをつくる。
欧州連合(EU)は3月2日、ロシアへの追加の経済制裁として同国2位のVTBバンクなど大手7行を国際的な資金決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除することで合意した。
しかし、ロシア最大手のSberbank PJSCと、ガス大手Gazpromが出資するGazprombank は含まれていない。日本も同様である。
これらを除外すれば石油、天然ガスなどの取引が出来なくなり、欧州経済への影響が大きいことを判断したとみられる。米国もGazprombankについては新規借り入れを禁止するということに止まっている。
2022/3/4 EU、ロシア7銀行をSWIFTから排除
西側諸国がウクライナ侵攻で制裁に踏み切ったことへの事実上の報復措置で、
ロシアからガスを購入している欧州各国は「契約には決済通貨を定めた条項がある」と反発している。
G7は3月28日に開いたエネルギー相会合で、ルーブル払いの拒否で一致、ドイツのショルツ首相は、プーチン氏に今後もユーロなどで支払いを続ける意向を伝えたという。
付記 ハンガリーのオルバン首相は4月6日、ロシアから輸入する天然ガスの取引代金について、ロシアの通貨ルーブルで支払う方針を明らかにした。
EUはガス消費量の約4割をロシアからの輸入に依存している。
今回の新たな仕組み(各国はユーロで支払い、Gazprombank がルーブルに交換してGazpromに支払う)は、事実上、外貨での支払いを容認しているとの見方もある。
なお、ロシアの大統領報道官は4月1日、「支払いがなかったとしても、すぐにガス供給を停止するわけではない」と述べた。 4月1日以降の供給分の支払いは4月下旬か5月上旬が期日だと指摘し、その後に判断する考えを示した。
プーチン大統領はルーブル払いの義務化は「金融・経済主権を強化するための重要なステップ」としており、ガス代金を通じてルーブル買いを増やすことで、ウクライナ侵攻後に下落したルーブルの信認を回復させたいという思惑がある。経済制裁で海外に保有する外貨が凍結されているため、外貨を確実に国内に集める狙いもあるとみられる。
ルーブルの対米ドル相場は3月初めのロシア大手7行のSWIFT除外で急落していたが、その後、戻し、4月1日には一時2月23日以来の高値となる 1ドル=80.3325ルーブルまで上昇した。
2022/4/5 Bain Capital が東芝の買収を検討
米投資ファンドのBain Capitalが東芝の買収を検討しており、株式の非公開化を前提にした提案の策定を進めていることが判明した。
2021/4/14 英投資ファンド、東芝に買収提案
今回、東芝の筆頭株主で旧村上ファンド出身者がシンガポールで設立した Effissimo Capital Managementは、Bain Capitalが東芝株を公開買い付け(TOB)した場合、保有株をすべて応募する方針であることが、Effissimoが3月31日に関東財務局へ提出した変更報告書で明らかになった。Effissimoは3月24日付で東芝株を9.90%保有している。
記載内容は下記の通り。
提出者は、Bain Capital Private Equity, LPに対し、2022年3月24日付確認書において、大要、以下のとおり確認している。
(1)関係当局の許認可が取得できる等の一定の前提条件の下で、Bain Capital又はその関係会社がその投資助言を行う投資ファンドが保有するエンティティが、発行者の普通株式を対象とする公開買付けを開始した場合、提出者の保有する発行者の普通株式の全てを応募させること
(2)本公開買付け又はその成立と競合、矛盾若しくは抵触し、又はそのおそれのある一切の行為を行わないこと
EffissimoがBain に対し上記の約束をしたということは、Bainの買収提案額を聞かされており、その額が同社にとって有利であると判断したからであろう。また、(2)については、それ以上の条件を出すところはないとの想定をしていると思われる。
そうであれば、早期の高値での売り抜けを狙う他の多くの投資家も賛成すると思われる。
Bainは「現時点で何ら決定した事実はない」とコメント。東芝の非公開化は解決すべき課題が多いとした上で、経営陣や日本政府、金融機関など利害関係者と慎重に対話を重ねる必要があるとした。
東芝の臨時株主総会でグループ全体を2分割する案が否決されたが、非公開化については改正外為法や各国の競争法など、実現には課題が多い。
原子力事業を持つ東芝は2020年に施行した改正外為法で重点審査の対象となっており、財務省と経済産業省が事前審査することになる。
東芝はWestinghouseからは撤退したが、東芝エネルギーシステムズに原子力事業部を持ち、原子力プラントの建設・メンテナンス・再稼動対応から福島第一原発の廃炉対応、廃止措置対応、燃料サイクル、 さらには次世代炉や高速炉などの未来に向けたエネルギー開発など、幅広い事業領域に積極的に取組んでいる。
東北電力の女川・東通、東電の福島・柏崎刈羽、中部電力の浜岡原発は主に東芝が担当している。
半導体や防衛関連の技術もあり、安全保障の観点から技術流出の恐れも懸念される。
ーーー
