日本とアジアの石油化学の現状その他を、各社のホームページや新聞雑誌情報を基にまとめ
た個人のデータベースです。

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 その他化学及び周辺業界 事業統合に対する公取委判断 中国市場 

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各社トップの語録                    Back 

 

日本経済新聞 2014/12/21 成長戦略、進む道は

三菱ケミカルホールディングス社長 小林喜光氏

政府は投資促す覚悟示せ

ーー 衆院選ではアベノミクスの問題点として、「中小企業と地方に恩恵が少ない」との声が目立ちました。

「中小企業への政策は重要だが、順番としたらまず大企業だろう。金融緩和を通じた円高の修正。その判断は正しかった。大企業が潤えば、中小にそれが下りていく。下りないという人もいるが、やは
り下りていってトリクルダウン(浸透)は起きる。『浸透』まで、もう少しの辛抱ではないか」

ーー その大企業は、国内の,設備投資があまり増えていません。

「あれだけ円高が続いたから、自動車や電機でかなりの国内生産が海外に流出した。簡単には回帰しない。だが、海外で稼いだ利益を円に戻す時の換算益が円安によって増加し、海外事業からの配当金、知財収入も増えているから国内投資は徐々に戻る」

「経営者は今、日本が長期的に投資に値するかどうかを見定めている段階だ。例えば、日本の財政は健全性が課題だ。基礎的財政収支の黒字化が厳しくなってきたが、それでも黒字にするストーリーを描くと言っている。そこを見極めないといけない。法人税率も2015年度に2%強下げるというが、研究開発減税の見直しも含め実効的にどうなるかだ」

ーー 首相は「世界で一番ビジネスしやすい環境を整える」と言っています。成長戦略は今後、どこをどう補強すべきですか。

「法人税について言えば、ロードマップだ。日本は最終的に、シンガポールや韓国と比較しつつどこまで法人税率を下げる覚悟があるかだ。目標を明確にし、前に進んでほしい。イコールフッティング(競争条件の均等化)だ。円高は修正されたが、労働法制や自由貿易協定への取り組み も含めて、日本企業のハンディは大きい」

「政策的に、どうにもならないものが日本には2つある。エネルギーコストの高さと資源の外部依存だ。だが、それでさえもイコールに近づける道はある。電気料金や石油価格の影響を受けにくい産業領域に、国家を挙げてトランスフォーム(産業構造転換)することだ。そういう方向性というか、覚悟が政府から出てこないと本格的にはなかなか投資が日本に向かわない」

「為替は見事に円高修正してくれたが、全体としてはまだ『六重苦』問題をクライテリア(起点)に考えざるを得ないのが経営者心理だ。それにこたえるには大胆な制度設計が要る」

ーー 具体的には、どんな分野でそれが必要ですか。

「例えば健康・医療だ。日本が高齢化し、人口も減っていくなかで、毎年1兆円ずつ社会保障費の支出が増えていく。そういうなかで、健康や予防医療産業のイノベーション(技術革新)は国内でやるしかない。軽量化部材、有機太陽電池、発光ダイオード(LED)など省資源、省エネ的な分野もそうだ。この2つは確実に日本で投資できる。規制を緩和してくれさえすれば、海外企業とのハンディキャップは小さい」

ーー 首相は「(規制の)岩盤を崩す」とも言っています。どの辺りに注目しますか。

「既に実施された規制の『グレーゾーン解消』の例で言えば、血を自分で採れば、医者に行かなくてもドラッグストアで13種類の血液検査をしてくれる。そんなサービスは新しいビジネスになる。そういうところで一つ一つ規制緩和を進めて、事業してよい領域を増やしていってほしい」

ーー中小企業にはどんな成長戦略が必要ですか。

「中小企業や地方が疲弊したのは、大企業が海外に生産を移転し、空洞化が進んだ影響もある。そういう意味では大企業と課題は同じだ。国内にどんな新産業をつくり、事業をどうシフトしていくかが問われている。やはりトランスフォームだ」

「受け皿は医療、介護、観光、6次化された農業などが考えられる。雇用維持のためのばらまきをやっても一時しのぎだ。大企業にも言えることだが、弱っている企業があっても、補助金を出すより法人税など税負担を減らして、公平公正な競争を可能にする土俵づくりをめざすべきだ」

「結果的に『ゾンビ企業』を生き残らせる政策は適切でない。中小企業の多い地方の再生を進めるうえでも、既存産業の生産性を上げたり、付加価値の高い新産業に置き換えたりしていく取り組みに政府も民間も知恵を絞りたい」
 


私の履歴書 2011/10

  東レ 前田勝之助名誉会長 


 

日本経済新聞 2011/8/12

コマツ 坂根正弘会長

ー 日本でも大型再編の機運が高まってきた。

「雇用を守るために一度始めた事業をやめるわけにはいかない」という経営者がいるが、本当に雇用を大事にしているのか。
そんな企業同士が一緒になっても成果が出ず、結局は雇用を失う。
当社は事業をかなり整理し、子会社も減らした。犠牲にすべきところを犠牲にしない限り国際競争力はつかない。これまでの日本人の特性も変わらざるを得ない。

