ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は http://blog.knak.jp/
BASFは3月25日、重慶のMDI計画について中国政府の認可を得たと発表した。
BASF単独で実施するもので、約860百万ユーロを投じ、重慶長壽化学工業区にニトロベンゼン
40万トン、アニリン 30万トン、粗MDI 年産40万トンと精製設備、MDI
pre-polymer 20千トン、貯蔵設備、ユーティ を建設する。2014年にスタートの予定。
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BASFはHuntsman 及び中国側とのJVで上海にイソシアネート・コンプレックスを建設、TDI 16万トン、MDI 24万トンを2006年から生産している。
2007年6月、BASFは新しいMDIプラントを重慶に建設することを検討していると発表した。
同社はChongqing
Chemical and Pharmaceutical Holding (Group) Company (重慶化醫集團)及び地方政府との間で協力契約を締結した。
協力契約を締結した重慶化醫集團は2008年8月に、主にこのMDI計画の原料供給のために、子会社で4製品の建設開始の式典を行なった。
・クロルアルカリ 30万トン Tianyuan Chemical (天原化学) ・フォルムアルデヒド 40万トン Changfeng Chemical (長風化学) ・硫酸 40万トン JianfengChemical (建峰化学) ・クロロプレンゴム 4万トン Changshou Chemical (長壽化学)
BASFは2009年1月12日、中国環境保護省から重慶ケミカルパークでのMDI計画の環境承認を取得した。
2008/10/13 BASFの重慶MDI計画,進展か
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BASFのポリウレタンの製造拠点は以下の通り。
MDI | TDI | ||
ベルギー Antwerp | 560,000 t | 2007年に増設 | |
ドイツ Schwarzheide | 70,000 t | ||
米国 Geismar | 260,000 t | 160,000 t | |
韓国 麗川 | 160,000 t | 140,000 t | |
中国 上海 | 240,000 t | Shanghai Lianheng Isocyanate | |
160,000 t | Shanghai BASF Polyurethane |
他に、 | ||||||
|
日本の電源別発電電力量の構成比は以下の通り。(2008年 単位:%)
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原子力発電所は現在、実験炉を含め、合計55基がある。
原発の問題点については 2011/3/29 福島原発事故 参照
* 地図はウイキペディア「商用電源周波数」記載のものに加筆
発電所名 | 電力会社 | 立地 | 能力(万KW) | ||
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稼働中 | 建設中 | 計画 | |||
泊 | 北海道電力 | 北海道古宇郡泊村 | @〜A57.9、B91.2 | ||
東通 | 東北電力 | 青森県下北郡東通村 | @110 | A138.5 | |
東京電力 | ー | @138.5 | A138.5 | ||
女川 | 東北電力 | 宮城県牡鹿郡女川町 | @52.4、A〜B82.5 | ||
福島第一 | 東京電力 | 福島県双葉郡大熊町・双葉町 | @46.0、A〜D78.4、E110 | F〜G138 | |
福島第二 | 東京電力 | 福島県双葉郡富岡町 | @〜C110 | ||
東海第二 | 日本原子力発電 | 茨城県那珂郡東海村 | 110.0 | ||
柏崎刈羽 | 東京電力 | 新潟県柏崎市 | @〜D110、E〜F135.6 | ||
浜岡 | 中部電力 | 静岡県御前崎市 | B110、C113.7、D138 | E138 | |
志賀 | 北陸電力 | 石川県羽咋郡志賀町 | @54、A135.8 | ||
敦賀 | 日本原子力発電 | 福井県敦賀市 | @35.7、A116 | B〜C153.8 | |
美浜 | 関西電力 | 福井県三方郡美浜町 | @34、A50、B82.6 | ||
大飯 | 関西電力 | 福井県大飯郡おおい町 | @〜A117.5、B〜C118.0 | ||
高浜 | 関西電力 | 福井県大飯郡高浜町 | @〜A82.6、B〜C87.0 | ||
島根 | 中国電力 | 島根県松江市 | @46.0、A82.0 | B137.3 | |
伊方 | 四国電力 | 愛媛県西宇和郡伊方町 | @〜A56.6、B 89.0 | ||
玄海 | 九州電力 | 佐賀県東松浦郡玄海町 | @〜A55.9、B〜C118.0 | ||
川内 | 九州電力 | 鹿児島県薩摩川内市 | @〜A89.0 | B159 | |
もんじゅ (高速増殖炉) |
日本原子力 研究開発機構 |
福井県敦賀市 | 28 |
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東京電力3月25日、今年の夏における管轄地域での電力の需要・供給の見通しと対策について発表した。
単位:万kW
3/24実績 7月末予想 最大需要 3,279 5,500 (平日平均の最大) (4,800) 供給 3,650
(3,850)4,650
(*)予備力 -50
(150)-850
(*)( )は揚水発電を含む
震災で被災した鹿島火力発電所や常陸那珂火力発電所を復旧させるほか、計画的に停止していた横須賀火力発電所の運転再開、品川火力発電所、横浜火力発電所の定期点検からの復帰、ガスタービン発電機の新設などの対策を講じ、現在より約2割多い4650万kWの供給力を確保するが、それでも850万kWの不足となる。
海江田経済産業相は「猛暑なら最大で1500万キロワットの需給ギャップが生まれる」と指摘した。
付記
東電は4月15日、7月末に5200万kwの電力供給の見通しがついたと発表した。
