日本とアジアの石油化学の現状その他を、各社のホームページや新聞雑誌情報を基にまとめた個人のデータベースです。 他のページへ トップページ エチレン ナフサ価格 PE PP PS SM ABS PVC VCM PC エンプラ EO PO フェノール MMA 合成ゴム その他石化業界 その他化学及び周辺業界 事業統合に対する公取委判断 中国市場 |
「カーボンナノチューブ」量産プラントが完成−−通産省・昭和電工
次世代テレビ画面に期待
通産省工業技術院物質工学工業技術研究所(茨城県つくば市)と昭和電工
カーボンナノチューブを大量生産できる試験プラントを世界で初めて完成
2004年9月27日
昭和電工
カーボンナノファイバー 樹脂添加用新グレードを開発
http://www.sdk.co.jp/contents/news/news04/04-09-27.htm
昭和電工株式会社(大橋光夫社長)は、カーボンナノファイバーの新グレードとして、導電性が要求される樹脂等への添加材料として最適な「VGCF-S」を開発いたしました。
リチウムイオン電池向けに採用が進む「VGCF® (気相法炭素繊維:繊維径
150nm)」に加え、多層カーボンナノファイバーの新用途への展開を加速・拡大いたします。
「VGCF-S」は、信州大学 遠藤守信教授と共同開発し当社が年産40tの規模で世界で唯一事業化している「VGCF®」の生産技術等をベースに、高い導電性や良好なハンドリング特性を実現するために、繊維径や繊維長を最適化した製品です。
製 品 | VGCF-S | VGCF® | CNT |
繊維径 (nm) |
100 |
150 |
20 |
繊維長 (μm) |
10 |
9 |
- |
*アスペクト比 |
100 |
60 |
- |
導電性(粉体抵抗:Ωcm) |
0.010 |
0.013 |
0.010 |
分散性 |
◎ |
◎ |
△ |
*アスペクト比:繊維径に対する繊維長の比率
当社は昨年10月、信州大学遠藤守信教授とともに、カーボンナノファイバー等先進炭素材料に関するスピード重視の応用研究、用途開発を戦略的に進める「MEFS株式会社」を設立いたしました。今後とも当社は、MEFS鰍ィよび当社独自の研究・開発成果を事業化につなげることにより、カーボンナノファイバーをはじめとするファインカーボン事業の基盤強化を図ってまいります。
2003/9/30 信州大学工学部 教授 遠藤 守信/昭和電工
“カーボンナノファイバー(MWCNT)の応用開発”を目指す大学発ベンチャー創設
http://www.sdk.co.jp/contents/news/news03/03-09-30.htm
信州大学工学部 遠藤守信教授と昭和電工株式会社(本社:東京都港区、大橋光夫社長)は、優れた機能と、幅広い応用用途の可能性を秘めた新素材“カーボンナノファイバー”を中心とする、先進炭素材料やエネルギーデバイスへの応用に関する研究開発型ベンチャー企業、「MEFS(メフエス)株式会社」を創設することに合意いたしました。
遠藤教授と昭和電工(株)は、多層カーボンナノチューブの代表的な物質「気相法炭素繊維VGCF(Vapor
Grown Carbon Fiber)」の共同研究を1982年に開始いたしました。両者は、リチウムイオン二次電池への高性能添加材としての用途開発を進めながら、世界に先駆けて極細VGCFの量産技術を確立いたしました。
この成果を礎に、昭和電工(株)は年産40トンの量産プラントを有し、カーボンナノファイバーを商業生産・販売している日本で唯一のメーカーです。
ベンチャー企業の概要
1.会社名 MEFS(メフエス)株式会社
2.資本金 1千万円
3.設立予定 本年11月
4.本社所在地 長野県長野市
5.役員 CEO(社長):藤井豊春 (昭和電工(株)取締役無機材料事業部門長)
CTO(最高技術責任者):遠藤守信 (信州大学
工学部 教授)
6.目的 @
炭素材料に関する受託開発研究およびコンサルティング
A
エネルギーデバイス関連技術の受託開発研究とコンサルティング
B 前各号に附帯関連する一切の業務
7.経営基盤
昭和電工(株)および関係他社からの受託研究
AIST Research Hot Line 2001/8
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol01_07/vol01_7_p17.pdf
カーボンナノチューブの量産
− カーボンナノチューブの産業応用の推進 −
新炭素系材料開発研究センター 湯村守雄
カーボンナノチューブは、熱伝導性、電気伝導性、機械的強度などで従来の物質にない優れた特性を持つことが確認され、次世代壁掛けテレビの電子源材料、Li