 


 

日本経済新聞 2011/2

会社に化学変化を起こす

 三菱ケミカルホールディングス社長 小林 喜光さん


日本経済新聞 2010/10/26

主力事業の中国市場頼みは危険  信越化学工業金川会長

▽…「主力事業を中国に頼ってはならない」。信越化学工業の金川千尋会長は25日、中国市場について「巨大な市場であることは間違いないが、深入りして失敗したら会社がつぶれる」と語った。レアアース(希土類)の輸出制限など、リスクが見え隠れする局面で日本の産業界に警鐘を鳴らす。
▽…世界首位に立つ塩化ビニール樹脂事業では主力の米国拠点の増強が完了、年産能力は日本の内需の2.6倍にあたる260万トンになった。「米国から中南米やアフリカ、中近東を開拓」し、中国には日本からの輸出で対応する。「円高で採算はトントン」だが、中国進出にはやはり慎重な姿勢だった。


 

日本経済新聞 2009/7/18

三菱ケミカルホールディングス社長 小林喜光氏

三菱ケミカルは樹脂原料になるエチレンの生産体制見直しなど改革の方向性を示した。ただ石化プラントは石油元売りなど利害関係者が多い巨大な装置事業のため、一筋縄ではいかない。塩ビ樹脂やナイロンの撤退も決めたが、改革後の姿を具現化するには2〜3年必要だ。投資家に理解してもらうまで時間がかかるのは仕方ない」

日本の化学会社が石油を使ったビジネスで勝てるわけがない。中国石油化工(シノペック)との提携やスイスの樹脂会社買収(三菱樹脂によるQuadrant AG買収)で海外の足場を広げつつ、太陽電池やLED(発光ダイオード)照明といった高機能分野に力を入れる。針路は問違っていない」

日本で生産する石化品は一部輸出されているが、それほど採算が良いわけではない。にもかかわらず新興国の経済成長を背景に生き永らえてしまった。


2008年01月30日 週刊ダイヤモンド

信越化学工業社長 金川千尋
「先読みに理屈はいらない。市況が教えてくれる」


2007/11/9 Chemnet Tokyo

“世界企業”への自覚と戦略 三菱ケミカルホールディングス社長 小林喜光氏

― 従来型の化学、石油化学事業の展開はどうなりますか。

 当社は化学をベースにした会社ではあるが、中東にまで原料を求めるつもりはない。エチレンセンターも持ちつつ、高度化されたファインケミカル事業を展開していきたい。コークスを70年やってきた炭素化学の歴史がある。カーボンファイバーとか、ナノチューブなど将来的に楽しみだ。石油化学は中東、インド、中国などの台頭があるが、当社もアライアンスやリファイナリーを含めて対応していけば、まだやっていける。

 


2007/10/29 日本経済新聞

住友化学 米倉社長対談 共創ジャパン これからの成長を考える   グローバル化と人材育成

 


2006/11/29 日本経済新聞

トップに聞く企業戦略 信越化学工業 金川千尋社長
 半導体ウエハー 増産加速

ー もう一つの基幹事業の塩ビ樹脂の動向は。
 「主戦場である米国の経営環境は悪い。8月までは良かったが、9月以降、需給が悪化している。米住宅着工戸数は年初に200万戸を超えていたが、10月は148万戸まで減った。かなりひどい落ち込みだ。中国勢の増産のあおりで、アジアの需給も良くない」
 「米国の需給が回復しなければ、米子会社は輸出で補う。中南米、インド、中東に加え、11月からトルコにも出荷を始めた。
来年末には米国で増産設備を稼働させる。売り切るには相当な努力が必要だが、米子会社は最高益となる今期並みの業績を来期も確保したい」


2006年10月16日 Chemnet Tokyo

米倉・住化社長「石油市場のファンダメンタルズ変わらず」
安倍首相の訪中評価、中国での事業展開拡大へ
 
 住友化学の米倉弘昌社長は16日、記者団と懇談し「原油やナフサ価格が下がっているといっても、ファンダメンタルズは変わらない。冬場の需要期に向かってまた上昇する可能性がある」など、当面の問題について語った。
 
 この中で、安倍首相の中国訪問を「大変喜ばしいことをしていただいた」と評価。「今後は政治的にも心配なくやっていけるので、グループ企業も含めて、より積極的に取り組んでいきたい」と中国での事業展開拡大に意欲を示した。主な発言内容次の通り。
 
(1)石化原料の高騰からポリプロなど、これまでに7回の価格改定を行い、7月には第8次値上げを打ち出した。その後、原油やナフサ価格は下がったが、ファンダメンタルズは変わっていない。冬場の需要期に向かってまた上昇する可能性が大きい。

 世界的に見ても原油の需要は中国など経済成長国の出現によって、2004年は120万バレル、05年100万バレル、06年も100万バレルと毎年増加している。
 
 ナフサもこれから中国で大型石化プラントが稼動に入る。需給バランス上からも、原油価格以上にナフサ価格が上昇すると予想される。石化製品価格についても、引き続きコストに見合った改定が必要になるだろう。

