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2003/6/27 公正取引委員会

昭和電工株式会社及び協和発酵工業株式会社による酢酸エチルの共同生産会社の設立について

 公正取引委員会は,当事会社である昭和電工株式会社(以下「昭和電工」という。)及び協和発酵工業株式会社(以下「協和発酵工業」という。)から,両社が予定している共同生産会社の設立について事前相談があったので,その検討を行ってきた。
 当委員会は,相談があった内容に関する当事会社の説明及び当事会社が講ずることとしている措置等が着実に実行されるのであれば,本件行為は,独占禁止法の規定に違反するおそれはないものと認められる旨,当事会社に回答を行った(詳細は,別添参照)。

第1 本件行為の概要
   昭和電工及び協和発酵工業は,原料コストの削減等による,より効率的な生産体制の実現及び競争力の強化を図るため,平成15年8月に,共同出資により,酢酸エチルの共同生産会社を設立し,平成16年4月から生産を開始することを計画している。
 なお,
協和発酵工業は新会社設立後酢酸エチルの自社生産を中止するが,昭和電工は新会社設立後も酢酸エチルの自社生産を従来どおり継続する。
 また,新会社設立後においても,昭和電工及び協和発酵工業は酢酸エチルの販売事業はそれぞれ独立して行う。
   
第2 独占禁止法上の考え方
1 一定の取引分野
   一定の取引分野の画定については,ユーザーにとって機能・効用が同種であるか否か,製造方法の違いによる品質差があるか否かの観点から検討した。
 酢酸エチルの主要な用途は,印刷インキ等の溶剤であるところ,このような溶剤に用いられるものとしては,酢酸エチルの他に,トルエン,メチルエチルケトン,イソプロパノ−ル等も存在しているが,これら製品の機能・効用が酢酸エチルと同種とまでは認められないこと,また,酢酸エチルには,いくつかの製造方法が存在するが,製造方法の違いによる品質差はないことから,酢酸エチルの製造販売分野を一定の取引分野として画定した。また,地理的市場は,全国市場として画定した。
   
2 競争への影響
   本件行為により,当事会社の酢酸エチルの合算販売数量シェア・順位は,約45%・第1位となる。
 また,本件行為後における新会社,昭和電工及び当事会社全体の酢酸エチルの製造能力シェアは,それぞれ,約35%,約65%及び約85%となる。
 しかしながら,次の事実が認められることから,当事会社が講ずることとしている措置等が着実に実行されるのであれば,本件行為により,前記第2−1 で画定した取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
   
(1)販売事業は独立して行われること
   当事会社が講ずることとしている情報遮断措置が着実に実施されるとともに,合弁基本契約において協和発酵工業が新会社から購入する酢酸エチルの数量は一定の数量を上限にしてその範囲内の必要数量が必ず確保されることにより,当事会社の販売事業は引き続き独立して行われると考えられること。
(2)有力な競争事業者の存在
   酢酸エチルの販売分野において,販売数量シェア10%超を有する有力な競争事業者が複数存在すること。
 なお,競争事業者の中には,昭和電工との間で生産受委託契約を締結しているものもあるが,昭和電工は当該受委託契約の内容等を今後とも維持することとしており,有力な競争事業者として認められること。
(3)取引先変更の容易性等
   酢酸エチルは輸入品も含めメーカー間で品質差等がみられず取引先の変更が容易であることから,ユーザーのほとんどは複数購買を行い内外のメーカーを競合させることにより,より低廉な価格での調達や価格交渉力の維持を図っていること。
(4)輸入圧力の存在
   輸入品は国内品と品質,物流面から比較して差がないことに加え,供給余力も十分に認められること等から,国内価格の状況に応じて輸入が増加する蓋然性は高いと考えられること。


昭和電工株式会社及び協和発酵工業株式会社による酢酸エチルの共同生産会社の設立について(回答)

第1 当事会社
   昭和電工株式会社(以下「昭和電工」という。)は,酢酸エチル等の製造販売業を営む者である。
 協和発酵工業株式会社(以下「協和発酵工業」という。)は,酢酸エチル等の製造販売業を営む者である。
   