これでも300万(〜800万)kwが不足する。
8月には柏崎刈羽原発の1号機と7号機の定期点検停止で5070万kwに落ち込む。
各電力会社間では電気の相互融通を行っているが、交流電源の周波数が東日本の50Hzと西日本の60Hzと相違があるため、限度がある。
異なる周波数の電力会社間での相互融通のために、50Hzと60Hzの周波数変換を行う周波数変換所が3か所設けられているが、能力は電源開発の佐久間周波数変換所が最高30万kW、東京電力の新信濃変電所が60万kW、中部電力の東清水変電所が10万kW(現在仮運用中、設計30万kW)で合計100万kW(将来120万kW)しかない。(地図参照)
中部電力は東清水変電所の設計能力の30万kWへの増強を加速、5月末までに3万kW、さらに17万kWを上乗せするが、夏の電力不足には間に合わない。
関東では東京電燈がドイツのAEG製発電機(50Hz仕様)を導入して浅草火力発電所を稼働。
関西では大阪電燈が米国GE製の発電機(60Hz仕様)を採用。終戦時に統一構想もあったが、各社が発電設備増強に忙殺され、立ち消えになった。
変換所増強には送電線敷設などに10年程度の時間と1000億円単位の費用が必要で、発電所を増やした方が早いという判断があるとされる。
EU統合に当たり、通貨と周波数の統合が行われたとされるが、欧州ではほとんどが50Hzであった。
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菅直人首相は3月31日、来日したサルコジ大統領との共同記者会見で、原発を2030年までに14基以上新増設するとした政府の「エネルギー基本計画」に関し、「どういうエネルギー政策を進めていくか、改めて議論する必要がある」と述べ、再検討する考えを示した。
今回の東日本大震災では、三菱化学の鹿島事業所(茨城県神栖市)の2基、丸善石油化学の千葉工場(千葉県市原市)、JX日鉱日石エネルギーの川崎製造所(川崎市)の計4基のエチレンが止まった。
2011/3/21 エチレンの状況
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JX日鉱日石エネルギー・川崎(404千トン)は地震直後に手動によりエチレンプラントを停止した。
設備被害はなく、これまで安全確保のため点検作業を進めていたが、3月30日に操業を再開した。
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丸善石油化学・千葉(480千トン)は隣接するコスモ石油の爆発火災で操業を停止した。
(コスモ石油のLPGタンクの火災は3月21日午前10時10分、鎮火を確認した。石油精製設備の再稼働の見通しは立っていない。)
停止したのは、エチレン、芳香族(一部)、ブタジエン1系列(千葉ブタジエン)、アルコールケトン、酸化エチレンなどで、隣接の京葉エチレン(丸善石油化学/三井化学/住友化学のJV)は操業している。
同社は3月31日、停止中装置のうち、エチレンについて、装置の健全性の確認、その他諸準備が整ったので、4月4日に再稼動すると発表した。芳香族、ブタジエンについても順次稼動する。
付記 酸化エチレンを4月15日に再稼働するとの見通しを明らかにした。
但し、アルコールケトンは火災で設備の損傷が激しく、復旧には最低でも1年間は必要とみられる。
同社はこのため、メチルエチルケトン(MEK)、セカンダリーブチルアルコール(SBA)、ジイソブチレン(DIB)の出荷を停止すると発表した。
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三菱化学・鹿島1、2号機(年産能力 828千トン)
同社は3月23日、以下の発表を行った。
・鹿島事業所は製造設備は全て停止し、自家発電等も停止している。
・バースが損傷を受けており、事業所の道路の損傷等のため、陸上・海上いずれによる入出荷も困難な状況
・バース以外のインフラ関連設備・機器の一部に著しく損傷しているものがあることが判明
・プラントの稼働再開までには最短でも2か月以上を要する見込み。
付記
三菱化学は4月8日、鹿島事業所について、5月20日ごろから一部の操業を再開すると発表した。
第2エチレンは、5月20日頃の再開をめざしている。PP、PEの一部の系列は、第2エチレンプラントの稼動にあわせて再開の見込み。
第1エチレンは、定修(5月14日〜)終了後の6月27日に再開の予定で、PP、PEの残りの系列及びビスフェノールA、酸化エチレン等のその他誘導品については、第1エチレンプラントの稼動にあわせ、順次再開の見込み。第1エチレンは6月30日に稼働を再開した。
付記
三菱化学は5月20日に再開した後、再び停止させ、6月下旬から実施する予定であった第2エチレンの定期修理を延期し、8月末まで設備を高稼働させ、在庫を積むこととした。
厚労省が講じた震災被害に対する特別措置の適用を受けることで、現行の法律の範囲内で最大限の延長措置を受けるメドがたったもの。
定期修理は最長で4年間隔だが、鹿島は2007年12月に火災を起こしたため、現在は年に1回となっている。
鹿島コンビナートの製品は以下の通りで、いずれも、三菱化学からの原料が来ず、他所からの原料持ち込みも出来ないため、生産ができない状況が続く。
このうち、PVCについては信越化学とカネカの2社合計の能力は728千トンで、全体の2057千トン(2009年末能力から3月末停止のヴイテック四日市を除く)の35%にも及ぶ。
(信越化学は日本では工場は鹿島のみ)
付記
カネカは、PVCの主要設備の復旧作業を完了し、損傷していたコンビナート内の港湾設備(原料バース等)も4月23日頃には改修を終える見通しのため、原料VCMを持ち込み、4月25日から操業を再開する。
信越化学は三菱化学のエチレン→鹿島塩ビモノマーのVCMの再開待ち。付記
三菱化学・鹿島事業所のエチレン第2プラントが5月20日に稼動を開始し、エチレン供給が再開、鹿島塩ビモノマーのVCM年産60万トン設備が5月21日から生産を再開した。
VCMの供給が始まったため、信越化学はPVC生産を全面再開した。
EOについては、三菱化学は鹿島以外の地域に製造工場を持つ各種界面活性剤等のメーカーを鹿島に誘致している。
2008/7/31 三菱化学鹿島のEOセンター