電池の負極剤等の電池材料、水素等のガス貯蔵材料、複合樹脂材料まで幅広い用途への応用の可能性をもっていることから、21
世紀の産業を支える重要な物質になると期待されている。カーボンナノチューブを工業材料として実用化を進める上で、最大の課題が低コストで大量供給が可能な合成技術の確立である。
筆者らは、平成10年度より開始された通産省の産業科学技術研究開発プロジェクト「炭素系高機能材料技術」(フロンティアカーボンテクノロジー)において、昭和電工(株)とカーボンナノチューブの大量合成技術の開発を進めていたが、昨年度前半までの研究において、炭化水素と触媒を気相で1000
℃以上の温度で反応させ、高効率で多層カーボンナノチューブが生成する事を確認した。本方法は化学的プロセスによる合成方法で、スケールアップが容易で、原料に炭化水素等を使うことから、コストも安い特徴を有している。
この成果を受けて、平成11年3月より、物質研と昭和電工は、大型連続式反応試験装置の設計・製作に着手し、平成11年度末にはこの試験設備により、平均直径30
nm の多層カーボンナノチューブが1 時間当たり200g
生成されることを確認した。そして平12年5月の後処理行程の完成により、カーボンナノチューブ合成装置の全設備が完成し本格的に量産の可能性を実証する事となった。本連続式生産技術が確立されれば、1
日当たりの生産量が数kg から数百kg
の量のカーボンナノチューブの生産への見通しが得られるものと期待される。
フロンティアカーボンテクノロジープロジェクトでは量産技術の確立を受けて、カーボンナノチューブの試験供給を開始し、配布先は30
社を超し、電子放出材料、水素吸蔵材料、電池材料、機械的応用等、幅広い応用分野で、工業材料としての可能性が検討されている(図3
)。
日本経済新聞 2003/9/13
クラレ、米に研究拠点 海外初、ナノテク素材開発
新拠点「米国R&Dセンター」は研究開発本部の研究所としてテキサス州に開設。
研究室や設備は米子会社のエバルカ・セプカ技術開発センター内に置く。
Chemnet Tokyo 2003年09月30日 発表
信州大と昭電、カーボンナノファイバーでベンチャー設立
昭電は1982年から遠藤教授と「気相法炭素繊維」(VGCF)の共同研究に取り組み、リチウムイオン二次電池の高性能添加材として用途開発を進めてきた。一方では世界に先駆けて極細VGCFの量産化技術を確立。現在昭電は年産40トンの量産プラントをもつわが国唯一のメーカーとなっている。
2003年09月30日 昭和電工/信州大学工学部
教授 遠藤 守信
“カーボンナノファイバー(MWCNT)の応用開発”を目指す大学発ベンチャー創設
http://www.sdk.co.jp/contents/news/news03/03-09-30.htm
ベンチャー企業の概要
1.会社名 MEFS株式会社 2.資本金 1千万円 3.設立予定 本年11月 4.本社所在地 長野県長野市 5.役員 CEO(社長):藤井豊春 (昭和電工且謦役無機材料事業部門長)
CTO(最高技術責任者):遠藤守信 (信州大学 工学部 教授)6.目的 @炭素材料に関する受託開発研究およびコンサルティング
Aエネルギーデバイス関連技術の受託開発研究とコンサルティング
B前各号に附帯関連する一切の業務7.経営基盤 昭和電工鰍ィよび関係他社からの受託研究
003/12/11
IPトレーディング・ジャパン/イデアルスター
原子内包フラーレン(A@C60)の事業化に向け本格始動
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=61197
研究開発ベンチャー、株式会社イデアルスター(以下、イデアルスター、本社:宮城県仙台市、社長:笠間泰彦)は、新機能材料として注目される原子内包フラーレンの量産化に向け本格的に動き出しました。東北大学大学院工学研究科電子工学専攻の畠山力三研究室で培われた技術をもとに、独自の量産プロセス技術の開発に取り組み量産に向けた機種の開発に着手しました。なお、本技術の事業化については、アルプス電気株式会社の知的財産戦略子会社であるIPトレーディング・ジャパン株式会社(以下、IPトレーディング、本社:東京都大田区、社長:梅原潤一)が、みずほ証券株式会社(以下、みずほ証券、本社:東京都千代田区、社長:大澤佳雄)とともに、新ファンド「IPインキュベーションファンド」を構築することにより、早期実現を目指します。
補足資料
IP インキュベーションファンドについて
日刊工業新聞 2003/12/19
OHC大牟田、廃タイヤからカーボンナノチューブ生産へ