(2)サウジ・ラービグ計画は、今年3月19日に起工して以来、工事が順調に進み、すでにパイプなど資材の搬入が始まっている。現在、当社の社員50人が現地入りしているが、ピーク時には200人に増やす。08年後半の完成に向けて万全の体制で臨みたい。

(3)大日本住友製薬は合併発足して1周年になるが、「融合」という言葉が必要ないほど一体化がうまく進んでいる。主力4品目がいずれも好調なので、存在感ある先進的な製薬会社として発展してほしい。

(4)液晶など電子情報分野では、偏向フィルムなどの価格の値下がりが激しい。販売量の拡大と合理化などにより収益改善に努力しているところだ。

(5)安倍首相の中国訪問によって、首相の持ち味を活かしたかたちで両国間の関係改善が図られたことは大変喜ばしい。これまで頭にこびりついていたものが取れて、政治的にも心配しないでやっていける意義は大きい。

 当社はすでに大連に農薬中間体、上海に偏光フィルム、無錫に電子情報材料の各工場を持ち、さらにトヨタ、ホンダの工場建設に合わせて、新たに2カ所に合成樹脂部材工場を建設中だが、これらを合わせると現在中国内では8都市、17カ所に拠点をもっていることになる。これからもグループ企業を含めて中国での事業展開にさらに積極的に取り組んでいきたい。


日本経済新聞 2006/5

私の履歴書 金川千尋


日本経済新聞 2006/2/27

IT景気の行方は  需要後退の気配見えず 信越化学工業社長 金川千尋氏

 半導体市況に波はあるし、後退局面に耐える準備は必要だ。ただ
需要のすそ野が広がった効果から落ち込みは小さくなった。

 米国経済にも財政、貿易赤字など不安要素はあるものの、底力を感じる。

 中国の設備過剰が悩ましい。塩ビ樹脂を例にとると、中国の年産能力は900万トンともいわれ、需要を上回って設備稼働率は6割程度にとどまっている。鉄鋼などもそうだが、余剰生産分を輸出に振り向ける一方で、国外で石油をはじめとした基礎資源の買収に動いている」

 魅力のある新製品を作って消費を喚起させることが重要だ。デジタル家電のような独自商品を開発していく日本の強みを発揮すればいい。消費者はお金を持っているのだから、興味をひく商品を出せば買ってもらえる。消費が上向けば半導体の動きもさらにしっかりしたものになる。あとはバブルを防ぐことだが、金融政策は日銀を信頼して任せればいい


TV 朝日 2005/6/12 トップに迫る 

10年連続最高益更新 信越化学 金川社長
http://www.tv-asahi.co.jp/semaru/contents/thisweek/0015/

 投資というのはどんな投資でもリスクはある。リスクは踏まざるを得ないリスクと、踏んではいけないリスクがある。踏んじゃいけないリスクはカントリーリスクです。例えば中近東。原料が安い、つまり入りやすいところ、広い門から入るところはカントリーリスクが概して高いところが多い。アメリカみたいに競争が 激しく、狭き門はカントリーリスクが少ないところが多い、結果的に。アメリカの場合は政治経済ともに安定しているし、中近東はいつ何が起きるか分からな い。

 中国の場合は カントリーリスクというと語弊があるかもしれないが、例えば我々の商品の基礎中の基礎の原料である石油とか電力を、政府が一番コントロールしている。我々が下流、ダウンストリームでいくら努力して、事業を成功させても、上流で押さえられたらそれで一発で終わり。つまり、我々の経営努力ではできないものがあるところではやってはいけない、というのが私の考え方。経営努力で克服できるものは経営努力で克服するが、できないものはやらない。


日本経済新聞 2005/5/9  住友化学 米倉弘昌氏

日本よアフリカをめざせ 援助にあらず、投資対象に 

日本が協力して東アフリカに自由貿易地域をつくればいい。


日本経済新聞 2004/12/29

日本経済 2005年への視点 株価と経営
 金川千尋 信越化学工業社長

企業の実力差鮮明に
ー 景気の先行きを懸念する声が出ています。
 「今年を振り返ると、ピークは5月から7月ごろまでだった。塩化ビニル樹脂なども中国の旺盛な需要に支えられた。それが年末に向けて停滞気味になってきた。それを悪くなったと表現すればその通りだが、要はブームが過ぎ、努力が求められる普通の状態に戻るということだろう。

横ばいか減益も


日本経済新聞 2004/10/19

信越化学 金川千尋氏 「事業の強さで貢献」(日経フォーラム 世界経営者会議)

 原油高への対処や熾列な技術開発競争、中国の台頭など、それぞれの企業の「経営力がありのままに業績に表れる時代になった。経営者は従来にも増して、「正確な現状分析」「高度な判断」「明確な業務の執行」が求められている。