東芝は2017年9月28日、東芝メモリの株式譲渡契約を締結したと発表したが、売却先はBain Capitalがこの目的のために設立し、参加各社が出資する Pangeaで、譲渡価額は2兆円であった。
Bain Capital は2120億円を出資、うち議決権付き株式は1,361億円で49.9%を占める。(残りの40.2%は東芝、9.9%はHOYA)
今回、本体の東芝の買収を検討している。
2017/9/30 東芝メモリの株式譲渡契約締結
2022/4/6 戦略物資・エネルギーサプライチェーン緊急対策
経済産業省はロシア・ウクライナ情勢を踏まえ、3月18日に「戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部」を設置した。
対策を講じる必要のある物資として次を挙げた。
・石油、LNG、 石炭(一般炭・原料炭)
・半導体製造プロセス用ガス
・パラジウム(触媒用途等)
・合金鉄(ステンレス・鉄鋼製造用)
経済産業省は3月31日、初会合を開き、ロシアのウクライナ侵攻の影響で調達難が懸念される重要物資7品目の安定供給策をまとめた。
https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220331013/20220331013-1.pdf
各製品の依存度と対策は次の通りで、いずれの製品も抜本的な対策は見当たらない。
1-1 石油
対策:
OPEC中心に増産の働きかけ
主要消費国との連携
使用量低減対策
JOGMEC等の開発支援
1-2 LNG
対策:
産ガス国への働きかけ
JOGMEC等の開発支援
需給状況の常時把握
緊急対応策
Carbon Neutral燃料への転換支援
1-3 石炭
対策:
石炭使用量低減対策
産炭国への働きかけ
2.半導体製造用ガス:ネオン、クリプトン、キセノン
製鉄所等に酸素、窒素を供給する大型空気分離装置から副生
別情報では、ウクライナがネオンの70%、 クリプトンの40%、キセノンの30%を占める。
2022/3/22 ウクライナ問題、半導体生産に影響
対策:
供給源の多元化
リサイクル装置導入に向けた政策支援
素材メーカーによる製造設備投資に向けた支援
日米を中心とした同盟国・有志国間でのサプライチェーン協力枠組み
3. パラジウム 自動車用排ガス触媒、歯科用銀歯、電子機器メッキ用
2022/3/24 ロシアのウクライナ侵攻でパラジウム危機、自動車業界に大きな影響
対策:増産要請、リサイクル拡大
省パラジウム技術開発
JOGMECによる鉱山開発(南ア)支援
4. 合金鉄 鉄鋼生産に不可欠の添加剤で、鉄の耐熱性や耐食性を向上させる。
対策:
国内外の製造業者に増産要請
JOGMECが日系企業とともに鉱山開発、精錬に出資計画
コスモエネルギーHDの実質的な筆頭株主に村上世彰氏が率いる投資会社シティインデックスイレブンスがなったことが、同社が4月5日に関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになった。
シティインデックスは3月29日までに株式市場で約438万株(発行済み株式の5.14%)を取得した。村上氏の長女、野村絢氏も新株予約権付社債(転換社債=CB)を約57万株分取得、合計で5.81%となる。
「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」を目的としている。
同社株6.49%を保有する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に次ぐ株主となった。
コスモの筆頭株主は、アラブ首長国連邦(UAE) のアブダビ政府のファンドの Infinity Alliance Limited で、20.76%を保有していたが、同ファンドが非化石燃料の産業に投資を振り向ける方針に転換、2021年8月10日に株式の一部を売却、出資比率は15.70%となった。
コスモは本年3月9日、Infinity Alliance Limited が持分 15.70%を全て売却すると発表した。コスモはInfinity Alliance がこの株式全てを海外市場で売却することを承認した。
2022/3/12 UAE、コスモの全持ち株を売却
シティインデックスはInfinity Allianceが放出した株を市場で買い集めたとみられる。
シティインデックスは別途、富士石油の株を順次買い増ししており、2021年12月には8.99%を所有している。 投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこととしている。
富士石油は、旧富士石油とアラビア石油の共同持株会社「AOCホールディングス」が旧富士石油を吸収合併し、改称したもの。
富士石油の大株主は2021年3月末時点では次のとおりとなっている。
JERA(東京電力/中部電力) 8.85% Kuwait 石油公社 7.52% Saudi 政府 7.52% 出光興産 6.66% 住友化学 6.54%
2018/7/11 出光と昭和シェル、来年4月に統合
村上氏にはコスモHDの株式を大量に保有することで石油元売りの再編を主導したい狙いがあるのではとされている。
日本の石油精製の状況は下図のとおり。各社の精製能力の内訳
残る再編はコスモと富士の合併か?
