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日本経済新聞 2003/4/3

石化3社に課徴金20億円 合成樹脂販売で価格カルテル     
公取委発表

日本ポリケム、三井化学、チッソの3社に計20億4038万円


2003/4/2 公正取引委員会

ポリプロピレン製造業者に対する課徴金納付命令について

 公正取引委員会は,平成15年3月31日,ポリプロピレン製造業者3 社に対し,独占禁止法第48 条の2 第1項の規定に基づき,次のとおり課徴金の納付命令を行った。

1 課徴金に係る違反行為(平成13年5月30日勧告,同年6月27日審決)
   日本ポリケム株式会社ほか2社及び他の事業者4 社(注1)は,共同して,ポリプロピレン(ナフサリンク方式(注2)により販売価格を設定しているものを除く。)の需要者向け販売価格の引上げを決定していた(独占禁止法第3条違反,同法第7条の2 第1項に規定する「商品の対価に係るもの」に該当)。
(注1) 当該4社は,現在審判係属中である。               
(注2) ナフサリンク方式とは,ポリプロピレンの販売価格を,その原料であるナフサの価格に連動して設定する価格設定方式のことである。                
   
2 課徴金納付命令対象事業者及び課徴金額
 
事業者名 所在地 代表者名 課徴金額
日本ポリケム株式会社 東京都千代田区有楽町
一丁目10番1号
代表取締役
高下悦仁郎
 8億4517万円
三井化学株式会社
(注3 )
東京都千代田区霞が関
三丁目2番5号
代表取締役
中西宏幸
 7億6008万円
チッソ株式会社 大阪市北区中之島三丁目
6番32号
代表取締役
後藤舜吉
 4億3513万円
合 計                                  : 20億4038万円
(注3):      :
   三井化学株式会社は,本件審決名あて人である株式会社グランドポリマーを平成14年4月1日に吸収合併した会社であるが,独占禁止法第7条の2第5項の規定により,株式会社グランドポリマーがした違反行為は,合併後存続した会社がした違反行為とみなされることから,三井化学株式会社に対して課徴金の納付命令を行うものである。
   
3 納期限
  平成15年6月2日


[参考] 違反行為(事実)の概要及び法令の適用

第1 違反行為(事実)の概要
 日本ポリケム株式会社(以下「日本ポリケム」という。)ほか2 社及び他の事業者4 社の7社(以下「7社」という。)は,かねてから,各社の営業部長級の者による会合(以下「部長会」という。)を開催してポリプロピレンの販売に関する種々の情報交換を行い,原料であるナフサの価格(以下「ナフサ価格」という。)の上昇が予測される場合には,ポリプロピレンの販売価格の引上げについて検討するとともに,ナフサ価格の上昇を理由としてポリプロピレンの販売価格の引上げを行ってきた。
 7社は,平成11年11月ころ以降,主として石油化学工業協会ポリプロピレン委員会企画調査小委員会が開催される際を利用して部長会を開催していた。
     
