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2004/12/7 公正取引委員会

三井化学株式会社及び出光興産株式会社のポリオレフィン事業の統合について
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/04.december/04120701.pdf

 公正取引委員会は,当事会社である三井化学株式会社(以下「三井化学」という。)及び出光興産株式会社(以下「出光興産」という。)から,両社が予定しているポリオレフィン(注)(以下「PO」という。)事業の統合について事前相談があったので,その検討を行ってきた。
 当委員会は,相談があった内容に関する当事会社の提出資料等及び当事会社が講ずることとしている措置を前提とすれば,本件行為は,独占禁止法の規定に違反するおそれはないものと認められる旨,当事会社に回答を行った(詳細は,別添参照)。
 なお,本件は,「企業結合計画に関する事前相談に対する対応方針」(平成14年12月11日)に基づき,書面審査に加えて詳細審査を行い,その審査結果を公表するものであるが,当事会社からの求めにより詳細審査の回答期限を延長していたものである。

(注) ポリオレフィンとは,ナフサから生成されるエチレン,プロピレンを主原料として生産されるポリエチレンやポリプロピレン(以下「PP」という。)等の熱可塑性樹脂を指す。また,ポリエチレンはその性質により,さらに,高密度ポリエチレン(以下「HDPE」という。),低密度ポリエチレン(以下「LDPE」という。),直鎖状低密度ポリエチレン(以下「L−LDPE」という。)とに分かれる。一般的に,LDPE及びL−LDPEは,軟性の物性が求められる用途(食品包装等)に,HDPEは,硬性の物性が求められる用途(レジ袋,ゴミ袋等)に,PPは,更に硬性の物性が求められる用途(自動車バンパー等)にそれぞれ多く使用されている。


第1 本件行為の概要
 三井化学及び出光興産は,平成17年4月1日を目途に,共同新設分割により,共同出資会社を設立し,両社のPO事業を統合することを計画している。

第2 独占禁止法上の考え方

一定の取引分野
   ユーザーにとって機能・効用が同種であるか否かなどの観点から検討した結果,次の4種類の各PO製品の製造販売分野を,それぞれ,本件における一定の取引分野と画定した。
 ・HDPE
 ・LDPE
 ・L−LDPE
 ・PP
   
詳細審査分野
 本件における一定の取引分野と画定した4分野のうち,本件統合後の市場状況,販売額シェア,順位から,特に競争に及ぼす影響が大きいと考えられた
HDPE及びPPの2つの分野につき,重点的に審査を行った(注)。
(注) LDPEについては出光興産が製造販売していない。また,L−LDPEについては,有力な競争業者が複数存在することや一定の輸入圧力が認められること等から,詳細な検討は必要ないと判断した。
   
独占禁止法上の評価
(1)  HDPEについては,当事会社の市場シェアは約25%・第2位となるが,有力な競争業者の存在,競争業者の代替能力,製品輸入の拡大等から,当事会社が単独で又は協調して,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと考えられる。
   
(2)  PPについては,当事会社の市場シェアが約40%・第1位となり,上位2社が著しく高いシェアを有することとなる。また,国内事業者に十分な供給余力がないほか,アジアでの需給の逼迫,ナフサ価格の上昇等により,輸入品の価格メリットが減少していること等から輸入圧力が十分に働いているとはいえない等の問題点があることから,本件統合により,当事会社が単独で又は協調して競争を実質的に制限することとなるおそれがあると考えられる。
   
