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2011/5/16 福島原発損害賠償の政府支援の枠組み 

政府は5月13日、東電・福島原発事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みを発表した。

東京電力から、原子力損害の賠償に関する法律に基づく公平かつ迅速な賠償を行う旨の表明があり、資金面での困難を理由として、政府による支援の要請があった。  

原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年6月17日法律第147号)
第三条 (無過失責任、責任の集中等)
 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。

この要請に関し、政府は以下の実施を東電に確認した。

@ 賠償総額に事前の上限を設けることなく、迅速かつ適切な賠償を確実に実施すること
   
A 東電・福島原発の状態の安定化に全力を尽くすとともに、従事する者の安全・生活環境を改善し、経済面にも十分配慮すること
   
B 電力の安定供給、設備等の安全性を確保するために必要な経費を確保すること
   
C 上記を除き、最大限の経営合理化と経費削減を行うこと
   
D 厳正な資産評価、徹底した経費の見直し等を行うため、政府が設ける第三者委員会の経営財務の実態の調査に応じるこ
   
E 全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと

政府として、
@迅速かつ適切な損害賠償のための万全の措置、
A東電・福島原発の状態の安定化及び事故処理に関係する事業者等への悪影響の回避、
B国民生活に不可欠な電力の安定供給、
という三つを確保を念頭に、
政府と原子力事業者が共同して原子力政策を推進してきた社会的責務を認識しつつ、
原賠法の枠組みの下で、
国民負担の極小化を図ることを基本として東京電力に対する支援を行うこととした。

なお、一定期間後に検討を行い、必要な場合には追加的な措置を講ずる。

具体的な支援の枠組みは以下の通り。

@ 原子力損害が発生した場合の損害賠償の支払等に対応する支援組織(機構)を設置
     付記 原子力損害賠償支援機構
   
A 原子力事業者である電力会社に機構への参加を義務づける。
   参加者は機構に対し負担金を支払う義務
   負担金は、事業コストから支払を行う。
    (官房長官:一種の保険料で経費→電気料金算入も)

      付記
    1)資本金
     2011年9月に詳細が判明
     東電 2,379百万円、北海道 254百万円、東北 418百万円、中部 622百万円、北陸 236百万円、
     関西  1,229百万円、中国 331百万円、四国 254百万円、九州 660百万円、
     日本原子力発電 332百万円、Jパワー 168百万円、日本原燃 117百万円
     民間合計 7,000百万円
          他に、国が7,000百万円

    2)負担金(2012/3/2)
      2011年度 通年で1630億円だが、2011年9月発足のため、815億円で合意
        東電 283億円、関電 157億円、九電 84億円、中部電 62億円、東北電 53億円など

   
B 機構は、損害賠償のために資金援助(資金の交付、資本充実等)
   援助には上限を設けず(債務超過回避)
   
C 政府、機構は、原子力損害の被害者からの相談に応じる。
機構は、原子力事業者からの資産の買取りを行う等、円滑な賠償のために適切な役割を果たす。
   
D 政府は、機構に対し交付国債の交付、政府保証の付与等必要な援助を行う。

交付国債:
政府が現金を支払う代わりに発行し、交付する無利子の国債。
金額が見通せないときなどに活用され、受け取った側が資金が必要な時にその都度現金化できる。
発行時に全額予算計上する必要がないため、当面の国の財政悪化を防ぐことができる。

   
E 政府は、援助を行うに先立って原子力事業者からの申請を受け、必要な援助の内容、経営合理化等を判断し、一定期間、原子力事業者の経営合理化等について監督(認可等)をする。
   
F 原子力事業者は、機構から援助を受けた場合、毎年の事業収益等を踏まえて設定される特別負担金の支払を行う。
  (官房長官:
特別負担金は営業外で、電気料金の算定には入らない)
   
G 機構は、原子力事業者からの負担金等をもって必要な国庫納付を行う。
   
H 原子力事業者が負担金の支払により電力の安定供給に支障が生じるなど例外的な場合には、政府が補助を行うことができる条項を設ける。

ーーーーー

この仕組みでは東電の株主は保護されるが、これに対する批判が多い。

JALの場合、会社更生法を申請。上場廃止で、100%減資(株主責任明確化)、金融機関債権も87.5%カットとなった。

河野太郎ブログ

次に株主の責任が問われて、株式は100%減資。このときに株主がかわいそうだとかいろいろ言うかもしれないが、感情論ではない。 株主の責任が問われずに、年金で慎ましく暮らしている方々の電気代をその分上げるなどというのは、資本主義を逸脱している。株式を買った人は、リスクもあわせて買っているのだ。
ここで株式を100%減資すれば、数兆円が浮いてくる。これをしなければ、その分、国民負担が増えるのだ。