(1)  7社は,平成12年1月に入ってもナフサ価格が上昇していたことから,同月21日ころ,同年2月7日ころ及び同月21日ころに開催した部長会において,その都度,同年4 月以降のナフサ価格の見通しについて情報交換するとともに,同年4月以降のポリプロピレン(ナフサリンク方式により販売価格を設定しているものを除く。以下3 までにおいて同じ。)の販売価格の引上げについて,各社の意思の合致を得るべく検討を行っていたところ,同年3月6日ころ,東京都千代田区所在の石油化学工業協会会議室で開催した部長会において,同年4月以降のナフサ価格が,ポリプロピレンの販売価格を1キログラム当たり10円引き上げることを打ち出すことが可能な水準となる見通しであるとして,ポリプロピレンの販売価格を引き上げることで各社の意見が一致し,もって,同年4月以降,ポリプロピレンの需要者向け販売価格を1 キログラム当たり10円を目途に引き上げることを合意した。
 次 いで,7社は,平成12年3月17日ころ日本ポリケム本社会議室において開催した部長会等において,各社におけるポリプロピレンの販売価格引上げについて,社内手続の進ちょく状況,引上げ額,実施日及び対外発表の時期をそれぞれ表明すること等により前記の合意を確認した。さらに,7社は,同部長会等において,ポリプロピレンの販売価格の引上げをより確実に行うため,各社が価格引上げ交渉を分担し,責任を持って価格を引き上げる大手の需要者(以下「責任分担ユーザー」という。)を取り決めることとし,各社において選択した案を次回の部長会に持ち寄ることとした。
  (2)  7社は,平成12年3月27日ころ,東京都中央区所在の飲食店「天山」において開催した部長会において,各社が持ち寄った案に基づき各社の責任分担ユーザーを取り決めるとともに,これらに対する価格引上げ交渉をそれぞれが責任を持って行うこととした。
(3)  7 社は,前記2(1)及び(2)に基づき,それぞれ平成12年3月中旬ないし4月上旬以降,取引先販売業者及び需要者に対しポリプロピレンの販売価格を引き上げる旨通知し,責任分担ユーザー等の需要者との間で,直接又は販売業者を通じて価格引上げ交渉を行うとともに,同年4月以降開催した部長会において,責任分担ユーザー等の需要者に対する価格引上げ交渉の進ちょく状況について情報交換し,引き続き価格引上げ交渉を継続することを確認していた。その際,7社は,1キログラム当たり10円を目途に価格引上げ交渉を継続するものの,交渉が難航している需要者に対しては交渉の早期決着を図るため,実質1キログラム当たり5円の価格引上げで需要者との間の交渉を決着させてもやむを得ないこととした。
 7社は,前記2により,平成12年4月以降,ポリプロピレンの販売価格を引き上げていた。
 本件について,平成12年5月30日,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,チッソ株式会社は同年9月5日ころ,日本ポリケムは同月7日ころ,株式会社グランドポリマーは同月22日ころ,それぞれ,前記2(1)の合意から離脱する旨等を前記2 の行為に参加した他の各社に文書により通知し,それぞれ,前記2 の行為から離脱した。日本ポリケムは,これに加え,平成12年10月25日ころまでに,自社の取引先販売業者及び需要者に対し,前記2の行為から離脱した旨通知している。これらにより,前記2の合意は事実上消滅したものと認められる。
   
第2 法令の適用
   7社は,共同して,前記第1 2 に記載するポリプロピレンの販売価格の引上げを決定することにより,公共の利益に反して,我が国におけるポリプロピレンの販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,これは,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。



2003/6/16 公正取引委員会

ポリプロピレン製造業者に対する課徴金納付命令に係る審判開始決定について

 公正取引委員会は,平成15年6月12日,ポリプロピレン製造業者である日本ポリケム株式会社及びチッソ株式会社に対し,独占禁止法第49条第2項の規定に基づき,審判開始決定を行った。
 本件は,当委員会が平成13年5月30日に後記1(2)の違反行為について勧告を行ったポリプロピレン製造業者7社のうち,当該勧告を応諾した3社(注1)に対して行った平成15年3月31日付けの
課徴金納付命令について,日本ポリケム株式会社及びチッソ株式会社から審判手続の開始の請求があったものである。

(注1)残りの4社については,勧告を応諾せず,審判開始決定が行われ,現在,審判手続が係属中である。

1 本件の概要
(1)対象事業者

審判事件番号 事業者名 本店所在地 代表者
平成15年
(判)第22号
日本ポリケム株式会社 東京都千代田区有楽町
一丁目10番1号
代表取締役
高下 悦仁郎
平成15 年
(判)第23号
チッソ株式会社 大阪市北区中之島
三丁目6番32号
代表取締役
後藤 舜吉

(2)課徴金に係る違反行為
 日本ポリケム株式会社ほか6社は,共同して,ポリプロピレン(ナフサリンク方式(注2)により販売価格を設定しているものを除く。)の需要者向け販売価格の引上げを決定していた(独占禁止法第3条違反,同法第7条の2 第1項に規定する「商品の対価に係るもの」に該当)。

(注2)ナフサリンク方式とは,ポリプロピレンの販売価格を,その原料であるナフサの価格に連動して設定する価格設定方式のことである。


2 第1回審判期日及び場所
(1)期日 平成15年7月23日(水)午後2時
(2)場所 公正取引委員会審判廷(中央合同庁舎第6号館B棟19階)


[参考1 ] 本件審判開始決定により失効した課徴金納付命令

事業者名 納付命令番号 課徴金額
日本ポリケム株式会社 平成15年(納)第258号  8億4517万円
チッソ株式会社 平成15年(納)第260号  4億3513万円
合 計 12億8030万円