http://www.nikkan.co.jp/hln/index.html
OHC大牟田(福岡県大牟田市、古賀信友社長、0944-59-1116)は廃タイヤからカーボンナノチューブ(CNT)などを生産する事業を、04年に立ち上げる。
OHC大牟田は廃タイヤを乾留油化、カーボンブラック抽出、加熱・加圧などの瞬爆処理、という3工程によってナノカーボンを生産する技術を確立した。ナノカーボンは超高速コンピューターの微細配線や走査型プローブ探針などに使われる予定で、価格は現状では1グラム当たり数千円だが、今後コストダウンに力を入れる。
古タイヤを新素材に再生 大牟田市に新会社 住友商事など3社 地元と立地協定
http://www.nishinippon.co.jp/news/wordbox/report/0270.html古タイヤから出るタイヤ補強剤のカーボンブラックを瞬間的に水蒸気爆発させる技術で、他社に先駆けて量産を可能にしたという。
新会社のOHC大牟田(資本金1千万円)はOHCカーボンと住友商事、古賀商事(福岡県久留米市)が6月に設立。10月に操業開始する。社長には古賀商事の古賀信友社長が就任する。年間約25万本の古タイヤを処理し、CNT約10トン、カーボンブラック約500トンの生産を計画。初年度は5千万円の売り上げを見込んでいる。
日本経済新聞 2004/3/4
大手商社、相次ぎ先端技術を開拓 投資回収
不透明さも
大手商社の主な先端技術関連ビジネス
三菱商事 | フラーレンの量産化 |
フラーレンの用途開発 | |
三井物産 | 研究開発子会社によるカーボンナノチューブの開発 |
ナノテクパークの設置 | |
住友商事 | カーボンナノチューブの輸入販売 |
東大と提携し、糖鎖の研究開発会社 | |
伊藤忠商事 | 米ロスアラモス研究所などとの包括提携 |
産業技術総合研究所との包括提携 | |
丸紅 | 再生医療関連ベンチャーへの投資 |
カプセル型内視鏡の事業化 |
日本経済新聞 2004/4/7
三菱商事発表
ナノテク素材 がん転移抑制 三菱商事子会社と広島県立大確認
三菱商事の子会社でナノテクノロジー(超微細技術)の用途開発に取り組むビタミンC60バイオリサーチ(松林賢司社長)は、広島県立大・生物資源学部の三羽信比古教授のグループとの共同研究でナノテク素材、フラーレンに皮膚がんの転移抑制効果があることを確認した。
フラーレンが高い浸透性によってがん細胞の周辺まで到達し、がん細胞の浸潤(生体組織間移動)プロセスを阻害する仕組みという。
広島県立大学三羽教授とビタミンC60 バイオリサーチ社のフラーレン共同研究成果
〜水溶性フラーレンの高いがん転移抑制効果を確認〜
“ナノテク素材初のがん転移阻害効果”
http://www.mitsubishicorp.com/jp/pdf/pr/mcpr040407.pdf
広島県立大学・生物資源学部三羽信比古教授らの研究グループは、三菱商事が100%出資して設立したフラーレン・ライフサイエンス研究開発のベンチャー:ビタミンC60 バイオリサーチ社(本社:東京千代田区、社長:松林賢司)との共同研究により、水溶性フラーレンに高いがん転移抑制効果があることを確認致しました。
FujiSankei Business i. 2004/11/5
熱に強いカーボンナノチューブ、大阪ガスが来月出荷
http://www.business-i.jp/news/chemical/art-20041104202234-OTFRZNKMQH.nwc
大阪ガスは4日、次世代の薄型テレビとして注目されているフィールド・エミッション・ディスプレー(FED)テレビの電子放出材料となるカーボンナノチューブ「メタカーボ」を開発、12月から家電メーカー向けにサンプル出荷を始めると発表した。
省電力のFEDテレビは従来のブラウン管テレビと同様に、電子を蛍光板に衝突させて画像を表示する。この際、電子放出材料に電圧をかけることで電子を放出するため、電子放出性の高いカーボンナノチューブの実用化に期待が寄せられている。ただ、直径が数ナノ(1ナノは10億分の1)メートルのカーボンナノチューブでは、熱に弱いという課題があった。
メタカーボは、10−数十ナノメートルのカーボンナノチューブにナノサイズの鉄を含ませて、耐熱性を高めた。さらに従来の3分の1程度の低電圧で電子を放出できるようになったという。サンプル価格は1グラム当たり約3万円。
大阪ガスは新規事業としてカーボンナノチューブ事業を推進しており、2010年には100億円の売上高を目指している。
2005/9/20 毎日新聞夕刊
「超微粒子」で透明感 ナノ化粧品 安全性は?