2022/4/8 東芝、2分割案の検討中断、非公開化も検討 エレベーター事業等の売却を再検討
東芝は4月7日、取締役会を開き、社外取締役で構成する特別委員会を設置し、株式非公開化を含む戦略的選択肢を検討することを決めた。買収を検討する投資家との交渉にも関与し、最良の非公開案を特定するという。
既報の通り、米投資ファンドのBain Capitalが東芝の買収を検討しており、株式の非公開化を前提にした提案の策定を進めている ことが判明している。
2022/4/5 Bain Capital が東芝の買収を検討
2分割案を主導してきた戦略委員会は解散、2分割案を前提としていたエレベーター事業等の売却手続きも中断する。
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東芝は2021年11月12日、事業をスピンオフし、3つの独立会社とする方針を決定した。
インフラサービス Co. とデバイス Co. をスピンオフし、残る東芝は事業は営まず、キオクシアと東芝テックの株式を保有するというものであった。
しかし、「モノ言う株主」から3分割案に反対意見が出るなか、2022年2月7日に「会社を3つに分割する」という方針を一転して見直し、半導体などのデバイス事業だけを分離して2分割とすると発表した。
これに合わせ、キオクシアに対し、できるだけ早期のIPOを正式に要請するとともに、当初の「インフラサービスCo.」のうち、ビルソルーション(東芝エレベータ、東芝ライテック、東芝キヤリア)、及び当初の「東芝本体」の東芝テックは、注力事業との関係性が弱く、「非注力事業」とした。
ビル3社については、成長ポテンシャルを実現できるパートナーとの再編や外部資本の導入によって価値を顕在化すべきと判断した。
東芝テックについては、同社自身の中長期の成長プランを促進すべく、実務上可能な限り短期のうちに同社と協働する とした。
2022/2/8 東芝 「3分割」を「2分割」に見直し
しかし、3月24日の東芝の臨時株主総会で会社を2分割にするという会社提案は反対多数で否決された。
2022/3/25 東芝株主総会、2分割案を否決
「2分割案」でビルソルーション3社と東芝テックを「非注力事業」とし、早期の売却対象としたのは、実は、物言う株主(アクティビスト)を満足させようと編み出された側面が強かった。
東芝の大株主は、東芝経営陣が分割案にこだわる場合の条件として複数の事業売却によって株主還元の原資を捻出するよう求めていた という。
今回、2分割案そのものが否定され、そのための条件であった売却益の計上は不要になったため、売却交渉は一旦白紙に戻し、改めてこれらの事業をどうするかを協議する。
なお、空調子会社の東芝キヤリアについて、既に売却契約を締結しており、戻せない。
JV相手の米空調大手Carrier Corporation に保有する株式60%のうち55%を2月7日に譲渡し、保有比率は5%になった。売却額は約1,000億円。
東芝は1998年に世界最大の空調設備機器メーカーである米国Carrier Corporation との間で、 空調設備機器分野におけるグローバルな戦略的事業提携を行ない、1999年4月に東芝60%、米社40%出資で日本に東芝キャリアを設立した。
Carrier CorporationはUnited Technologies Corporationの空調設備事業部門会社で、 世界最大の空調設備機器メーカーとして、大型空調設備機器やコールドチェーン製品等を主製品とする。
東芝は小型エアコンや業務用マルチエアコン等を空調設備機器の主製品としていた。
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ビルソルーション(東芝エレベータ、東芝ライテック、東芝キヤリア)のうち、東芝エレベーターについては、多くの企業が関心を寄せているとされる。
売却額は約40億ドルになる可能性もあるとされる。東芝は初期段階の検討をしているところで、正式な売却手続きも開始していないが、2023年3月までに最終合意を目標としていた。
買収に関心を示している企業として、下記の名前が挙がっている。
米Otis Elevator:世界最大のエレベーター会社
中国の美的集団(Media Group):2016年6月末に東芝の白物家電事業を買収
フィンランドのKone Nederland :東芝エレベータの株式19.9%を保有する (他に同社のオーナーのHerlin家が0.10%保有しており、合計で20%出資する。)
ドイツのTK Elevator:ドイツのThyssenKrupp AGが2020年にAdvent Internationalと英投資会社Cinven、独RAG財団などの連合に売却
このうち、Koneは東芝エレベーターに20%出資しているうえ、相互部品供給、共同調達、共同開発を実施しており、他社よりも優位に立つ可能性がある。
東芝ライテックは照明器具・管球および電気設備資材を製造しており、東芝テックはPOSシステム、オーダーエントリーシステム 、デジタル複合機、レジスター、自動認識装置(バーコード、RFIDシステム)等を扱っている。