2011/4/5 BASF、ブラジルでアクリル酸〜高吸水性樹脂のコンプレックス構想、マレーシアでも高吸水性樹脂のFS
BASFはブラジルにアクリル酸、ブチルアクリレート、高吸水性樹脂のコンプレックスを建設する構想を検討していることを明らかにした。
現在FS中で、今年中にどこまでを含めるかと能力を決める。
既にBraskemとの間で、Braskemが原料プロピレンを供給する覚書を締結している。
来年に着工し、2014-15年完成の予定。
BASFは2001年にブラジルSão Paulo州のGuaratinguetáでブチルアクリレートの生産をスタートしているが、南米ではアクリル酸も高吸水性樹脂も生産しておらず、すべて輸入している。
BASFはアクリル酸のリーダーで、全世界の能力は119万トンとなっている。
Antwerp 320千トン Ludwigshafen 320 Freeport, TX 230 Nanjing, China 160 倍増計画あり Quantan, Malaysia 160 Total 1,190
競合各社については次項で。
ーーー
BASFとPETRONASは3月29日、マレーシアのGebeng Industrial ZoneにあるJVの BASF PETRONAS Chemicals (BASF 60%/Petronas 40%)で高吸水性樹脂の生産を行うFSを開始すると発表した。
JVは1997年に設立され、アクリル酸、ブタノール、可塑剤、ブタンジオール等を生産している。
BASF PETRONAS Chemicals については 2009/8/3 ダウ、マレーシアのOptimal も売却 参照
2011/4/6 日本触媒、インドネシアでアクリル酸と高吸水性樹脂を増強
日本触媒は3月31日、インドネシアで総額3億ドルを投じ、アクリル酸と高吸水性樹脂を増設すると発表した。
同社は紙おむつの原料として需要が伸びている高吸水性樹脂について、昨年7月にインドネシアのPT. Nippon Shokubai Indonesiaで30千トンのプラント建設を決めたが、需要が予想を超えた伸びを示し、このプラント稼働後すぐに供給不足となる見込みのため、新設計画の規模拡大を決めたもの。
ジャカルタの西方のCilegonにあるPT. Nippon Shokubai Indonesiaでは、現在、60千トンのアクリル酸を生産している。
今回、このアクリル酸を80千トン増やし、140千トンとする。
高吸水性樹脂については、昨年7月に決めた30千トンを含め、90千トンを新設する。
投資額は合計で約3億ドル。
PT.Nippon Shokubai Indonesiaは旧称 PT Nisshoku Tripolyta Acrylindoで、日本触媒 50%、トーメン 5%、PT Tri Polyta Indonesia 45%で設立された。その後、Tri Polytaが撤退、現在は日本触媒 93.7%出資となっている。
これが完成すると、日本触媒の全世界能力は、アクリル酸で700千トン、高吸水性樹脂は560千トンとなる。
日本触媒の現状と計画は下記の通り。(千トン)
アクリル酸 | SAP | |||
現状 | 計画 | 現状 | 計画 | |
日本 | 460 | 320 | ||
US | 60 | 60 | ||
ベルギー | 60 | |||
インドネシア | 60 | 80 | 90 | |
シンガポール | 40 | |||
中国 | 30 | |||
Total | 620 | 80 | 470 | 90 |
700 | 560 |
2007/8/31 日本触媒 アクリル酸工場再編 参照
付記 2013年末に姫路のアクリル酸増設(8万トン)完成、合計能力が78万トンに。
2014年7月8日、日本触媒は姫路製造所で、アクリル酸8万トン、N-フェニルマレイミド 1万トン及び廃液燃焼処理設備の完工式を行った。
本増設後のアクリす酸能力(持分)は姫路が54万トン、インドネシアが14万トン、米国が6万トン、シンガポールが4万トン、合計78万トンとなる。
ーーー
世界の主要アクリル酸メーカーは以下の通り。
(グラフは日本触媒の発表のもので、本記事の数量と若干異なるものがある。)
B社はBASF、C社はDow、D社はArkema(元 Atofina)と思われる。
BASFの能力は119万トンとなっている。
2011/4/5 BASF、ブラジルでアクリル酸、ブチルアクリレート、高吸水性樹脂のコンプレックス構想
2006年末の能力で3位のRohm & Haasは4位のDowに買収された。
FTCによる買収承認条件に従い、Dowは2009年8月にClear Lake のアクリル酸、エステル工場などをArkemaに売却した。
2009/1/26 FTC、Dow
と Rohm
and Haas の統合を条件付で承認
ArkemaはフランスのCarling、Texas州 BayportとClear Lakeの3か所に工場を持つ。
Carlingの能力は240千トンであったが、15%の増強を行った。(→275千トン)
Bayport は日触との50/50JV American Acryl で、同社の持分は60千トン。
Clear Lakeは上記の通り、Dowから取得したもの。
同社の2010年11月発表では、Clear Lakeの能力を2013年に270千トンに増強する。
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世界の主要SAPメーカーは以下の通り。
B社はEvonik(元 Degussa:406千トンとされる)、C社はBASF(400千トン)、D社は住友精化(190千トン)、E社はサンダイヤポリマー(三洋化成工業 60%/三菱化学 40%:145千トン)と思われる。
BASFによると、BASFの2010年末の能力は400千トンで、ベルギーのAntwerpと米国のFreeportのプラントをデボトルネッキングなどで2012年までにそれぞれ35千トン増強し、同社の合計能力を年産470千トンとする。
2010/12/22 BASF、高吸水性樹脂を増強
日本触媒はインドネシアの2系列完成で560千トンとなり、首位を維持するが、BASFも更にブラジルやマレーシアでの新設を検討している。
2011/4/7 大日本住友製薬と武田薬品工業、抗精神病薬で提携
