内需の縮小でエチレンセンターの統廃合が進む国内の石油化学業界だが、大分の石油化学事業だけで100億円近い営業利益を稼ぎ出すクラサスはいまのところ単独での成長戦略を描く。成長の源泉は何か。コンビナート再編が加速しているが、福田社長は「われわれは一人でやっていける」と断言した。

市況低迷でも大分コンビナートは石油化学だけで87億円の黒字

――大分コンビナートの2023年12月期の営業利益は87億円を稼ぎ、低稼働が続く日本のエチレンプラントの中でも平均より高い稼働率と聞いています。

 トラブルでプラントが停止しない回数がこの5、6年で国内トップレベルにあります。プラントは一度でも止まると数億円の赤字がすぐに出てしまいます。われわれはメンテナンスや補修、オペレーションの能力が高いと自負しています。

 もう一つは原料の多様化ができる設備であるということ。灯油、軽油、LPG(液化石油ガス)、ブタンなどナフサ(粗製ガソリン)以外の材料をクラッキング(分解)できる設備を持っています。必要量の20%くらいのナフサ以外の原料を安い時に買っています。ナフサそのものはENEOSの大分製油所から購入していますが、それ以外は全て輸入です。われわれのプラントは多少不純物が混じっていても分解できるため、タイミングを捉えて安い原料を機動的に買えるのです。

――それが他のエチレンセンターとの違いでしょうか。

 ナフサ以外の原料を20%使っていると言いましたが、これは他のナフサクラッカー(エチレンプラント)よりも高い比率です。もう一つは赤字の製品をどんどん整理統合してきた歴史があります。大赤字を出す製品がエチレンセンター内の連結対象の川下誘導品にないので、他社に比べると売上高は半分くらいになりますが、赤字が出にくい体質になっているのです。

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