 ウエハーなどの先端製品、塩ビのような汎用品、シリコーン樹脂など先端と汎用の中間に当たる製品をそろえた商品構成が、景気の好不況による波を小さくし、安定した成長を支えてくれる。もちろん、各業界で競争に勝てる強い事業にできなければ、多角化しても安定成長はできない。変化の激しい社会での組織のかじ取りでは、トップが状況を正しく把握し、自ら戦うことが求められる。経営者が日夜、懸案解決のために努力することが企業の持続的発展に欠かせない条件だ。


日本経済新聞 2004/9/1

トップに聞く企業戦略 昭和電工 大橋光夫社長 

 「石化の体質強化は目標レベルにほぼ達した。具体的には、過去20年低収益体質が続いたポリエチレンなどの合成樹脂事業を子会社から持ち分法適用に変え、樹脂の原料となるモノマーと当社の競争力が高い酢酸系事業に絞り込んだ。これで市況や景気変動の影響を受けにくくなった」
 「現在の非ナフサ原料使用率は3割弱。石化の拠点である大分事業所は昔から不純物の多いナフサなど安価な原料を使う努力をしてきた。今後は5割程度に高めたい。コストを下げるのが究極の目的だが、中東依存度を下げて原油価格に振り回されない企業体質にするのも狙いだ」

 「HD:撤退する企業から安く買収することで固定費が抑えられるし、世界全体の生産能力を増やさないので需給も軟化しない。そもそも、今のHD価格は設備を新増設して採算が合うレベルではない」


週刊現代 2003/10/25

勝っているトップはここが違う 信越化学工業金川千尋社長登場!
 8期連続最高益を更新中 「中期計画・組織改革・CIはムダ」      

 「文句を言うのは何もしていない人間。本気で何かに取り組んでいる人は、必ず共鳴してくれる。そうでなければ会社は強くできない」
ーー圧倒的な高収益体質で快走する信越化学工業の金川千尋社長はこうカ説する。名経営者が明かす、意外な“経営の極意”とはーー。 

ー えっ、中期計画もムダですか。
金川 ムダの最たるものですよ。中期計画を作るために各工場から何人もの人間が集まりますが、1年先の状態が分からないのに、3年先が誰に読めるか。売り値を高くして原価率を下げれば、いくらでも帳簿上の利益は書ける。仮定に基づいた計画を作って喜んでいるヒマがあったら、別のことに時間を使ったほうがよっぽどマシです。


信越化学 金川千尋社長 日刊ケミカルニュース 2003/7/30

塩ビ樹脂の内需低迷深刻、今年140万t程度に・・・

『内需140万t、輸出30−40万tとみて能力を170−180万tまで圧縮すれば収益体質づくりは可能だ』。


信越化学、金川社長   日本経済新聞 2003/5/12-

  連載 己をも信じず



昭和電工 大橋光夫社長
日本経済新聞 2003/4/16

「対等」合併は難しい 

「過当競争の化学業界にとっても交渉がまとまるのが最善だったが、当事者が一緒にやっていけないと判断したのなら仕方がない」
「折半出資など対等の立場で作った会社は主導権争いに終始してうまくいかない」
(統合がかえって業界の混乱を招くなら)「思い切って白紙撤回したのは次善の選択」


三菱化学 冨沢龍一社長    日本経済新聞 2003/4/11

ー 三井化学と住友化学工業の経営統合が破談になった。

 「石油化学業界は過当競争・供給過剰から抜けられずにいる。再編は避けられない。再編の核ができると期待していただけに、統合がうまくいかなかったのは残念だ」。


信越化学、金川社長   化学工業日報 2003/3/10  全文

 「景気の立ち直りに期待するつもりはない。どうしたら事態が打開できるのか、その道筋を示すのが経営者である私の役割だと思う。・・・・構造的な不況となると、切り抜けるのは大変だ。それでも、今後も常に新しい気持ちで目標に向かって挑戦していきたい。」

 「新規事業を生み出さなないことには企業の未来はない。・・・・私自身もできるだけ関与することにしている。またM&Aに関しても、情報があれば現場で判断せずに、私に報告するようにしている。ただM&Aは時間を節約するメリットはあるが、失敗すると連結業績を大きく傷つける可能性もあるので慎重に進めたい。」


信越化学、金川社長   化学工業日報 2003/1/1

 塩ビ事業では、今後の中国戦略について問われるが、塩ビ事業に限らず当社にとって中国は重要な輸出マーケットであり、これからも経済が高成長を続けていくことは間違いないだろう。実際、中国には昨年6月にシリコーン事業で合弁会社を設立している。しかし、カントリーリスクの大きい中国に塩ビなどの大型投資を行うことは考えていない。


 

三井化学 中西社長  Chemnet Tokyo 2002/11/20

 (1)エチレンセンターからプロピレンセンターへの転換
 (2)高コスト構造の変革によるコスト削減
 (3)得意技術の強化による差別化と集中--
 の三つのテーマを柱に石油化学事業を変革していく

 詳細



出光石化 厩橋社長    化学工業日報 2002/11/12

 今後、中国にメジャーが進出し、中東ではエタンベースのエチレン設備が本格化するが、当社は原料では負けない。たとえば中東ではプロピレンが生産されないが、出光グループには精製のFCC(流動接触分解)プロピレンがある。