当事会社が申し出た問題解消措置
 本件について,当事会社に対し,PPの分野について,上記の問題点がある旨指摘したところ,当事会社は,以下の問題解消措置を採ることを申し出てきた。
(1)  第三者へのコストベースでの長期的引取権の付与
 商社又は競争業者(以下「商社等」という。)との間で,コストベースでの長期(5年間又は相手方との協議によりそれ以上の期間)の生産受委託契約を締結し,3万t/年のPP引取権を付与し,さらに商社等が引取数量の増加を希望する場合には,同一条件でこれに応じることとし,PPを継続的に国内市場に供給する。
(2) 国内外メーカーへの技術ライセンス供与
 国内外のメーカーに対して,PPの技術ライセンス供与を積極的に行い,市場への供給量を増加させるとともに,供与先に日本市場のユーザーが一般的に要求するものと同程度の高い品質のPPが生産できるよう技術指導を実施することにより,輸入を促進するための措置を講じる。
(3) グレードの削減
 当事会社の現在のグレード(銘柄)数を3年間で2割以上削減する。
(4) コンプライアンスの徹底
 統合新会社において,具体的に以下のとおり,更なるコンプライアンス体制の徹底を図る。
  @ 就業規則に,法令に違反するなど会社の名誉又は信用を傷つける重大な行為があったときは懲戒解雇に処する旨(情状により減給,出勤停止等)規定するとともに,全営業担当者等から,独占禁止法を遵守し,違反があった場合は就業規則に則り厳正な処分を受けても異存はない旨の誓約書をとること。
  A 同業者と打合せが必要な業務については,原則営業部門以外の部門の業務区分とすること。
  B 営業担当者等が同業者と面談することが必要な場合には,担当取締役から,事前の承認を得るととともに同取締役に対し事後報告を行うこととすること。
(5) 公正取引委員会への報告
 以上の措置が適正に実行されるよう,措置の具体的条件及び運用について,逐次,公正取引委員会に報告する。また,公正取引委員会の求めに応じて,本措置すべての履行状況について報告する。
   
対応策の評価
 PPの取引分野においては,輸入品の価格が国内価格に比して相当程度低くなれば輸入は増加する蓋然性が高いと考えられることから,その場合には輸入品が一定の競争圧力として働くものと考えられる。しかしながら,今後の需給見通しでは,当分の間アジア需給は供給不足の状態が継続するとされており,輸入が牽制力として働かないと考えられる。
 当事会社が申し出た問題解消措置のうち,引取権の設定については,これが実行されれば,競争業者の供給能力が増大する,あるいはコスト面で対等な立場に立つ新たな競争単位が実質的に創出されるとみることができ,当事会社が単独で又は協調して本件取引分野における競争を制限することに対して有効な競争圧力として働くものと評価できる。
 また,海外メーカー等に対する技術ライセンス供与については,品質に厳しい日本市場でも対応できるような供与先に対する技術指導を含んでいることから,海外において当事会社の技術を持つ新たな競争主体が創出されるとも考えられ,また,直接日本に輸出されない分についてもアジア需給の緩和に資することになり,中・長期的には輸入促進効果が期待できることから,これらを踏まえると,当事会社が単独で又は協調して競争を制限することに対して有効な競争圧力として働くものと評価できる。
 グレードの削減については,現在の需給状況では,グレード削減が持つ効果は限定的であるものの,長期的にみた場合,取引先の変更可能性を高めるほか,比較的少ないグレード数しか有していない海外メーカー品の輸入を容易とするような市場環境の形成を促進するものであると評価できる。
 コンプライアンスの徹底については,これが厳正に実施された場合には,PP業界における協調的行為の未然防止に資するものであると評価できる。
   
第3 結論
  当委員会は,本件統合により
  @ HDPEの分野については,当該分野における競争を実質的に制限することとはならない
  A PPの分野については,当事会社が申し出た対応策が着実に実行された場合には,競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
   なお,今後,当事会社が申し出た問題解消措置の履行を確実なものとするため,必要に応じて,当事会社から報告を受けること等により,その履行状況を監視するとともに,一定の取引分野における競争状況についても十分に把握・監視していくこととする。
   
   
三井化学株式会社及び出光興産株式会社のポリオレフィン事業の統合について(回答)
   
第1 当事会社
   三井化学株式会社(以下「三井化学」という。)は,ポリオレフィン(以下「PO」という。)等の製造販売業を営むものである。
 出光興産株式会社(以下「出光興産」という。)は,PO等の製造販売業を営むものである。
   
第2 統合の概要及び関係法条
   当事会社は,平成17年4月1日を目途に共同新設分割により,共同出資会社(三井化学:65%,出光興産:35%)を設立し,両社のPO事業を統合することを計画している。よって本件統合の関係法条は,独占禁止法第15条の2である。
   