大日本住友製薬と武田薬品工業は、3月30日、大日本住友製薬が創製した非定型抗精神病薬「ルラシドン塩酸塩」(ルラシドン)の統合失調症、双極性障害を適応症とする経口製剤について、英国を除く欧州各国を対象国とした共同開発・独占的販売契約を締結したと発表した。
付記
武田薬品工業は2015年5月7日、大日本住友製薬と結んでいた同社の統合失調症治療薬「ラツーダ」に関する欧州での販売契約を解消すると発表した。
がんやワクチンなど、重点領域に経営資源を集中させるため。
武田薬品は2016年1月末をめどに、販売権を大日本住友製薬に返還する。
契約の概要は以下の通り。
契約対象国は、英国を除くEU加盟国26カ国およびスイス、ノルウェー、トルコ、ロシア。
契約対象国での販売は武田薬品が独占的に行い、大日本住友製薬は英国での販売を目指す。
武田薬品は大日本住友製薬に、契約一時金として100 億円を支払う。
また、統合失調症、双極性障害を効能とした申請・承認時のマイルストンとして最大約180百万米ドルを支払う。販売後は、大日本住友製薬は武田薬品に製剤を供給し、武田薬品は販売額に応じたロイヤリティを支払う。
対象国での承認取得に必要な開発費用のうち今後発生するものは、両社で一定の割合で按分する。両社は今後、大日本住友製薬がこれまでに実施したグローバル試験のデータをベースに対象国での共同開発を進める。
大日本住友製薬は、ルラシドンを海外進出の足がかりと位置づけ、グローバル開発を進めてきた。
2011年の米国上市に向け、自社による販売拠点構築も視野に入れた米国自販体制の整備を検討してきたが、2009年10月、北米市場で中枢神経・呼吸器領域の開業医・専門医をカバーするSepracorを総額約26 億米ドルで買収した。
Sepracorは、中枢神経領域、呼吸器領域等に特化した特徴ある事業を展開する製薬会社で、米国市場においては、睡眠導入剤「LUNESTA」をはじめとする製品を保有し、開業医から専門医までをカバーする強固な販売網を有している。
大日本住友製薬は、本買収により、米国における販売体制を整備し、ルラシドンの速やかな市場浸透、早期の売上最大化を図ることとした。
大日本住友製薬の2011年3月期予想は、買収に伴う特許権、ノレン代償却で大幅減益となる。
2010/5/12 注目企業の決算-3 住友化学の項を参照なお、今回の契約一時金100億円を2011年3月期に計上するため、業績予想の修正を行った。
ルラシドンは2010年10月に米国食品医薬品局(FDA)から成人の統合失調症治療薬として承認され、本年2月にSunovion Pharmaceuticals (2010年10月にSepracor Inc.を改称)が米国で発売している。
同社は欧州については提携を中心に検討を進めてきた。
今回、欧州主要国に販売網を有し、中枢神経領域を重点疾患領域の一つとして位置付け、ルラシドンの製品価値を評価した武田薬品と提携することとした。
2011/4/8 SinopecとPetrochinaの2010年決算
両社の2010年決算が発表された。
いずれも前年比で増収・増益だが、両社ともRefiningに関しては、前年比で大きな減益となっている。
原油価格の上昇により、開発部門は大増益となったが、Refiningに関しては、政府がインフレ抑圧のため値上げをしないよう強い圧力をかけているため減益となった。
Sinopecについては2008年までは損失補てんのための補助金を政府から受けていたが、2009年からはなくなった。
(PetroChinaについては開発部門の利益が大きいため、これまでも補助金を受けていない。)
1)Sinopec
2008 | 2009 | 2010 | 増減 | |
Sales | 1,413,203 | 1,315,915 | 1,876,758 | 560,843 |
Operating profit | -24,564 | 90,699 | 105,004 | 14,305 |
補助金 | 50,900 | ー | ー | |
Net Profit | 28,525 | 67,005 | 78,004 | 10,999 |
Segment別 Operating profit
2008 | 2009 | 2010 | 増減 | ||
当初 | 補助金込 | ||||
Exploration and production | 66,569 | 66,569 | 23,894 | 47,149 | 23,255 |
Refining | -114,535 | -63,635 | 27,508 | 15,855 | -11,653 |
Marketing and distribution | 38,519 | 38,519 | 30,300 | 30,760 | 460 |
Chemicals | -12,950 | -12,950 | 13,805 | 15,037 | 1,232 |
Others | -2,167 | -2,167 | -4,808 | -3,797 | 1,011 |
Net | -24,564 | 26,336 | 90,699 | 105,004 | 14,305 |
2) PetroChina
2008 | 2009 | 2010 | 増減 | |
Sales | 1,072,604 | 1,019,275 | 1,465,415 | 446,140 |
Operating profit | 159,571 | 143,444 | 187,777 | 44,333 |
Net Profit | 114,453 | 103,387 | 139,992 | 36,605 |
Segment別 Operating profit
2008 | 2009 | 2010 | 増減 | |
Exploration & Production | 240,470 | 105,019 | 153,703 | 48,684 |
Refining & Chemicals | -93,830 | 17,308 | 7,847 | -9,461 |
Marketing | 7,982 | 13,265 | 15,956 | 2,691 |
Natural Gas & Pipeline | 16,057 | 19,046 | 20,415 | 1,369 |
Other | -11,108 | -11,194 | -10,144 | 1,050 |