 千葉地区は日本有数の石化コンビナート集積地域だが、日本最強の製油所(出光興産・千葉製油所)があるコンビナートと見ることもできる。原料に強みがあり、用地に余裕があるというのは、アライアンスを考える上で有利な条件だ。

   インタビュー


三菱化学 冨沢龍一社長   日本経済新聞 2002/10/7

提携の動きカギ
(設備集約)
 「需要が落ちてくればどこかの会社がエチレン生産設備などの停止に追い込まれるかもしれない。だが各社とも巨大なコンビナートを抱え、様々な製品を生産しているので単独での廃棄は難しい。アライアンス(提携)がキーワードになる」

(医薬事業)
 「ここ数年、製薬業界全体に閉そく感が漂っている。欧米で巨大企業同士の合併・買収が進み、世界的な再編から取り残されてしまった。海外勢が日本での営業力を強化しているし、薬価引き下げと医療費の自己負担増で、経営環境は厳しくなる。やはり、アライアンスが活発になるだろう」


出光興産、天坊社長 化学工業日報 2002/7/3

 出光石油化学は規模も大きく、これまで出光興産とは"兄弟会社"として、それぞれ独自に運営してきた傾向があった。しかし、
これからは連結経営強化の一環として100%こちらの歩調に合わせてもらう。大きな切り口でいえば日本の石化業界は厳しい国際競争のなかを一人で勝ち抜いていくのは難しく、コンビナート同士の戦い、競争力の問題になってくる。出光でも千葉、徳山双方で、周辺の企業と協力、連携、どのようなかたちで生き残れるのか、早急に具体策をまとめたい。


旭硝子石津進也社長 石油化学新報 2002/2/1

(懸案の千葉、鹿島におけるクロール・アルカリ事業の地域需要対応型への転換については・・・これまで生産体制の縮小も検討してきたが、京葉モノマーや鹿島塩ビモノマーなどにおける他社との共同運営体制に加え、コンビナート内のエチレン・塩素バランスを考慮した結果) 

「現時点では本来のゴールに向けての考えを実行するに至らなかった」

  詳細記事 別紙  


2003/3/12 石津社長インタビュー

 千葉地区では現在、生産拠点として自社の電解設備と塩素系溶剤事業合弁会社の旭ペンケミカル、塩ビモノマー事業合弁会社の京葉モノマーを有するが、原料エチレンを供給する丸善石油化学などの動向次第で各設備を停止する考えを改めて示した。


信越化学金川千尋社長 朝日新聞 2002/1/23  

 (「化学メーカーの苦戦が続く中で奮闘が目につく」とのコメントに対して) 他社もそれぞれ必死に努力しているが、先の読み方に違いがある。シリコンウエハー事業では増設時期の早さが決め手になった。機先を制した者が勝つ。
 塩ビ事業で黒字なのは世界中で信越化学だけ。品質に自信がある。世界シェア1位の実績がそれを裏付けている。(塩ビは)国内では伸び悩むが、米国では好調だ。普段から余計な人は採らず、徹底したコスト削減を進めている。だからリストラも必要ない。  

 別紙 2002/5 インタビュー


住友化学・米倉弘昌社長  日刊工業新聞 2002/1/17      (日本経済新聞 2002/7/17

 (汎用樹脂の)プラントにも手はつけざるを得ないだろう。ただ汎用品について水際の競争力で輸入品に対抗することにばかり力を注いでいると、いたちごっこになりかねない。それよりも他社に追随できない技術や付加価値の高い製品を開発するべきだ。
 市況の影響は(エチレンよりも)むしろ川下の誘導品の方が大きい。原料を安定的に確保するうえでもエチレンと誘導品を一体で自社運営する方が得策と考えている。千葉地区では三井化学、丸善石油化学と緊密な関係ができており、設備更新の機会がない限り、これ以上の一体運営は考えられない。


三井化学・中西宏幸社長  日刊工業新聞 2002/1/17

 (エチレン生産量の年700万トンの大台割れ予測について) その水準であれば、自社の設備稼働率に影響はない。もともとエチレンの不足分を購入しており、千葉のコンビナートで隣接の住友化学などと補完し合う関係にもある。自前化した大阪と千葉の両プラントを連携させ需要に見合った最適な運転も実施している。
 成長が望めるのはアジアであり、汎用樹脂市場を巡っては続々と進出してくる巨大な外資プレーヤーと正面から渡り合わなくてはならない。ポリプロピレンを含めた汎用品の競争力で勝負するためにも、スクラップ&ビルドで最新の設備を整える必要もあるだろう。内需とのからみでシンガポールと日本国内の両既存拠点にらみでの計画を現在検討しており、今年度内にも意思決定をしたい。


鐘淵化学・古田武会長 Chemnet Tokyo 2002/1/23

 みんな簡単に再編とか統合と言うけど、どうかな。
 再編して設備を集約化しても、本当に国際競争力がつくだろうか。
 以前ならまだしも、ここまで競争が激しくなると、再編してももう間に合わない気もする。

     (単独での生き残り?)