第3 統合の目的
   当事会社は,国内需要が伸び悩む中で,欧米メーカーの合従連衡,アジア・中東における生産設備の新増設による国際競争の激化,更なる関税引下げ等による輸入圧力の高まりを受け,事業再構築による競争力の強化を図る必要があることから,本件統合を計画したとしている。
   
第4 一定の取引分野
製品の概要
   POは,ナフサから生成されるエチレン,プロピレンを主原料とするポリエチレン(以下「PE」という。)やポリプロピレン(以下「PP」という。)等の熱可塑性樹脂を指し,PEはその性質により,さらに,高密度ポリエチレン(以下「HDPE」という。),低密度ポリエチレン(以下「LDPE」という。),直鎖状低密度ポリエチレン(以下「L−LDPE」という。)とに分かれる。
 また,PO製品には,製品仕様の違いによって各種グレード(銘柄)が存在しており,POメーカー間において汎用性のある「汎用グレード」と,ユーザー個別の仕様に応じた「特殊グレード」とに分かれる。グレードは,POメーカーが自社の売上げを伸ばすために,ユーザーが求める細かい仕様にその都度対応してきた結果,多数のグレードが存在することになっているが,近年,国際競争の激化に伴いグレードの過多が無視できないコストアップ要因となっていることから,各メーカーはグレードを削減する傾向にある。
   
一定の取引分野
 一定の取引分野の画定については,ユーザーにとって機能・効能が同種であるか否かなどの観点から検討した。POの各品目については,それぞれ一部代替性があるものの,成形性,柔軟性,強度等といった物質の特徴から主たる用途(注1)を異にしていること,また製法又は原料に差異があることから,HDPE,LDPE,L−LDPE及びPPの4品目の製造販売分野についてそれぞれ一定の取引分野が成立するものと考えられる。
 本件においては,当事会社が製造販売する製品のうち,競合するHDPE及びPPについて詳細に検討した(注2)。また,地理的範囲については,全国市場として画定した。

(注1)
 一般的に,PEは主にフィルム用途等に用いられ,LDPE及びL−LDPEは,軟性の物性が求められる用途(例:食品包装等)に,HDPEは,硬性の物性が求められる用途(例:レジ袋,ゴミ袋等)にそれぞれ多く使用されている。PPは,更に硬性の物性が求められる射出成形用途(例:自動車バンパー等)等に多く使用されている。
(注2)
 LDPEについては出光興産が製造販売していないこと,L−LDPEについては,統合後のシェアが比較的低いこと,有力な事業者が複数存在すること,一定の輸入圧力が認められること等から,詳細な検討は必要ないと判断した。
     
第5 取引分野ごとの検討
HDPE
(1) 市場の状況
 HDPEの平成15年度における国内市場規模は約1239億円である。
 HDPEを使用した加工製品の輸入の増加による国内需要の減速に加えて,販売価格が下落していることが大きな要因となり,市場規模は近年縮小傾向にある。
 本件統合により,当事会社の市場シェアは,約25%・第2位となる(統合後のHHI約2400・HHI増加分約300)となる。

メーカーシェア

1 A社 約35%
2 三井化学 約15%
3 B社 約15%
4 C社 約10%
5 出光興産 約10%
6 D社 約10%
7 E社 5%未満
  輸入品 5%未満
(2) 当事会社合算 約25%

(出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(2) 考慮事項
  取引先変更の容易性
 HDPEの分野においてはA社,B社,C社というシェア10%超を有する有力な事業者が複数存在するとともに,汎用グレードが主体となっており国内メーカー間の品質差はほとんどなく,複数購買をしているユーザーも多いことから,ユーザーによる取引先変更は容易であると認められる。
 
競争業者の供給余力
 競争業者の供給余力は現状では比較的余裕があることが認められる。
  川下市場からの競争圧力及び輸入圧力の存在
 近年,HDPE自体の輸入比率は減少しているが,これは,HDPEの中心的用途であるフィルム製品について安価な製品輸入が急速に伸びているためであり,HDPEの値上げに対する有効な圧力になるものと考えられる。
 また,HDPE自体の輸入品について,輸入価格と輸入量との間におおむね一定の相関関係がみられ,ほとんどの分野で品質的な問題はないとする意見も多いことから,今後輸入価格が低下した場合には輸入も増加する蓋然性があると考えられる。
     