[参考2 ] 違反行為(事実)の概要及び法令の適用
第1 違反行為(事実)の概要

   日本ポリケム株式会社(以下「日本ポリケム」という。)ほか6社(以下「7社」という。)は,かねてから,各社の営業部長級の者による会合(以下「部長会」という。)を開催してポリプロピレンの販売に関する種々の情報交換を行い,原料であるナフサの価格(以下「ナフサ価格」という。)の上昇
が予測される場合には,ポリプロピレンの販売価格の引上げについて検討するとともに,ナフサ価格の上昇を理由としてポリプロピレンの販売価格の引上げを行ってきた。7社は,平成11年11月ころ以降,主として石油化学工業協会ポリプロピレン委員会企画調査小委員会が開催される際を利用して部長会を開催していた。
  (1)   7社は,平成12年1月に入ってもナフサ価格が上昇していたことから,同月21日ころ,同年2月7日ころ及び同月21日ころに開催した部長会において,その都度,同年4月以降のナフサ価格の見通しについて情報交換するとともに,同年4月以降のポリプロピレン(ナフサリンク方式により販売価格を設定しているものを除く。以下3までにおいて同じ。)の販売価格の引上げについて,各社の意思の合致を得るべく検討を行っていたところ,同年3月6日ころ,東京都千代田区所在の石油化学工業協会会議室で開催した部長会において,同年4月以降のナフサ価格が,ポリプロピレンの販売価格を1キログラム当たり10円引き上げることを打ち出すことが可能な水準となる見通しであるとして,ポリプロピレンの販売価格を引き上げることで各社の意見が一致し,もって,同年4月以降,ポリプロピレンの需要者向け販売価格を1キログラム当たり10円を目途に引き上げることを合意した。
 次 いで,7社は,平成12年3月17日ころ日本ポリケム本社会議室において開催した部長会等において,各社におけるポリプロピレンの販売価格引上げについて,社内手続の進ちょく状況,引上げ額,実施日及び対外発表の時期をそれぞれ表明すること等により前記の合意を確認した。さらに,7社は,同部長会等において,ポリプロピレンの販売価格の引上げをより確実に行うため,各社が価格引上げ交渉を分担し,責任を持って価格を引き上げる大手の需要者(以下「責任分担ユーザー」という。)を取り決めることとし,各社において選択した案を次回の部長会に持ち寄ることとした。
    (2)  7社は,平成12年3月27日ころ,東京都中央区所在の飲食店「天山」において開催した部長会において,各社が持ち寄った案に基づき各社の責任分担ユーザーを取り決めるとともに,これらに対する価格引上げ交渉をそれぞれが責任を持って行うこととした。
    (3)  7社は,前記2(1)及び(2)に基づき,それぞれ平成12年3月中旬ないし4月上旬以降,取引先販売業者及び需要者に対しポリプロピレンの販売価格を引き上げる旨通知し,責任分担ユーザー等の需要者との間で,直接又は販売業者を通じて価格引上げ交渉を行うとともに,同年4月以降開催した部長会において,責任分担ユーザー等の需要者に対する価格引上げ交渉の進ちょく状況について情報交換し,引き続き価格引上げ交渉を継続することを確認していた。その際,7社は,1キログラム当たり10円を目途に価格引上げ交渉を継続するものの,交渉が難航している需要者に対しては交渉の早期決着を図るため,実質1キログラム当たり5円の価格引上げで需要者との間の交渉を決着させてもやむを得ないこととした。
   7社は,前記2により,平成12年4月以降,ポリプロピレンの販売価格を引き上げていた。
   本件について,平成12年5月30日,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,チッソ株式会社は同年9月5日ころ,日本ポリケムは同月7 日ころ,株式会社グランドポリマーは同月22日ころ,それぞれ,前記2(1)の合意から離脱する旨等を前記2 の行為に参加した他の各社に文書により通知し,それぞれ,前記2 の行為から離脱した。日本ポリケムは,これに加え,平成12年10月25日ころまでに,自社の取引先販売業者及び需要者に対し,前記2の行為から離脱した旨通知している。これらにより,前記2の合意は事実上消滅したものと認められる。

第2 法令の適用
 7社は,共同して,前記第1の2に記載するポリプロピレンの販売価格の引上げを決定することにより,公共の利益に反して,我が国におけるポリプロピレンの販売分野における競争を実質的に制限していたものであって,これは,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。


独占禁止法 第四十八条の二
D納付命令に不服があるものは、公正取引委員会規則で定めるところにより、課徴金納付命令書の謄本の送達があつた日から三十日以内に、公正取引委員会に対し、当該事件について、審判手続の開始を請求することができる。