2022/4/9 米上院、ジャクソン判事の最高裁判事就任を承認
米上院は4月7日、バイデン大統領が連邦最高裁判事に指名したKetanji Brown Jackson(51歳)の就任を賛成53、反対47で承認した。
白人以外では4人目の、黒人女性として初の、最高裁判事になる。女性としては6人目で、現役女性が4人となる。
バイデン大統領は1月27日、米最高裁のStephen
Breyer 判事(83歳)の引退を発表、2月25日に後任として、首都ワシントンの連邦高裁判事のKetanji Brown Jackson(51歳) を指名した。
2022/3/1 米最高裁判事に黒人女性を指名
付記 Jackson判事は6月30日就任
最高裁判事の承認については、上院司法委員会で聴聞会を経て上院への人事案送付を議決し、上院本会議で採決する。
上院司法委員会が民主、共和両党議席が11対11、上院本会議は50対50で拮抗している。
司法委員会は4月4日に採決したが、党派に沿い、賛成11、反対11であった。
司法委の議決が同数の場合は、上院運営規則で本会議が決定を代行することができるが、その本会議も民主、共和議席が同数である。
仮に本会議も50対50の場合、上院議長として副大統領が投票できるかどうかが問題となる。上院の「助言と承認」に関しては副大統領に投票の権限がないという説があるが、これまでにこの事態は発生していない。
今回の採決では共和党からMitt Romney議員など3議員が賛成に回り、民主党の票と合わせて賛成票が過半数を超えた。
共和党 | 民主党 |
民主系 無所属 |
合計 | |
賛成 | 3 | 48 | 2 | 53 |
反対 | 47 | 47 | ||
合計 | 50 | 48 | 2 | 100 |
最高裁判事の上院での承認については、下記の経緯により過半数で行われる。
2013年にオバマ大統領が指名した公職者承認案のほとんどを共和党がフィリバスターで妨害した。
このため、民主党は2013年11月21日、手続き票決の可決定足数を60票から51票に引き下げる法案(「核オプション」)を賛成52票、反対48票の僅差で成立させた。
但しこの時点では、最高裁判事は終身制で影響力が大きいことなどから、最高裁判事の承認は規則変更の対象外とし、60議席の条件を維持した。
米上院本会議は2017年4月7日、トランプ大統領が保守派のNeil Gorsuch 連邦控訴裁判事を最高裁判事に指名した人事を 54 対 45 の賛成多数で承認した。承認は、「核オプション」(nuclear option)と呼ばれる禁じ手を使って行われた。
2017/4/8 米上院、異例の手続きで最高裁判事を承認
Breyer 判事は6月下旬に退任するとみられており、Jackson判事はその後、就任する。最高裁判事の構成は保守派6人、リベラル派3人で変わらない。
性別 | born | 人種背景 |
指名した大統領 |
就任日 | 判断傾向 | |
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Clarence Thomas | 男性 | 1948/6 | アフリカ系 | George H. W. Bush | 1991年10月23日 | 保守 |
John Roberts (Chief) | 男性 | 1955/1 | 白人系 | George W. Bush | 2005年9月29日 | 保守 |
Samuel Alito | 男性 | 1950/4 | イタリア系 | 2006年1月31日 | 保守 | |
Sonia Sotomayor | 女性 | 1954/6 | ヒスパニック系 | Barack Obama | 2009年8月8日 | リベラル |
Elena Kagan | 女性 | 1960/4 | ユダヤ系 | 2010年8月7日 | リベラル | |
Neil Gorsuch | 男性 | 1967/8 | 白人系 | Donald Trump | 2017年4月10日 | 保守 |
Brett Kavanaugh | 男性 | 1965/2 | 白人系 | 2018年10月6日 | 保守 | |
Amy Coney Barrett | 女性 | 1972/1 | 白人系 | 2020年10月26日 | 保守 | |
Stephen Breyer | 男性 | 1938/8 | ユダヤ系 | Bill Clinton | 1994年8月3日 | リベラル |
Ketanji Brown Jackson | 女性 | 1970/9 | アフリカ系 | Joe Biden | 2022年6月30日 | リベラル |
1789年の最高裁設立以来、白人以外の最高裁判事はわずか3人で、今回で4人となる。
1967年 Thurgood Marshall アフリカ系男性
1991年 Clarence
Thomas アフリカ系男性(現役)
2009年 Sonia Sotomayor ヒスパニック系女性(現役)
今回 Ketanji Brown Jackson アフリカ系女性
女性としては6人目で、現役が4名となる。
1人目は1981年指名のSandra Day O'Connor判事、2人目は1993年指名のRuth Bader Ginsburg判事。