第2 本件行為の概要及び関係法条
   当事会社は,平成15年8月に,共同出資(出資比率は,昭和電工55%,協和発酵工業45%)により,酢酸エチルの共同生産会社(以下「新会社」という。)を設立し,平成16年4月から生産を開始することを計画している。
 なお,協和発酵工業は新会社設立後酢酸エチルの自社生産を中止するが,昭和電工は新会社設立後も酢酸エチルの自社生産を従来どおり継続する。
 また,新会社設立後においても,昭和電工及び協和発酵工業は酢酸エチルの販売事業はそれぞれ独立して行う。
 よって本件の関係法条は,独占禁止法第10条及び第16条である。
   
第3 本件行為の目的
   当事会社は,原料コストの削減等による,より効率的な生産体制の実現及び競争力の強化を図るために本件新会社の設立を行うとしている。
   
第4 一定の取引分野
 1 製品の概要(別紙1 )
   酢酸エチルは,主に塗料,印刷インキ,接着剤等の溶剤に使用されている無色透明の液体である。酢酸エチルには,いくつかの製造方法があるが,国内では,アセトアルデヒドを主原料として製造されている。
   
 2 一定の取引分野
   一定の取引分野の画定については,ユーザーにとって機能・効用が同種であるか否か,製造方法の違いによる品質差があるか否かの観点から検討した。
 酢酸エチルの主要な用途は,印刷インキ等の溶剤であるところ,このような溶剤に用いられるものとしては,酢酸エチルの他に,トルエン,メチルエチルケトン,イソプロパノ−ル等も存在しているが,これら製品の機能・効用が酢酸エチルと同種とまでは認められないこと,また,酢酸エチルには,いくつかの製造方法が存在するが,製造方法の違いによる品質差はないことから,酢酸エチルの製造販売分野を一定の取引分野として画定した。また,地理的市場は,全国市場として画定した。
   
第5 酢酸エチルの市場に関する検討
 1 市場の状況
   酢酸エチルの国内需要は今後増加していくと見込まれており,平成14年度における国内市場規模は,約300億円となっている。
 本件行為により,当事会社の酢酸エチルの合算
販売数量シェア・順位は,約45%・第1位となる。
   
 
順位 会社名 シェア
昭和電工 約25 %
協和発酵工業 約20 %
A 社 約20 %
B 社 約15 %
C 社 約10 %
輸入 約10 %
(1 ) 当事会社合算 約45 %
  全体合計 100 %
 
(注 1) A社とC社は,下記のとおり,共同出資により酢酸エチルの生産会社であるD社を設立しているが,販売事業についてはそれぞれ独立して行っていると認められる。
(注 2) B社はその販売する酢酸エチルのほぼ全量を昭和電工に製造委託しているが,B社と昭和電工の間で締結されている現行の生産受委託契約の内容等を前提とすれば,昭和電工によるB社に対する裁量的な供給数量制限や取引条件の変更はできない状況にあると認められることに加え,昭和電工は,B社からの申入れのない限り,今後とも現行受委託契約の内容等を維持することとしており,B社は酢酸エチルの販売分野において独立した競争事業者として事業活動を行っていると認められる。
  (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)
   
   本件行為後における新会社,昭和電工及び当事会社全体の酢酸エチルの製造能力シェアは,それぞれ,約35%,約65%及び約85%となる。
順位 会社名 シェア
昭和電工 約50 %
新会社 約35 % 昭和電工    15 %
協和発酵工業 20 %
D 社 約15 %
  全体合計 100 %
   
 
(注 1) 新会社の製造能力の両当事会社への配分比率は,合弁基本契約において規定される両当事会社の新会社からの酢酸エチルの購入数量に基づき新会社の製造能力を按分した数値である。
(注 2) D 社はA 社とC 社が共同出資により設立した酢酸エチルの生産会社である。
  (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)
   
  2 考慮事項
(1)販売事業は独立して行われること
   当事会社は,新会社設立後においても,販売活動はそれぞれ独立して行うとしているところ,販売事業の独立性を確保するため,当事会社と新会社との間において所要の情報遮断措置を講ずることとしている。また,新会社は昭和電工の子会社となるものの,協和発酵工業が新会社から購入する酢酸エチルの数量は一定の数量を上限にしてその範囲内の必要数量が必ず確保されるとともに,その供給価格も新会社が酢酸エチルの製造に要する総原価と同等となるよう設定されることとなっており,昭和電工が協和発酵工業に対し裁量的な供給数量制限等を行うことは困難であると考えられることから,当事会社の販売事業における独立性は確保できると認められる。
   