122社使用 業界団体が検証へ
超微粒子を売りにしたファンデーションなどの「ナノ化粧品」について、日本化粧品工業連台会(粧工連)は、独自試験などでその安全性を検証していくことを決めた。ナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの超微粒子(ナノ粒子)が、吸入などで体内の器官に入り込み健康に悪影響を与える可能性を示す研究報告が出てきたため。粧工連は現時点では安全性に問題ないとの立場だが、化粧品は薬事法で水銀などの配合禁止成分が定められているものの、含有成分の大きさや形状までは規制されていない。
ところが、ナノ粒子の一種でサッカーボール状の炭素分子フラーレンを入れた水で飼育した魚の脳細胞が傷付く可能性がある▽ラットにナノ粒子を吸わせると、神経を経由して脳に入り込んだーーなどの報告が昨年、米国で相次いだ。
物質がナノサイズになると、反応性や性質が変わるとの指摘もある。英国王立協会は同7月、同じ成分でもナノサイズの物質は、新規物質として安全性を検討すべきだとの報告書をまとめた。
世界的にもデータ不足
日本経済新聞 2005/9/22
ディーゼル排ガス吸ったマウス 胎児にナノ粒子沈着 東京理科大などの研究
ディーゼル排ガスを妊娠中に吸わせたマウスの胎児の脳や精巣組織に、排ガスに含まれる超微小粒子(ナノ粒子)が母体から移行して沈着、周囲の細胞に変性を起こしている可能性が高いことを、東京理科大の武田健教授らの共同研究グループが突き止めた。
ナノ粒子の胎児への移行を確認した例はこれまでなく、世界でも注目されそうだ。
2006/2/1
British Plastics & Rubber
Now
Arkema has commercial carbon nanotubes
Arkema has doubled its capacity
for carbon nanotubes and started up a pilot plant for
commercially-priced materials. Carbon nanotubes have wide-ranging
potential in plastics and composites as reinforcements and for
electrical conductivity. The company started its R & D into
carbon nanotubes in 2003, and a year ago announced a partnership
with Zyvex of the USA to develop applications
for carbon nanotubes. It has now inaugurated a plant at its Lacq
Research Center in Aquitaine, France. The plant operates a
patented catalysis process, and can produce up to 10 tonnes per
year. A commercial grade will be formally introduced at the JEC
Composites show in Paris in March.
Towards
the end of last year Bayer introduced its Baytubes
which it said overcame the high price barrier which has prevented
wider adoption of the technology. Bayer has recently cited
Baytubes as a candidate for nurturing in its new 'Greenhouse'
concept for converting ideas into independent start-up companies
owned by Bayer MaterialScience.