米議会は4月7日、ロシアと、侵攻に協力したベラルーシに対し、世界貿易機関(WTO)ルールに基づく「最恵国待遇(MFN)」を取り消す法案と、ロシア産原油の輸入禁止法案を可決した。
米議会下院は3月17日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと、侵攻に協力したベラルーシの製品に高い関税を課す制裁法案(Suspending Normal Trade Relations with Russia and Belarus Act)を賛成多数で可決した。
但し、この法案にはGlobal Human Rights Act の人権条項が折り込まれているのが問題となった。人権侵害の外国人(any foreign person)への制裁で、ロシアとベラルーシ以外の外国人も全て対象となる。
下院では民主党と共和党がことごとく鋭く対立するなかで、両党が賛成したが、共和党議員8人 のみ反対した。
反対した共和党議員8人も、正常貿易関係の断絶には同意するが、法案に含まれた人権関連制裁条項が、大統領に過度な権限を与えるとして反対票を投じた。
Andy Biggs 議員は、大統領がこの条項を「中絶の権利の反対者」を罰することに利用することを懸念すると述べた。
上院では民主党のシューマー院内総務は、ウクライナ政府を支援するため、全会一致での早期可決を呼び掛けたが、人権を巡る条項について、範囲が広すぎるとの懸念が一部の共和党議員の間で浮上し、議決できないでいた。
ロシア産原油の輸入禁止法案についても下院は3月10日に可決しているが、上院はまだ可決していなかった。しかし、バイデン大統領は3月8日に、追加経済制裁としてロシア産の原油やLNG、石炭などの輸入を禁止する大統領令に署名し、即日発効しているため、支障はない。
2022/3/30 米上院、 対ロシア制裁法案の審議遅れ
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今回、ロシアとベラルーシの最恵国待遇を取り消す法案については、Global Magnitsky Human Rights Accountability Actの名で知られる法律で対象となる人権侵害を“ gross human rights violations(重大な人権侵害)”から “serious human rights abuse(深刻な人権侵害)” に修正し、対象となる人権侵害の範囲を狭くすることで折り合いがついた。
法案によると、成立の翌日以降、ロシアとベラルーシからの輸入に対して、米国の品目別関税率表のコラム2に記載の関税率が適用されることになる。
(コラム2とは、米国が正常貿易関係を与えていない国に対する関税率を記したもので、これまではキューバと北朝鮮のみが対象となっていた。)
法案は大統領に対して2024年1月1日まで、コラム2記載の関税率を引き上げる権限を与えている。ロシアの主要な輸出品目の天然資源については、コラム2の関税率が低い場合も多いため、そのままでは制裁の意味をなさないとの認識から加えられた。
ロシア産原油の輸入禁止法案は、既に大統領令で実施されているものを法制化するものである。
上院は両法案について100 対 0 の賛成で通し、下院に再送付した。
下院では前者については420対3、後者については413対9の賛成多数で可決した。
近くバイデン大統領の署名を経て成立する。
2022/4/11 バイオジェンのアルツハイマー薬、米 Medicareが給付対象を大幅制限
米厚生省のCenters
for Medicare &
Medicaid Services(CMS)は4月7日、米Biogenがエーザイと共同開発したアルツハイマー病治療薬ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)のMedicare(高齢者・障害者向け医療保険制度)適用対象について、特定の臨床試験に参加する患者に制限する計画を最終決定した。
これにより、アルツハイマー病患者の大半はADUHELMへのアクセスを事実上阻まれる。これの撤回を働き掛けていたBiogenにとり、今回の最終決定は打撃となった。
ただ、CMSの当局者は、将来の大規模試験で臨床的利点が明確に示され、米食品医薬品局(FDA)から完全な承認を得たアルツハイマー病治療薬については、Medicareの適用対象をより幅広くするとしている。
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米食品医薬品局(FDA)は2021年6月7日、エーザイと Biogenが共同で開発するアルツハイマー型認知症治療薬候補ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について、脳内のアミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬として、迅速承認(accelerated approval)したと発表した。
従来の認知症薬とは異なり、認知機能の低下を長期的に抑制する機能を持つとして世界で初めて承認された。