ーーー

官房長官会見では、「野党から会社更生法を適用した方がよかったとの意見も出ているが」との質問に対し、以下の答え。
「会社更生法を適用した場合、被災者、被害者の皆さんの
損害賠償請求権が一般債権になる。特に、福島の原発事故の収拾に向けて協力頂いている協力企業の事故発生前から含めた様々な債権が大部分が一般債権になる。
つまり、ほとんど回収できない状況になる。
今回のスキームは、被災者の皆さんに賠償を支払う。 事故の収束に向けて協力頂いている協力企業が引き続き協力して頂けるようにする。このためのスキームだ。
(会社更生法では)別途の相当大仕掛けのスキームを組まないといけなくなる」

金融機関債権については、支援の条件として、以下を確認している。

E 全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと

官房長官会見での質疑は以下の通り。

ー 地震前の東電の借入金について一切債権放棄なされない場合でも国民の理解を得られると思うか。

「まず331日だったと思うが、 --- 新たな追加融資がなされている。これについては、少し別に考えなければいけないだろう。そのことは、国民にも周知をしなければいけないだろう。
それから、3月11日以前からの融資については、
国民の理解の得られるかといったら、それは到底できない、得られることはないだろう

ー 公的資金注入が行われない可能性があるということか。

「私はそう思っている」

これについては金融機関の反発が大きい。

金融機関の東電向け融資は約4兆円。債権放棄をした場合、金融機関は東電への融資分を「不良債権」に区分し直す必要に迫られ、各行が引当金を増やすなど経営にも悪影響を及ぼす。

また、債権放棄は通常、破綻した企業向けに行われる。安易に債権放棄をすれば東電は破綻企業とみなされ、追加融資などが難しくなる。

なお、社債については電気事業法で優先弁済されることとなっている。

電気事業法
37条 一般電気事業者たる会社の社債権者は、その会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

ーーー

河野太郎ブログには以下の提案がある。

東電を国有化し、東電ホールディングスの下で発電会社と送電会社に分け、発送電分離をしても問題はないことを世の中にみせてから、出口で株式売却する時に発電、送電を分離すればよい。株式売却益は、国民負担の返済に充てる。

細野豪志首相補佐官は5月10日の記者会見で
「政権として、今の電力会社の在り方がしかるべきなのか、これを守るという意思決定はしていない。さまざまな議論を通じ、いろいろなケースがあり得る」
と述べ、送電網の売却が今後、国内の電力供給の在り方を検討する際の選択肢の一つだとの認識を示した。

国内の送電網は、地域ごとに各電力会社がほぼ独占的に所有する形になっているのが現状で、これが、風力など再生可能エネルギーの大幅導入や、複数の発電企業が乗り入れる自由化された電力市場の形成を妨げているとの指摘が以前からある。

 


2011/5/17  2011/3月期決算 − 三菱ケミカルホールディングス 

素材分野(ケミカルズ、ポリマーズ)と機能商品分野における需要の回復による増収増益で、営業損益は2,265億円に達した。
また、本年度から連結子会社となった三菱レイヨン(MMAなど)の貢献が大きい。

特別損失に災害損失 225億円を計上している。

なお、当期損益が2008/3月期比でマイナスとなっているが、これは2008/3月期に三菱ウェルファーマと田辺製薬の合併に伴う持分変動益1,181億円が入っているためで、実質ベースでは2008/3月期比でも大増益である。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 29,298 1,250 1,289 1,641 8.0 8.0
2009/3 29,090 82 -19 -672 8.0 4.0
2010/3 25,151 663 590 128 4.0 4.0
2011/3 31,668 2,265 2,239 836 5.0 5.0
前年比 6,517 1,602 1,649 707 1.0 1.0
2008/3比) (2,370) (1,014) (950) (-805) (-3.0) (-3.0)
2012/3 35,800 2,060 2,050 800 5.0 5.0

 

営業損益対比(億円)           一部セグメント変更
  2008/3 2009/3 2010/3 2010/3 2011/3  増減
ケミカルズ 109 -555 73   69 530    461
ポリマーズ 112 -130 -217   -225 550 775
エレクトロニクス
アプリケーションズ
316 48 71   -14 10 24
デザインド
マテリアルズ
97 -21 82   133 365 231
ヘルスケア 572 793 716   710 851 141
その他 141 88 62   62 45 -17
全社 -97 -141 -123   -73 -86 -13
合計 1,250 82 663   663 2,265 1,602

1) 上記営業損益のうち、ケミカルズとポリマーズの内訳は以下の通り。

  2010/3 2011/3   増減
ケミカルズ
 (基礎化学品)
 (炭素)
69
(-20)
(89)
530
(313)
(217)
   461
(333)
(128)
ポリマーズ
 (ポリオレフィンほか)
 (MMA、アクリル樹脂)
-225
(-225)

(-)
550
(182)
(368)
775
(407)
(368)

2) 従来、無機化学品はエレクトロニクス・マテリアルズに含まれたが、今回デザイント・゙マテリアルズに移した。

3) 三菱レイヨンが連結子会社となった。
    デザインド・マテリアルズ(化学繊維)、ポリマーズ(MMA、アクリル樹脂)、ケミカルズ、その他

4) 国内のケミカルズ、ポリマーズに属する連結会社(三菱レイヨンを除く)の有形固定資産の償却方法を
  従来の定率法から定額法に変更した。
  これにより、179億円の利益となっている。