(3) 独占禁止法上の評価
 本件統合が行われたとしても,有力な競争業者の存在,競争業者の代替能力,製品輸入の拡大等から,当事会社が単独で又は協調して,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと考えられる。
     
PP
(1) 市場の状況
 PPの平成15年度における国内市場規模は約3424億円である。
 PPの国内需要量は,近年拡大傾向にあるものの,販売価格が低下傾向にあることから,結果として市場規模はおおむね横ばい傾向にある。ただし,平成15年後半以降は,価格は上昇傾向にある。
 本件統合後において,当事会社の市場シェアは,約40%・第1位(HHI 約2900・増加分約700)となる。

メーカーシェア

1 F社 約35%
2 三井化学 約20%
3 出光興産 約20%
4 G社 約10%
5 H社 約10%
  輸入品 約5%
(1) 当事会社合算 約40%
  100%

(出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(2) 考慮事項
  統合新会社の地位及び競争業者の状況
 本件統合により,競争業者が5社から4社に減少し,高度に寡占的な市場になるとともに,上位2社が著しく高いシェアを有することになる。
  競争業者の供給余力
 国内を含むアジア需要の拡大により,国内事業者の稼動率は総体的に高くなっている。
 一部の競争業者にはある程度の供給余力が認められることや,設備増強計画を表明しているなど,今後供給余力が生じる可能性もみられる一方,供給余力がほとんどない事業者も認められる。
  限定的な輸入圧力
 過去には,内外価格差がある程度存在する場合には輸入比率が高くなる傾向がみられた。しかし,現在は中国市場の需要の拡大により需給が逼迫していることに加えて,輸入品はナフサの価格変動の影響をより強く受けるところ,ナフサの高騰による輸入品の価格上昇がみられることから,輸入品の価格メリットが失われており,今後もその傾向は当面続くと考えられる。また,自動車部品用途(PP需要の約3割を占める)については,ユーザーの品質基準が厳しいため主に特殊グレードが用いられていることから,汎用グレードが主体である輸入品では代替が困難である。したがって,輸入圧力は限定的であると認められる。
  ユーザーの調達方針
 汎用グレードについては,国内メーカー間で品質の差はほとんどなく,HDPEと同様複数購買をしているユーザーも多く,取引先メーカーとは,国内他社品や輸入品を引き合いに出して価格交渉をしている。
 ただし,現在は前記イ,ウにあるように,代替的な供給を求めることが困難であり,価格牽制としての複数購買が機能しなくなっている。
     
(3) 独占禁止法上の評価
 本件統合により,高度に寡占的な市場となること,内外の好調な需要により国内競争業者の稼動率は総体的に高く,供給余力があると認められない事業者もあること,中国を中心とする需要拡大を背景とする需給の逼迫に加えて,ナフサ価格の高騰による輸入価格の上昇による価格メリットが減少しており,また,一部ユーザーにおいて輸入品の使用は限定的であること等から輸入圧力が十分に働いているとはいえないことなどから,特段の問題解消措置が採られない場合には,本件統合により,当事会社が単独で又は協調して競争を実質的に制限することとなるおそれがあると考えられる。
     
第6  PPについて当事会社が申し出た問題解消措置及び独占禁止法上の評価
   当事会社に対し,PPの分野に関して上記の問題点がある旨指摘したところ,当事会社が,問題解消措置等を検討するため詳細審査の回答期限の延長を求めてきたので,当委員会はこれを了承した。その後,当事会社は以下の問題解消措置を採る旨申し出てきた。
     
当事会社が申し出た措置の概要
(1) 第三者へのコストベースでの長期的引取権の付与
 商社又は競争業者(以下「商社等」という。)との間で,コストベースでの長期(5年間又は相手方との協議によりそれ以上の期間)の生産受委託契約を締結し,3万t/年のPP引取権を付与し,さらに商社等が引取数量の増加を希望する場合には同一条件でこれに応じることとし,PPを継続的に国内市場に供給する。
 当事会社は,商社等との生産受委託契約の締結に当たっては,当該契約に基づき供給するPPにつき「原則として国内販売向けとする」旨を規定する。また,引取権の条件は原則引取義務を伴うもの(take or pay 方式(注3)とする予定であるが,当該条件で引き受ける商社等を見いだしがたい場合には,引取義務を履行できない数量に係るコスト分の支払を免除する。
(注3)
「take or pay 方式」とは,仮に約束した数量を引き取らなくても当該数量の製造に要したコストを支払う義務を相手に負わせる方式をいう。
     