  (2)有力な競争事業者の存在
   酢酸エチルの販売分野において,販売数量シェア10 %超を有するA社,B社及びC社という有力な競争事業者が存在する。
   
  (3)取引先変更の容易性
   酢酸エチルは,国内外のメーカー間に品質差がみられず,ユーザーの使い慣れの問題もないことに加え,海外メーカーには十分な供給余力が認められること等から,ユーザーによる取引先変更は容易であると認められる。
   
  (4)ユーザーの調達方針
   前記(3)のとおり,ユーザーにとって,国内外のメーカー間で取引先の変更が容易であることから,ユーザーのほとんどは複数購買を行うことにより内外メーカーを競合させ,より低い価格を提示したメーカーからの調達シェアを増加させるなどの調達方針を採っていることが認められる。
   
  (5)輸入圧力の存在
   酢酸エチルのユーザーは,次のとおり,当事会社の価格を含め国内価格の状況に応じて輸入を増加させる蓋然性が高いと考えられることなどから,輸入圧力が働いていると認められる。
 
酢酸エチルは,その運搬が容易であることから,アジア地域を中心にこれまでも輸入が行われ,最近では南アフリカからの輸入も開始されている。
平成14 年度における輸入数量は,国内価格が輸入価格を下回っているという状況もあり(別紙2-図1),国内販売数量の約10 %にとどまっているものの,輸入品は国内品と品質面,物流面から比較して差がなく,また,アジア地域等の主要な輸入元に十分な供給余力が認められることから,ユーザーにとって国内品から輸入品への切替えは容易であり,ユーザーの多くは,国内価格の状況に応じて輸入品を採用するとしている。
価格交渉の相手方に商社等の輸入品取扱い業者を常に含めているとするユーザーも多いことに加え,現状では,輸入品の価格が国内品に比べ高いにもかかわらず,国内メーカーへの牽制効果の意味もあって,輸入品を継続的に採用するものも存在する。
国内価格が上昇すると輸入量が増加する傾向が認められる(別紙2-図2 )。
   
第6 独占禁止法上の評価
 以上のとおり,次の事実が認められることから,当事会社が講ずることとしている措置等が着実に実行されるのであれば,本件行為により,酢酸エチルの取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと考えられる。
 
1) 当事会社が講ずることとしている情報遮断措置が着実に実施されるとともに,合弁基本契約において協和発酵工業が新会社から購入する酢酸エチルの数量は一定の数量を上限にしてその範囲内の必要数量が必ず確保されることにより,当事会社の販売事業は引き続き独立して行われると考えられること。
(2) 複数の有力な競争事業者が存在すること。
なお,B 社についても,昭和電工が同社とB 社との間で締結している現行の受委託契約の内容等を今後とも維持することとしていることから,有力な競争事業者として認められる。
(3) 酢酸エチルは輸入品も含めメーカー間で品質差等がみられないことから,ユーザーのほとんどは複数購買を行い内外のメーカーを競合させることにより,より低廉な価格での調達や価格交渉力の維持を図っていること。
(4) 輸入品は国内品と品質,物流面から比較して差がないことに加え,供給余力も十分に認められることなどから,国内価格の状況に応じて輸入が増加する蓋然性は高いと考えられること。
   
 当事会社が講じることとしている措置等については,必要に応じ,当事会社からの報告を求めるなどしてその実施状況を監視していく。
   

酢酸エチルの製品概要  略

図1 輸入品及び国内価格の推移 略
図2 国内価格と輸入量の推移   略


日本経済新聞 2003/8/5

カルテル摘発、国際協定
 年内に公取委、米欧加と組む
 
 日本の公正取引委員会など日米欧、カナダの競争当局は独占禁止法に関する協力協定のネットワークを年内に完成する。


 今年2月、四極当局は欧州委の要請に基づき、塩化ビニール樹脂を強化する
添加剤の販売を巡る国際カルテルに関する同時調査に初めて着手。協定締結後はこうした協力が義務となり、国際カルテル摘発に向けた態勢が一段と強化される。


2003/2/14 AZoM - The A to Z of Materials  http://www.azom.com/news_old.asp?newsID=497

PVC Companies Raided for Suspected Price Fixing

Investigators from the US, Europe, Japan and Canada co-ordinated raids to maximize the element of surprise.

Akzo Nobel and Rohm and Haas
Mitsubishi Rayon Co, Kureha Chemical Industry Co Ltd and Kaneka Corp

also in France, the Netherlands, Germany, Italy and the UK.

* PVC Modifier