5) ヘルスケアのうち、田辺三菱製薬の業績は以下の通り。

田辺三菱製薬
単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2010/3 4,047 615 616 303 14 14
2011/3 4,095 766 767 377 14 14
前年比 48 151 150 75 0 0
2012/3 4,030 630 630 355 14 14

三菱ケミカルは今回、営業損益と経常損益で信越化学に大きく差をつけた。
しかし、当期損益では信越化学の方が多い。

これは信越の連結子会社がほとんど100%子会社で、連結損益がそのまま信越の損益になるのに対し、三菱ケミカルの場合は、田辺三菱製薬など高収益の連結子会社が100%子会社でなく、少数株主の持分が多いため。
また、本年度は信越には過年度の税金の還付 107億円があった。

単位:億円
  三菱ケミカル 信越化学   差
営業損益 2,265 1,492    773
経常損益 2,239 1,603 636
特別損益 -543 -210 -333
(うち震災) (-225) (-210) (-14)
税引前損益 1,696 1,393 302
       
税金 470 486 -17
過年度税金還付 0 -107 107
税金合計 470 380 90
       
税引後損益 1,226 1,013 213
少数株主持分 390 12 378
当期損益 836 1,001 -165

 


2011/5/18 2011/3月期決算 − チッソ 

売上高は前期を下回ったが、営業損益、経常損益は増益となった。

特別損失として水俣病被害者救済一時金439億円を計上したため、当期損益は263億円の損失となった。

これにより、20113月末の未処理損失は1,299億円(前期末は1,034億円)となり、資本金78億円に対し、資本勘定の残高は1,083億円のマイナスとなった。

単位:億円
  売上高 営業損益 経常損益 特別損失 当期損益
2008/3 2,697 208 202 -50 108
2009/3 2,492 152 103 -55 30
2010/3 2,612 265 221 -47 105
2011/3 2,460 293 248 -507 -263
前年比 -152 28 27 -460 -368
2008/3比) (-237) (85) (46) (-457) (-371)
2012/3 2,450   250   未定
(JNC 同上) 2,450   254   240

特別損失の内訳は以下の通り(単位:百万円)

  2008/3 2009/3 2010/3 2011/3
水俣病被害者救済一時金
 (熊本県、鹿児島県分 一時金)
 (訴訟和解金)
      43,870
(34,599)
(9,271)
水俣病補償関係
 (うち補償金、残りは金利)
3,993
3,736
3,665
( 2,300)
3,658
( 2,232)
公害防止事業費負担金 824 775 640 543
災害損失       1,623
その他 156 994 415 972
4,974 5,505 4720 50,666

今後、引き続き一時金の支払いが見込まれるが、具体的な金額は不明。

参考 2010/9/9 水俣病未認定患者救済で、チッソへの貸し付けを閣議決定 

---

チッソは、環境大臣より2010年12月15日付で認可を受けた事業再編計画に基づき、2011年3月31日をもって、機能材料分野、化学品分野、加工品分野等において営む事業を完全子会社のJNCに譲渡した。

2011/1/12 チッソ、「事業再編計画」に基づく、新会社「JNC株式会社」を設立

今後はJNCが事業を行い、チッソはJNCからの配当で水俣病関連の費用を支払う。

2012/3月期の予想は以下の通り。

JNC
  (連結)売上高 2,450億円、 経常利益 254億円、 当期純利益 240億円
  (個別)売上高 1,450億円、 経常利益 165億円、 当期純利益 168億円

チッソ
  JNCからの受取配当収入  80億円
  水俣病関連支払額      未定

チッソは5月12日、新体制を発表した。

後藤舜吉会長→取締役最高顧問
岡田俊一社長→退任
森田美智男取締役→代表取締役社長

後藤会長の記者会見での応答。

ー チッソから事業譲渡された子会社JNC株の売却後、チッソが消滅する不安が患者にはある。

チッソは事業をやらないわけだから、水俣病問題が片付けば置いておく意味はない。
(JNC株の)上場後に消滅するというのではなく、上場後も水俣病問題が残っている場合もあるかもしれない。

ー 株を売った後の収益は限りがある。その後に新たな補償、救済が発生した場合はどう対応する?

ちょっとお答えできない。最善の対応をするとしか言えない。

社長に昇格する森田取締役は「胎児性患者や高齢化する患者のケア充実は国と熊本県と協議しており、しっかり対応する。水俣の経済発展もチッソの役割」と決意を語った。


2011/5/18  DuPont、酸化チタンの大増設計画発表

世界最大の酸化チタンメーカーのDuPont511日、需要増大に対応し、年産35万トンの増設計画を発表した。

1)メキシコのAltamira工場に5億ドルを投じて、年産20万トンのプラントを新設、2014年末の完成を目指す。

2)既存の下記 5工場の手直しで、3年間で年産15万トンの能力増を達成する。
    
ミシシッピー州DeLisle、テネシー州 New Johnsonville、デラウェア州 Edge Moor
    メキシコ Altamira、台湾 観音(Kuan Yin
    (これらは全て、塩素法を採用。同社はまた、フロリダ州
Starkeで鉱山を運営している。)