2006/4/3 保土谷化学工業
合弁会社設立に関するお知らせ
http://www.hodogaya.co.jp/news/pdf/06040302.pdf
当社は三井物産梶i代表取締役 槍田 松瑩
と合弁で多層カーボンナノチューブの製造・開発・販売を行う新会社を設立しましたので、
下記のとおりお知らせいたします。
合弁会社の概要
@社 名 ナノカーボンテクノロジーズ株式会社
A代 表 者 代表取締役社長 栗原信治 (保土谷化学工業鰹務取締役)
B所 在 地 川崎市幸区堀川町66番地2(事業所:東京都昭島市)
C設立年月日 2006年4月3日
D事業内容
多層カーボンナノチューブおよびそれを含有した樹脂複合材の製造、販売
E決 算 期 3月31日
F従業員数 37名
G資 本 金 125百万円
H出資比率 保土谷化学工業 66%
三井物産 34%
新規炭素ナノ素材「カーボンナノスフィア」に関する提携について
住友化学は、このほど、米国ヘッドウォーターズ社(以下、HW
社)と、新規炭素ナノ素材である「カーボンナノスフィア」に関する研究開発ならびにその事業化について、両社共同で進めていくことで合意いたしました。
「カーボンナノスフィア」(carbon nanospheres)は、球状の新しいタイプの炭素ナノ素材で、HW
社が開発したcarbon nanospheres(以下、CNS)は、典型的なサイズが外径100nm
以下で、中空構造になっております。その特徴的な構造から、「カーボンナノチューブ」(*1)(carbon
nanotubes:以下、CNT)や「高性能カーボンブラック」(*2)(high
performance carbon black:以下、HPCB)といった他の炭素ナノ素材と比べ、数々の優れた特長を有しています。
1.高い導電性
2.強度を損なわずに表面修飾が可能
3.製造プロセスがシンプル
(ご参考)
社名 Headwaters Incorporated
本社所在地 Salt Lake City
社長 Kirk A. Benson
資本金 5.0億ドル(2006 年9 月)
設立年月 1986 年
売上高 11.2 億ドル(2006 年)
従業員数 約4300 人
事業内容
エネルギー、建設関連の製品、技術、サービスの提供
(右肩図:構造モデル)
表1 CNS と他の炭素ナノ素材との比較
CNS | CNT | HPCB | |
導電性 | ○ | ○ | X |
プラスチックとの親和性 | ○ | X | △ |
製造プロセス | ○ | X | ○ |
【用語解説】
(*1)カーボンナノチューブ
1991 年に、NEC
の飯島氏により発見された炭素ナノ素材の一種。グラファイトシート(*3
参照)を円筒状に丸めた構造で、直径数nm、長さ数百nm〜数μmの非常に細長い円筒状の形状を有する。最近では、ディスプレイ用の電界電子放出源、各種ガス吸着材などの用途が検討されている。
(*2)カーボンブラック
天然ガス、炭化水素ガスの気相熱分解や不完全燃焼によって生成する、微粉の球状あるいは鎖状の炭素。ゴムの補強用充填材、印刷インキ、顔料、炭素材料の原料などに用いられている。
(*3)グラファイト(=黒鉛)/グラファイト化
炭素の同素体の1つ。天然に産出するが、無定形炭素を3000℃前後で熱処理することによっても得られる。六角形に並んだ炭素原子が巨大な網状に積み重なった層構造(=グラファイトシート)を有する。無定形炭素からグラファイトの構造に変化させることをグラファイト化と呼び、その度合いによって異なる物性を示す。
(*4)帯電防止用フィラー
プラスチックは高い電気抵抗を有するため、表面に帯電して種々トラブルを起こすことがある。ある程度の導電性を与え帯電を防止するために、高い導電性を有するフィラー(=添加材)をプラスチックに練り込む方法がある。フィラー量が多いと、プラスチックの他の性質にも影響を与える。
日本ゼオン、カーボンナノチューブのサンプル製造を開始
日本ゼオンは、スーパーグロース法で得られる高品位なカーボンナノチューブのサンプル提供を実施すべく、独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)の量産実証プラントを活用し、カーボンナノチューブのサンプル製造を開始した。