Total | 159,571 | 143,444 | 187,777 | 44,333 |
福島原発が大きな被害を受けたのに対し、震源地により近く、町は壊滅した女川の原発は若干のトラブルはあったものの、大丈夫であった。
三陸沖ではしばしば大津波が起きているため、女川原発では、津波に対する評価を行い、対策を立てていた。
東北電力 「女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策」
http://www.jnes.go.jp/content/000015486.pdf
東北電力では、以下の手法で、安全性は確認されたとしていた。
@既往の津波の高さの調査
A歴史的津波の選定→1611年の慶長津波(6〜8m)
B予想最高水位(9.1m)、予想最低水位(-7.4m)の計算
C津波による最高水位でも陸上構造物の被害がなく、最低水位時(数分間)も原子炉冷却用水量を確保
(引き波による潮位低下で、取水できなくなると冷却系が働かなくなる)
実際には、今回の地震による津波はその予想規模を遥かに越えた。
女川町を襲った津波は17メートルクラスだったとする調査結果がある。
(福島第一原発の主要施設の標高は10メートル前後で、津波は14メートルもあった。)
このため、2号機の原子炉建屋の地下3階が浸水したが、非常用電源は正常に稼働した。
また、福島原発と異なり、外部電源が失われなかった。女川原発につながる2系統の送電幹線のうち、片方は地震の影響で止まったものの、もう一つは電気を送り続けた。
女川原発は、4月7日の余震では外部電源4回線のうち3回線が停止した。8日午前に一部復旧し、2回線になった。
使用済み核燃料プールの冷却機能を1時間失った。
ーーー
女川原発は標高の高さで被害を最低限にとどめたが、津波対策として原発を海面からより高く建設することは容易でない。
原発は硬い岩盤の上に建設することが不可欠で、適した岩盤の位置で立地が決まる。
また、原発は大量の冷却水を必要とするため、海水面近くに造らなければならず、建設時の重量物は船で敷地内に運び込むため、建屋の標高が高くなれば、作業がそれだけ困難になる。
石橋克彦・神戸大学名誉教授が、「西日本でも今世紀半ばまでに大津波を伴う巨大地震がほぼ確実に起こる」とし、危険性を指摘している中部電力・浜岡原発は海抜 6メートルのところに立地している。
2011/3/29 福島原発事故
2011/4/11 住友軽金属など、BPから米のアルミ板圧延メーカーの株式取得
住友軽金属は4月4日、古河スカイ、住友商事、伊藤忠商事、伊藤忠メタルズとともに、BPからアルミ板圧延品メーカーのARCO Aluminumの全株式を譲り受けることに合意したと発表した。
ARCO Aluminumは飲料缶用のアルミシート(缶材)のメーカーで、生産量は年間約30万トン、北米缶材市場でのシェアは15%となっている。
ARCO Aluminumは、アルミ缶材に特化した製造を行っている世界最大級のアルミニウム板圧延工場であるLogan Millの資産の45%の持分を所有している。(運営会社のLogan Aluminum Inc.については60%の出資持分)
Logan Millの残りはNovelisが所有し、ARCO AluminumとNovelisはそれぞれ、原材料をLogan Mill に供給し、各々の製品を販売している。
住友軽金属と他4社は、共同持株会社のARROW Aluminum Holding Inc.を設立し、ARCO Aluminum株式を680百万ドルで取得し、経営参加と技術提供を通じて、アルミ缶材の世界最大市場である北米での製造販売に取り組む。
買収後の運営形態は以下の通りとなる。
ARCO Aluminumと取引のあった住友商事にBPから株式売却の打診があった。
住友軽金属では、北米地域における世界最大級のアルミニウム板圧延工場に対する経営参画で資金面の負担が重いため、単独ではなく、他4社との共同で取り組むこととしたとしている。
古河スカイは2003年10月に古河電工とスカイアルミニウムがアルミ事業を統合して設立した。
(スカイアルミは1964年に昭和電工と八幡製鉄、米カイザーアルミナムの合弁で設立、カイザーは1973年に撤退)住友商事は古河スカイの缶材を輸出しており、住友商事が声をかけたという。
住友軽金属ではケースバイケースでどこと組むか決めるとしている。
同社は本件について以下のメリットをあげている。
販売面のメリット
・アルミ缶材の世界最大市場である北米での製造・販売
・今後大きな伸びが見込まれる中南米市場への販売拡大
⇒
今後拡大する世界飲料缶市場に対してグローバル供給体制構築の実現へ
製造・技術面のメリット
・日本
・北米それぞれの長所を活用したシナジー効果
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Logan Millsの歴史は以下の通り。
1981年にAtlantic Richfield がLogan Millsの建設を開始、1984年に操業を開始した。
その後、Atlantic
Richfieldは1985年にアルミ関連事業をAlcan に売却した。
しかし、独禁法の点でLogan Millsの売却の認可を取得できず、Logan MillsはAtlantic Richfield 子会社(その後、ARCO Aluminumと改称)とAlcanの合弁事業となった。
2000年にBPがAtlantic Richfieldを買収した。
2005年にNovelisがAlcanからスピンオフした。
この結果、Logan MillsはBP子会社のARCO AluminumとNovelisの共同事業となった。
Novelisはアルミ圧延の世界のリーダーで、世界のアルミ板圧延品の20%のシェアを有している。
欧州と南米では1位、北米とアジアでは2位のメーカー。
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BPにとっては本事業は非中核事業であり、売却は2011年末までに300億ドルを売却するという方針の一環である。
本売却を含め、これまでの売却金額は240億ドルに達している。
2010/12/1 BP、アルゼンチンのPan American Energy の持株をBridas Corporationに売却 参照