DuPont 200511月に山東省東営市の経済開発地区で当初能力年産20万トンの酸化チタンを生産することで地方政府と合意書を締結した。この計画は環境問題で難航しているが、引き続き、推進する。

2010/7/9 ChemChina、山東省で酸化チタン生産開始 

これが完成すれば、55万トンの増強となる。
DuPontの現状の能力不明、ご存じの方がおられれば教えてください)

付記

早速下記の情報をいただきました。
2007年時点で世界の需要が490万トンでその21%DuPontが供給しているとの記述があります。
およそ
100万トンの能力があると思います。

ーーー

世界の他の主要メーカーは以下の通り。

1)Huntsman Pigments7か国に工場、能力56万トン

ICIの酸化チタン事業はポリエステル事業と合わせDuPontへ売却する合意が一旦成立したが、酸化チタン事業については紐余曲折を経た後、19996月末にHuntsmanに売却された。

なお、下記 Tronox 参照

2)National Titanium Dioxide(サウジ):能力77万トン

中東/北アフリカでの唯一のメーカーで、サウジのYanbu Al-Sinaiyah 工場で1991年から生産しており、2002年に3万トン増強して10万トンになった。設計能力は18万トン。

20072月に、Lyondellから旧Millennium Inorganic Chemicalsの酸化チタン事業を負債込みで12億ドルで買収。
Millennium Inorganic Chemicalsは能力67万トンで、世界第2位の酸化チタンメーカー。
米国に2箇所(Ashtabula, OH と Baltimore, MD)、ブラジル(Camacari)、英国(Stallingborough)、フランス2箇所(LeHavre とThann)及び豪州2箇所(Australindに2つ)の工場。

2007/3/5 Lyondell、酸化チタン事業をサウジ社に売却

3)Kronos Worldwide, Inc.5か国6工場で能力53.2万トン、ノルウェーHaugeに鉱山

ノルウェー Fredrikstad、ドイツ Leverkusen、ドイツ Nordenham
ベルギー
Langerbrugge、カナダ Varennes
米ルイジアナ州
Lake Charles HuntsmanとのJVLouisiana Pigment Co.

4)Tronox, Inc.46.5万トン

ミシシッピー州Hamilton 22.5万トン
オランダ
Botlek 9万トン
豪州 
Kwinana 15万トン(最近、4万トン増設が完了した)
     豪州は
Tronox と南アのExxaro Resources 50/50JVのTiwest

同社は2006年にKerr-McGee からスピンオフした。(Kerr-McGeeはその後、Anadarkoが買収)
その際に、Kerr-McGeeから環境汚染の復旧費用と訴訟費用などを引き継いだが、これが主因で20091月にChapter11を申請した。

20098月、HuntsmanTronox の主要資産の買収の"stalking horse" 契約を締結したと発表した。
   
2009/9/5 Huntsman、再生法適用の酸化チタンメーカーの資産買収 

しかし、同年末にTronox はこの契約を破棄した。
   
2009/12/25  Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に

2011214日、Tronox Chapter 11 から離脱、既存事業を再建した。

 


2011/5/18 BPRosneft との提携、白紙に 

BP2011114日、ロシアのRosneftとの間でグローバルな戦略的提携で合意したと発表した。

Rosneft BPの株式5%を購入、見返りにBPRosneft株式 9.5%を購入する。
BPRosneftに発行する株式の価値は現在の株価で約78億ドルになる。)

両社はロシアの北極海大陸棚にある3つの鉱区を共同で開発する。

2011/1/17 BP、ロシアのRosneft と戦略的提携

この契約の有効期限はBPの要請で1か月延長され、2011516日となっていたが、問題点の決着がつかず、期限切れにより白紙となった。

付記

この後、最終的にRosneftがTNK-BPを買収、BPは代わりにRosneft 株を19.75%を保有する。
   2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収

経緯は以下の通り。

BPはロシアではAlfa Access Renova(AAR)との50/50JVTNK-BPを持っているが (付記 正しくは一般株主が5%で、BPAlfa Access Renova group 45%ずつ。)AARを構成する4人の新興財閥が127日、BPRosneftとの取引がTNK-BPを除外しているのは、BPTNK-BPの株主協定に違反するとしてロンドンの高等法院(High Court)に訴えた。

AARの株主

Alfa Group ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。
Mikhail Fridman German Khan 50%ずつ保有。
Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。
Renova Holding ロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg SUALの大株主)のベンチャーキャピタル。

4人は、BPが株主契約に基づき、ロシアではTNK-BPを通して活動することを求めている。
Putin首相と腹心のIgor Sechin副首相がバックアップする取引への公然とした挑戦であるとして注目された。

21日、裁判所は調停での問題解決を命じた。BPは同日、調停にかけることを発表した。

調停委員会は201151日、下記の決定を下した。

  ・TNK-BPRosneft の同意を前提に、北極海開発に参加する。
  ・これを条件に、
BPRosneftの株交換を認める。
    但し、株交換は投資目的に限られ、議決権は独立の受託者に供託、双方は役員を派遣しない。