近年、デバイスの高機能化の要求により、その中核となる材料、部材についても高性能化が求められるようになってきている。中でも、電気、熱伝導性、機械強度に優れるカーボンナノチューブは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)プロジェクトを通じて、高性能キャパシタ、高機能ゴム材料、高熱導電材料等の革新的材料、デバイスの可能性が示唆されつつあり※)、産業への応用が期待されている材料である。日本ゼオンは、NEDO「カーボンナノチューブキャパシタ開発プロジェクト」を通じ、2004年に産総研畠博士らにより見出された革新的な単層カーボンナノチューブの合成法である「スーパーグロース法」を基盤としたカーボンナノチューブの量産技術開発を進め、2011年には量産実証プラントの建設(2009年経済産業省補正予算事業)・運転・サンプル提供による技術普及を産総研と共同で進めてきた。
今回、日本ゼオンは、産総研の量産実証プラントを活用し、スーパーグロース法で得られる高品位なカーボンナノチューブのサンプル製造を実施、2013年1月を目処に、このカーボンナノチューブサンプル提供を計画している。
スーパーグロース法で得られるカーボンナノチューブは、他のカーボンナノチューブと比較して、高いアスペクト比、高純度、高比表面積といった特長を有するため、従来にない機能や特徴を持つ新機能性材料、次世代デバイス等への応用が期待される材料であり、今後需要が急拡大すると予想される。今後も市場のニーズに対応し、産業化を見据えたサンプル提供を実施する予定である。
※)「カーボンナノチューブキャパシタ開発プロジェクト」(平成18年度〜平成22年度)、「低炭素社会を実現する革新的カーボンナノチューブ複合材料開発プロジェクト」(平成22年度〜)
2011/2/18 産総研、単層カーボンナノチューブの大量生産技術を確立
ナノテクノロジー素材フラーレンで戦略的事業提携
~フラーレン製造販売会社(フロンティアカーボン社)を共同運営~
三菱商事と昭和電工は、ナノテクノロジー分野で注目される炭素素材「フラーレン」の事業化に向けた戦略的事業提携を行いました。
また、本事業提携に基づき、昭和電工はフラーレンの製造販売会社であるフロンティアカーボン株式会社(以下FCC社)の株式50%を三菱商事より譲り受け、FCC社は両社の共同運営会社となりました。
当初 三菱化学 50%出資 →三菱商事 100% → 三菱商事/昭和電工 → 三菱商事/デンカ
フラーレンは、直径1ナノメートル(100万分の1ミリメートル)のサッカーボール状の分子です(図1)。有機溶媒に溶け、且つ、優れた電子受容性を持つ分子であることから、エレクトロニクス分野、特に有機薄膜太陽電池(図2)の負極材などの有望素材として期待が寄せられています。
昭和電工は、フラーレンと並ぶナノ炭素素材であるカーボンナノチューブ(製品名:VGCF®)で10年以上の量産実績があり、VGCF®で培ったナノ技術がフラーレン事業化に応用できると判断し今回の提携を決定しました。今後、FCC社と共同でフラーレン事業化に向けた必要な研究開発・マーケティングを進めていきます。また、三菱商事は、フラーレンの製造実績と関連特許、販売ネットワークを保有しており、両社が提携することで技術面・販売面双方で高い相乗効果を発揮しながらフラーレンの事業化を加速していきます。
昭和電工は、すでにリチウムイオン電池等で広く使用されているVGCF®に加えて、今回提携を決定したフラーレン事業を加速することにより、ナノ炭素素材関連の事業拡大を図ります。また、三菱商事は、産業分野での技術革新を実現する可能性のある素材を扱うことで、新たな事業の創造に繋げていくことを狙います。
[参考資料]
1.フラーレンの用途等
フラーレンは2003年より商用生産が始まり、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)や潤滑剤への添加材用途等ですでに量産されています。最近では、以下のような有機エレクトロニクス分野を中心に用途開発が急速に進展しております。
有望用途1 〜太陽電池の負極材〜
フラーレンは、大量の電子を極めて強い力で引き付ける特長を持ち、また工業用に使用されている有機溶媒に可溶な官能基と容易に化合する為、強い電子吸引特性を保有したまま有機溶媒に良く溶けるフラーレン化合物(フラーレン誘導体)を生成できます。この特徴を生かし、P型半導体の有機材料と混合させ、インク状態にすれば、安価で大量生産に向く印刷技術を活用し、PET等のフィルムに半導体特性を持った膜形成が可能になります。このような機能膜は、有機トランジスタやダイオード、又有機薄膜太陽電池や有機ELなど従来のエレクトロニクス分野にイノベーションをもたらす事になり、国内外の印刷メーカー、電機メーカー、化学メーカーや、ハイテク・ベンチャー企業が、競って実用化を進めております。なかでも塗布すれば発電素子となる“安価で軽く曲がる”特性を有する有機薄膜太陽電池の分野において、フラーレンは負極材料として、ほぼ全ての内外顧客から標準材料として採用されており、量産化の動きが加速しております。