旭化成・山本一元社長 日刊工業新聞 2002/1/18

 最善の策は単独で生き残ることだが、互いの競争力が高まるというのなら(三菱化学からの水島エチレンプラント提携提案を)拒む理由もなく、話し合いのテーブルについている。
 ただ合理化の決め手は誘導品バランスを見直すことであり、とりあえず双方の事業を一緒にするというだけではナンセンス。「水島」にとどまらず鹿島コンビナートも含めた枠組みの中で、両社のプラント廃棄にまで踏み込んだ議論を深めてゆくならば連携の道も開けてくるだろう。


三菱化学・正野寛治社長   日刊工業新聞 2002/1/18

 石化業界は今まさに転換期。石油会社が既存の精製事業にとどまらず、巨大な資本を投じてエチレンと誘導品を含めた石化の"川上分野に展開し始めている。日本市場に攻め込んでくるのも時間の問題で、このままでは侵食されてしまう。しかも原料ナフサの調達で日本は優位ではない。固定費などただでさえ高コスト体質なのに加え、温暖化防止など新たな環境対応の負荷も予想される。水際の防衛にはエチレン製造にかかるコスト構造で工夫が不可欠だ
 (旭化成とのエチレン提携については) ビジョンを共有できるかどうか、じっくりと話し合いを進めている。(連携の対象はエチレンに限らず)誘導品にも発展する可能性もあり、どういうシナリオを組むことができるか、まさにこれからだ。


昭和電工・大橋光夫社長 日刊工業新聞 2002/1/21

 (大分コンビナートは)機あったエチレンプラントを一昨年、1つに集約して競争力強化を図り、最適生産のシステムを充実させるなどコスト削減の対策は済ませている。年間60万トンの生産能力を維持できれば、十分に単独でも生き残ることができる。
 自社の「大分」のロケーションを生かすことができることが前提ながらも、(三井住友か、三菱提唱のエチレン同盟の)いずれかの枠組みに入ることはあるかもしれない。


東ソー・土屋隆社長  日刊工業新聞 2002/1/21 

 エチレンで生き残りをかける差別化のポイントは、原料ナフサの調達のほか、プラント運営にかかるコストと誘導品の競争力の三つ。東ソーは製造したエチレンのほぼ全量を「四日市」内で消費している。さらに南陽事業所と合わせたエチレン全消費量で分の1におよぶ購入量を調整し、四日市の自社生産はフル稼働を維持できている。誘導品としては塩ビモノマーが約半数を占めるという他にない強みもある。
 経営全体にかかわるハンドリングの合理性からも、石化事業の基礎となるエチレンを自前で生産していることに意義がある。主導権を失うかたちで大きなものにくみする考えはない。独自路線を歩むということだ。


大洋塩ビ・日野清司社長 2002/1/25 化成品日報

 (PVCは) 国内需要が年間150万屯を切る状況であり設備能力は30万屯以上の過剰となつている。この設備処理を行う必要がある。・・・ 3月期決算は、塩ビメーカーだけでなく石化メーカー全体が極めて手酷い決算になることが予想され、各社とも真剣にアライアンスを検討しなければならなくなってくるのではないか。・・・ 第二段階のアライアンスは塩ビだけでは実行できない問題がある。オレフィンセンター、電解の動きとの兼合いが出てくる。


出光石油化学・山本侑社長 2002/1/24 日刊ケミカルニュース  

 これからはリファイナリーとのインテグレートが各センターともに不可欠といえよう。当社も用役の再構築、副生ガスの有効利用、さらには国産ナフサ使用比率の拡大、原料多様化などにより一段と安定した、しかも競争力のあるセンターづくりを目指していきたい。

 

 


日本経済新聞 2011/2

会社に化学変化を起こす

 三菱ケミカルホールディングス社長 小林 喜光さん

念願かなって1984年に情報電子部門に異動し、無我夢中で光磁気ディスク(MO)など新技術の商品化に取り組んだ。成功までには予想以上の時間がかかったが、このときの苦労が経営者としての基礎をつくった。

 新規分野の情報電子は挑戦しがいのある仕事でしたが、収益は厳しい状況が続きました。私はある時期研究職を離れ、事業全体を統括するマネジャーの道に転身しました。最初のうちはバランスシートや損益計算書が読めず、入門書を買い込んで独学したこともあります。しかし、財務知識は身についても現実のビジネスで稼ぐにはどうすればいいか、本に答えが書いてあるわけではありません。
 日本企業の弱点として「優れた技術力を収益化できない」とよくいわれます。MO事業もまさにこの典型でした。91年に世界で初めて3.5インチMOの商品化に成功したのですが、価格競争が激しく、まったくもうからない。みるみる赤字が膨らみ、最初の7年で累計の赤字額が264億円になってしまいました。
 それでも会社の大黒柱である石油化学事業が堅調な間は、「将来への先行投資」として大目に見てもらえたのです。しかし、21世紀に入るころには、そんな余裕もなくなっていました。当時の最大の問題は書き込み可能なCD-Rです。台湾勢、インド勢の攻勢で、2000年の春先に価格が大暴落。船で運んでいる途中で価格がどんどん下がり、米国や欧州の港についたときには既にコスト割れしているという状況でした。
 事業責任者の私は経営会議に4、5回呼ばれ、散々怒られました。全体の足を引っ張る「A級戦犯」のような扱いで、エレベーターに乗っても肩身が狭い、という感じでした。