これに対しRosneft TNK-BPの北極大陸棚での事業参加には難色を示した。
このため、
AARが保有するTNK-BP株のBPRosneft による買い取りを軸に和解交渉が進められた。

報道によると、BPは買い取り価格を当初の200億ドル台後半から320億ドルにまで歩み寄ったが、AARはこれを拒否した。

この結果、時間切れでBPRosneftの契約は白紙となった。

ーーー

BPAAR517日、今後もTNK-BPの成功のため、努力を強めるとの声明を発表した。

両社とも
Rosneftとの話し合いを続けることが重要との認識を示した。

しかし、RosneftBPの代わりにShellExxonと話をしていると述べたとの報道もある。

 


2011/5/19  2011/3月期決算 − 住友化学、三井化学 

住友化学

前年比では大幅な増収増益だが、2008/3月期の損益レベルには達していない。
(最高益の2007/3月期の営業損益は 1,396億円)

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 18,965 1,024 928 631 6.0 6.0
2009/3 17,882 21 -326 -592 6.0 3.0
2010/3 16,209 515 350 147 0.0 6.0
2011/3 19,824 880 841 244 3.0 6.0
前年比 3,615 365 491 97 3.0 0.0
2008/3比) (859) (-144) (-87) (-386) (-3.0) (0.0)
2012/3 21,200 800 870 500 6.0 6.0

当初の当期損益予想では、20%出資し豪州農薬メーカー Nufarmの時価が大きく下落したため、のれん相当額を一時償却して特別損失287億円を計上し、25億円の利益としていた。本年に入り、同社の株価が回復したため、評価損を取り消した。

なお、営業外損益に含まれる持分法損益は前年度が70億円の赤字であったが、当期は108億円の利益となり、178億円の損益改善となった。

税引前損益は757億円となったが、繰延税金資産を191億円取り崩して税金に加えたこともあり、税引後は409億円となった。
これから少数株主持分164億円を差し引き、当期損益244億円となった。

営業損益対比(億円)              全社費用を配賦せず
  2008/3 2009/3 2010/3 2010/3 2011/3 増減
基礎化学    106   -153    -27       13    213   200
石油化学 45 -303 -53   -2 111 113
精密化学 114 16 15   36 1 -35
情報電子化学 63 -10 33   63 261 198
農業化学 209 244 259   293 224 -69
医薬品 465 324 293   299 269 -30
その他 37 -79 -5   67 58 -9
全社 -15 -17 -2   -254 -258 -4
合計 1,024 21 515   515 880 365

  区分そのものはほとんど変わらないが、全社費用(主に全社共通研究費)を配賦せず、「全社」に入れた。

2008/3月期対比では基礎、石化の増益は全社費用配賦の影響がかなり大きい。
情報電子化学は実質的にも大増益。
医薬品については下記参照。

大日本住友製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
特許権等
償却費
同左
算入前
算入後 中間 期末
2010/3 2,963 -105 461 356 338 210 9 9
2011/3 3,795 -347 657 310 286 168 9 9
前年比 833 -242 195 -47 -52 -42 0 0
2012/3 3,620 -297 467 170 155 85 9 9

2009年10月に米Sepracor を買収した。(その後 Sunovion Pharmaceuticals と改称)
買収に伴い、特許権(1,197百万ドル)は品目ごとに償却、ノレン(914百万ドル)は20年償却とした。

Sunovion Pharmaceuticalsの当期の業績は、上記の償却費を除くと、営業利益で230億円の益となっている。

2011/3月期には武田薬品との間で締結した非定型抗精神病薬の欧州での開発・販売提携に関する契約に基づく契約一時金100億円を売上高、利益に計上している。

ーーー

三井化学

同様に、前年比では大幅な増収増益だが、2008/3月期の損益レベルには未達。

特別利益に退職給付引当金戻入額 146億円がある。
2010年4月に退職金・年金給付水準の見直しを行い、給付利率の変更等を実施した。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 17,867 772 661 248 6 6
2009/3 14,876 -455 -508 -952 6 3
2010/3 12,077 -95 -131 -280 0 3
2011/3 13,917 405 389 249 3 3
前年比 1,840 500 520 529 3 0
2008/3比) (-3,950) (-366) (-273) (0) (-3) (-3)
2012/3 15,500 450 430 210 3 3

  

営業損益対比(億円)         セグメント変更
  2008/3 2009/3 2010/3   2010/3 2011/3 増減 差異内訳
数量差 交易条件 固定費他
基礎化学品   335 -320 -76   石化 -34 128   162  53 30 79
基礎化学品 -48 204 252 39 164 49
機能材料 359 -160 -76   ウレタン -21 -90 -69 22 -103 12
機能樹脂 -44 72 116 64 1 51
加工品 8 14 6 19 -12 -1
先端化学品 108 73 86   機能化学品 74 100 26 10 8 8
その他 34 1 11   その他 11 1 -10 0 0 0
全社 -63 -49 -40   全社 -41 -25 16 - - -
合計 772 -455 -95   合計 -95 405 500 207 88 205
            * 変更前後のセグメント区分(筆者編集)は、必ずしも対応していない。