有望用途2 〜光学フィルター/電子回路/その他〜
青色光のみを吸収する光学特性を利用し、サングラス等光学フィルターとしての利用や、分子直径が1ナノメーターというナノサイズとプラズマ等の化学反応の腐食に強いという他の物質では、実現出来ない特性を利用し、次世代超LSI上にナノサイズの電子回路を加工する為の電子材料への開発が進んでおります。また最先端分野では、フラーレン内に金属を内包し、スイッチング特性や磁性特性を利用するナノデバイス等の基礎研究が地道に進んでおり、応用の裾野はますます広がっております。
2.フロンティアカーボン社の概要(2013年1月8日現在)
(1)会社名:フロンティアカーボン株式会社
(2)代表取締役社長:大坪
裕彦
(3)設
立:2001年
(4)本社所在地:東京都千代田区丸の内二丁目6番1号
(5)出資比率:三菱商事50%、昭和電工50%
(6)事業内容:フラーレン等のナノカーボン製品の製造および販売
2024 年 4 月 24 日 当初 三菱化学 50%出資 →三菱商事 100% → 三菱商事/昭和電工
→ 三菱商事/デンカ
三菱商事/ デンカ
フラーレン事業に関する合弁契約を締結
〜薄膜太陽電池等の有機エレクトロニクス分野での活用に向けた新体制構築〜
三菱商事とデンカは、炭素の先端素材であるフラーレン事業に関する合弁契約を締結いたしました。本契約に基づき、デンカはフラーレンの製造販売事業を行うフロンティアカーボン株式会社(以下 FCC 社)の株式 50%を三菱商事より取得し、同社を共同で運営いたします。
フロンティアカーボン社 概要(2024 年 4 月 24 日時点)】
(1)会社名:フロンティアカーボン株式会社
(2)代表取締役社長:大島 幸一
(3)設 立:2001 年
(4)本社所在地:東京都千代田区神田錦町 2 丁目 2-1
(5)出資比率:三菱商事 50%、デンカ 50%
(6)事業内容:フラーレンおよびフラーレン応用製品の製造・販売
フラーレンは、炭素原子がサッカーボール状の構造を持つ、ナノメートルレベルの分子です。優れた電気特性や熱安定性を備え有機溶媒に溶けることから、有機薄膜太陽電池*¹の発電層として活用されております。また、次世代太陽電池として注目されている、ペロブスカイト太陽電池*²の材料としての活用も検討されています。スマートフォン等に用いられる各種センサーの材料としても注目を集めており、今後も新たな用途への展開が見込まれています。
三菱商事は、2001 年に FCC
社を設立して以降、長期にわたる顧客との技術協議や販売ネットワークの構築を通じ、産業用フラーレンの市場を開拓してきました。また、フラーレン物質特許*³など多数の特許を有しており、多様な産業に携わる総合力を活かして、今後も
FCC 社の更なる成長に寄与してまいります。
また、三菱商事は、「中期経営戦略 2024」で「EX
戦略*⁴」を掲げ、素材等のシーズとニーズをつなぐことで産業全体の低・脱炭素化を推進することを目指しており、フラーレンを通じたソリューションの提供で、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
デンカは、高純度で優れた導電性を有する炭素素材であるアセチレンブラック*⁵の量産実績から、これまで培ってきたカーボンナノ材料の知見や製造技術をフラーレン事業に応用し
FCC
社の更なる発展を支えるとともに、デンカが保有する製造設備等のユーティリティを活用することで、事業インフラの構築も支援いたします。これにより、デンカはカーボンナノ材料マーケットでのプレゼンス向上を図り、当分野での事業拡大を進めてまいります。
また、フラーレンは電子部品・バイオ医薬分野など多岐に渡る幅広い産業分野で使用が検討されており、デンカが経営計画「Mission
2030*⁶」で注力分野として掲げる ICT&Energy、Healthcare、Sustainable Living
の各分野への貢献も大きく図れるものと考えております。
三菱商事とデンカは、販売と技術開発の両面でそれぞれの知見や強みを掛け合わせ、フラーレンの普及を推進するとともに、用途市場の立ち上がりによるフラーレン需要増に応えるため、生産増強体制の構築を目指すことで、FCC
社の事業を通じて社会課題の解決に取り組んでまいります。