SolvayとRhodiaは、4月3日、SolvayがRhodiaの株式100%の友好的買収オファーを行う枠組み協定を締結した。
買収額は総額34億ユーロで、買収価格は4月1日株価に50%のプレミアムをのせたものとなる。
付記
6月14日、TOBを開始。
統合会社の売上高は120億ユーロとなるが、その強みとして、Solvayは以下の点をあげている。
・統合売上高の90%は世界で上位3位に位置する製品
セグメント 世界順位 製品 Solvay Specialty Polymers No.1 高機能エンプラ、フッ素ポリマー Oxygen No.1 過酸化水素 Minerals No.1 ソーダ灰、重曹 Vinyls No.3 Rhodia Polyamide Materials No.2 ポリアミド6.6 Consumer Chemicals No.1 スペシャルティ界面活性剤、燐化学品、バニリン用ジフェノール Advanced Materials No.1 シリカ、レアアース製品
・統合売上高の40%が新興成長市場で、今後の伸びが期待できる。
西欧 43%、北米 17%、計 60%
ラテンアメリカ 14%、アジア太平洋・その他 26%、計 40%
・多くの異なる市場分野でバランスの取れた存在
Consumer
goodsConstruction Automotive Energy, Water
& EnvironmentElectronics Solvay 4% 22% 9% 7% 7% Rhodia <40% >5% >20% 10% >5% Combined 19% 15% 14% 8% 6%
コスト面のシナジー効果も3年以内に年間250百万ユーロが期待される。
この2/3は外部コストの節減(残り1/3は管理部門が大半)で、大きな人員削減は考えていない。
従業員はSolvayが16,800人、Rhodiaが14,100人で、合計30,900人となる。
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SolvayはErnest Solvayが開発したソルベイ法ソーダ灰の商業化を目的に1863年に設立された。
最近のトピックスは以下の通り。
2007/4/13 Solvay、バイオディーゼル副生グリセリンを原料とするエピクロの生産開始 2007/7/6 Solvay、ロシアでワールドクラスの塩ビJV 2007/8/3 Dow と Solvay、タイにHPPO用の過酸化水素製造のJV設立 2007/9/12 Solvay、タイでエピクロルヒドリン生産 2007/12/21 ソルベー、ブラジルでバイオベースのエチレン製造 2008/9/20 Solvay、タイのビニルチェーン拡大 2008/10/8 Solvay、フランスの水銀法電解をイオン交換膜法に転換
2010年の売上高は71億ユーロ。
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Rhodiaは1998年にRohne Poulentの化学品事業部と繊維・ポリマー事業部化学を統合して設立された。
1999年にRohne PoulentとHoechstが統合してAventisが生まれた際に、独立企業となった。
Hoechstは1997年にスペシャルティ部門をClariant(Sandozの化学品部門が独立)に売却、1999年にCelaneseを分離している。
Aventisは2004年にSanofi Synthelaboと合併し、Sanofi Aventisとなった。
2010年の売上高は52.3億ユーロで、11のBusiness Unitsを持つ。
・Acetow:タバコフィルター用
・Aroma Performance
・Coatis:フェノールベース製品
・Eco Services:硫酸
・Energy Services
・Engineering Plastics:ポリアミドベースの高機能エンプラ
・Fibras:ポリアミドベースのヤーン
・Novecare:界面活性剤
・Polyamide & Intermediates:Polyamide 6.6 value chain
・Rare Earth Systems
・Silica
2011/4/13 丸紅、米国のシェールオイル開発計画に参加
丸紅は4月4日、米国のMarathon Oil Corporationとの間で、コロラド州・ワイオミング州のDenver Julesburg 盆地のNiobrara shale oil の権益180千エーカーの30%を約270百万ドルで取得することに合意し、権益売買契約を締結した。
加えて、丸紅とMarathon Oil は、Niobrara shale oilエリアでの更なる事業拡大を視野に入れ、同エリアにおいて新規権益を共同取得していくことにも合意した。
Niobrara shale oilエリアは、北米における有望なシェールオイル鉱区として注目を集めており、近年、鉱区の売買取引が活発化し、数多くの石油ガス開発会社が開発・生産を進めている。
米国におけるシェールガスおよびシェールオイル
Marathon Oil は米国ノースダコタ州のバッケン・シェールオイルを含む複数のシェールオイル・シェールガスの開発・操業で実績を有すると共にアラスカ及び赤道ギニアLNGプロジェクトへの参画、世界各国にて石油ガス上流事業を展開、さらにはグループ会社にて米国国内で石油精製、販売事業を長年に亘って行っている。
丸紅とMarathon Oil はかねてから赤道ギニアLNGプロジェクトのパートナーとして関係が深い。
丸紅は、100%子会社の丸紅ガス開発を通じ、国際コンソーシアム(Equatorial Guinea LNG Company )の株主として、赤道ギニア沖Bioko島におけるLNGプロジェクトに参画している。
国際コンソーシアムの出資比率は、Marathon Oil 60%、Sonagas(赤道ギニア国営ガス会社) 25%、丸紅ガス開発 6.5%、三井物産 8.5%となっている。
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Niobraraエリアのシェールオイル開発では、伊藤忠が2010年10月に、米国のエネルギー・電力・建設関連複合企業 MDU Resources Group Inc.の子会社で石油天然ガス開発会社のFidelity Exploration & Production Company との間で、約88,000エーカーの鉱区権益の25%を取得し、事業に参画する契約を締結している。