石化、基礎化学品はほぼ2008/3月期の損益水準に戻った。
機能材料系統(ウレタン、機能材料、加工品など)が2008/3月期比で減益の理由と思われる。

 


2011/5/19  EUと中国、相互に補助金相殺課税 

EU514日、中国製の微塗工紙(Coated fine paper)に対し、ダンピング課税及び補助金相殺課税を行うと発表した。

欧州印刷用紙メーカー連合(CEPIFINE)の申請を受けて、2010218日に反ダンピング調査を実施することを決定、その後417日に反補助金調査も開始していた。

中国政府がWTOルールで禁止されている低金利のローン、市価以下での土地供給、税優遇措置を供与しているというのが相殺課税の理由。
また、メーカーが
EUでダンピングをしていることも明らかになったとしている。

相殺関税は412%、ダンピング税は835.1%となっている。中国製品に対する最初の相殺関税となる。

EUの印刷企業は、この決定は中国からのコート紙のコスト上昇をもたらすことから反対している。
ヨーロッパ国際政治経済研究センターでは「
EUのやり方は法的根拠がない。中国のコート紙のEU市場におけるシェアは4%ほどで、EUの関連産業に損害を与えることはない」と指摘している。

中国商務部はこれに対して強い不満と断固たる反対を表明した。
また中国側は
EUの今回の最終決定について詳細な検討と評価を行い、法律に基づいて相応の措置を取る権利を保留して、中国企業の合法的な権利を保護すると指摘した。

中国商務部は516日、公告19号を出し、EU原産のポテトスターチに対する反補助金調査でクロの仮決定を下したと発表した。

EU原産のポテトスターチについては、中国は20072月にダンピング課税を行い、20104月に業界からの適用期間延長申請を受けて再調査を開始した。更に20108月に反補助金調査を開始した。

ダンピングについては本年418日にクロの最終決定を行ったが、今回、合わせて反補助金でもクロの仮決定を行ったもの。
反補助金調査の結果発表は、
EUの発表を受けて、当初予定を早めて行ったと見られている。

ダンピング税率は12.656.7%、相殺関税は7.7011.19%となっている。

ーーー

これらの措置は微妙なタイミングで行われた。

EUHerman Van Rompuy大統領は丁度、初の中国訪問中で、516日には北京の人民大会堂で中国の胡錦濤国家主席と会談した。

中国はギリシャ、ポルトガルのほかスペインなど経済危機にある国の国債を購入しており、大統領は「欧州の経済回復に大きな貢献をした」と謝意を伝えた。
中国はユーロ圏の周辺国国債を買い増す用意があることを示唆している。

大統領は声明で「EU経済は順調に回復しており、マクロ経済のファンダメンタルズは全般的に堅調であり、またユーロは世界の投資家が引き続き信頼できる強い通貨だと胡主席に伝えた」と述べた。

一方、胡主席は、EU域内企業の中国への一層の進出やハイテク製品輸出を促すとともに、EUが中国を市場経済国と認定するよう求めた。
「EUが積極的な政策を実施し、対中ハイテク製品の輸出を拡大し、中国市場の経済的地位を認め、中国企業がEU諸国で投資し、経営するチャンスを手に入れられるような環境をつくるよう求める。中欧の経済・貿易協力が新たなステップへと絶えず進展させていけるよう努めたい」と述べた。

市場経済国については 2006/2/27 EU、中国・ベトナムの革靴に反ダンピング税


2011/5/20  2011/3月期決算 − 旭化成、東ソー 

旭化成

ケミカルズ、住宅が好調で、増収増益となった。
2008/3月期比でも、ほぼ同じ損益水準となった。

特別損失にアンモニア、ベンゼンの生産停止に伴う費用等を事業構造改善費用として100億円計上した。
(2008/3は13億円、2009/3は50億円、2010/3は100億円)

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3   16,968 1,277 1,205 699 6 7
2009/3 15,531 350 325 47 7 3
2010/3 14,336 576 564 253 5 5
2011/3 15,984 1,229 1,182 603 5 6
前年比 1,648 653 619 350 0 1
2008/3比) (-984) (-47) (-22) (-97) (-1) (-1)
2012/3 17,240 1,200 1,225 690 6 7

 

営業損益対比(億円)
  08/3(A) 09/3 10/3(B) 11/3(C) (A)(C)
増減
(B)(C)
増減
差異内訳
数量差 売値差 コスト差等
ケミカルズ 652    -65 261   644 -8 383 87 546 -251
住宅 214 219 253 365 151 111 42 69 0
医薬・医療 127 120 40 70 -56 30 52 -60 39
繊維 72 -15 -28 42 -30 70 33 -2 39
エレクトロニクス 222 73 72 143 -80 70 182 -186 74
建材 28 17 12 21 -7 9 6 -11 13
その他 52 56 18 17 -34 -1 1 0 -2
全社 -90 -55 -53 -72 18 -19 - - -19
合計 1,277 350 576 1,229 -47 653 404 357 -107