2021/6/8 エーザイとバイオジェンのアルツハイマー新薬、米で承認
しかし、有効性への疑義などから普及が進んでいない。
米食品医薬品局(FDA)のJanet Woodcock長官代行は2021年7月9日、ADUHELMについてFDAの承認手続きに疑義が生じたとして、米保健福祉省の監査部門に調査を要請したと発表した。
2021/7/12 FDA、アルツハイマー新薬承認手続きにつき調査を要請
Centers for Medicare & Medicaid Servicesは2022年1月11日、ADUHELMや脳内の有害タンパク質、アミロイドを標的とする他のアルツハイマー病治療薬のMedicareの適用を臨床試験に参加している患者に制限する提案を公表した。この決定は暫定的なもので、今後30日間パブリックコメントを募る期間が設けられ、最終決定は4月に下される見込みとされた。
CMSは年間費用が28,200ドルに上るADUHELMを給付対象とする前に、効果に関する追加のエビデンスを求めている。
FDAは2021年6月にベネフィットを確認する追加試験の実施を条件に「迅速承認」制度の下で承認したが、CMS当局者はそのリスクバランスについて異なる見解を示唆し、ランダム化試験の参加者だけに適用を制限するという、最も厳しい基準の1つを採用した。
当局者は、アルツハイマー病患者にとって助けになり得る一方で、副作用をもたらす可能性もあることが徹底的な分析で判明したとし、副作用として考えられる症状には頭痛やめまい、転倒のほか脳出血もあり得るとした。 「われわれの最大の目標は、恩恵が分からない医療介入で生じかねない副作用からメディケア受給者を守ることだ」と述べた。
これを受け、Biogenは「この決定はFDAが承認した治療に対し、特に十分な医療を受けられない患者のアクセスを大きく制限することになる」とコメントした。
今回、CMSはこの案を最終決定した。「現時点で症状改善を示す十分な根拠がない」と理由を説明している。
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エーザイは2022年3月15日、ADUHELMについて、2023年1月以降は共同開発・販売から手を引き、販売額に応じた収入を得る契約に切り替えると発表した。
BiogenはADUHELMに関し、全世界における単独での意思決定権および商業化権を持つ。エーザイは、ADUHELMに関して、ロイヤルティの受領以外に、いかなる経済的権利・義務も有しない。
エーザイは同じく両社で共同開発する次期候補薬BAN2401に経営資源を集中させる。
2022/3/18 エーザイとBiogen、アルツハイマー病治療薬の提携契約を変更
建設現場でのアスベスト(石綿)による健康被害をめぐる神奈川第二陣訴訟で、神奈川県の元労働者ら62人と国の和解が4月8日、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)で成立した。
建設現場でのアスベスト(石綿)対策を国が怠ったため肺がんや中皮腫になったとして、県内の建設労働者と遺族64人が国と建材メーカー43社に16億9700万円余りの損害賠償を求めた「建設アスベスト神奈川第2陣訴訟」で、横浜地裁は2017年10月24日、原告39人に総額3億円を払うよう、国と建材メーカー2社(ニチアス、ノザワ)に命じる判決を言い渡した。
この控訴審で東京高裁は2020年8月28日、一審横浜地裁判決を変更、国と新たにエーアンドエーマテリアルを加えたメーカー3社の賠償責任を認め、原告64人に計約9億6千万円の支払いを命じた。
一審横浜地裁判決が労働関係法令で保護対象となる「労働者」に該当しないとしていた、個人事業主「一人親方」に対する国の賠償責任も新たに認定した。
本件の上告を受け、最高裁第二小法廷は2022年2月9日、メーカーに対する原告側の上告を受理しない決定をした。メーカー3社の上告(下記を除く)も却下した。
これにより、2審・東京高裁判決のうち、ニチアス、エーアンドエーマテリアル、ノザワの3社に約4億9000万円の賠償を命じた判断が確定した。
建物の解体作業に従事するなどした原告5人と、メーカー3社のうちエーアンドエーマテリアルとニチアスから意見を聞く弁論を3月28日に開くと決めた。2審では解体従事者らに対する2社の賠償責任を認めており、結論を見直す可能性がある。
この決定は、建材メーカーの責任割合を高い水準で認めた東京高裁判決を最高裁で確定したことに大きな意味がある。
国と原告間の訴訟は継続するが、最高裁が昨年5月に先行訴訟の判決で国の責任を認めたことを受け、各地で順次和解が成立しており、同様に協議が進む見通しであった。
今回、原告と国の和解が成立したもの。
弁護団によると、2021年5月の最高裁判決に基づき、国と原告側が結んだ基本合意に沿ったもので、国が総額約5億2100万円を支払うなどとするもの。
建物の解体作業に従事するなどした原告5人と、メーカーのエーアンドエーマテリアルとニチアスとの訴訟は、同小法廷で6月3日に判決が言い渡される。