北米のシェールガス開発では、以下の各社が開発に参加している。
三菱商事 | ブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガス 2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 |
三井物産 | ペンシルベニア州のMarcellus
Shaleエリアのシェールガス 2010/2/18 三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画 |
住友商事 | @テキサス州Barnett Shale field開発 Aペンシルベニア州Marcellus Shale field開発 2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 |
双日 | テキサス州北東部Carthage onshore gas
鉱区 Tightsand gas、シェールガス 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う |
伊藤忠 | Niobraraエリアのシェールオイル |
2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う
付記
日揮は2011年6月、Chesapeake Energyからテキサス州 Eagle Ford
シェールの権益の10%を65百万ドルで譲り受けた。
NHK BS 世界のドキュメンタリーで2夜にわたり、「岐路に立つタールサンド開発〜カナダ 広がる環境汚染〜」が放映された。
「タールサンドは石油枯渇時代の救世主となるのか、それとも開発による環境破壊は石油ヘの依存を見直すきっかけとなるのか。岐路に立つタールサンド開発を追う」(NHK ホームページ 前、後)
カナダのアルバータ州には1兆6000億バレル以上のタールサンド(=オイルサンド)が埋蔵されている。
露天掘りと油層内回収法がある。
前者は、原油を含んだ砂を掘り出し、熱湯をかけて油(Bitumen)を抽出する。
後者は、地下深くのオイルサンド層にパイプを通して大量の熱い蒸気を注入し、Bitumenを流動化してポンプで汲み上げる。
Bitumenに改質装置で熱と圧力を加えて合成原油を精製する。
詳細は 2008/2/4 Dow Canada、オイルサンドからのエタン、エチレン購入契約
採掘場の近くには、人工貯水池があり、Bitumenを抽出する過程で出る有毒物質を含んだ排水や泥が貯められている。
貯水池は老朽化し、有毒物質が川に流れ出している。
Bitumen精製では大量の温室効果ガス(通常の原油精製の3倍)と汚染物質が排出されている。
周辺に暮らす先住民族に深刻な健康被害が起き、癌による死亡が続出している。
しかし、アルバータ州政府は科学者たちの警告に耳を貸そうとしない。
先住民族が問題を世界に訴え始める。2009年にはCOP15の開催中にコペンハーゲンを訪れ、タールサンドの危険性を主張した。タールサンド開発に参加しているStatoilの株主総会で危険性を訴えた。
ジェームズ・キャメロン監督が現地を訪れ、架空のアバターの世界が実際にあったと驚き、環境改善を訴えた。
学者が厳密な調査を行い、水質汚染、空気汚染の実態を発表した。
この結果、カナダ連邦政府も州政府の調査が不備であったことを認めた。
州政府も再調査と住民の健康調査を約束した。
しかし、中東の原油依存を避けたい米国は、カナダのタールサンドの受け入れの方向に向かっている。
クリントン国務長官は、「中東の汚い石油か、カナダの汚い石油か、アメリカの選択肢は2つです」と述べている。
ある科学者はこう述べている。
「タールサンドに関してはアメリカも共犯者です。カナダが売る麻薬を買い続ける中毒患者のようなものです」
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先住民族が株主総会で訴えたノルウェーのStatoilに対しては、GreenpeaceとWorld Wide Fund For Natureが、温室効果ガスの大量排出を問題とし、カナダのタールサンドからの撤退を要求している。
5月19日の株主総会で3年連続で撤退の動議を提出する。株主の中にも保険会社のStorebrandなどがこの動議に賛成している。
しかし、Statoilの67%の株主であるノルウェー政府は、政府としてはStatoilのタールサンド問題に介入しないとしている。
通商産業大臣は3月31日、「タールサンドへの投資は企業が決定する問題であり、株主としての政府が決めるものではないという結論だ」と述べた。
Statoil側は、タールサンドへの投資を進めるとし、技術ノウハウを駆使して問題を改善し、14年間で温室効果ガスを40%カットするという目標を達成するとしている。
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Statoilは北海油田の埋蔵量減少を補うため、2007年4月にカナダのベンチャーのNorth American Oil Sands Corporationを22億カナダドルで買収した。
North
American Oil SandsはAlberta州のAthabasca 地区でKai Kos Dehseh
project を操業している。
2009年頃に日量1万バレルのパイロット生産が始まり、2011年には商業生産を開始、2015年頃までには日量10万バレルの生産が期待されている。
10年後には日量20万バレルを期待している。
2010年10月、Statoilは同社の40%を22.8億米ドルでタイの PTT Exploration
and Productionに売却することで合意した。
Statoilは残り60%を引き続き保有し、生産と販売を担当する。
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中国勢もオイルサンド(タールサンド)事業に相次いで参加している。