ーーー

東ソー

前年比では大幅な増収増益だが、2008/3月期の損益レベルには未達。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 8,274 591 525 252 4 4
2009/3 7,335 -203 -211 -253 4 2
2010/3 6,287 130 101 69 3 3
2011/3 6,844 335 298 100 3 3
前年比 557 205 197 31 0 0
2008/3比) (-1,430) (-256) (-226) (-152) (-1) (-1)
2012/3 8,000 460 440 230 3 3

 

営業損益対比(億円)     セグメント変更
  2008/3 2009/3 2010/3   2010/3 2011/3 差異
石油化学 150 -48 79   石油化学 79 104 25
基礎原料 27 -175 7   クロルアルカリ -143 -35 108
機能商品 380 -9 15   機能商品 148 203 55
サービス 34 28 29   エンジニアリング 20 36 16
          その他 26 27 1
合計 591 -203 130   合計 130 335 205

セグメント組み換えで、基礎原料(塩ビ関係、セメント、無機有機など)とウレタン原料をクロル・アルカリとした。
組み換え前後の対比から、2010/3についてはウレタンの赤字が大きいことが分かる。

(三井化学でもウレタンは赤字となっている)


2011/5/20 韓国、談合等の届け出の懸賞金を引き上げ 

韓国の公正取引委員会は5月17日、独禁法違反行為を届け出た場合の懸賞金の引き上げを発表した。
懸賞金は最高で20億ウォン(約1億5000万円)となる。

公取委の関係者は「談合や不当支援行為は企業の役員・社員でなければ情報を得るのは難しい。そのため内部からの情報提供がしやすいよう、懸賞金の支給限度額を高くした」と説明している。

懸賞金の限度額は以下の通り。

  現状限度額 改正限度額
談合 10億ウォン .  20億ウォン
不当支援行為 1億ウォン 10億ウォン
社員販売行為  3千万ウォン 1億ウォン

懸賞金は届出による調査で企業に課せられた課徴金の額と、届出人が提示した証拠の重要度で決まる。

課徴金 懸賞金
5億ウォン以下 .  10%
5〜50億ウォン 5%
50億ウォン超 1%
 x
証拠 .  懸賞金
最上 100%
80%
50%
30%

例えば談合の場合、
最高クラスの決定的証拠を提示し、その結果、企業が2000億ウォンの課徴金を払うこととなった場合、
20億ウォンの最高限度の懸賞金を受け取る。

  2000億ウォン x 1% x 100%=20億ウォン=談合限度額

ーーー

不当支援行為は大財閥の規制のために1996年に規定されたもので、日本にはない。

不当支援行為(法23条1号)
事業者は不当に特殊関係人または他の会社に対して仮支給金(仮支払金)・貸与金・人力(労力)・不動産・有価証券・無体財産権等を提供するか、もしくは著しく有利な条件で取引することによって
特殊関係人または他の会社を支援する行為をしてはならない。

社員販売行為は、役員・社員に対して不当に自社製品の販売を強要する行為


2011/5/20 東京電力 決算発表 

東京電力は5月20日、2011年3月期決算を発表した。
最終損益は1兆2473億円の赤字だった。

単位:百万円、配当 円
  売上高 営業損益 経常損益 特別損失 法人税等 当期損益 配当
中間 期末
2010/3  5,016,257 284,443 204,340 0   -86,741   133,775 30 30
2011/3 5,368,536 399,624 317,696  -1,077,685 -478,445 -1,247,348 30 0
増減 352,279 115,181 113,356 -1,077,685 -391,704 -1,381,123    
2012/3 未定 0 0
         2011/3の法人税等には、繰延税金資産取り崩しを含む。
               (2010年12月末時点で約4800億円)
 
 
株主資本(2011/3月末)  単位:百万円
資本金 900,975
資本剰余金 243,653
利益剰余金  前期末残高  1,831,487
 配当支出 -81,002
 当期純損益 -1,247,348
 その他 5
 当期末残高 494,054
   
   
特別損失内訳  単位:百万円
原子炉等の冷却、放射性物質飛散防止等の安全性確保等   426,298
福島第一原発14号機廃止   原発 減損損失 101,692
原発 解体費用 45,842
核燃料損失 44,855
核燃料処理費用 14,627
合計 207,017
福島第一原発56号機、福島第二原発の冷温停止状態維持費用 211,825
福島第一原発 78号機 増設中止損失 39,360
火力発電所復旧等の費用 49,724
その他 86,270
(災害特別損失合計) (1,020,496)
資産除去債務会計基準の適用 57,189
特別損失合計 1,077,685

 * 東京電力は5月20日、福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止および、同7・8号機増設計画の中止を決定した。
 *
損害賠償については含まず
    参考 2011/5/16 
福島原発損害賠償の政府支援の枠組み  

 

発電所名 電力会社 立地 能力(万KW)
稼働中 定期検査
 停止中
震災で
 停止中
廃炉   建設中   計画
福島第一 東京電力 福島県双葉郡
大熊町・双葉町
  C78.4
D78.4
E110
@46.0
A78.4
B78.4
    F138
G138
福島第二 東京電力 福島県双葉郡富岡町     @110
A110
B110
C110
     