業を煮やした経営陣は「収益を立て直すか、さもなくば撤退を」と厳しい条件を突きつけた。

 00年の暮れに、経営会議で「02年第1四半期に5%の売上高営業利益率を必達。できなければ撤退」という決定が下りました。常識で考えれば、1年余りの短期で、こんな劇的な改善はまずあり得ません。「撤退は必然だが、1年かけて少しでも数字を改善し、有利な条件で他杜への事業売却を進めよう」。経営陣からはこんな雰囲気を感じ取りました。
 こちらはまさに背水の陣です。当時私は三菱化学メディア(MKM)という子会社の社長として事業の指揮を執っていましたが、最初にしたのは引っ越しです。家賃の高い東京・丸の内を引き払い、三田の近くのオフィスビルを借りました。
 さらに今でいう生産のアウトソーシングを進めました。当時アイルランドと米国に工場を持っていましたが、これを台湾のCMC社に売却したのです。
 市況が激しく動く中で、固定費の高い工場を持ち続けるのは不利という判断でした。「ライト・アセット(軽い資産)」の考え方は今では多くの人に支持されていますが、当時は違います。「メーカーが工場を手放すとは」と社内では批判されました。工場を買ってくれたCMCのボブ・ウォン会長も私に同情し、契約調印の後で「臥薪嘗胆」の言葉をメモ用紙に書いてくれました。
 しかし、この工場売却が事業成功の引き金になりました。生産委託を進めることで、コストが大幅に下がったのです。
 同時に普及が始まったばかりのDVD-Rに使われる色素を他社に外販することにしました。国内の同業他社に採用してもらい、さらには台湾メーカーなどにも外販し、世界シェア80%超という事実上の標準になりました。
 色素は地味な存在で、専門家以外だれも注目しませんが、うなぎ屋の「秘伝のたれ」に似て、簡単にまねできません。ひとたび標準を握り、市場を独占すれば大いに利益がでるのです。ディスクの自社製造へのこだわりを捨て、基幹部材に軸足を移す。こんな発想の転換でMKM社の収益は驚くほど改善し、01年度に29億円の赤字だった税引き前損益が02年度には58億円、03年度には144億円の黒字に。経営会議の出した条件をクリアし、それどころか全社でも屈指の稼ぎ頭に変身したのです。

お荷物だった光ディスク事業の再建は社外からも大いに注目された。優れた戦略性や時代を先取りする経営感覚が評価されたのだ。だが、「この事業を愛した社員が多かったから、何とかなった」と振り返る。

 再建の成功には複数の理由があります。一つは独自開発した色素を社内使用だけに限定せず、外販するという決断です。「自社技術は自社製品だけに」というクローズ主義から、オープン主義に軸足を変えたのです。
 もう一つは台湾のCMC社やインドのMBI社のような受託生産してくれる企業が登場し、自前の工場が必要なくなったことです。その意昧で、CMCのウォン会長やMBIのプーリー会長には感謝しても感謝しきれません。彼らの存在がなければ、そもそも生産委託は絵に描いたモチでした。
 そして最後に「バーベイタム」という記録メディアの独自ブランドを持ち、消費者とのパイプがあったことです。バーベイタム社はもともと米イーストマン・コダックの子会社でしたが、1990年.代に当社の傘下に入り、記録型CDやDVDのブランド別シェアで世界一です。日本では知らない人もいるかもしれませんが、欧米や南米では非常に認知度が高いのです。
 化学メーカーといえば素材の供給に徹し、ブランド構築に無関心というケースが多いのですが、当社は最終消費者としっかり接点を確保したいと考えています。その先駆事例がバーベイタムです。
 少し後の話になりますが、東大の小川紘一特任教授はこの再建を「ビジネスモデル・イノベーション」として高く評価してくれました。付加価値の低い生産を捨て、部材と販売・ブランド構築に特化する戦略が、いわゆるスマイルカーブ時代のお手本だというのです。「事業戦略の完勝パターンをつくり上げた」とまで言っていただきました。
 しかし、再建の最中はそんな格好いいことを考えたこともありませんでした。次々に出てくる課題をどう解決するか、必死で走り続けただけです。強烈な意志を持った人間、事業にこだわりを持った人間が何人もいて、その人たちの気持ちの強さが再建の最大のドライバーだったと思います。