2005/4 中国海洋石油 カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を買収 2009/9/10 PetroChina、カナダのオイルサンド事業に参加 Athabasca Oil Sands 2005/6 Sinopec、Northern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% をSynenco Energy から買収
2009年に50%にアップ2010/4/16 Sinopec、カナダのオイルサンドに投資 ConocoPhillipsのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada
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同様の環境問題はシェールオイルも抱えている。
地震のために再放送が延期になったが、NHKの世界のドキュメンタリーの「ガスランド 〜アメリカ 水汚染の実態〜」がこれを取り上げている。
「世界の資源地図を塗り替えると期待される、新しい天然ガス『シェールガス』。その開発に疑惑を持ち、コロラド、ワイオミング、テキサス、ルイジアナ・・・と自家用車で旅を続けるジョシュが見たものは、飲み水や大気の汚染で深刻な健康被害に怯える人々と、無残な姿をさらすアメリカの大地だった。
行政担当者や環境問題の専門家などに話を聞くうち、汚染の原因は、岩石層の水圧破砕のために地下に注入する特殊溶液にある可能性が浮上してくる。アメリカでは飲料水の安全確保のため、水源地帯の土中に異物を混入する行為は厳重に規制されている。ところが、住民の要請を受け当局が調査を行った形跡はなく、ガス会社には溶液の成分を公表する義務さえないという腑に落ちない事実が明らかになっていく。」(NHKホームページ 前、後)
日本の商社各社が米国のシェールオイル開発に参加しているが、将来、株主責任が問われることとなる可能性もありうる。
2011/4/13 丸紅、米国のシェールオイル開発計画に参加 参照
付記
2011/3/31のTime Magazineが “Could Shale Gas Power
the World?” という記事を載せている。
水圧破砕(fracking)での環境汚染についても述べている。
http://www.time.com/time/printout/0,8816,2062331,00.html
Frackingでは大量の水と薬剤を投入するが、これが地下水を汚染するとの懸念がある。
(一つの井戸で19百万リットルの水と、その0.5%の薬剤を投入する)
しかし、 Marcellusでは地盤からみて、この可能性は少ないだろうとしている。(間に数千フィートの岩盤がある)
問題は、地表近くで、井戸のケーシングでのセメント工事のミスにより、上がってきたメタンが漏れて地下水を汚染する可能性がある。
また、frackingでは大量の有害な排水が出てくる。テキサスなどではDeepwellに投入して処分するが、ペンシルバニアでは地形上これが出来ず、下水処理場に輸送して処理している。輸送前の貯水池からの漏えいや、輸送中の漏れ、処理場で汚染物質を処理できないケースなどがある。
(薬剤が何かは明らかにされていない。地底の放射能に汚染されている可能性もある)
排水の再利用などの考えもあるが、計画通りなら今の量の何十倍にもなるため、今後どうするのか、大問題であるとしている。
2011/4/15 中国五鉱集団、Equinox Minerals に買収提案
付記
五鉱資源は4月26日、買収計画を撤回した。世界最大の産金会社、カナダのBarrick Gold が五鉱資源を上回る買収提示額(73億2000万カナダ・ドル)を示したことを受けた措置。
Lumwana projectは1999年に権利を取得、2008年末に操業を開始した。
2011年の銅生産量は145千トンの計画で、今後、年産200千トンに拡大する計画。
Jabal Sayid projectについては2010年に権利を取得した。
2012年に生産開始の予定で、年産60千トンの計画。
このほか、サウジでは Jabal ShaybanとJabal Baydanのgold金山、Lahuf 金山、Bari 金・銅鉱山などの開発計画がある。
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一方、Equinoxはカナダの銅鉱山開発会社、Lundin Mining Corporation に買収提案をしている。
Lundin Mining は同じくカナダの銅と亜鉛の鉱山会社 Inmet Mining と合併することで合意、承認を求める株主総会を予定していた。
しかし、本年3月7日にEquinoxがLundinに対し総額48億米ドルでの買収提案を行ったため、LundinとInmet は合併合意を取り消している。
Minmetalsは「Equinoxの株主にとってLundinを買収するよりもMinmetalsの買収提案を受ける方がメリット大きい」としている。
Minmetalsの買収提案はLundin買収の取り下げを条件としている。
これに対しMinmetalsでは、この時点での買収提案は、株主にとって価値があるLundin買収を邪魔するものだとし、買収価格はたった9%のプレミアムを乗せただけであり、ベースメタルの企業買収にしては低すぎるとしている。
(Minmetalsは発表はしたが、Equinoxに対してオファーはしていない。EquinoxはLundin買収の承認を求める株主総会を4月26日に延期した。
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五鉱集団(Minmetals)の子会社の五鉱有色金属(Minmetals Non-ferrous Metals)は2009年、豪州3位の鉱業会社で世界2位の亜鉛メーカーのOZ MineralsOZ Minerals を買収した。(一部の鉱山を除くなど、条件付きで豪州政府の承認を得た。)
2009/4/25 豪州政府、中国五鉱集団による豪州OZ Minerals 買収を条件付で承認
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