 

同社は合わせて、経営合理化方針を発表した。

資産売却  6,000億円以上 不動産  ・厚生施設全廃
      ・事務所建物・PR施設等の売却検討
有価証券
国内外の各事業(電気事業遂行に必要不可欠なものを除き原則売却・撤退
投資・費用削減 2011年度
 5,000億円以上
投資  電気事業遂行に必要不可欠なものを除き実施しない。
費用  あらゆる費用を徹底的に抑制
     ・修繕費 安定供給・公衆安全確保範囲での最大限
       (償却費減と合わせ1,800億円程度)
     ・人件費 役員報酬返上・減額、社員賃金・賞与減額
       (540億円程度)
     ・燃料費等の削減(1,000億円程度)
組織・グループ体制・
人員のスリム化
  (原子力事故の収束などの対応に必要な人員をグループで約5000人確保)

また、2010年9月に決議した公募増資及び第三者割当増資に係る調達額 4,468億円については、当初、低炭素化投資や成長事業投資を計画していたが、これを見直し、増資による調達資金の残額については、当面の電気事業の遂行に必要な設備資金に充当するものとした。

 


2011/5/20  BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解 

BP520日、メキシコ湾原油流出事故の損失負担で三井石油開発(及び子会社MOEX USA とその子会社で事業参加者のMOEX Offshore 2007 LLC )との間で合意に達したと発表した。

三井石油開発は
BPに対し、106500万ドルを支払う。

三井石油開発の出資は
10%で、これまで累計で約21.44億ドルの請求を受けていた。
2011228日時点で185600万ドル)

三井石油開発はは当該鉱区の全権益をBPに譲渡、また本事故に関与する当事者に対する請求権をBPに譲渡する。

今後発生する本事故関連費用について、BPは三井石油開発に対して請求を行なわない。
また、三井石油開発に対する第三者の請求の大部分は
BPが全額補償する。

水質浄化法に基づく米当局からの制裁金や州の環境法に基づく制裁金など(civil, criminal or administrative fines and penalties, claims for punitive damages, and certain other claims) は和解の対象外で、今後負担が生じる可能性がある。

両社は互いの訴訟を取り消すことでも合意した。

なお、25%の株主のAnadarkoも支払いを拒否し、New Orleansの連邦判事に対して、BPがパートナーシップ契約に違反しているとして、原油流出事故による損害や復旧費用の負担の責任がないことを確認するよう求めているが、BPとの話し合いに応じるとしている。


2011/5/21 住友金属鉱山、チリの銅鉱山開発に参加 (ペルーでも) 

住友金属鉱山と住友商事は5月16日、カナダの中堅鉱山会社Quadra FNX Mining がチリに保有する大型銅・モリブデン鉱山案件のSierra Gorda 銅鉱山開発プロジェクトに参画すると発表した。

両社は、チリに持株比率7030 の合弁会社を設立し、Quadra 社の100%子会社でプロジェクト権益を保有するMinera Quadra Chileに開発資金拠出分を含め約724 百万米ドルを出資し、同社株式の45%を取得する。

本プロジェクトの可採鉱量は約13 億トン、埋蔵銅量約500 万トンで2014 年の生産開始をめざしており、マインライフ(操業期間)20 年間平均で年産73 万トンの銅精鉱(銅地金換算22 万トン)と年産2 2 千トンのモリブデン精鉱などを生産する。

両社は生産量の50%(銅地金換算年11 万トン)の引取権を有する。これは日本の銅精鉱総輸入量の約9%に相当する。

本プロジェクトの開発の初期投資額は約29 億米ドルであり、その一部は国際協力銀行を中心とするプロジェクトファイナンスでまかなう計画で、残りは両社およびQuadraが出資または融資により応分に負担する。

アントファガスタ市の北東140km
生産される銅精鉱は山元から既存の鉄道を使ってメヒジョネス港まで運搬し、そこから船積みする。
 

付記

住友金属鉱山はペルーでも銅鉱山開発に参加している。
2014年2月、増産を決定した。

  Cerro Verde 銅鉱山

運営会社:Sociedad Minera Cerro Verde
権益所有者:
   Freeport-McMoRan Copper & Gold  53.6%
       SMM Cerro Verde Netherlands     21.0%(住友金属鉱山側が80%、住友商事側が20%)
       Buenaventura  19.6%(ペルー最大の鉱山会社)
能力:
   選鉱処理量 12万トン/日→36万トン/日
       銅生産量  年間30万トン→50万トン
   住友の権益 約6万3千トン→約10万5千トン/年

ーーー

住友金属鉱山は、2009 年中期経営計画において資源事業を成長戦略の柱と位置づけ、資源権益の獲得に取り組んでいる。
銅については権益シェア分生産量
30 万トン/年をめざしている。

   参考  ニッケル

     タガニートプロジェクトは 
        2009/8/22 
住友金属鉱山、比最大手ニッケル鉱山会社の株式を取得


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