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最高裁判所第1小法廷は、2021年5月17日、建設アスベスト訴訟4事件(神奈川第1陣、東京第1陣、京都第1陣、大阪第1陣)において、国及び建材メーカーらの責任を認める判決を言い渡した。
最高裁第一小法廷が担当する4件のうち、横浜分を除く3件は既に判決が出ているが、いずれも理由なしで原告または被告側の上告を却下し、一部の賠償が確定していた。
また高裁判決の一部については判断をせず、その後に弁論を開き、双方の意見を聴取した。
一人親方への責任、メーカーの責任、屋外作業者への責任で、判断が分かれていた。
今回、4件について最高裁としての判断を下したもので、裁判官5人全員一致の意見である。
(国の責任)
国は石綿の吹き付け作業を禁じた1975年10月1日には、肺がんや中皮腫の危険性を認識していたと指摘した。
建設事業者に労働者への防じんマスク着用を義務付けたり、建材に危険物と表示するようメーカーを指導したりすることを怠ったとし、国が石綿使用を原則禁止した2004年9月30日までの29年間を違法と判断した。
(メーカーの責任)
メーカーが警告表示なしに建材を販売し、元労働者らに石綿を吸わせる結果になった点も違法と認定した。
労働者は複数の現場で作業するため、 「複数の企業が個別にどの程度の影響を与えたかは不明」だが、シェアの高いメーカーの製品は現場に届いた可能性が高いなどとして各社の共同不法行為(民法719条1項後段類推適用)を認め、「各社は連帯して損害賠償責任を負う」とした。
下記のシェア上位企業10社を対象とし、メーカーごとの責任の範囲や賠償額については、高裁で審理することを命じた。
エーアンドエーマテリアル、神島化学工業、日鉄ケミカル&マテリアル、大建工業、太平洋セメント、
ニチアス、日東紡績、日本バルカー工業、ノザワ、エム・エム・ケイ
(救済対象)
労働者のほか、労働法令では労働者とみなされない個人事業主の「一人親方」についても、「労働者と同等に保護されるべきだ」として救済対象に含めた。
一人親方を救済しないことは「合理性を欠き、違法」だと結論付けた。屋内作業者が対象となる。解体工 については国の責任は認めたが、メーカー責任は認めず。
(メーカーの場合、仮に警告表示していたとしても、解体時には警告を認識できないため、被害は回避できない。)
主に屋外で作業していた元労働者への責任は「国やメーカーが危険を認識できたとは言えない」として認めなかった。
屋外作業でのアスベスト濃度について、「規制値を下回っていたとするデータもある」などとして訴えを全面的に退けた。
国 建材メーカー 対象職種 屋内作業者 〇 〇 解体工 〇 X 屋外工 X X
2021/5/19
最高裁、建設アスベスト訴訟で 国と企業の責任認める
これを受け翌5月18日、菅首相は総理官邸で原告団・弁護団と面会して謝罪し、国と建設アスベスト訴訟原告団、建設アスベスト訴訟全国弁護団会議及び建設アスベスト訴訟全国連絡会との間で基本合意書を締結した。
最高裁判決において、労働安全衛生法に基づく規制権限行使が不十分であったことが国家賠償法の適用上違法と判断されたことを厳粛に受け止め、被害者及びその遺族の方々に深くお詫びすとし、以下を取り決めた。
ア 国は、係属中の訴訟について、
@ 「1975年10月1日から2004年9月30日までの間に屋内作業に従事した者」又は「1972年10月1日から1975年9月30日までの間に吹付作業に従事した者」で
A 「石綿関連疾患に罹患した者又はその相続人」に対し
B 民法724条所定の期間制限に抵触していない限り
病気の軽重に応じて一人550万円から最大1300万円の和解金(喫煙等による減額あり)、和解金の10%の弁護士費用、長期間の訴訟対応の負担を考慮した解決金総額30億円を支払う。
イ また未提訴の被害者に対しても、国は一人550万円から最大1300万円を支払うとともに、
ウ 今後石綿被害を発生させないための対策や医療体制の確保、被害者に対する補償について、さらに継続的な協議を行うこと
これ以降、この基本合意書に基づく和解が順次なされている。
2022/4/13 第一三共の抗がん剤に米連邦地裁で陪審が「特許侵害」 の評決
第一三共は4月9日、テキサス州東部地区連邦地方裁判所 の陪審が、同社の抗がん剤 ENHERTU ®(トラスツズマブ デルクステカン)が Seagen Inc.の米国特許No.10,808,039('039 特許)を侵害しているとの評決を下したと発表した。
本剤は、新規の薬物トポイソメラーゼI 阻害剤を、独自のリンカーを介して、HER2発現がん(乳がん、胃がん、非小細胞肺がん及び大腸がんなど)を対象とする抗HER2抗体に結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。
がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高める。
トポイソメラーゼI 阻害剤は、癌細胞のDNAの2重らせん構造のうち1本を切断し、異常な細胞増殖を抑えることでがん細胞を殺す。
第一三共は2019年に抗がん剤でAstraZenecaと戦略的提携すると発表し た。