(2) 国内外メーカーへの技術ライセンス供与
 国内外のメーカーに対して,PPの技術ライセンス供与を積極的に行い,市場への供給量を増加させるとともに,供与先に日本市場のユーザーが一般的に要求するものと同程度の高い品質のPPが生産できるよう技術指導を実施することにより,輸入を促進するための措置を講じる。
(3) グレードの削減
 当事会社の現在のグレード数を3年間で2割以上削減する。
(4) コンプライアンスの徹底
 統合新会社において更なるコンプライアンス体制の徹底を図る。具体的には以下のとおり。 
  ア   就業規則に,法令に違反するなど会社の名誉又は信用を傷つける重大な行為があったときは懲戒解雇に処する旨(情状により減給,出勤停止等)規定するとともに,全営業担当者等から,独占禁止法を遵守し,違反があった場合は就業規則に則り厳正な処分を受けても異存はない旨の誓約書をとること
   同業者と打合せが必要な業務については,原則営業部門以外の部門の業務区分とすること
   営業担当者等が同業者と面談することが必要な場合には,担当取締役から,事前の承認を得るとともに同取締役に対し事後報告を行うこととすること
(5) 公正取引委員会への報告
 以上の措置が適正に実行されるよう,措置の具体的条件及び運用について,逐次,公正取引委員会に報告する。また,公正取引委員会の求めに応じて,本措置すべての履行状況について報告する。
   
問題解消措置に対する当委員会の評価
 本件取引分野においては,輸入品の価格が国内価格に比して相当程度低くなれば輸入は増加する蓋然性が高いと考えられることから,その場合には輸入品が一定の競争圧力として働くものと考えられる。しかしながら,今後の需給見通しでは,当分の間アジア需給は供給不足の状態が継続するとされており,輸入品が牽制力として働かないと考えられる。
 当事会社が申し出た問題解消措置のうち,引取権の設定については,これが実行されれば,競争業者の供給能力が増大する,あるいはコスト面で対等な立場に立つ新たな競争単位が実質的に創出されるとみることができ,当事会社が単独で又は協調して本件取引分野における競争を制限することに対して有効な競争圧力として働くものと評価できる。
 また,海外メーカー等に対する技術ライセンス供与については,品質に厳しい日本市場でも対応できるよう供与先に対する技術指導を含んでいることから,海外において当事会社の技術を持つ新たな競争主体が創出されるとも考えられ,また,直接日本に輸出されない分についてもアジア需給の緩和に資することになり,中・長期的には輸入促進効果が期待できることから,これらを踏まえると,当事会社が単独で又は協調して競争を制限することに対して有効な競争圧力として働くものと評価できる。
 グレードの削減については,現在の需給状況では,グレード削減が持つ効果は限定的であるものの,長期的にみた場合,取引先の変更可能性を高めるほか,比較的少ないグレード数しか有していない海外メーカー品の輸入を容易とするような市場環境の形成を促進するものであると評価できる。
 コンプライアンスの徹底については,これらが厳正に実施された場合には,PP業界における協調的行為の未然防止に資するものであると評価できる。
 以上により,当事会社が申し出た問題解消措置も含めて総合的に勘案すると,当事会社が申し出た対応策が着実に実施されれば,本件統合により,PP分野における競争を実質的に制限することとはならないと考えられる。
   
第7 結論
  当委員会は,本件統合により
  @ HDPEの分野については,当該分野における競争を実質的に制限することとはならない
  A PPの分野については,当事会社が申し出た対応策が着実に実行された場合には,競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 なお,今後,当事会社が申し出た問題解消措置の履行を確実なものとするため,必要に応じて,当事会社から報告を受けること等により,その履行状況を監視監視するとともに,本件の一定の取引分野における競争状況についても十分に把握・していくこととする。