その後、全社の技術開発を統括する最高技術責任者(CTO)を経て、2007年に社長に就任する。研究畑出身という過去に例のない経営トップの誕生だった。

 社長になってからも「想定外」のことが次々に発生しました。なかでも痛恨事は、07年12月の鹿島事業所の火災です。4人の方が亡くなり、生産の中断で取引先に迷惑をかけてしまいました。再発防止が私たちの使命です。
 そして08年の前半は空前の原油高。この年の夏へ投資家向け広報(IR)で欧米を回りましたが、「なぜ日本で石油化学をやっているんだ」と言われました。「中東などで原産地立地型の大規模プラントが生まれる中で、日本のプラントが競争力を持ち続けるのは難しいのではないか」。ロンドン、ボストン、ニューヨークと行脚しながら、会う人、会う人にこう指摘されると、「確かにそうかもしれない」という気持ちに傾きました。この時の投資家との対話は、私にとって大きな転機でした。
 そして9月にはリーマン・ショックが起きました。「危機は変化を起こす触媒」といわれますが、世界的な経済の変調によって、当社にとって、やめるべき事業が理屈抜きにあぶり出されました。
 ABS樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリスチレン原料ーー。撤退を決めた事業の規模は総額3千億円近くに達しました。祖業ともいえる石油化学にメスを入れたのですが、その根底には「もうからないのは罪悪」という考え方があります。生き残るためには自ら変わらないといけません。
 しかし、私も経営者の端くれとして、リストラに專念して、結局会社を小さくしただけだったとは言われたくありません。実はこの時、三菱レイヨンとの統合交渉を進めていました。「この統合がうまくいけば、会社は小さくならない、むしろ事業規模は拡大する」という読みが、思い切ったリストラの支えでもあったのです。

リーマン・ショック後の激震を乗り切るために石油化学事業のリストラを進めたが、一方では反転拡大の手も打った。三菱レイヨンとの統合である。

 当社と三菱レイヨンは同根の企業であり、互いに親近感がありました。私とレイヨンの鎌原正直社長が経営統合の話を始めたのは2008年の半ばぐらいです。前々から両社の統合話は折に触れて浮上しましたが、結実するには至りませんでした。
 しかし、この時は是が非でも実現したいという切実な理由が双方にありました。私は石化事業のリストラで会社が縮む分を、M&A(合併・買収)で取り戻そうという気持ちが強かった。レイヨンの炭素繊維や水処理膜などが、新たな成長につながるという期待もありました。一方、三菱レイヨンはこの年の11月に英企業の買収を決め、液晶パネルなどに使うアクリル樹脂原料で世界首位の地位を固めつつありましたが、より経営基盤を強固にするための提携を模索していました。
 この統合に外部の仲介役はいません。昔なら仲を取り持った三菱グループも銀行も役所も間に入らず、トップ間で進めました。東京・赤坂にあるアークヒルズクラブの個室で顔を合わせ、「明るい農村」という焼酎を飲みながら話を詰めるのです。
 最も緊張したのはTOB価格をめぐる交渉で、難航しました。しかし、統合交渉は新聞に書かれて世間の知るところになっており、「破談はみっともない」という気持ちが双方に働きました。仲介役のいない交渉はどちらか一方がテーブルを蹴ればそれまでですが、そうならず最終的に買収が実現できたのは、トップ同士の信頼関係があったからと自負しています。
 この統合で当社グループは売上高3.2兆円、世界有数の化学メーカーに脱皮しました。しかし、私個人としては「日本の化学産業の再編集約はまだ道半ば」と考えています。世界市場で存在感を発揮するのは、会社をもう一回り大きく強くする必要があるというのが持論です。
 一方で、規模拡大に目を奪われて、法令順守がおろそかになったり、工場などの現場力が弱まったりしてはなりません。その点を肝に銘じて、しっかり会社のかじ取りをしたいと思っています。

何事も自分のアタマで考えるため、何かにつけ「こだわり」がある。その一つが時間だ。

私は昔から時間について神経質なぐらいこだわり、我が家には時計が27個あります。ホテルのチェックアウトでも会議の集合でも、決めた時間の10分ぐらい前に行っていないと気が済みません。
 「デューデート」という言葉をご存じでしょうか。日本語に訳せば「期日」とか「締め切り」ですが、このデューデートの大切さを教わったのは、光ディスク事業時代に付き合いのあった米IBMからです。IBMの購買部門とはよく会議を開き、あれこれ議論するのですが、彼らは最後に3つ決めて散会します。
 1つは実行すべき項目、もう1つは責任者、そして最後にデューデート。この3点さえ決めれば、仕事は進みます。逆に、これを決めない会議は意味がありません。三菱ケミカルもIBMに倣って、各種の会議で必ず3点セットを決めることにしたのは言うまでもありません。

研究者出身の理系社長らしい夢もある。鋪金術ならぬ「錬炭素術」を確立し、未知の領域を切り開くことだ。

 20世紀が「物理の世紀」とすれば、21世紀は「化学の世紀」になると思います。化学は未解明の分野が多く、逆に言えば、それだけ発展の余地が大きい。例えば、植物の光合成のプロセスを人為的に再現できれば、人類は太陽光から栄養分を取り出せます。人工光合成で大気中の二酸化炭素(CO2)を減らすことも可能でしょう。
 こうした化学現象のカギを握るのが、炭素と炭素の結合です。炭素を自在に操る「錬炭素術」を実現することで、人々の生活をもっと快適なものにしたい…。自然科学にロマンを感じる私は、化学会社というキャンバスにこんな夢を描いています。