両社は日本を除く全世界において、本剤の単剤療法及び併用療法を共同で開発し、商業化する。第一三共は本剤の製造及び供給に責任を持つ。
日本を除く全世界での開発・販売等の費用と利益は両社で折半する。
売上計上は、日本、米国、及び第一三共が拠点を有する欧州及びその他地域の複数国では第一三共が、中国、豪州、カナダ、ロシア及びその他地域ではAstraZenecaが行う。
AstraZenekaは第一三共に下記の対価を支払う。
契約一時金 13.5億米ドル 開発マイルストン達成等で 最大 38億米ドル 販売マイルストン達成で 最大 17.5億米ドル 支払総額 最大 69億米ドル
両社は2019年12月23日、ENHERTU®(トラスツズマブ デルクステカン)について、米国食品医薬品局より「転移性の乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能又は転移性乳がん」を適応として販売承認を取得したと発表した。
両社は本年1月28日、米国食品医薬品局より「トラスツズマブを含む前治療を受けたHER2陽性の局所進行または転移性の胃腺がんまたは胃食道接合部腺がん」を適応として販売承認を取得したと発表した。米国で2つ目の承認となる。
第一三共はこのADCについて、抗HER2抗体とリンカー、ペイロード(トポイソメラーゼI 阻害剤)のすべてを自社技術で構築した。
しかし、米国のSeagen Inc(旧称 Seattle Genetics, Inc.)が第一三共のADC技術が、同社の保有する米国「'039 特許」に抵触するとして、2020年10月にテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提訴した。
第一三共は、2008年7月からSeattle Genetics, Inc.と抗体薬物複合体(「ADC」)の共同研究を実施したが、新薬開発の成果がでないとして2015年6月に関係を解消していた。
2019年にSeattle Geneticsから第一三共のADC品に関する特定の知的財産権の帰属を主張して異議の通知をうけた。しかし、ADCの共同研究は現在の第一三共のADC品とは全く異なるため、同社の主張は根拠がないと考えており、デラウェア州連邦地方裁判所に同社を被告として確認訴訟を提起した経緯がある。
これを受け、第一三共は2020年12月に、'039特許 そのものが無効であるとして米国特許商標庁に特許付与後レビュー(Post Grant Review:PGR)の開始を請求 、米国特許商標庁は'039 特許の有効性を審査するため、本年4月7日にPGRの開始を決定した。
今回、陪審員は'039特許の故意侵害があったと認定、陪審審理に至るまでの期間のSeagen社の損害額が41,820千ドルであると判断した。
Seagen社は2024年の’039特許の期間満了までの売上に対するロイヤリティ支払い命令を出すよう、裁判所に求めている。
裁判所は現在のところ、懲罰賠償やロイヤリティ支払いについて判断していない。
第一三共では、今回の陪審評決に承服できないとして、PGRの手続きに加え、陪審評決について陪審審理後の申し立てや控訴を含むあらゆる選択肢を検討するとしている。
Seagen側は別途、第一三共に対し、第一三共が使用する技術の所有権に関し、調停に持ち込んでいるとしている。第一三共の製品のリンカーや他のADC技術がSeagen社のADC技術の改良であり、2008年の両社の提携契約で所有権は自動的にSeagenに帰属するとしている。
但し、第一三共は調停については触れていない。
2022/4/14 BioNTech、アフリカで新型コロナワクチン生産へ
BioNTech SEは2月16日、アフリカでのワクチン供給改善の次の一歩に進んだと発表した。
“BioNTainer”と名付けたコンテナーシステムでのターンキイ方式によるmRNA製造設備を披露した。式典にはセネガル、ガーナ、ルワンダの大統領やWHOのTedros 事務局長などが出席した。
“BioNTainer”システムは、mRNA生産モデュールとワクチン生産モデュールから成るが、それぞれ6つのコンテナーに収まっている。
各コンテナーはISOサイズの2.6m x 2.4m x 12mである。これでワクチンの製剤までを行ない、充填・包装はローカルアパートナーに引き継がれる。
2つのBioNTainerはそれぞれがクリーンルームで、BioNTechの技術が使用されている。
アフリカ諸国の必要とするmRNA-baseワクチンの生産を目標とし、Pfizer-BioNTech のCOVID-19 ワクチンのほか、BioNTech が開発、認可を狙っているマラリアワクチン、結核ワクチンなども対象とする。
Pfizer-BioNTech のCOVID-19 ワクチンの場合、1つのシステムでを年間50百万人分の生産ができる。
アフリカでのこの方式での生産は、セネガル、ルワンダ、南アで計画されており、最初の設備の建設は2022年央に始まる予定。
一方、Modernaも2021年10月にアフリカで年間5億回分のワクチンを生産することを検討していると発表した。5億ドルの投資を考えており、立地の選択をまもなく開始するとしている。